【注意】
本記事の途中に掲載されている内容には、個人差はありますが不快に感じられるであろう部分が多くあります。大丈夫だと思う方は自己責任で覚悟してご閲覧ください。
しかし、それでも無理な方は「公式側の対応」の項までの閲覧を強く推奨いたします。
※メイン画像はメニューバグ発生時のイメージです。
概要
事の発端は、『ポケットモンスター ブリリアントダイヤモンド・シャイニングパール』(通称:BDSP)に多くのバグが存在し、また、それを巡る騒動が起こったことによる。
「なぞのばしょ」騒動から十数年後……めでたく発売された本作だが、発売早々様々なバグが多くのトレーナー(プレイヤー)達から報告された。
なんと、発売からの約10日間はほぼ毎日のようにプレイヤーによって新たなバグが発見されるという事態になってしまい、遂には「BDSPの頭文字はバグだらけスペシャル(BugDarakeSPecial)の略」とか、「ゲームの内容そのものよりも、どのようなバグを見つけ出すかでプレイヤーが盛り上がっている」などという、皮肉めいたジョークまで生まれる有様であった。
元祖バグだらけスペシャルとも言えるシリーズ初代作品、『赤・緑・青・ピカチュウ』を彷彿とさせる仕上がりだったと言えるだろう。
このようなことが起きた主な原因として、他のシリーズ作品と比べて開発期間が極端に短かったために十分なデバッグが行えなかったこと、開発を担当した株式会社ILCAはグラフィック制作には長けていたが経験不足でゲーム製作のノウハウが足りなかったからではないか、などと言われている。しかも、任天堂のデバッグチームであるスーパーマリオクラブのスタッフはデバッグには関わっていない模様。デバッグチームはILCAのスタッフのみらしい。
主なバグの種類
以下の通り、リメイク元である『ダイヤモンド・パール』(通称:DPt)と比較して多数の新規バグが解明されている。
- メニューバグ
ボタンの同時押しでメニューを多重に開けてしまうバグ。
これはday1パッチであるVer1.1で起こり、パッケージ版でパッチ未適用の場合(Ver1.0)では起こらないという。まさかのエンバグである。
更に、下記のバグの多くがこのメニューバグをトリガーにしている。
- 増殖バグ
発売から程なくして、ゲームバランスが崩壊しかねない増殖バグが発見されてしまった。
これにより、伝説ポケモンや色違い等のレアポケモン、ガンテツボール(本作ではオムニ7のショップ限定特典)・マスターボール・とくせいパッチ・ふしぎなアメなど一部のレアアイテムの価値が崩壊してしまう事態になった。
- 融合バグ
増殖バグの亜種として、色違いポケモンと通常色のポケモンを“融合”させて通常色のポケモンの進化形を色違い個体に変えてしまうバグも発見されている。
- 壁抜けバグ
本来なら壁にあたる部分をすり抜け、現時点では解禁されていないシェイミが居る場所に行けてしまう手法が発見されてしまっており、一部プレイヤーから「なぞのばしょの再現」などと皮肉られてしまっている。
他にも、ノモセジムで水に沈んでしまったり、抜け出せなくなるハマりポイントなどがある。(DPtでは存在しないバグで、リメイク版のBDSPが初出)
このバグを用いて、キッサキジムの雪玉破壊を無視して一気にジムリーダー・スズナのいる場所まで辿り着くということもできた。
ちなみに、DPtの「なぞのばしょ」関連と他のシリーズでも条件や状況により稀に発生することもある。
- バトル回避バグ
ピッピにんぎょうを使うとトレーナーとすらバトル回避できてしまうバグが発見され、ジムリーダーや四天王・チャンピオン戦をスキップした結果シナリオが崩壊してしまう事態が発生(シロナに関しては、特定のタイミングでむしよけスプレーを使うことでも突破できてしまうことが確認されている)。
これもBDSPのみのバグ。
- 技関連のバグ
技の思い出しにもバグが確認されている。
手持ちに2体以上ポケモンがいる際に特定の動作をすると、(ドーブルや、わざマシンかタマゴでしか覚えられない技はともかく)本来であればそのポケモンが覚えられない筈の技を覚えさせられてしまうバグが発生する。これにより、りゅうのまいガブリアスや、ノーガードぜったいれいどカイリキー、スキルスワップケッキング&レジギガス、擬似的なそらをとぶピカチュウといった、環境破壊間違いなしの化け物が次々と生み出される大惨事となった。
当然というべきか、これを利用すれば「バトルタワー」の難易度も大幅にダウンすることになり、そうなればBPと交換できるアイテムの値打ちが大きく崩壊することになるため、やはりゲームバランスを考える上であまりにも問題のあるバグであることは間違いないだろう。
