概要
MARVELコミックに登場する異星人。
種族・築いた星間国家どちらも指すが、前者としては「スクラル人」という日本語表記もある。
『宇宙忍者ゴームズ』の日本語吹き替え版では「デコボコ星人」となっている。
コミック初登場時のエピソードで「主人公達の策略に引っ掛り牛に変身してしまう」→「催眠術で自分達が本物の牛だと思い込まされる」→「食肉にされて人間に食われる」という無茶苦茶な目に遭った事でもつとに有名。
(本当にコミックス・コードが一番厳しかった頃に、こんな酷いエピソードをやったんです、念の為)
特徴
爬虫類から進化した卵生のヒューマノイド型宇宙人で、緑色の肌・尖った耳が特徴的。平均寿命は地球換算で210歳。
技術力も高く、また個体のほとんどが短期記憶も含めたDNAレベルの擬態(変身)能力を持っており、別名「シェイプシフター」。
ただしこの擬態は永続では無く、元となった人物から定期的にDNAを摂取しないと解除されてしまうため、生け捕りにしておかなくてはならない。
とても好戦的な種族であり、その擬態能力を駆使した隠密的な侵略行為を行なっている。
政治形態は帝政。宗教的な情熱が強く、"予言"によって行動することもある。
来歴
祖先である爬虫類の段階でセレスティアルズによって改造されており、それを受けてない原種は絶滅済み。
またその中でも3種類(+ディヴィアントの派生種族のダイアー・レイス)に分かれているが、作中に登場するのはおおむね「ディヴィアント」、つまり「地球におけるディヴィアンツに相当するスクラル人」であり、他の「スクラル・エターナルズ」と人間に相当する「プライム」も(事実上)絶滅している。
ただし、スクラル・エターナルズの一部は、MARVEL世界においては地球のギリシャ神話の神々がエターナルズの分派であるように、スクラルの神々となっている。
(元々はスクラル・エターナルズだったスクラルの神々の中でも、主神クラスになると地球の神々の中でも戦闘特化型の者達複数名を同時に相手にしても互角に戦えるほどの力を持っている)
かつてはクリー、シーアーと並ぶ巨大な銀河帝国を形成し、特にクリーとは100万年に及ぶ敵対関係にあった。
ストーリー中への初登場は1962年の『Fantastic Four #2』。※ただし名前だけで、かつ後付けにより前年の『Amazing Adult Fantasy #7』がデビューとされている。
ヒーロー活動を始めて間もないファンタスティック・フォーを脅威と考え、信用を落とすために偵察部隊4人がそれぞれ化けて破壊活動を行ったが、本物と交戦して敗北した。
その後、プロフェッサーXに化けてシーアーの乗っ取りを画策したが、これも失敗している。
だがある日、ギャラクタスの侵攻によって母星スクラロスが壊滅。
当時の皇帝を批判して流刑の身となった王女ヴェランケを旗印に、予言に従って、地球を新たな母星とするべく、スーパーヒーローやヴィランに擬態しての一大侵攻作戦『シークレット・インベージョン』を実行するが、失敗する。
これによりヴェランケたち有力な指導者を失った帝国は、6人の藩閥(ウォーロード)による分国状態に突入し、さらにビルダーズという敵の襲撃を受けたが、協力してこれを撃退。
ロードの1人であるクラートが新たな皇帝に即位、ターナックス星を本拠とし、現在は再び銀河列強の座に戻っている。
アルティメッツ版
【アース1610】では変身能力を持つ異星人として「チタウリ」という種族が登場。
オカルト系のUFO陰謀論が元ネタになっているらしく、スピリチュアル用語で地獄の意味に使われる「低層4次元」という単語を使ったり、本来の姿かは不明だが変身が解けかけた際にレプティリアンめいた姿になったり、種族の1人は自分たちの別名として「スクラル」と(現実世界での)UFO・オカルト系の陰謀論において人間に変身して地球に潜んでいるとされる爬虫類タイプの宇宙人の名をいくつか挙げている。
(そもそも「チタウリ」という名前が、元々はオカルト系のUFO陰謀論における「人間に変身して人間社会に紛れ込んでいる爬虫類型異星人」の呼び名の1つ)
なお第二次大戦時はナチスを、現代においてはS.H.I.E.L.D.を乗っ取り背後から操っており、このあたりが映画『キャプテン・アメリカ/ウィンター・ソルジャー』に流用されたとも考えられる。
しかし別のエピソードで、同じ【1610】に別個で正史世界【616】準拠のスクラルも存在している事が判明している。
さらに先行してMCUにチタウリが(単なる戦闘要員扱いではあるが)登場した結果、その逆輸入によって【616】にも変身能力が無いチタウリが存在したりと、ややこしいことになっている。
なお、チタウリは首領格がハルクに食われた。
MARVELコミック社には「変身能力・擬態能力持ちの宇宙人は必ず1度は地球人に食われなければならない」という内部規約でも有るのだろうか??
