あらすじ
ボルチモアで若者に絶大な人気を誇るローカル番組「コーニー・コリンズ・ショー」。そのダンサーになることを夢見るトレイシーは、若干ふとましいことを除けばファッションと音楽が大好きなごく普通の女子高生。
ある日、スタッフの目に留まり、夢がかなって番組のレギュラーになったトレイシーは、体型を気にしないチャーミングなダンスが受けて人気者に。番組スポンサーのヘアスプレーは売り上げを伸ばした。
そのころの「コーニー・コリンズ・ショー」には《ブラック・デー》と呼ばれる、黒人のみが出演する特定日の放送と、逆に黒人が出演できない通常放送が厳密に分けられていた。黒人音楽を愛するトレイシーは、差別をやめろと番組で訴える。
一方、トレイシー人気でお株を奪われたタッセル親子(典型的ブロンド美人で保守的)は、裏工作をしてトレイシーを陥れようと画策する。
果たしてトレイシーはブラック・デーを撤廃し、仲間たちと共に踊ることができるのか!?
概要
カルト映画『ピンク・フラミンゴ』のジョン・ウォーターズ(監督)とディヴァイン(出演)コンビによる最後の作品。ディヴァインが公開年に亡くなったため、今作が遺作となった。実はディヴァインが主役ではない最初で最後のウォーターズ作品だったりする。
ウォーターズにとっては初メジャー作品であり、それまでの悪趣味カルト映画とは異なり幅広い層に受け入れられた。今作に好感を持った老夫婦が、同じ監督だからと『ピンク・フラミンゴ』も鑑賞したところ、あまりの下品な内容に激怒し、一転してウォーターズ作品を追放しようとしたという逸話も残っている。
上述したように背景はシリアスだが、クライマックスではハッピーになること請け合い。
もっとも、主人公がふとましい、母親を男優が演じる等、ウォーターズ作品らしさは失われていない。原作映画のトレイシーの勝負服はゴキブリ柄だし。
ちなみにウォーターズはまさか本作がヒットするとは思わず、とても驚いたんだとか。
キャスト
トレイシー・ターンブラッド - リッキー・レイク
エドナ・ターンブラッド / アーヴィン・ホッジパイル - ディヴァイン(2役)
フランクリン・フォン・タッセル - ソニー・ボノ
ヴェルマ・フォン・タッセル - デボラ・ハリー
ウィルバー・ターンブラッド - ジェリー・スティラー
アンバー - コリーン・フィッツパトリック
コーニー・コリンズ - ショーン・トンプソン
スタッフ
監督・脚本 - ジョン・ウォーターズ
製作 - レイチェル・タラレイ
音楽 - ケニー・ヴァンス
撮影 - デヴィッド・インスレー
編集 - ジャニス・ハンプトン
配給 - ニュー・ライン・シネマ
データ
公開 - 1988年2月26日(アメリカ) / 1989年4月29日(日本)
上映時間 - 92分
製作国 - アメリカ合衆国
リメイク
2002年にブロードウェイでミュージカル化。ロングランとなり、2009年まで続いた。
トレイシーが「歌って踊れる肥満の女の子」のため、キャスティングは難航した様子。
エドナ役は原作をリスペクトし、ハーヴェイ・ファイアスタインが抜擢された。
そして2007年にはミュージカル映画としてリメイク。
オリジナルでディヴァインが演じたトレイシーの母役は、ジョン・トラボルタが肥満の特殊メイクを施されて演じた。
また、ウォーターズが露出狂のおっさん役でカメオ出演。オリジナルでトレイシー役だったリッキー・レイクも出ているが、大減量したため当時とはほとんど別人である。
2022年9月には初めて日本人キャスト起用によるブロードウェイミュージカルとして初上演。
主役のトレイシー役には日本の歌って踊れる肥満女子の代名詞である渡辺直美が抜擢された。
エドナもちゃんと男性俳優が演じることになった。
メイク以外で人種をどう演じるか疑問視されていたが、ファッションや髪型、音楽やダンスで表現している。
当初は2020年6月に上演を予定していたが、コロナ禍により上演中止に追い込まれた。
また当初メイベル役だったCrystal Kayは上演が延期になってしまったことでピピンとバッティングし降板、エリアンナに交代している。
キャスト
トレイシー・ターンブラッド - ニッキー・ブロンスキー (吹き替え:渕崎ゆり子)
エドナ・ターンブラッド - ジョン・トラボルタ (山寺宏一)
ベルマ・フォン・タッスル - ミシェル・ファイファー (塩田朋子)
ウィルバー・ターンブラッド - クリストファー・ウォーケン (堀勝之祐)
アンバー・フォン・タッスル - ブリタニー・スノウ
ペニー・ピングルトン - アマンダ・バインズ
プルーディー・ピングルトン - アリソン・ジャネイ
コーニー・コリンズ - ジェームズ・マースデン
メイベル・スタッブス - クイーン・ラティファ (上村典子)
スタッフ
監督 - アダム・シャンクマン
脚本 - レスリー・ディクソン
製作 - ニール・メロン / クレイグ・ザダン
製作総指揮 - トビー・エメリッヒ / ジョン・ウォーターズ 他
音楽 - マーク・シェイマン
撮影 - ボジャン・バゼリ
編集 - マイケル・トロニック
配給 - ニュー・ライン・シネマ / ギャガ(日本)
データ
公開 - 2007年7月20日(アメリカ) / 2007年10月20日(日本)
上映時間 - 117分
製作国 - アメリカ合衆国
言語 - 英語
余談
本作の舞台であるボルチモアはメリーランド州最大の都市だが、ウォーターズとディヴァインの故郷である。
関連タグ
映画 / 洋画 / アメリカ映画 / コメディ映画 / ミュージカル映画 / 映画の一覧