- その他
致命的ではないものの、テキストバグ、名前バグ、主人公のグラフィック増殖バグなども確認されている。
例えばテキストバグでは、バトル時における特性かたやぶりのテキストが「かたやぶりだ!トバリシティへ行こう!」など別のテキストが追加されてしまったり、バトル時の技名に別の文字が加わって「たいあたりおめでとう!」「あまごい勝負をしかけてきた!」などといった文章になってしまう。また、オートセーブ時のテキストにも別の文字が加わってしまい「レポート中…うわー!」などの文章に、バッグの道具名が「レジアイスげんきのかけら」、個数が「のろい」などになってしまったりする。
……と、このように、本作はここ最近のシリーズ作品と比較してもバグが極めて多い。
公式側の対応
発売から13日後のアップデートでようやく修正パッチが配信され、メニューバグを起点としたこれらの裏技の類は完全に実行不可能になり、増殖・融合・技のバグは排除された。(余談だが、上記のアップデートから12日後にVer1.1.2で別の方法によるメニューバグと増殖バグが発見されたが、こちらは間を置かずにすぐに修正されている)
その後も数回に分けて修正パッチが配信され、2021年12月22日に行われた4回目のアップデート(Ver. 1.1.3)により、上記で述べたバグや不具合は概ね修正されている。
更に、2022年に入ってようやく脆弱性を補うための更新が行われ、2月22日に配信されたVer. 1.2.0(5回目のアップデート)から本格的にポケモン交換や対戦への不正行為への対応(対策)を施された。
具体的な修正内容と更新Ver.
こちらでは、バグや不具合修正、未実装機能の追加関連のアップデートについて具体的に紹介している。
現在、最終更新Ver.が配信されている。
各Verの内容は以下の通りである。
Ver. 1.1.0(2021年11月11日)
- 「地下大洞窟」、「スーパーコンテストショー!」、「ユニオンルーム」など、ローカル通信・インターネット通信を使った機能の実装。テレビコトブキのプロデューサーへ特定の合言葉を言う(選択する)と「ふしぎなおくりもの」を受け取れるようになった。
- 「ハマナスパーク」などの殿堂入り後の要素を追加。
- すでに殿堂入りしているセーブデータから始めた場合でも、アップデート後にソフトを再起動すればそれらが実装された状態になる。
- ソフト起動時のタイトルデモやエンディングを含む、一部のゲーム内ムービーと演出を追加。セーブデータがある状態でゲームを再起動すると視聴できる。そのほか、ゲームを快適に遊べるように、いくつかの問題を修正。
- エンディングムービーは演出が新たに追加され、すでに殿堂入りしているセーブデータでも、再度殿堂入りをすることで視聴できる。
Ver. 1.1.1(2021年11月18日)
- Ver. 1.1.0の最適化。
Ver. 1.1.2(2021年12月2日)
- 特定の条件下でゲームが進行できなくなる不具合をいくつか修正。そのほか、ゲームの快適性改善のためにいくつかの問題を修正。
- 当時有名なものとして、シェイミがいる「花の楽園」へ行けるというバグがあったが、まずこのアップデートでシェイミが「花の楽園」から排除された。
Ver. 1.1.3(2021年12月22日配信)
- ゲームの快適性改善のためにいくつかの問題を修正。(詳細不明)
- 前のVer.から続く形で、バグを使って「花の楽園」へ行くことができなくなった。後にアイテム『オーキドのてがみ』が期間限定で配信され、それを使うことで「花の楽園」へ行けるようになった。
Ver. 1.2.0(2022年2月22日)
- 「ユニオンルーム」の機能が拡張され、交流できる最大人数をローカル通信時は8人に、インターネット通信時は16人になった。交流時に「あいさつ」や「ボールデコ」のやり取りができる様になった。お互いのトレーナーカードやボールデコを見せ合えるようになった。
- ポケモンセンターの2階に対戦部屋「コロシアム」の追加。
- ポケモン交換や対戦での不正への対応。
- 不正規な方法や不正な改造(ツール)などで入手した一部のポケモンが、通信交換や通信対戦で使用できなくなる。
- インターネットを用いた「ユニオンルーム」や「コロシアム」には、Nintendo Switch Online(有料)への加入が必要。
- そのほか、ゲームの快適性改善のためにいくつかの問題を修正。(詳細は不明だが、不正ポケモンへの対策関係と思われる)
Ver. 1.3.0(2022年3月16日)※最終Ver.
