「私は医療用自律人形のメディスン・メランコリー。それでは治療を開始……カ、カカカ、開始します。」
「ワからない……わからないワカラナイ分からない! フフ もういいよ 私が全部やってあげる!」
概要
東方ロストワードのメインストーリー第4章第3編にて登場した、帝都地下廃区画に放棄された道具としてのメディスン・メランコリー。
医療ドロイドとしてアリスの元で医療活動をしているのだが、過去に何かあったのか患者(とくに人間)が苦手である。本当は人間や妖怪と仲良くなりたいと考えているようだが、「また捨てられると」と考えると怖くなってしまうらしい。
ホーム画面では八意永琳のことを知っているような様子を見せているが、元々知っていた永琳が本来の世界と同じ普通の永琳なのか、それとも帝都の永琳なのかは不明。
「毒を操る程度の能力」は帝都のシステム下で秘匿されたことによって変化しているが、数々の調整・代替機能によって本来のものと変わらない力を発揮している。
帝都地下廃区画にあるとされる(帝都がある世界群の中それなりの割合で存在している)組織『ザナドゥ』は主に「道具」で構成されている。ザナドゥに所属している『道具』たちは、大半が帝都によって生み出されたが『潤沢院』が開発した新しい道具によって居場所を追われた、いわゆる「ウェイズテッド(廃棄物)」である。
ただ、その『道具』たちは帝都で作り出されたとされているにもかかわらず、その姿はかつて幻想郷で見られる妖怪たちに酷似している。
一応このメディスンも同様の過去を持っていると推測される。
だいたいの姿は『東方花映塚』に登場した2Pカラーのメディスンそのものだが、医療用具が詰め込まれた機械的な医療カバンを背負っている。原作の時系列より遥か未来の世界とされている背景を見ると、本来のメディスンが『自律人形』ならばこちらは『意思を持つ医療用ロボット』といったところだろうか。
汎異記号は『B5』。青い藤原妹紅や純孤に鹵獲された鈴仙・優曇華院・イナバと同じ世界群の出身である。
プレイアブル化
実装形態 | 超フェス限定 |
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式 | 回復式 |
気質 | 星間雲 |
拡散 | インハレーション |
集中 | インジェクション |
スペカ1 | 薬符『トランスフュージョン』 |
スペカ2 | 薬符『コンバインドドーセイジ』 |
ラスワ | 『外科的内科的オペレーション』 |
テーマ曲
地下廃区画のメディスンのテーマ曲は、荒御霊の「Typhoid Mary」。原曲は『ポイズンボディ ~ Forsaken Doll』。
余談
気質は『星間雲』。星間領域において観測されるガスやダスト、プラズマの集まったものこと。
「メディカル(medical)」は「医療の、医学の」を意味する。さらに「オートマタ(Automata)」は主に12世紀から19世紀にかけてヨーロッパ等で作られたゼンマイを動力源として自動で動く、機械人形ないしは自動人形のこと。いわゆる『西洋版のからくり人形』。
現実世界で言う医療用ロボットを意識した二つ名であると思われる。
設定や台詞から『もし未来の世界にメディスンがいたら』『もしメディスンが毒の力を使う薬屋さんになったら』というifを意識した存在と思われるが、後述の小ネタから恐らく『薬師と毒人形のカップリング』なども設定のイメージにあるかもしれない。
ベースとなったのは東方花映塚におけるメディスン・メランコリーの2Pカラー。全体的に赤が紫に変わっただけである。ちなみにメディスンと八意永琳が繋がりを持つきっかけとなるのは東方花映塚のエンディングから。
小ネタ
スキル
- スキル1「服薬補助ゼリー」・・・その名の通り服薬を手助けしてくれるゼリー。ゼリーで薬を包んで一緒に飲むのが主な使い方で、喉の筋肉の負荷を軽減しスムーズに服薬できる。薬の作用や吸収に影響を与えない。代表的なものに龍角酸の「らくらく服薬ゼリー」などがある。テキストの「おくすり上手に飲めてえらいねー。」は恐らく同社の製品である「おくすり飲めたね」が元ネタ。
