CV:土井美加
おジャ魔女どれみシリーズの登場人物。特に『おジャ魔女どれみ♯』終盤より登場し、作品を通じて一貫して語られる「呪い」と「悲劇」の源泉となる人物。
概要
魔女界の2代前の女王様で、魔女界史上最強の魔力の持ち主。お供の妖精は「ババ」。作内では本名である「マジョトゥルビヨン」よりも「先々代の女王様」と呼ばれる方が多い。
『♯』時点でさえ、作中最強の魔力を持つとされている(マジョリカ曰く、どれみたちの実力では太刀打ち出来ないと言われているほど)。
『♯』と『も〜っと!』終盤時点で登場していた涙を流す白いロングヘアのマジョトゥルビヨンは、彼女の深い悲しみと強力な魔力で生み出された幻であり、本物のマジョトゥルビヨンは純白のドレスを纏うストレートロングヘアで頭に花の蕾を思わせる髪飾りを身に着けている美しい女性。
彼女の悲しみから生まれたその幻も呪いの森と共に完全に消滅し、呪いの森の奥深くで眠りに就く真の姿を現した。
家族
人間と結婚し、その血筋が現在も人間界に脈々と受け継がれているが、ある事情から断絶状態にある。
彼女自身もウィッチークイーンローズから生まれた魔女であり、その血を分けた双子の妹が存在する。その妹こそが魔女界の先代女王・マジョヴァーグである。
ベネックス家の人々
トゥルビヨンの最愛の恋人である人間の男性。ケーキ職人で、自作の「愛しのトゥルビヨン」で彼女にプロポーズし、結婚してアンリを授かる。
しかし、ケーキの材料のラズベリーを採りに山へ登った際、転落事故に遭い命を落とした。
トゥルビヨンとジョルジュの一人息子。父の亡き後から、母からの愛情を一身に受けて成長し、妻を早くに失いながらも6人の子供に恵まれる。
不老ゆえに迫害され続けた母を守り、周囲からの白眼視に耐え切れず、母を見捨てて実家を出て行く子供達に怒りを露わにし、悲しみに暮れる母の傍を離れなかった。しかし、通常の人間としての寿命しか生きられず、母よりも先に衰弱死してしまう。
後述の諸事情で子供達には臨終を看取られることは叶わなかったが、一人死に際を看取る母に感謝の言葉を贈りながら、安らかに永眠した。
明るく家族思いの長女。出征を前にした男性・ショーンと結婚し、トゥルビヨンから結婚祝いとしてバラの模様の入ったベッドカバーを贈られている。
ロマンチストな次女。虹が好きで、トゥルビヨンから虹の織物を贈られている。
男子と遊ぶことが多い少々お転婆な三女。貝殻集めが趣味で、トゥルビヨンから生前のジョルジュから受け取ったビーズのネックレスを崩し、貝殻を入れ込んだ手製のネックレスを贈られている。
猫姿のババが大好きな四女。トゥルビヨンから猫のババの顔が織り込まれたマフラーを贈られている。
泣き虫だが頑張り屋な五女。他の兄弟達とは逆にマジョクロスから手芸を教わり、手製のコースターを作ってトゥルビヨンに贈っている。
心優しい長男にして、6人兄弟の末っ子。6人の孫の中では唯一祖母を見捨てることを最後まで躊躇っていた。
部下
「呪いと悲劇の源泉」という立場から非情にして苛烈な人物と捉えられがちで、実際に本編でもどれみたちに対してそのように当たっているのだが、実はそれらの行動は呪いの魔法の自動防護機能による本人の意志とは全く関係がない(呪いを敷いた本人にも制御が不可能であった)事態であった。
実際には歴代女王同様に本来は情け深く心優しい性格である。そのため現在の魔女界でも彼女を慕う元部下は多く、彼女らの殆どは、眠りから覚めて呪いを解いた後に人間界に赴くトゥルビヨンについていった。
おもな部下
ベネックス家の悲劇
かつて、魔女界と人間界が交流していたおよそ千年前、お忍びで人間界を訪れて人間の男性・ジョルジュと恋に落ち、結婚の為に王位を捨てた。
結婚後、一人息子・アンリを授かる。ジョルジュが若くして事故死した後も再婚せずに女手一つでアンリを育てた。さらにアンリの妻が早くに亡くなったため、母親代わりとして6人の孫たちも育てた。
だが、魔女の血による長命で年を取らないため、次第に周囲から化け物扱いされるようになり、「魔女の孫」として白い目を向けられるようになった孫たちに見放されてしまう。
そしてアンリが死の床に就いた際、孫たちに手紙を送ったものの、誰一人として戻ってこなかった事件をきっかけに、心に深い傷を負ったマジョトゥルビヨンは魔女界に戻り、魔女ガエルの呪いをかけて魔女界と人間界の交流を断絶させ、自らは呪いの森の奥深くで永い眠りに就いた。
呪いの森では多重に結界を張った上、自身が体験した悲劇を悪夢として繰り返し見ることで魔女界からも関係を断っていたが、人間の少女・春風どれみが魔女の一人・マジョリカと出会った事をきっかけに、マジョトゥルビヨンの心は大きく揺さぶられることとなる。