- 『Pokémon LEGENDS アルセウス』連動イベントの追加。『LEGENDS アルセウス』のメイン任務のクリアデータを記録したセーブデータがあるSwitch本体のユーザーで『BDSP』を起動すると、幻のポケモン・アルセウスと出会える特別なイベントが発生する。
- インターネットを使ったポケモンの通信交換ができる施設、「グローバルミラクルステーション」をコトブキシティに追加。(インターネット交換にはNintendo Switch Online(有料)への加入が必要)
- そのほか、ゲームの快適性改善のためにいくつかの問題を修正。(詳細は不明だが、前Ver.では対処しきれかった不正ポケモンへの対策関係と思われる)
騒動の爪痕
※ここから先は、特に閲覧注意です。※
上記のアップデートによって、致命的なバグの数々は無事修正された。
しかし、これらのバグが残した爪痕はあまりにも大きすぎるものだった。
そもそも、これらのバグ修正はユーザー側による任意のアップデートによって行われるため、アップデートを行わなければ依然としてバグを利用できるという問題がある。
そのため、修正パッチが発表された後もあえてアップデートを拒絶することでこのバグを利用し続けたプレイヤーは世界中で相当数いたものと推測されている(現在は対策が進んだことや一通りバグが利用しつくされたため、そこまでではないと言われているが)。
また、バグにより増殖させたポケモンやアイテム、本来覚えない技を覚えたポケモンはそのまま残すことができるため、完全にバグを利用するだけ利用した者が得をする状況になってしまっていた。
現在は、こうした不正な手段で何かしら手を加えられたポケモンに関しては、交換およびポケモンHOMEへの送信ができないというペナルティを科すことで一応の決着がついているが、増殖させたアイテムに関してはこれといった対策もできないまま放置されているのが現状である(ポケモンとは異なり、検知が極めて困難で、事実上対策できないというべきか)。
このように、一連のバグ騒動は一応の終結を見たものの、円満解決とは程遠い終わり方だったと言えるだろう。
その後のユーザーからの反応
修正パッチを配信するまで公式がバグに対する声明を一切出さなかったことを「説明責任の放棄」として問題視する意見もある。もちろん、バグのないゲームを作るのが一番であるが、それが無理だった以上せめてバグの存在を早期に認め、バグを用いた不適切なプレイングが横行していることを警告したり、それを防止するために近日中に何かしらの対応を取ることをプレイヤーに対して告知するなどしていれば、まだプレイヤーからの心象は違ったものになっていたかもしれない。
結局、対応が後手後手に回ってしまったことで、開発側はプレイヤーから強い不信感を抱かれることになってしまったのである。
また、結局のところバグを利用するだけ利用した者が得をするという状況を完全に是正できなかったということもあり、プレイヤーからの批判は大きい。
そのため、上記の修正パッチ配信後も、プレイヤーの間では「どうせ修正してもすぐに別のバグが見つかるのだろう」という冷めた見方が広がり、実際にこれ以降もしばらくは(ここまで深刻なものはなかったが)散発的にバグの発見報告が行われ続けていた。
ユーザー側が出来る対策
最近のどのゲームにも言えることだが、まずはともかく最新のアップデートを適用すること。
また、報告されているバグは基本的に故意的に起こさなければ発生しないものが大半のため、通常のプレイでは(偶然踏むことはあるかもしれないが)特に気にせずプレイすることを推奨する。
それでも致命的なバグを踏むのではないかと不安な方は、念のためにオートセーブ機能をオフに変更してプレイし、バグを踏んでしまったら前にセーブした場所からやり直すという手段を使うといい。
また、本作では詰み防止のために隠しコマンド(タイトル画面で↑、X、Bボタン同時押し)が用意されており、このコマンドを入力することで少し前のセーブデータ(バックアップ)を引き出せるようになっているので、オートセーブでプレイしている人でもやり直すことが可能。
そして、歴史は繰り返す……