- スキル2「記憶の水」・・・元ネタはオーブス社の添加飲料水「記憶水」。長野県白馬村の良質な天然水の水素結合を安定化させた純水をベースとした水製品。紫外線・加熱・冷却・加圧などの影響を一切受けないため、「オーブスの純水」は公設研究機関の遺伝子研究の研究用液として使用されている。オーブス独自の製法によりビタミンやミネラルなどといった天然成分や微量元素が水抽出、そして微粒子化され「水の器」にマスキングされている。その成分が一般分析では成分量としては検出されないため、ここでは「記憶化」と呼ばれている。腸の働きを活性化し、身体のバランスを整える効果があるらしい。
- スキル3「トレパネーション」・・・頭皮を切開して頭蓋に穴を開ける民間療法。「穿頭」「穿頭術」とも言われる。中世〜近代のヨーロッパにおいては頭痛や精神病の治療と称してこれが行われていたが、当時は明確な根拠は無く、頭骨内にある「良くない(霊的な)モノ」を外部に出すための穴とされた模様(当時ののみとつちで穴を開ける様子などの絵が残されている)。山本英夫氏の漫画作品「ホムンクルス」で知名度が上がったとされる。トレパネーションは非常に危険な行為なので良い子も悪い子も絶対に真似しないように。
ショット・スペルカード
このメディスンが使用している技は全部『薬(薬剤)』を用いている。
拡散ショット「インハレーション」の名称は吸入や吸入剤、集中ショット「インジェクション」は注射や注射薬を意味する。本作オリジナルとして作られたスペルカードの名前である薬符「トランスフュージョン」も「trans fusion→輸液/輸液剤」、薬符「コンバインドドーセイジ」は「Combined dosage→複数一緒に投薬する」からであり、全て薬・薬剤に関係する名前が付けられている。
拡散ショット「インハレーション」
バレット名 | 詳細 |
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「吸入薬投入」 | 薬を霧状に噴出させ、口から吸い込み気管支や肺に作用させる薬。内服した場合よりも少量で早く効き目を現す上に副作用が少ない。 |
「エアロゾル製剤処方」 | 加圧ガスで薬剤を粉末状よりさらに細かい霧状にして噴出させて処方する。小型で携帯しやすく吸い込む力が弱い時に使用しやすいが、噴霧と吸入のタイミングが合わせにくい。「Metered Dose Inhaler」の略称でMDI製剤、もしくは加圧式定量噴霧式吸入器(pressurized Metered Dose Inhaler)からpMDI製剤と言われる。 |
「ドライパウダー製剤処方」 | 粉末(ドライパウダー)にして吸い込んで処方する薬剤。吸いこむタイミングを合わせる必要はなく、吸入補助具も要らないため容易に吸入できるが、吸入には一定量の吸気速度を要する。吸入に使う「Dry Powder Inhaler (ドライパウダー定量吸入器)」の略称からDPI製剤と略される。 |
「液体製剤処方」 | 有効成分を含んだ液をネブライザーによって霧状に噴出し吸入する製剤。ネブライザーを使用することで比較的多くの薬液を吸入することができ、また吸入の弱い患者等にも対応できる利点がある。一方で噴霧時間が長くなったり、噴霧される機種によってばらつきがあったり、吸入機器の洗浄等を行う必要があり面倒になる面もある。 |
「スチーム製剤>処方」 | スチーム吸入器を使うと鼻とのどを加温・加湿・洗浄して、不快感を緩和する効果がある。ちなみにスチーム吸入器は薬液ではなく、水道水や生理食塩水を吸入し喉や鼻を潤すもの。うがいにも使える。 |
「ソフトミスト製剤>処方」 | ソフトミスト定量吸入器を使って噴射ガスを使わずに薬剤を含んだやわらかく細かい霧をゆっくり生成し噴霧させることで、有効成分を効果的に肺へ送達する薬剤。エアロゾル製剤と同様に霧状、残量の把握がしやすい。吸入に使う「Soft Mist Inhaler(ソフトミスト定量吸入器)」からSMI製剤とも呼ばれる。 |