ハナちゃんの育児を通じてマジョトゥルビヨンの存在を知ったどれみとその友人たちは、3年の歳月を費やして、マジョトゥルビヨンの悲しみを解くことに成功。どれみたちから全ての真実を知らされたマジョトゥルビヨンは魔女ガエルの呪いを解呪し、千年に及ぶ悲しみの連鎖を、他ならぬ自らの手で断ち切った。そして、どれみたちのような子がいるなら、人間界との交流を再開しても良いかも知れないと告げ、魔法界の後事を女王様らに託し、ババと共に人間界に去っていった。
孫たちの悔い
マジョトゥルビヨンは、6人の孫がアンリの死を看取らなかったことを悲しんで、魔女界と人間界との交流を断ったのだが、そこにはある「運命の行き違い」が存在していた。
孫たちが祖母トゥルビヨンの不老に対する世間の白眼視を嫌い、父アンリに叱責されたにもかかわらず実家を去っていったのは事実だが、アンリが亡くなる頃にはこの時の行動を悔いており、父が死の床に就いたことを祖母から手紙で知らされたイングリット、アンジェラ、ロイはトゥルビヨンとアンリの下に向かっていたが、乗っていた馬車が落雷で折れた大木と接触し転倒。3人は投げ出されて傷を負ってしまう。
実家に到着したのはアンリの死から2週間後。既にトゥルビヨンは人間界を去っており、ナターシャ(唯一理由について言及がない)、マリアンヌ(出産を控えていた)、ローラ(嫁ぎ先が戦争中だった)を含めた6人に生涯拭い切れない悔いを残すことになった。
特にロイは日記にその悔悟を繰り返し綴り、またトゥルビヨンの誕生日祝いに6人で作った、親姉弟全員を描いたタペストリーを引き取っていた。この日記とタペストリー(の模写)が、ロイの子孫ロビーからどれみたちの手に渡ったことで、マジョトゥルビヨンとベネックス家の悲劇は終幕に向かっていく。
なお、人間と魔女との混血ということで、トゥルビヨンの6人の孫の血統は何らかの超能力を有している模様である。ロビーは動物の言葉を理解でき、その祖父は植物との会話、曽祖父はわずかながら時間を止める…というように。
名の由来
名前の「トゥルビヨン(tourbillon)」は、フランス語で「渦巻き」を意味する。またゼンマイ式機械時計における重要な機械(脱進機・エスケープメント。時計を重力による誤差から守るための機械)の名前でもある。→トゥールビヨン
漫画版では
なかよし連載の漫画版では、案の定おんぷ・ももこ・ハナちゃん同様、「♯部分における(メディア連携不足による)オリジナル展開」および「ドッカ〜ン!部分における連載元の方針転換(オリジナルコンテンツ増強と他社メディアミックスの縮小)に伴う減ページ」の二つの影響を大きく受けたため、存在の言及および登場が漫画版『も〜っと!』の魔女検定1級分割検定最終試技(アニメ版におけるパティシエ試験の最終課題)まで大きくズレ込んだ。(もっとも、『ドッカ〜ン!』第1話まで出番が無かったハナちゃんよりかは早く出れた分、マシかもしれないが)
そして「ベネックス家の悲劇」における「孫たちの改心」や「誤解とすれ違い」の要素は完全にオミットされており、トゥルビヨンが悲劇から解放されたのは「孫たちの改心と過去の不幸な誤解やすれ違いを知ったから」ではなく「どれみたちの説得と彼女らおジャ魔女たちが再現した家族のタペストリーで、過去の温かい心と思い出を取り戻し、人間への絶望を思い直したから」に改変されている。
一応、ロビー・ベネックスの登場こそあるものの、それはあくまでも「タペストリーの情報の提供者」程度の扱いでしかなく、しかもロビー自身からはアニメ版と同じくトゥルビヨンの情報は失伝されており、なおかつロイの日記からはタペストリーの情報しか記されず、肝心の改心については言及されていない(漫画世界のどれみたちが見落としただけだと思いたいものだが…)。
そのため少し穿った意地悪な見方をすれば、漫画版ではトゥルビヨンの孫たちは祖母に対する仕打ちを忘却したまま(あるいは、その仕打ちを「正しい事」として理解したまま)人生を全うした、ともとられかねない表現になっている。
関連タグ
作品名
別名・表記揺れ
関連する人物
魔女界の女王様…次々代の後継者
ロビー・ベネックス…長男ロイの子孫
佐倉未来…対極の存在として設定された人物
関連キャラクター
濡れ女…『ゲゲゲの鬼太郎千年呪い歌』で物語の重要な鍵を握る妖怪。トゥルビヨンと同じように人間の男性と恋に落ち、人間として生きることを選んで子供も授かったが、周囲から魔物扱いされ悲劇に見舞われる等と多くの共通点を持つ。更にこちらは自分を魔物扱いする人々によって夫と生まれて間もない子供を殺された上、夫が自分を見捨てて逃げたと嘘を吹き込まれたことで夫や人間達を強く憎むようになってしまうという、トゥルビヨン以上もの悲劇に見舞われた。
ネフィラ:スーパー戦隊47作目に登場するバグナラクの女性でクモモチーフの追加戦士の母親。いずれもトゥルビヨン同様に人間の男性と恋に落ち子供を産むが、お互いが相容れることができない関係のため周りの者達から疎まれ、拒まれてしまう形で迫害の対象にされてしまい、挙句の果てには我が子の幸せのためにそのまま姿を消したなど彼女と同じくらい悲しい過去を持っている。