概要
遊戯王OCGではわかりやすさを重視し、細かいルール用語の定義がなされずに運用がなされてきた(勿論、それにより既存カードゲームで取り込めなかった層を取り込んだというメリットもあるのだが)。
結果として、「テキストを読んだだけでは効果の詳細がわからない」、「効果発動時の処理がカード1枚1枚で違う場合すらある」という事態が多く、読み取り方やルールによる裁定は結構複雑なTCGとなっている。
こうしたカードの効果について回答を行う事務局という部署が設置されているのだが、この事務局が度々珍回答・誤回答を行ったり、ひどい時は担当者によって言うことが違うという事すらあるために「遊戯王のテキストは日本語ではなくコンマイ語で書かれている」と揶揄されるようになった。
具体的に例を挙げると、
- 一見同じテキストであっても効果・処理が違う事が多い。理由は「カードが違うから」(「AとBは違うカードだから違う処理で当然」という回答なのだが、その場合細かい表現に違いがあるのが普通なのに効果の文面が同じであるせいでコレが起きてしまう)
- 「タイミング」「対象」「発動」「墓地へ送る」という概念レベルにおいても独自解釈が存在
- 「調整中です」「非公開」という熱い説明放棄
- 特定カードの組み合わせで処理が不可能になる場合があるが「やむを得ない」
- 過去に出した裁定と矛盾した回答を行い、「どこでお知りになりましたか?」とのたまう
- 最終的に「なぜかそのような処理になるが、資料がないので答えられない」という暴露
など、迷言のオンパレードとなっている。
勿論、事務局の側でも全ての組み合わせを考慮する事は現実的には不可能であるし、きちんとエラッタ・裁定の変更により矛盾が解決されたカードも多くあり、後発カードではこうした不具合を防ぐために効果ごとに(1)(2)と分けられ気をつけたテキストになっている事が多い。
コレにより例えば「リリースなしで妥協召喚出来るが、そのターンのエンドフェイズに自壊する」カードと「リリースなしで妥協召喚できる」「妥協召喚したターンのエンドフェイズに2000ダメージ受ける」カードの見分けがつくようになった(前者は妥協召喚した場合、月の書等で裏にしたりしない限りどう足掻いてもそのターン自壊するが、後者はスキルドレインなどでデメリット効果を封じればダメージを踏み倒せる。要するに「妥協召喚出来る効果」と「そのデメリット」が不可分かそうでないかが分かるようになっている。)
…のだが、同版収録のカードで早速矛盾したり無限ループしたり、或いはポールポジションの様に「装備カードなど適用され続ける攻撃力増減のカードがある以上起きることが容易に想像可能な無限ループ」に対する想定がされていないなど明らかな認識不足がある。
また副作用として細かく条件づけすればするほどテキストが長く複雑になったりする。
そのため、俗に「テキストは短かければ短いほど(効果の対象とできる幅が広くなるので)強い」と言われたりもする。
もう一つ大きな問題として、こうした事務局の裁定が関係スタッフに全く共有されておらず、臨時で確認を行う部署が設置される事もないという点についてもこう呼ばれる。
公式が絡んでいる大会などにおいて、ジャッジ(審判)によって言うことが違い、前の試合ではOKだったコンボ・プレイングが次の試合では突然できないと宣告されたり場合によっては失格になったりする事もあるため、プレイヤーの間では「ルール裁定の穴や矛盾、解釈違いを突けばジャッジを利用して相手を失格にできるのでは」と言われ、俗にジャッジキル案件などと言われていたりする。
勿論、実際にこうした盤外戦術を仕掛けるような人はごく少数で、大半のプレイヤーは冗談で言っているだけなのだが実際にできてしまうおそれがあるというのが問題でもある。
もし自分がルール不備が原因で発生したジャッジキルによって失格になったりしたら泣くに泣けない話である。
そもそも遊戯王OCG自体、『遊戯王』の原作者である高橋氏がストーリーのために大まかに考えたものを、コナミが悪く言えば適当に商品化したものである。あくまでファングッズ、玩具の一環と解釈することも出来るかもしれないが、人気を博し展開が大規模になるにつれ、ゲームに無視できない影響を与える矛盾が大量に生まれてしまったのであり、こうなることは半ば必然であったとも言えよう。
遊戯王OCGは非常にプレイヤー人口の多いTCGではあるが、こうした事から公式への信用度が妙に低いというのが実情であり、非公式の有志が書いているwikiの方が信用されているという面もあった。
しかし、wikiである特性上誰でも編集できるうえ、しれっともっともらしい嘘を1つ混ぜ込んでいても公式の難解過ぎる解釈との照合に手間が掛かる事と合わせて発覚まで非常に時間が掛かる。実際、神葬零嬢ラグナインフィニティというモンスターのwikiに一つデタラメな公式への問い合わせの解答が載せられていた事例もあり、界隈を騒がす大問題となった(大会では試合中に私物の情報端末を使うことは反則にあたり、専用端末でデータベースを閲覧できるようになっている)。
