概要
駆け出しの女性冒険者・パステルとそのパーティの奮闘を描いた、剣と魔法のファンタジー小説(ライトノベル)。TRPGやドラゴンクエストなどのRPGの影響を受け、時代に先駆けてレベルやステータス、冒険者ギルドのような組織を劇中で登場させた作品である(史上初かは不明)。当時から「スーパーライトファンタジー」と紹介されている。
主人公パステルは戦闘が苦手で、冒険では主にマッピングを担当。パーティには幼児もいて疑似家族のようになっており、ダンジョン攻略とバトルだけでなく、料理やバイトといった日常生活風景が多く描かれることなども新機軸だった。
これらの特徴は後年のいわゆるなろう系のヒット作品にも共通するものがあるが、本作ではレベルが上がることでステータスが上がったり魔法やスキルを覚えたりするわけではなく、冒険者1人1人が持つ冒険者カードが持ち主の能力を可視化した形になっている。また世界観としても非ヨーロッパ、非中世とも思わせる描写が当初からあり、いわゆるナーロッパとも少々異なる。
刊行情報
元々『フォーチュン・クエスト』はマル勝ファミコンの増刊号「魍魎戦記MADARA」内にキャラクター紹介及び冒頭部分が掲載されていたが、その後1989年に正式に角川スニーカー文庫で『フォーチュン・クエスト』(当項目では、以降これを「無印」と記す)が開始され、8巻まで発売される。
1994年、担当編集者の異動に伴い作者の深沢もレーベルを電撃文庫へと移り、『新フォーチュン・クエスト』を開始する。他にもパステル達が冒険者となって最初のクエストに挑戦するまでのプロローグを書いた『フォーチュン・クエスト外伝』(角川スニーカー文庫)、冒険者になった頃にしていたアルバイトの物語を書いた『フォーチュン・クエストバイト編』(角川mini文庫、角川スニーカー文庫)が角川書店から刊行されていた。これらの外伝は、新刊の3巻を加えて『新フォーチュン・クエスト外伝』、本編とバイト編は『新装版フォーチュン・クエスト』として電撃文庫から発売されており、全ての作品が電撃文庫から発売されている。本編以外の物語には他にも『新フォーチュン・クエストL(リミテッド)』がある。
1997年には『フォーチュン・クエストL』というタイトルでアニメ化された。後述。他にもオリジナルストーリーの漫画版やテーブルトークRPG『フォーチュン・クエストRPG』など様々なメディアで展開された。
2007年10月から2008年11月にかけて、ポプラポケット文庫(ポプラ社)から児童文学として無印全8巻が再版されている。これで角川書店、メディアワークス、ポプラ社と、三社に渡って作品が展開されたこととなる。
同作者の作品『デュアン・サーク』『青の聖騎士伝説』は、フォーチュン・クエストの世界の約100年前を舞台とした作品であり、それぞれの作品間を繋ぐ人物やアイテムなどが登場している(デュアン、オグマとサムラ、クレイ・ジュダ、ランド、シドの剣など)。
登場キャラクター
- パステル(CV:中川亜紀子)
- クレイ(CV:森川智之)
- トラップ(CV:岩永哲哉)
- ルーミィ(CV:柊美冬)
- シロ(CV:笠井律子)
- ノル(CV:大西健晴)
- キットン(CV:高戸靖広)
- ギア・リンゼイ(CV:真殿光昭)
- マリーナ(CV:根谷美智子)
- アンドラス(CV:鈴木勝美)
原作小説に登場するキャラクター
- ステア・ブーツ(CV:山野史人)
- トラップの父(CV:平尾仁彰)
- トラップの母(CV:麻見順子)
- アンダーソン(CV:堀部隆一)
- クレイの母(CV:辻桃子)
- エイブス(CV:平野正人)
- カピオカ(CV:志賀克也)
- シロの母(CV:さとうあい)
- ルタ(CV:伊藤舞子)
- ゼン婆さん(CV:後藤真寿美)
- スワンソン(CV:中田和宏)
- ヒル・ウォーカー(CV:松本大)
- ルイザ(CV:深水由美)
- リロイ(CV:石井康嗣)
- マックス(CV:國府田マリ子)
- ウォーレス(CV:長島雄一)
アニメオリジナルキャラクター
- ジュリア(CV:中山真奈美)
- ウッドワード(CV:牛山茂)
- グレアム(CV:山下啓介)
- プルル(CV:丹下桜)
- 仙女(CV:鷹森淑乃)
- ヘボン(CV:広瀬正志)
- アリシア(CV:雪乃五月)
- マリア(CV:池本小百合)
- ソフィア(CV:日野由利加)
- デイジー(CV:南央美)
- グロリア(CV:深水由美)
- パメラ(CV:浅川悠)
- リン(CV:津野田なるみ)
- キャシー(CV:鈴木砂織)
- アンリ(CV:稲葉実)
- ビリー(CV:岡野浩介)
- ローズバッド(CV:益富隆一)
- リンダ(CV:さとうあい)
- ダマカス(CV:茶風林)
- ユリアーノ(CV:林延年)
アニメ
『フォーチュン・クエストL』のタイトルで1997年10月から1998年5月まで全26話が毎日放送で放送された。その後テレビ東京などでも放送されている。
アニメーション制作はイージーフィルム。
関西地方では毎日放送が放送を請け負いながら、東京都ではTOKYOMXではなく、テレビ東京が放送を請け負った、かなり特殊な作品であった。
主題歌
オープニングテーマ
「Good Fine Everyday」
作詞 - 谷岡ひろみ / 作曲・編曲 - 岩崎文紀 / 歌 - sus4
エンディングテーマ
「星の声」
作詞 - 根本美緒、岸康 / 作曲 - 根本美緒 / 編曲 - 嶋田陽一 / 歌 - sus4
挿入歌
「月の船」
作詞 - 太田美帆、岸康 / 作曲 - 太田美帆 / 編曲 - 嶋田陽一 / 歌 - sus4
各話リスト
話数 | サブタイトル |
---|---|
第1話 | ドラゴンの宝玉 |
第2話 | 盗まれたトラップ? |
第3話 | テラソン山のミステリー!? |
第4話 | 白い竜の祭壇 |
第5話 | 出た!悪魔の谷の大ムカデ |
第6話 | キットンとの再会 |
第7話 | ストロベリーハウスの用心棒 |
第8話 | 森が呼んでいる? |
第9話 | 試練の始まり |
第10話 | パーティ最大の危機!? |
第11話 | 脱出! |
第12話 | 偽りの王女 |
第13話 | かけひき |
第14話 | 予想外の出来事 |
第15話 | そよ風の訪問者 |
第16話 | はばたく心 |
第17話 | トラップハウスからの挑戦状 |
第18話 | 最後の贈り物 |
第19話 | 星の降る月夜の… |
第20話 | 謎の地下工場 |
第21話 | 幻の秘薬 |
第22話 | 禁断の用心棒 |
第23話 | 迷える小羊 |
第24話 | そんな関係 |
第25話 | カタリナの杯 |
第26話 | ネバーエンディング・クエスト |