概要
ディヴィアンツはアメリカのコミック出版社MARVELの作品に登場するヒーローチーム兼超人種族エターナルズと敵対している種族。
エターナルズと同様、100万年前に地球にやってきたセレスティアルズの実験によって現生人類(の先祖)と共に生み出された。
美しい外見と超常的な能力を持つことから人間に『神』だと思われていたエターナルズに対し、ディヴィアンツは大半が醜く恐ろしい怪物のような外見をしていた為、人間からは『悪魔』だと思われていた。
その一方、人間がまだ原始人だった頃にすでに高度な遺伝子工学技術を発達させていたり、古代レムリア大陸を支配していたりと、知性や技術レベルは人間を遥かに超えている。
また、MARVEL 世界の地球には数多の竜やドラゴン、ゴジラやフィン・ファン・フームなどの巨大怪獣が多数存在しているのだが、その巨大怪獣の一部(または大半)は、『ディヴィアンツが遺伝子操作で生み出した実験体』もしくは『突然変異を起こしたディヴィアンツそのもの』だとされている。
ちなみに、MCUでもお馴染みの大物ヴィランサノスがエターナルズの一員でありながら醜い外見をしているのも、『潜在的にディヴィアンツの遺伝子が混ざっている影響』らしい。
また、セレスティアルズは、エターナルズやディヴィアンツを生み出した実験と似た事を地球人以外にも行なっており、コミック版でのスクラル人は、いわば「スクラル人版のディヴィアンツ」であると云う設定が有る。(なお、エターナルズや通常の人間に相当するスクラル人は既に絶滅しているか「事実上絶滅」と言ってよいほどの少数の生き残りしか居ない)
よって、コミック版でのスクラル人の変身能力は「スクラル人の原種が持っていた能力」ではなく、「ディヴィアンツとしての能力」の可能性が有る。
また、コミック版のスクラル(スクラル・ディヴィアント)には地球のディビアンツにおける「怪獣化したディビアンツ」「ディビアンツが生み出した怪獣」に相当する「ダイアー・レイス」という亜種(黒魔術を使用する)が存在している。
メンバー
MCUにおいて
マーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)では、フェーズ4映画第3作『エターナルズ』にて初登場。
原作コミックスにおいてはあくまでも『怪物的外見をした人間の亜種』という扱いだったが、MCUにおいては『深宇宙からやってきた知的生命体の天敵』という正真正銘の人外の怪物へと設定変更。
多くの星々に襲来し、知的生命体を捕食している存在で、『地球の知的生命体=人間をディヴィアンツから守り、ディヴィアンツを地球上から殲滅する』のが地球におけるエターナルズの使命の一つ。
外見はRPG等に登場するモンスターか、特撮の怪獣そのものであり、知性等も肉食獣レベルだが、その戦闘能力は(石器や青銅器を使っていた時代とはいえ)人間を簡単に瞬殺できるレベルで、超人種族であるエターナルズであっても隙を見せれば傷を負うし、最悪殺されかねない。
地球上のディヴィアンツは西暦1500年代(中南米がヨーロッパからの侵略を受けていた頃)に絶滅したはずなのだが………突如として現代(『アベンジャーズ/エンド・ゲーム』終了後)の地球に出現。
しかもその内の一体はエターナルズのリーダー・エイジャックを殺害してそのパワーを奪い取り、治癒能力と知性を獲得。
つまり、のっけから、
- 主人公サイドはヒーラー兼リーダーを失なう。
- 代りに敵役サイドのボス格がヒーラー能力を獲得。
- エイジャックが知っていた限りという条件は付くが、主人公サイドのメンバーの居場所がバレる。
- 更に敵役サイドのボス格が主人公サイドのリーダー格しか知らなかった重要情報を得てしまう。
という結構ヤバい状態になっていた訳である。
さらに中盤、その一体は同じくエターナルズの一員であるギルガメッシュのパワーまで奪った事で完全なヒト型へと進化し、言葉も喋れるようになった。
続いて、主人公サイドの「接近戦では最強クラス」の人物が殺されて、代りに敵役サイドのボス格の接近戦能力と知能が大幅UPという更にマズい状況になった訳である。
