ビークスパイダー
びーくすぱいだー
『爆走兄弟レッツ&ゴー!!』に登場するフルカウルミニ四駆の一種で、大神博士が開発した三大バトルマシンの一つ。使用者は沖田カイ。
名前の通り蜘蛛がモチーフとなっており、漆黒のボディにクモの巣を張り巡らせたようなデザインと矢尻のようなウイングが特徴。
本機の最大の特徴は、最高速度に達した時にフロントカウルに装備されたサイドガードから発生する空気の刃。
その切断力は高く金属だろうと何倍もの大きさを持つ樹木であろうと容易く切り裂き、コースで発生させればコースのガードを鉋がけを行うという走る凶器という次元を超えている。
ちなみにサイドガードは任意で脱着が可能。所有者のカイは一度これを外した状態で走らせたことがある。
プロトセイバーJBやブロッケンGと違い、相手の横を通るだけで破壊可能であるため、攻撃の為に減速する必要はなく、レイスティンガーのような特別な装備もいらないと、大神製マシンの中でも変わり種。うまく制御しないと味方も危険なあたりはV2ガンダムの光の翼に近い。
欠点は【最高速度に達するまでの所要時間】と【対象が側面にいなければ切り裂くことができない】ことである。
しかし本当に恐ろしいのは、こんな凶器同然のマシンを小学生が使っている事と、カイの恐ろしい空気の刃を防ぐマシンキャッチャーグローブだろう。生みの親の大神がレクチャーしたり、専用にグローブを製造してくれたのだろうか?
ただし空気の刃も何でも切り裂けるというわけではなく、劇中では鷹羽リョウのトライダガーXを真っ二つに切断したが、新素材ZMCを使用したネオトライダガーZMCには空気の刃が通用しなかった。
アニメでは一度、SGJC編でスピンコブラも空気の刃をはね返していた。当時のスピンコブラはF1マシンと同じく、カーボンとアルミハニカムの超薄型コンポジット素材で構成されている。万物を切り裂く魔法の刃という訳ではない模様。
第一回WGPでは「サバンナソルジャーズ」のマシンであるBSゼブラの原型となり、ビークスパイダーもカイが代理でレースする際にグランプリマシンに改造され、GPチップも搭載された。
原作漫画の続編『Return Racers!!』でも登場するが、クラッシャージローにマシンを奪われてしまい、ビークスティンガーGの素材にされてしまう。
後部カウルや三段ウイングにビークスパイダーの面影が見られるが、空気の刃を生み出すフロントカウルがないのにもかかわらず、空気の刃が使える。
このビークスパイダーは、当時コロコロコミックで行われていた「フルカウルマシンデザインコンテスト」で最優秀賞を勝ち取った読者のイラストを原型にして誕生したフルカウルミニ四駆である。読者デザインのマシンネームは『スカルバーエックス』というもので、デザインラインもスピンアックスよりになっている。
原作
- 街中のミニ四駆を切り裂く謎のマシンの犯人として君臨。星馬兄弟のレースに乱入しマシンを襲撃する。
- その後空き地で練習していたリョウを襲撃。星馬兄弟の制止も空しくトライダガーXを真っ二つに切り裂いた。
- 新型のネオトライダガーZMCを引っ提げたリョウに敗北。おまけにピンチのところを逆に助けられてしまう。
- 敗北したことで大神からは見捨てられてしまうが、最終決戦で自分たちが利用されてたことを悟って改心、暴走したレイとレイスティンガーを止めようとするも攻撃を受けて貫かれてしまう。
- その後大神の裏切りを受けたこととレイスティンガーへの愛着に気付いたレイも改心したことで、土屋製マシンやゲンのブロッケンGとファイナルフォーメーションを組み、大神の量産型レイスティンガー軍団を吹き飛ばし大神研究所を脱出した。
無印アニメ版
- デビュー戦で多くのマシンとブラックセイバー軍団のマシンを餌食にし、星馬兄弟のVマシンと黒沢太のブラックセイバーとレースを行う。
- 藤吉が経営するゲームセンターにてフラワーアックス、スピンアックスとレースを行うも、スピンコブラが完成したことで逆転され敗北した。
- サマーレースに参加し、前半戦では堂々の一位で通過。後半戦ではVソニックをリタイアさせ、Vマグナムを庇ったトライダガーXを大破させた(原作では最初からトライダガーXを狙っており 草レースで大破させた)。
- ネオトライダガーZMCと工場跡にてレースを行い、ドラム缶を引き裂いて燃料を流出させ、引火させて焼き払おうとするも失敗し、逆にネオトライダガーを完成させてしまった。
- SGJCのAセクションにて上位からスタートし2位を獲得したが、Bセクションでは上位入賞を果たせず、CセクションでネオトライダガーZMCとスピード勝負での一騎打ちを仕掛けるが、ブロッケンGのラフプレーにより大破してしまい、リタイア。
ヒール役の宿命か負け試合が多く、開発者である大神博士からはゲーム版WGP2で合法的に葬ろうとされるほど酷評されていたが実際は結構高いポテンシャルを秘めている。
実際には性能特化マシンで固められたが故にで平均値が取りづらいビクトリーズの仮想敵を1台で担っていたし、(WGP規格へ仕様変更後の)性能がほぼ同じ姉妹機がチームの底上げに多大な貢献を果たした。(系列機所有者全員が強い思い入れを持って接している)
本機の特長といえる空気の刃が地味に多機能(障害物排除だけでなく、空力面コントロールの要でもある)であり、クラッシュ要素有無に関わらず活躍できる。(オフロードコースでの走路を作りながらの走行はもとより、バトルレースでも抜き去るついでに敵を破壊していける)
こういった点から使い方次第でかなりの性能を出せるというところを開発者自身が失念していたというところが正直なところなのかもしれない。
1995年12月に発売。採用シャーシはスーパー1。
ボディはスピンアックスと非常に似通っており、フロントからカウルにかけてを覆うような形になっている。また、フロントガードが3パーツに分かれている点でも共通している。
ただスピンアックスと違いボディフロントのパーツがシャーシのフロントバンパーホールに引っ掛けるのではなく横から挟み込む形で固定するため、スーパー1改修型のスーパー2シャーシにも無改造でフロントガード含めてボディがちゃんと載る。
このため2014年7月にプレミアム化もされている。ホイールはブレイジングマックスと同じタイプを使用し、ワンロックギヤカバーも標準で搭載。
物販コーナーやコロコロコミックの誌上でメッキボディが販売され、当時放送されていた「TVチャンピオン」では、グリーンメッキボディが抽選で配布された。
このマシンは現実世界でも実害を及ぼしたことがある。マシン発売翌月の1996年1月に電池と金具の接触不良が原因で勝手にスイッチが入り、所持者の当時11歳の子供の目に直撃し、視力低下を招いた。当然これは空気の刃…ではなく加速のついた物体が直接角膜にぶつかった事が原因。もちろんミニ四駆であればどのマシンでも起こりうる事態であり、たまたま事故を起こしたマシンが本機だっただけである。この事件は裁判にも発展し、被害者の慰謝料3200万円をメーカーが支払っている。
実は事件前からこのマシンに採用されているスーパー1及び原型となったZEROシャーシに使われているタイプの金具(ZERO型)は変形しやすく接触不良が起こりやすいことで有名だった。そのため改良型のスーパー2にはフロントターミナルはB型、リアターミナルにはX型の複合タイプの金具が採用されており、ZERO型は衰退の一途を辿っている。