「大好きよ……本当に、本当に、大好きなの」
プロフィール
概要
『Fate/Grand Order』に登場するアーチャークラスのサーヴァント。
古代インドの民族叙事詩『ラーマーヤナ』の主人公であるラーマの妻。
メインストーリーでは第1部5章『北米神話大戦 イ・プルーリバス・ウナム』に登場する。5章のキーキャラクターであり、その悲劇的な運命から、ラーマと共にカルデアに召喚したいと望むマスターも多い。
彼女と夫に課せられた運命については、ラーマやラマシタの個別記事を参照されたし。
初登場以降、その設定ゆえに実装は難しいとされてきたが、『Fate/Grand Order Arcade』5章『北米神話侵食 イ・プルーリバス・ウナム』(2020年9月24日追加)にて実装することが判明。レアリティは☆4。
前日の生放送ではプロトマーリンの追加実装しかアナウンスされていなかったため、ファンを大いに驚かせた。一方、ACではラーマが実装されないのでは?と見るファンの声もあり、後にサーヴァントの新規実装が終了したことでこの予想が当たることとなった。
当初はシナリオでCPUが操作するのみだったが、10月8日のアップデートよりプレイアブル実装された。
アプリ版とアーケード版のコラボイベント『螺旋証明世界 リリムハーロット』とあるゲスト限定のサブシナリオでは、立ち絵のみのNPCとして出演。
真名
インドにおける二大叙事詩の1つ『ラーマーヤナ』のヒロイン、「シータ」。
維持神ヴィシュヌの妻である幸運の女神ラクシュミーの化身と伝えられる女性。その名はサンスクリット語で「(畑の)畦」を意味する。後に養父となるヴィデーハ国王ジャナカが鋤で畑を掘り返している時に、畦の溝で彼女を見つけた。
この出自から彼女は「ブーミ・デーヴィー(大地の女神)の娘」ともされる。
シータを引き取ったジャナカ王は、成長した彼女と結婚する条件として、彼の祖先にシヴァ神が授けた神弓を引ける事を求めていた。これを簡単にやってのけたラーマとシータは結婚することになった。
ふたりの平穏で幸せな日々は数年で終わった。ラーマの父ダシャラタ王が老境に差し掛かり、王位継承を済ませようとラーマを指定し家臣達も賛同したが、第三王妃カイケーイーの息子バラタのほうも候補にあがってしまう。
かつて戦場で死にかけたダシャラタ王は彼女の看護で命を繋いだ。その際に2つまでなら願いを聞く、という約束した。
カイケーイー本人にそのつもりはなかったが、「バラタを王にする」という案を吹き込んだ性悪な召使いの言葉巧みな誘導に乗り、これを支持してしまう。
ラーマは父に約束を破らせてはならない、と自ら身を引き、2つ目の願いである「森林への追放」も受け入れた。
ダシャラタ王はその後心労によって衰弱し亡くなった。葬儀の後バラタからラーマに王位を返上すると申し出があったが、ラーマはそのまま森で暮らす道を選んだ。
バラタは他の兄弟から諭され、ラーマの履き物を玉座の上に安置し、追放期間の終わりまで「家臣」としての政務にいそしんだ。
シータと弟ラクシュマナと共に森で暮らすラーマだったが、ラーヴァナの妹シュールパナカーに言い寄られこれを断ると、逆恨みしたシュールパナカがシータを傷つけようとした為ラクシュマナに鼻と耳を切り落とされてしまう。
これに激怒した彼女は兄の羅刹カラに復讐を頼むもその軍勢は壊滅させられる。ランカー島に居るもう一人の兄ラーヴァナに、自身の復讐のためにもシータを攫うように言い、彼女を手にすればこの世界で最高の幸せを得られるとも吹き込んだ。
ラーヴァナはシータを強引に連れ去り、他の羅刹達を監視につけた上でランカー島に幽閉した。
『ラーマーヤナ』第六巻において、ラクシュマナやヴァナラ(猿)達のような同盟者の協力もあり、ラーマは最終的にシータ奪還に成功する。
ここでラーマ自身が彼女の貞節を疑い、その疑念を当人に直接言ってしまう。この事はラーマにとって悔やんでも悔やみきれない事柄であり、マイルームにおいて「堕落は厭うべきもの。しかし、何より忌み嫌うのは、かつて愛する妻の不貞を疑ってしまった己自身だ。たまに、己を絞め殺したくなる……」と零している。
この後、シータは貞節への疑念を晴らすために、罪を試す炎の中に自ら入り、現れた火神アグニからも純潔を保障される。
炎の中からアグニの手で運び出されたシータは再びラーマと暮らすことになる。
ラーヴァナ退治のその後を描く第七巻において、シータは双子の息子(ラヴァとクシャ)をもうける。が、彼女の妊娠の兆候を知ったあとラーマは都の民の間でシータに貞節を疑う風潮が広がっている事を知る。
かつてシータを受け入れたが、世間では「ラーヴァナに連れ去られ監禁されたこと」自体を不貞のしるしとし、「罰しない事」自体が不貞の容認と認識されていた。