以下、エターナルズのネタバレあり
実はその正体は、エターナルズ以前にセレスティアルズが知的生命体を守るために生み出した存在で、いわば『エターナルズの兄弟』。
元来は知的生命体の天敵を捕食するようにプログラミングされていたのだが、自己進化を重ねていく内に知的生命体そのものを捕食するようになり、『知的生命体の守護者』から『天敵』へと変貌してしまう。
ディヴィアンツの失敗を踏まえ、凶暴化したディヴィアンツから宇宙の知的生命体を守る為に生み出されたのが『エターナルズ』達であり、いわばエターナルズは『生みの親の失敗の尻拭い』をさせられていた訳である。
そして、ディヴィアンツの「後継機」であると同時に、ディヴィアンツを駆逐する役目も持つエターナルズは、ディヴィアンツとは異なり「生命体に近い性質も持っているが厳密には生命体ではない『合成体』『人造生命体』」「1人1人が強力な力を持っているが、その能力は基本的に進化・成長する事はない」存在として生み出されている。
劇中でエイジャックとギルガメッシュのパワーを得て知性を得たディヴィアンツは「生き延びたかっただけ」「お前達(エターナルズ)は救世主ではない、殺戮者だ」と発言している。
なお、『エターナルズ』劇中本編に登場したディヴィアンツは、元々永久凍土内で冷凍されていた個体群が地球に眠っていたセレスティアルズ『ティアマット』の覚醒に伴う地震の影響で復活したもの。
エイジャックを殺害してパワーを奪ったのも、そもそもはティアマットの覚醒を防ごうとしたエイジャックを疎ましく思ったイカリスが、わざとエイジャックを復活したてのディヴィアンツに襲わせて謀殺したから。
余談
映画劇中、エターナルズの一員であり現役ボリウッドスターでもあるキンゴのマネージャーを務めるカルーンは、初めてディヴィアンツ(正確にはディヴィアンツの死骸)を目にした際、『意外と美しい』と評している。
一方、キンゴの方は『頭から食べられた事が無いから、そんな風に言えるんだ』と否定しているが。
また、エターナルズの名前の由来はeternal(永遠/不朽)、ディヴィアンツの名前の由来はdeviation(逸脱)であり、「極めて強力かつ不老不死だが基本的に成長・進化とは無縁」なエターナルズと「果てしない進化の果てに創造者の想定から逸脱した存在と化した」ディヴィアンツと云うMCUの設定は、ある意味で両種族の名前に忠実な設定変更とも言える。
ある意味で「ディヴィアンツ」という呼び名がMCUでの「最初はコミックのディヴィアンツとは名前だけ借りた別物と思わせておいて実は原作準拠だった」という展開の伏線として機能していた訳である。(「逸脱した者たち」を意味する名前で呼ばれているなら「最初の計画・想定」と「最初の計画・想定から逸脱した、と判断した何者か」が存在している≒自然発生したのではない何者かが作った生命体で、かつ、創造者からすると失敗作)
更にMCU版「エターナルズ」公開以降のコミック版では、一部の過激派のエターナルズ達がある種族を「セレスティアルズの計画・想定から逸脱(deviation)した存在=倒すべき『ディヴィアンツ』」と見做し始める、と云う展開も発生している。
『エターナルズ』の劇場パンフレットならびにウィキペディアの記事では、劇中に登場したエイジャックとギルガメッシュのパワーを奪って知性を獲得したディヴィアンツを、原作コミックにおけるディヴィアンツのリーダー各『クロ(Kro)』として紹介しているが、劇中本編でこの固体が『クロ』と呼称or自称するシーンは無かったりする。
関連イラスト
別名・表記ゆれ
関連タグ
イレギュラー:類義語として他作品で「逸脱した存在」として用いられる場合が多い。
デーモン族、アクマ族、柱の男、アシュ:他作品における悪魔伝説のモデルや正体とされる種族。
いずれも人間離れした外見や能力、科学技術力を有している。
火事場のクソ力 五大刻:どちらも「創造者達の想定から逸脱した存在」で危険視されている。