MCU版
チタウリが先行して登場。
変身能力はなくあくまで"サノスに仕える傭兵種族"的扱いで、映画『アベンジャーズ』ではロキに貸し出された雑兵として、『アベンジャーズ/エンドゲーム』でもサノス軍の一員としてヒーローたちと戦った。
スクラル自体は映画『キャプテン・マーベル』にて初登場。
クリーとの戦争をしている、擬態能力を持つ異星人という点はコミックと変わらないが、クリーに本星を破壊、虐殺された、いわゆる難民(流浪の民)であり、安住の地を求めて宇宙を彷徨っていた。
キャプテン・マーベル
穏健派のリーダー・タロスやその妻ソレンたちが初登場。地球でライトスピードエンジンの研究をしていたウェンディ・ローソン博士ことクリー人のマー・ベルの庇護のもと、クリーから潜み隠れていた。
ヨン・ロッグ率いる「スターフォース」との戦いを経て、ニック・フューリー、キャロル・ダンバース、モニカ・ランボー、マリア・ランボーたち理解者を得、地球以外の安住できる星を探してキャロルと旅立っていった。
スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム
エンドクレジット、劇中でピーター・パーカー / スパイダーマンに接触・命令していたフューリーはタロスの、マリア・ヒルはソレンの擬態だったことが判明。ピーターは気付かなかったが、付き合いの長いハッピー・ホーガンには若干怪しまれていた。
またどういう経緯かは不明だが、30年近く経っても安住の地は見つからず、現在はフューリーとともに地球外も含め活動している模様。
『ワンダヴィジョン』ラストでは1人が捜査官に化け、モニカ・ランボーをスカウトした。
シークレット・インベージョン
※ネタバレ注意!
これまでの出来事が過去回想で補完され、キャロルと旅立ったタロス一派は『キャプテン・マーベル』から数年後に地球に帰還しており、フューリーの下でスパイ活動に従事していたこと、また他の同族もドロージ皇帝の一派以外は地球に流れ着き、現在100万人以上が居ることが判明。
また「放射線に強い」「暑さに弱い」という種族特性も追加された。
※ドロージ(Dro'ge)は、コミックではスーパースクラルを作り出した科学者。
イギリス首相やNATOの事務局長など各国上層部に入り込んだメンバーで組織した評議会の方針で、その大多数が静かに暮らしていたが、タロスの活動がいつまで経っても実を結ばないことにしびれを切らしたグラヴィクたちがフューリーに裏切られたと考え過激派に転向、武力で地球を乗っ取ろうと画策し、ロシアの原発跡地を根城とした「ニュー・スクラロス」を結成。
テロなどにより国家間の戦争を煽ることで人類を抹殺する地球の乗っ取り作戦を開始し、帰還したフューリーたちと対立することになる。
事件自体はグラヴィクの暴走、そしてフューリーやタロスの娘ガイアの活躍で終息するが、スクラルの存在が世間一般に広まったことで、社会は混乱。
またエヴェレット・ロスやジェームズ・ローズも入れ替わっており、特に大統領の側近であるローズが偽物だったという衝撃から、アメリカ政府がスクラルの駆逐を宣言する事態にまで発展した。
解決後には、クリーとの和平協定の交渉に入ったことが語られた。
マーベルズ
ドロージ皇帝の一派、およびその居留地としてターナックス星が登場。クリー側の現リーダーであるダー=ベンたちを招いて交渉が進んでいたが、そこにクリーの本星ハラが壊滅するきっかけを作ったキャロル・ダンバースが意図せず現れたことで、決裂してしまう。
ダー=ベンによって居留地は破壊され、皇帝たち生存者はキャロルの地球の友人に引き取られた。