国民からの非難を恐れたラーマはシータをガンジス川のほとりの聖仙ヴァールミーキの隠棲所に追放し、世間での疑いを晴らすために今度は自ら罪を試す儀礼を手はずを整える。
生まれた双子が自身の子であると確信し、ヴァールミーキから批難されながらもラーマは試罪の儀礼を決行。
自身の想いと行いが真実であるなら、その功徳によって大地への入り口を開いて下さいますように、と祈るシータに大地の女神は応えた。
地中から玉座が現れ、現れた女神の手で着座させられたシータは、そのまま地下世界へと去って行った。
そのまま姿を消したのである。儀礼のあと後悔に打ちのめされた彼は大地の女神に彼女を返すよう祈り、大地の入り口を自分にも開くよう懇願する。
そうしないと大地を滅茶苦茶にしてしまいますよと言い放つまでに取り乱すが、そこにブラフマー神が現れ、ラーマ自身の本源がヴィシュヌである事を思い起こすように言い、いずれシータと天国で再会できる、と語った。
その後、ラーマは他に妻をめとることなく生涯を終え、天界にてヴィシュヌそのものへと還った。
『ラーマーヤナ』に直接的には描写されないものの、ラーマと同様に神々の化身として生まれた猿族や熊族が元の神へと戻る記述から、シータもラクシュミーに戻り、ブラフマーの予言通りにラーマ(ヴィシュヌ)との再会を果たす事が暗示されている。
が、大元のラクシュミーやヴィシュヌと一体化していない、別人格のサーヴァントとして召喚されるシータとラーマにとっては関係の無い話である。
ラーマはヴァナラ(猿)族同士の争いに介入した際に、バーリ(ヴァーリン)を騙し討ちの形で射殺したのだが、Fate世界においてはこの際にバーリの妻(ターラー)から「貴方はたとえ后を取り戻すことができても、共に喜びを分かち合えることはない」という呪いをかけられており(この場面を描いたヴァールミーキ版『ラーマーヤナ』四巻には記述はなく、同書の七巻51章では化身前のヴィシュヌが敵のアスラ族を保護したブリグ仙の妻を殺害し、それによって怒ったブリグ仙から地上に生まれ変わった時に長い年月のあいだ妻との離別を強いられる、という呪詛を受ける)、それは英霊の座にも刻まれ、死後にサーヴァントとして召喚されても変わらないという制約となっている。
この呪詛は夫ラーマと「英霊の枠」を共有するという形で続いており、2人が同じ場で召喚されることはできない。現界できるのはシータかラーマかどちらか一方だけである。仮に2人が同じ場に居合わせた場合、ラーマの五感が遮断され愛する人を認識できない状態となる。
人物
一人称は普段は「わたくし」、素の状態では「私(わたし)」。
ラーマーヤナの伝承にある通り、非常に穏やかで貞淑な人物。非常に献身的な態度で接するが、完全なイエスマンという訳ではなく、嫌な事には嫌と言える人物である。
二人称は基本的に「様」であり、それは夫に対しても変わらないが、消滅する際のセリフから本来の口調は少女らしい砕けた口調のようだ。
その特性からラーマとの再会は叶わないが、万が一イレギュラーで同時に召喚されるような事があれば、自分の身を犠牲にしてでも彼の役に立とうとするだろう。神話でも自分の貞操が潔白である事を証明する為に命を絶ったほどで、それほどまでに彼に対する愛は深いのである。
これほどの呪いに身を置かれながらも、再会を諦めていない辺り、芯の強さは他のインド英雄にも引けを取らない。
ラーマが一生涯愛すると誓い、ラーヴァナが彼女を攫おうとするのも納得である。
英霊となった現代でも夫とコンタクトを取る為の試行錯誤には余念がなく、文通、魔術による交信、果てにはオンラインミーティングまで色々な交流手段を身につけ、いつか絶対に連絡して見せると自信ありげ。
能力
ラーマと英霊の枠を共有するという特性上、ラーマの弓の技術力を受け継いでおり、後述の宝具たる弓を主武装にした遠距離攻撃を得意とする。
幸福の女神の化身なだけあり、幸運ランクはEXなのだが、愛する者と引き離され続ける彼女が果たして本当の意味で幸運なのかは解釈が分かれる所である。だが、それでも変わらずに自分を愛し続けてくれる夫がいる事が彼女の最大の幸運なのかもしれない。
ステータス
マスター | 筋力 | 耐久 | 敏捷 | 魔力 | 幸運 | 宝具 |
---|---|---|---|---|---|---|
藤丸立香 | D | C | A | A | EX | B |
保有スキル
対魔力(A) | アーチャーのクラススキル。魔術に対する抵抗力。Aランク以下の魔術を完全に無効化する。事実上、現代の魔術師では、魔術で傷をつける事は出来ない。 |
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単独行動(D) | アーチャーのクラススキル。マスターからの魔力供給を断ってもしばらくは自立できる能力。Dランクなら、マスターを失ったまま現界できるのは一日未満。 |
