概要
初登場は1980年の『The X-Men #129』。
見た目は地味だが、X-MENを何度も脅かしてきた強敵のミュータント。
目的は、ヘルファイヤークラブの全権を掌握し、世界各国の政治・経済をも支配下に置くという、言わば「合法的な世界征服」。
作中ではすでに産業界や政府高官との間に強固な繋がりを確保、暗殺や誘拐・破壊工作といった汚れ仕事は傘下の別組織(要は下請け)に行わせている。
能力
自身に向けられた「あらゆる」エネルギーを吸収、それにより身体能力を増強し、また体内に蓄えたエネルギーを任意の形で放出することができる(作中ではパンチ攻撃を多用)。
吸収できるエネルギーは物理的な衝撃・打撃、また斬撃や銃撃、サイクロップスのオプティックブラストやガンビットのキネティック・エナジー、更には魔界の住民や神々が操る魔法の力をも吸収できる。
一方でテレパス能力者が操る精神攻撃が弱点となっている。
また体内に永続的に保蔵はできないため、有事に備えて、普段から部下に自身を攻撃させてエネルギーを蓄えている。
来歴
ペンシルベニア州出身。生家は裕福ではなかったが、工学の分野で才覚を発揮、弱冠20歳にして起業し、軍需産業で巨額の資産を形成。
ヘルファイヤークラブのホワイト・キングことネッド・バックマンに見いだされ、ルルド・シャンテルとの婚約によりクラブに入会。
クラブ内の秘密会合「選ばれし者の評議会」にブラック・ビショップの肩書で参加、その実権を掌握し、自らに従う超人たちを幹部に据えた「インナーサークル」として再編、自らをその主催者たるブラック・キングと称した。
2000年刊行のミニシリーズ『X-Men: The Hellfire Club』によると、自身が産まれる前に父親のジェイコブがナサニエル・エセックスことミスター・シニスターと接触しており、ミュータントとして生を受けた遠因、そしてヘルファイヤークラブおよびドナルド・ピアースの一族との因縁が明らかになった。
ヘルファイヤークラブ(Hellfire Club)
狭義では彼が率いるヴィラン集団を指す場合が多いが、彼の実権はあくまで「インナーサークル」限定。
クラブ自体は上流階級の紳士淑女が集う伝統的かつ国際的な社交クラブで、アイアンマンことトニー・スタークの父ハワード・スタークなど、MARVEL各作品の重要人物やその身内が(過去含めて)多数在籍している。
- ジェイソン・ウィンガード(Jason Wyngarde)
サークルの幹部候補として登場した伊達男。
その正体は、かつてマグニートーが率いた「ブラザーフッド・オブ・イビルミュータンツ」の創設メンバーとしてX-MENと度々戦ってきた幻術使いのミュータント・マスターマインドその人であった。
彼はジーン・グレイを洗脳・支配するべく長期に亘って白昼夢を見せ続け、一旦はこれに成功し、ブラック・クイーンとしてサークルに加入させる。
が、洗脳を完成させるためにスコット・サマーズ / サイクロップスを殺害させようとしたことが逆に彼女を正気に戻し、怒れるフェニックスによって精神が虚空に飛ばされ、廃人と化してしまった(後に復活)。
このどさくさに紛れてサークルの面々は撤退するが、物語はこの後フェニックスの暴走、ジーンの死へと繋がっていき、X-MENとの長きに亘る因縁の幕開けとなる。
- ハリー・リーランド(Harry Leland)
サークルの「ブラック・ビショップ」。
貴族らしいおっとりとした態度が印象的なお髭のぽちゃおじで、能力は「手の届く範囲にある物体の質量を増加させる」。
1986年のストーリーにて、未来からやってきたセンチネルシリーズの派生機・ニムロッドとの戦いで死亡。
その後ブラック・タロンによってゾンビとして操られたり、2009年の「ネクロシャ事件」で一時的に蘇生したりしている。
- ドナルド・ピアース(Donald Pierce)
サークルの「ホワイト・ビショップ」として登場。
離脱後に組織した「リーバース」は傭兵軍団の多くを横取りしたもの。
- テッサ(Lady Tessa)
自身の私的な秘書としてサークルに出入りしていた女性。
ピアースは彼女を人質にとることで優位に立とうとしたが、実は彼女は強力なテレパス能力と電子頭脳のような特殊な思考能力を持つミュータントであり、プロフェッサーXがインナーサークルに潜入させた密偵であった。
正体を明かした後はセージ(Sage)と名乗ってX-MENに参加。
- セレーネ・ガリオ(Selene Gallio)
初登場は1983年の『The New Mutants #9』。
ジーンに代わる新たな「ブラック・クイーン」として招請されたが、その正体は1万7千年も前から生きている世界最古のミュータント。
その実力は高く、サークルの支配権も一旦は奪われてしまった。
※有名なアポカリプスは約5000年前。
- エマ・フロスト(Emma Frost)
サークルの「ホワイト・クイーン」として登場。
後に、在籍中に育成した「ヘリオンズ(Hellions)」の一部とともにX-MENに寝返った。
その他関係者
- シノビ・ショウ(Shinobi Shaw)
日本人女性との間に産まれた息子(非嫡出子)で、能力は「分子密度の操作」。
父に徹底して冷遇されたため深い恨みを持ち、セレーネが設立した「アップスターズ(Upstarts)」に参加、父の抹殺を目論む。
- トレヴァー・フィッツロイ / クロノマンサー(Trevor Fitzroy / Chronomancer)
シノビの子孫にあたる未来人。
彼やビショップの時代では殆どのミュータントがセンチネルによって滅ぼされており、2人は結成された「X.S.E(Xavier Security Enforcers)」にともに加入したが、ビショップの姉を含めた仲間を殺し、能力で現代に逃げてきた。
実写版
2011年公開の「X−MENユニバース」第5作『ファースト・ジェネレーション』にメインヴィランとして登場。
「ヘルファイア・クラブ」のリーダーで、部下にアザゼル、エマ・フロスト、手から竜巻を引き起こすリップタイドがいる。
元は「クラウス・シュミット」という名のナチス将校で、幼き日のエリック・レーンシャーを見出し、彼の目の前で母親を殺害した張本人。
戦後に改名し、ミュータントのための世界を作ろうと画策。冷戦真っ只中の1962年にアメリカ・ソ連の背後で暗躍し、キューバ危機を引き起こそうと目論む。
能力は爆発・核エネルギーを吸収できるまで強化されているが、弱点は変わらずチャールズ・エグゼビア / プロフェッサーXやエマ・フロストが持つテレパス能力で、それを防ぐために戦闘時は鉛製のヘルメットを被る。