概要
『ポケットモンスター』シリーズのひとつ『DP(DS・2006年)』のリメイク作品として発表された『BDSP(Switch・2021年)』が、その内容を忠実に再現しすぎていた事に由来している。
かつて(『BW2(DS・2012年)』以前)ポケモンシリーズは当時の技術的制約もあって、「フィールド上ではキャラクターをSD体型で表示する」という表現技法を基本としていた。
これが『XY(3DS・2013年)』以降は次第に頭身を上げるようになり、『XY』と同世代のリメイク作品である『ORAS(3DS・2014年)』もそれに準じた形式で作られた。
ところが『BDSP』の初報として流されたPVには、グラフィックこそ一新されているもののDS時代と変わらないSD体型のヒカリが映っていたのである。
これは従来のリメイクとは大きく異なり、忠実に原作再現する方針とされたためで、それによってリメイク恒例であった服装等のリデザインも見送られていた(後に原作には無かった着せ替え要素が追加されていると判明)。
スピンオフながら正当進化形らしい表現を採用した『LEGENDSアルセウス』のPVが同時公開された事も、『BDSP』の特殊性をより際立たせた。
また、この時の報道では同じく初の取り組みとして制作元が変わる事が発表された一方、前作『剣盾』との互換性や「ダブルスロット」などDS特有の構造を利用していた要素の扱いについては詳細が明かされず、ソフトそのものが浮いた存在になってしまうのではという疑念も一部で生じた。
「リメイクにあえて最新の技術を使用せず、レトロ感を残す」という技法自体はままあるもので、特にSwitchでは『ゼルダの伝説 夢をみる島』が同じSD体型でのリメイクで好評を博したばかりであった。
しかし、あちらが専用のCGが起こされているなどそれなりの手間と工夫が注がれている事が素人目にも明らかであったのに対し、『BDSP』のPVはそのような造りでもなかった。
こうした背景から、ヒカリに対して「一人だけ2006年からそのままやってきたよう」という形容がなされるようになり、さらに一部でそれを直喩的にイラストで表現するという遊びが発生。
次第に常時二頭身の謎の生命体と言わんばかりの作品も増加してゆき、2006年当時のヒカリ観からも外れたミームとして独り歩きを始めたのである。
なお、このミームはお膝元の日本よりも、海外でより盛り上がる傾向が見られる。
これは海外ではグラフィックを重視するプレイヤーが多い事や、ソフトの全世界同時発売が始まったのが『XY』からであり、そもそも海外においてはSD表現そのものに馴染みが無い地域も多い事が一因ではないかと考えられている。
ミームとは無関係に「Chibi」という単語がスラング的に広まっており「Chibi Hikari」で世界的に通じる他、英語圏では「Small down(小さくする)」と「Dawn(ヒカリの英語版の名称)」を掛け合わせた「Small dawn」とも呼ばれている模様。
逆に日本人、特に古参のファンからは「見慣れたかつての表現に立ち返った」という意見も多く挙がっており(『赤緑(GB・1996年)』~『XY』が約17年、『XY』~『BDSP』のPVまでが約8年で、未だSD体型だった時間の方が圧倒的に長い)、マスコット感覚でファンアートを寄せる人も見られる。
時折このネタを「グラフィックの質」に対する批判として用いる様子が見受けられるが、あくまで「グラフィックのデザイン」に対してのみ用いられるべきである。
『BDSP』の絵面は確かに独特ではあるものの、構成自体は既存のポケモン素材に汎用の背景素材などを組み合わせたものを基本としており、ヒカリらが等身大で映るバトルシーンなどを見れば『剣盾』と同等の水準が確保されている事は分かるだろう。
その良し悪しを巡る議論はあるにせよ、これを代表例として持ち出す事は全く不適当と言える。
関連イラスト
以上より、ただSDで描かれただけのヒカリを「チビヒカリ」と呼ぶ事は誤りである。
特に、PVの公開日である2021年2月27日以前の投稿作品は「預言者」ネタでもない限り存在しないはずである。
逆にコウキなど他のキャラクターであっても、「一人だけ不自然に」SDであれば「チビヒカリ」の一種に含まれると言える。
関連タグ
meme ヒカリ(トレーナー) BDSP ポケモン女主人公 SD ちびキャラ
リンク(ゼルダの伝説):一応『夢をみる島』のリメイク時に海外で「Chibi Link」の俗称が広まってはいた。ただし先述の作風や、他の作品でも「トゥーンリンク」などとして描かれた経験を持つためか、ミームとなるまでには至らなかった。
ヒカリ(ゼノブレイド2):同じ任天堂の名前繋がり。『BDSP』の発表と同時期に、SPECIALな衣装でSPECIALな大乱闘に参戦する事が発表され、一部でクロスオーバーネタが作られた。