概要
転生ものの類型の一つ。
主人公が転生する際の死因がトラックによる交通事故であるものを指す。
略称は「トラ転」。同義語及び派生語として「転生トラック」がある。
転生ものはまず主人公が死なければ始まらない。
その際の死因として日常的に身近で扱いやすいのが交通事故であり、中でも「重量級の大型トラックに轢かれる・撥ねられる」のが「生還の余地が無いもの」としてイメージしやすくビジュアル面でのインパクトも強いためか、「転生もの導入テンプレ」として度々挙げられる。2000年代後半にはテンプレ化していたようである。
特に2010年代以降の異世界転生ブームによって「異世界転生の代名詞」として扱われるようになり、パロディ色の強い作品ではトラックが存在しない時代設定や世界観にもかかわらず主人公に向かってトラックが突っ込んでくる事態まで起きる程。
「もはや異世界に人を送るために人を撥ねる『転生トラック』という怪異が発生しているのではないか」というジョークも飛ぶ。
なお、主人公がトラックに撥ねられるような描写があってもその後主人公が死亡・再誕する描写が無い場合は転移やトリップの区分に入る可能性がある。
そこまで多いか?
異世界転生ものの死因がトラック事故、というのはド定番のように扱われているが、実際には転生ものの隆盛期にはそれほど鉄板と言うものでもなかった。著名タイトルだと、
- 『この素晴らしい世界に祝福を!』
- 心臓麻痺(原因不明)。
- 『異世界はスマートフォンとともに。』
- 落雷。ちなみに、これそのものが神のミス。
- 『転生したらスライムだった件』
- 他殺。
- 『ナイツ&マジック』
- 自動車事故だがトラックではなく乗用車。
- 『異世界薬局』・『八男って、それはないでしょう!』
- 両作とも過労死。
- 『異世界のんびり農家』
- 病死(疾病名不詳)。
- 『転生したらヤムチャだった件』(注:『ドラゴンボール』二次創作)
- 女の子のスカートの中を覗こうとして歩道橋から転落。
- 『日本国召喚』
- トラック何台必要なんですかね?
…………特に転生モノ作品アニメ化ブームの初期を飾った『このすば』『転スラ』『異世界スマホ』『ナイツマ』や、アニメ化は比較的最近になってからだが、同人時代から比較的連載が長く続いている『八男』『異世界薬局』等が違う、というのは、意外に思われるのではないだろうか?
また、『のんびり農家』と立ち位置が近い『宝くじで40億当たったんだけど異世界に移住する』はそもそも転生モノではない(異世界への移動は『GATE』と同じゲート方式)。
近年では、作品によっては商業化の際にわざわざ死因を交通事故死として固定した、というケースもあるようである。
余談
日本初のトラック転生
日本のエンタメにおける「トラックに轢かれて死んだことによる転生」の初出は1982年の『魔法のプリンセスミンキーモモ 』と言われる。
ただし、モモの場合は物語の導入ではなく最終回で、物語の帰結として異世界から現代の地球にやってきたヒロインが死亡した後に現代の地球に輪廻転生するという、テンプレとされる異世界転生とは真逆の代物である。
実際のトラック事故の頻度
「異世界転生もの≒トラック事故で主人公が死ぬ=異世界転生ものの『元の世界』ではトラック事故が頻発している」というイメージが独り歩きしている向きもあるが、現実の日本の交通事故死は自家用車・普通車によるものが圧倒的に多く、トラックによるものは極めて少ない。
運送業では運転手はまず安全管理を徹底的に指導されるように業界ルールが組まれており、Twitterで運転手が「しょっちゅう事故を起こしている職業と誤解されたら心外」と呟くこともあった。
フィクションはフィクション。混同して扱わないように注意しよう。
日本以外でのフィクション上のトラック
韓国では軍事独裁政権時代に反体制派の有力政治家が乗っていた車ごと交差点で横から突っ込んで来たトラックに跳ね飛ばされかけるという事件が実際に起き、この際に生還した当該政治家が後の金大中大統領。以降、韓国映画においては「死亡フラグが立っている人物が乗っている車に横からトラックが突っ込んで来て激突する」のが一種の定番と化した。