女神の神核(C) | 英雄を超える聖雄ラーマは、インドの三大神ヴィシュヌの化身の一つである。一節には、シータはヴィシュヌの妻ラクシュミーの化身とも言われている。 |
大地の宝石(A) | 父親であるジャナカ王が畑を耕した際、神に祈ると鋤の先からシータが現れ出でたという逸話から取得したスキル。彼女は大地に愛され、大地に守られる。 |
試焔の巡礼(B) | 捕虜として囚われていたシータが敵との交流がなかった事を証明するように迫られた際に、その身を炎に投じた逸話から。果たして彼女は、いかなる炎でも身を焼かれる事はなかった。効果は炎系の攻撃に対しての耐性であると思われる。 |
離別の呪い(EX) | 夫ラーマがバーリという名の猿を殺した事により、バーリの妻からかけられた呪い。これにより、彼女は夫であるラーマと永遠に巡り会う事はない。シータ自身が呪われている訳ではないが、呪いの内容故、必然的に影響が及んでいる。 |
宝具
追想せし無双弓(ハラダヌ・ジャナカ)
- ランク:B
- 種別:対人宝具
- レンジ:5~50
- 最大捕捉:1人
「これが、わたくしにとっての幸せな記憶。ラーマ様の勇姿は、今もなお我が胸に……行って!『追想せし無双弓(ハラダヌ・ジャナカ)』!!」
『FGO Material Ⅲ』にて判明。
インドの神話伝承、叙事詩ラーマーヤナに登場する神弓「ハラダヌの弓」。8台の荷車に載せて運ぶほど重いという。
シヴァ神が力と勇気を試すためにジャナカ王の祖先に授けたという弓。ジャナカ王の一族にはハラダヌの弓を曲げて弦を張る無双の力を持つ血統、血が流れているという。
この弓に弦を張ることが出来た者がシータ姫の花婿に相応しい、と挑戦者を募ったが、ある王子は重さに潰されそうになり、 また、他の王子達も持つことは出来たものの曲げることは出来なかった。
ラーマはゆっくりと弓を持つと弓を曲げ弦を張った。弦を引くと雷のような大きな音がうなった。更に弓の両端を握って曲げ、両端をくっつけてしまった。すると大地が裂けるような音がして弓が折れてしまった。
これでラーマにはジャナカ王の血族と並ぶような無双の力があることが分かり、シータの花婿に決まったのである。
このように本来はラーマが扱ったという逸話に由来する宝具なのだが、夫の別側面の力を与えられた英霊となったシータは、ジャナカ王との血縁に関係なくこの弓を引けるようになっている。
発動時は普段の武器の弓が光に分解された後に空中に巨大化した形で再構築され、シータが両手で力いっぱい弦を引っ張り離すことで光の矢が放たれ敵を射抜く。
『FGO AC』におけるカード種別はArts。効果は「自身の弱体状態を解除+敵単体に強力な攻撃+自身のHP回復量をアップ(30秒)」。
関連人物
生前
最愛の夫。自分が誘拐された後、新しい妻を娶る事無く、たった1年程しか共に居なかった自分を救う為に戦い続けた彼を心から愛している。
また、生前に民衆が彼女を訝しがって彼に彼女の追放を強いた事については「そうするしかなかった」と納得している。
自分を誘拐した魔王。
自分とラーマを巡る諸々の因縁の始まり。
シータの本体とされる女神で、ヴィシュヌ神の妻。
シータは彼女を様付けで呼んでいることから、ヴィシュヌ神の化身である夫同様に、完全な同一人物でない、いわゆるアルターエゴのようなものだと考えられる。
Fate/Grand Order
シータの真の姿とされるラクシュミー神が名の由来になっている。また『Fate』シリーズの彼女にはラクシュミーの姉・アラクシュミーが宿っており、第2部4章ではラーマに「義姉上」と呼ばれる場面もあった。シータとラクシュミーの共演は未だないが、姉妹ともいえる2人の関係に興味を抱き、見てみたいと思うマスターも多い。
同じく、夫への愛を象徴とした宝具の持ち主。
本家『FGO』に登場する、中の人が同じ☆4のアーチャー。
因みに第1部5章では、沢城みゆきが沢城みゆきに命を救われ、共に沢城みゆきを救いに行くというとんでもない構図が出来上がることとなった。
余談
彼女がアーチャーとして召喚される(可能性が高い)のは、本来"英雄ラーマ"にアーチャークラスの適性がある為だと思われる(原典でもラーマは弓の名手とされている)。
なお、ラーマ本人は現界するにあたって己の我儘から無理矢理セイバーとして現界している。
理由は明言されていないが、アーチャーとして召喚される彼女との再会に望みをかけての判断だろう。
バーリの妻が夫を騙し討ちしたラーマに別離の呪いをかけるシーンはレグルス文庫版『ラーマーヤナ』(河田清史著)にみられる。
pixivでは離別の呪いが妙な形で発現し、シータの男体化によりラーマの伴侶になれないというトンチキな解釈の作品も投稿されている。
関連動画
関連タグ
ラマシタ:ラーマとのカップリングタグ。
ラーマーヤナ:彼女が登場する古代インドの民族叙事詩。