プレイヤーたちもコンマイ語の解釈と運用には日々頭を悩ませており、
劇中のセリフから引用して
などと言われる事もある。
余談
このコンマイ語が特に問題視されていたのは1999~2014年の間に印刷されたカードである。
当然だが公式もそれを認識はしており、2014年の「マスタールール3」制定以降、テキストの改善や、過去のコンマイ語カードのエラッタ再録などが行われている。
また、2017年の「新マスタールール」以降では*読み替え*という新たな概念が登場し、ルール上おかしな処理が入るカードの再解釈がなされた。
上述のおかしな回答・裁定群に関してもこの再解釈によって解決が図られており、一応明確な回答が出されているものも多い。
公式DBに関してもチャット機能でリアルタイムに問い合わせが可能など、機能改善が図られている。
「コンマイ語」という言葉自体が遊戯王OCGのルール未整備・コナミの姿勢に対して
批判的に使われる事の多いものであるが、当のコナミもきちんと改善努力はしているのが実情である。自身のゲームに対する不理解をコンマイ語のせいにしたり、とりあえず遊戯王OCGを叩きたいだけ、不平不満を言いたいが為に「コンマイ語」を連呼する事も問題視されている(それに対する反発から無理筋な擁護、他のTCGを引き合いに出したり人格攻撃に走る→レスバが始まり荒れがちな点まで含めて遊戯王OCG界隈でありがちな問題である)。
とはいえ、本記事でも散々述べたように約25年の歴史のうち15年が上記のような状態だった事、それに対する公式の態度もなかなかのものだった事、普通に遊戯王OCGで遊んでいるだけでもこうとしか言いようの無い場面や処理に遭遇してしまう場面もあるのも事実ではある。
プレイヤーの間ではこのコンマイ語を揶揄しつつも、実際に行われる処理の情報や注意点を共有する建設的な向きもある。言ってみれば遊戯王OCGの歴史とプレイヤー文化の一部とも言える。
外部から揶揄するとあまり良い顔をされない点には注意しよう。特に、近年におけるインターネット上の一部(YouTubeやTwitter、まとめサイト等)ではバズり目的の為にこれらの用語や現代遊戯王の環境について大袈裟に取り上げられることもあり、それを聞き齧っただけの初心者や第三者が現行プレイヤー相手や遊戯王を取り扱った配信者の動画で不適切な発言及びコメントをする自体が後を絶たない。TPOを弁えた行動をとるようにしよう。
コンマイ語が以前に比べネタ扱いされなくなった事について上記の要因に加え、他TCGの裁定関連の状況も浮き彫りになったという点もある。
元々遊戯王自体のファン層が巨大な事に加え、デュエマやポケカといった他TCGはあまり目立つ事もなく裁定トラブルが表面化する事も少なかったので遊戯王が良くも悪くもネタガチ含め何かと言われがちな事が多かった。
しかし2010年代中後半からSNSなどで他TCGとも関わる機会が増え競技性の高い大会も増加し企業に裁定を訪ねるケースが増加、その中効果の複雑化により分りにくかったり、裁定が二転三転したりするケースが増えた為に遊戯王を笑えるという状況ではなくなっている。
例えばデュエルマスターズでは2010年台後半以降に複雑な効果や二転三転する裁定でトラブルが増加し、コンマイ語を捩ってタカラトミー語と揶揄されている状態である。
なお、上述のように2014年以降、2017年以降はルール自体が変更された事に伴い、
印刷された当時とは処理が代わっていたり、昔できた事ができないor逆にできるようになった…というカードも多数出ている。
「『遊戯王マスターデュエル』等で久々に遊戯王OCGに触れたら知っているカードの効果が変わっている」という場合、
おそらくこれが原因である。困惑している人が居たら優しく教えてあげよう。
関連タグ
歯車街:デュエルリンクスでは裁定変更後の正しい挙動をしているが、旧環境でしか使ったことの無いプレイヤーからバグと勘違いされる珍事が起きた。
ポールポジション:装備カード一枚と併用するだけで無限ループが発生してしまう、欠陥カード。現在は裁定変更でこのような問題は避けられているが、これ自体が黒歴史なのか、再録が行われていない。
まるで将棋だな(異世界はスマートフォンとともに。):「魔法が効かない敵を魔法で倒す」というコンマイ語を思わせるシーン。実際は無茶苦茶な事柄というほどでもなく、理屈自体は定番の方法だったのだが、直前に取ってつけたかのような将棋の話題が出ていた事、それをこの台詞と共に思いつく流れがあまりにこじつけすぎる点が特に槍玉に挙げられてしまった。
非関連タグ
軍貫・マナドゥム:それぞれがトンチキテキストで有名なカテゴリだが、こちらは意図された動き通りであり、何らコンマイ語の書かれたカードではない。
限定解除(遊戯王):儀式モンスターの特殊召喚ルールを無視して特殊召喚するカードのため、蘇生することができず同期の簡易融合より弱いと批判が続いていたが、後にヌーベルズの共通テキストがこのカードに準じたものであることが判明したことで、ルールミスではないことが確定した。