元々『ポケットモンスター』シリーズは(近年でこそインターネットで後から修正できるものの)初代から致命的なバグ達が散見されるシリーズとして有名であり、やはりというか次回作以降もユーザーを騒がすバグやデータ問題が散在している。
次回作以降での類似現象
本作の次々作となる『ポケットモンスター スカーレット・バイオレット』においても、プレイヤーが再びバグ問題に悩まされることとなった。
・プレイヤーがワープする
・プレイヤーの表情が変わらなくなる
・NPCに話しかけるとフリーズする
・ポケモンなどの3Dモデルが埋まる
・ポケモンなどの3Dモデルの色が変わる(主にコライドン、ミライドン)
・3Dモデルのサイズや動作がおかしくなる
・3Dモデルの処理が正常に処理されない
・空を超高速で移動できてしまう
・技「すてゼリフ」を特定条件で使用するとセーブデータが破損する
これらに加え、BDSPでも話題になったアイテムやポケモンを増やす「増殖バグ」なども存在していた。
加えて、通信関連でも様々なバグが発生しており、
・ランクマッチで切断となると無効試合もしくは切断された側が負けになる場合がある
・ランクマッチで特定の技が必中か必ず外れる、あるいはパターンが固定されるなどの乱数調整ができる
などのバグで話題沸騰となった。
ただ、バグが幾らか修正された後でも、テラレイドバトルなどの通信面やPOKEMON HOMEとの連動でも新たにバグが出てくる状態となっている。
・アップデートパッチ(Ver. 1.2.0)を適用すると、セーブデータが破損する場合がある
・テラレイドバトルで何故かタマゴが相手になる
・テラレイドバトルの報酬で名称「なし」の道具が入手でき、これを手に入れるとエラー落ちとなりバトルが無効となる
・POKEMON HOMEで過去作から持ってきたポケモンが、確定で「ちっちゃい証」が貰えるサイズ判定となる
さらには公式大会でも
ついには国内公式大会「PJCS2023」においてもバグが発生するという事態に。
・「続けて戦う」メッセージが表示されず、対戦中断ができない
・上記状態により、自分が対戦した回数やレートの確認ができない
・一度対戦した相手とレートが近しい場合、再度マッチングしてしまう
・通常の大会とは異なる画面の遷移などでユーザー側が困惑
などのバグが立て続けに発生し、本戦がまともに機能しておらず参加者から批判が殺到。公式側はアップデートパッチで修正を図るが、そこで問題になってくるのは、この大会での世界大会への出場権。
本来は本大会で上位64位以内に入賞していればそれだけで世界大会への出場権が得られていたのだが、今回の大会でのバグの修正とその後の対応として、公式側は新たに別枠で64人の入賞者を設け、バグ発生中の大会で入賞した64人と、バグ修正後の別枠で入賞した64人の、計128人からさらに世界大会への出場権を得られる64人に絞り込むという措置をとった。
当然ながら、何の落ち度もなくバグの中で真面目に上位に食い込み世界大会への出場権を得たと思っていたプレイヤーにとって不満は大きいものであり、再び大きな炎上を招く形となった。
なお、このバグは韓国でも同様に発生していた。
世界大会予選である韓国大会PTC2023のファイナルラウンドでは、このまさかのバグ発生という事態に対し、出場者の4人が、改造(チート)を使ってパーティのポケモン全てに「ゆびをふる」だけを覚えさせた状態でエントリーし、ファイナルラウンドをボイコットするという抗議を行った。
余談だが、抗議自体はともかくとして、「改造」及び「談合による示し合わせ」という手段を取ったことに関しては、大会運営上でも不当な行為だったためか出場者4人全員が大会出場権の剥奪(失格)という処分を受けている。
これらの問題はインターネットで様々なメディアが記事にしている。
関連動画
YouTube上には、現在でも未知なるバグを探し求めているユーザーが相変わらず存在するのを確認できる。
関連イラスト
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ポケモンシリーズで過去にあった有名なバグ
バグポケモン……初代にあった「元祖バグだらけスペシャル」。