概要
本作の登場人物の一人である、真木清人が所有する人形。作中では特に名前は付けられておらず、「キヨちゃん」という名称も後述の通りキャストやスタッフ、それにファンからの愛称である。
およそ30cm前後の、スキンヘッドと白いコスチューム(※1)が特徴のアンティークドールであり、初登場の際より左肩に乗せて常に肌身放さず持ち歩いている(※2)など、真木の特異なキャラクターを演出する要因の一つとしても位置付けられている。
彼自身、他人とのコミュニケーションを取ることが極端に苦手であることから、会話の際には「この人形に話し掛ける」という形を取らねば他者と会話することができず、何らかのアクシデントで自身のそばから人形が離れてしまった場合、にわかに精神の均衡が崩れてパニック状態に陥り、一人称も普段の「私」から「僕」へと変わってしまう。
元々この人形は真木が幼い頃に、姉の仁美からプレゼントされたものであり、当初はウィッグやドレスのあしらわれたごく普通のアンティークドールであった・・・のだが、とある一件でそれらは焼失し、現在のどこか不気味さを漂わせる出で立ちへと変貌したという経緯が、作中にて語られている(詳細についてはこちらも参照)。
(※1 基本的なスタイルは前述の通りだが、これ以外にも様々なスペアの衣装が用意されていたりもする)
(※2 勿論例外もあり、車を運転している時は肩から外して専用の席に座らせることもある)
作中での扱い
このように、真木にとっては良くも悪くもなくてはならない存在の一つであるキヨちゃんだが、シーンによっては周囲の状況に応じて(特に真木が弄るでもなく)異なるポーズを取っていたり、里中が顔の前に置いた蝋燭の火が何故か消えていたり、さらにはグリード化した真木がメダルの力を開放する際には人形の右手からも紫色のオーラが立ち昇ったり・・・といった具合に、単なる人形であるはずだがそれ自体に何らかの意志が宿っているのではないか、とも思わせる演出も作中では散見された。
また、真木からは大層大事に扱われている一方、周囲の人間からはぞんざいに扱われることもあり、激昂した映司によって肩から跳ね除けられたり、伊達からのちょっかいの巻き添えでおでんの鍋の中に落ちてしまうこともあった。劇場版『将軍と21のコアメダル』では、あろうことかウヴァによってトリケラメダル共々持ち去られた末に、メダルを持たされたままオーズに投げ渡されるという憂き目にも遭っている。
極めつけは物語最終盤、真木が映司を始末しようとした際にこれを庇ったアンクの攻撃で炎上し、錯乱状態に陥った真木によって海へと投げ込まれるというくだりであろう。直前までのシリアスな空気をかなぐり捨てたかのような、どこかコミカルな立ち回りぶりは今なおファンの間で語り種の一つとされている。
人形は直後に真木の手によって回収され、以降も引き続き彼と行動を共にしていた・・・のだが、後に鴻上と対峙し「全てを無に帰す」と宣言した際、真木は自ら人形を肩から下ろしており、さらにオーズとの最終決戦に先立ち、人間としての自分を完全に捨てグリードとして生きることを示すかのように、自身の出で立ちに似せた装いの状態で白石知世子の元へと人形を託している。
これ以前に、伊達との会話の中で「自分がいなくなった後も何かが続くよう、その人形を遺してはどうか」と言われていたことがあり、この行動もそうしたやり取りを踏まえた上でのものであるとも解釈できる。
備考
- 「キヨちゃん」という名前は、真木役の神尾佑がつけたもので(『オフィシャルキャラクターブック』のインタビューより)、後に制作スタッフの間でもそう呼ばれるようになり、さらには東映のオーズ公式サイトなどを通してファンからも呼ばれるようになった。そうした経緯ゆえに、pixiv内でもこの愛称が広く使われており、仮面ライダー図鑑でもそれに倣って登録されている。
- 前述の「燃やされた上に海へと投げ込まれる」くだりでは、撮影時に胴体部分が紛失するという、二重の意味でのアクシデントにも見舞われており、かろうじてスタッフが見つけて事無きを得たことが、東映の番組公式サイトにて言及されている。またここではキャストのオールアップの番外編として、キヨちゃんも他の登場人物達と同様の扱いで紹介されていたりもする(参考リンク)。
- このくだりで真木が発した台詞は、過去にWebサイト「仮面ライダー図鑑」の怪人図鑑とアイテム・その他図鑑にて、検索して何も出なかった場合に表示されたこともあった。前者は「メガネモナイヨ? ア、ア、ボクオヨゲタヨ!? オヨゲタヨ!?」、後者は「ダメダカラ! ナゲチャダメダカラ! ナイヨ? ナイヨ?」といった具合である。
- 元々商品化を前提としたキャラクターではないこともあり、放送当時人形そのものがグッズとして発売されることはなかったものの、既製品の組み合わせで作られていることは登場当初より2chのスレッドやブログなどで指摘されており、ファンの中にはそれを元に自分だけのキヨちゃんを作る者も確認されている。
- 番組終了後にはS.H.Figuartsの恐竜グリードに、小サイズのキヨちゃんが付属したこともある他、2014年9月には「左腕のキヨちゃん」という商品名で、デスクトップフィギュアとして単独での商品化も実現している。ガシャポンでの販売という都合上、こちらも作中に登場したキヨちゃんよりもかなりの小サイズとなっているものの、最終回に登場した真木そっくりの出で立ちも含めた、複数のバリエーションが存在する。
- 本作終了後も、『仮面ライダーフォーゼ』や『非公認戦隊アキバレンジャーシーズン痛』など、神尾が別作品に出演する際にキヨちゃんがカメオ出演するケースもある。また、『仮面ライダージオウ』のオーズ編(第9・10話)では、アナザーオーズこと檀黎斗王のオフィスに、しれっとキヨちゃんが飾られていたこともある(参考リンク)。
関連タグ
外部リンク
ドクター真木のキヨちゃん人形:ファンによる作例の一つ。その完成度から参照されることが多い