集中ショット「インジェクション」
バレット名 | 詳細 |
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「注射薬処方」 | 皮下または筋肉内に注入する薬剤のこと。口から飲む内服薬に比べると少量で即効性がある。ただし直接体内に投与するため副作用などが生じやすく、清潔に投与しないと感染症が起こりやすくなることがある。 |
「皮内注射薬処方」 | 「皮内注射」は薄い皮膚そのものの内部(皮膚の最も外側にある表皮とその下の真皮の間)に薬物を注射することであり、少ない容量でゆっくりした薬剤吸収を実現させることを目的とする。治療目的ではなくアレルギーなどの検査のために用いられる。皮下注射よりも免疫的に有効度が高い。 |
「皮下注射薬処方」 | 「皮下注射」は皮膚と筋肉の層の間にある、脂肪が皮下組織に薬物を注入する注射。皮内注射と比べると効果が表れるまでに時間がかかるが、その分長続きする。日本で行われている予防接種の多くはこの方法が用いられている。 |
「静脈内注射薬処方」 | 「静脈内注射」は静脈の中に直接薬物を注入する注射。薬剤を速やかに全身に行き渡らせる(5~10分程度)ため、注射の中では最も早く効果が現れやすい。命に関わる緊急事態などで用いられる。点滴も静脈内注射の一つで、普通の注射に比べて多量の薬物・水分・栄養分を注入するのに適している。ただし薬効が急速であるため副作用が現れやすく、命に危険のある副作用を生じることもあり、効能の持続性は短い。 |
「筋肉内注射薬処方」 | 「筋肉内注射」は皮膚表面から最も深いところにある筋肉に薬物を注入する注射。一般的には『筋肉注射』または『筋注』と呼ばれる。血管がたくさん分布している筋肉内に注射することで、薬剤の吸収を早める目的で行われる。静脈内注射の次に早く効果が現れやすく、強い薬物でも注入できるのが特徴。HPV(ヒトパピローマウイルス)ワクチンやB型肝炎ウイルスなどの予防接種などには、この方法が用いられている。 |
「動脈内注射薬処方」 | 動脈に直接薬液を注射する治療のこと。略して『動注』『動注治療』とも言われる。手首や足首の動脈から点滴用の極めて細いチューブを用いて手足の痛みの原因となる異常な血管(モヤモヤ血管)を減らす薬液を注入する日帰り治療。静脈内注射と同様5~10分ほどで終了する。副作用として局所的な内出血や薬剤アレルギーが現れる場合がある。 |
スペルカード1 薬符「トランスフュージョン」
「シシ システム 起動 モード 輸液
ワからナいけど ナにか イれてアげる」
バレット名 | 詳細 |
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「輸液投与」 | 輸液剤を点滴静脈注射で投与する治療法。血液成分の投与は「輸血」と言われる。主な目的には「水・電解質の補給」「栄養の補給」「血管の確保」「病態の治療」など。 |
「電解質輸液投与」 | 輸液の目的の一つに「水・電解質の補給」がある。電解質の組成が、細胞外液(血漿)とほぼ同じ(浸透圧が等張)に作成された輸液。下痢・嘔吐などによって体の中から水分やナトリウム・カリウムなどの電解質が失われた脱水の状態の時、何らかの理由で口から食事や水分が摂れない時などに用いられる方法。水・電解質補給に用いられる輸液は、電解質濃度が血漿(けっしょう、血液に含まれる液体成分の一つ)とほぼ等しい「等張電解質輸液」と、血漿よりも低い「低張電解質輸液」の2種類に分けられる。 |
「栄養輸液投与」 | 輸液の目的の一つに「栄養の補給」というものがある。何らかの原因で口や腸から栄養を摂ることが困難な患者に対して、生命維持に必要な栄養素を投与することを目的とする。静脈を通して栄養補給をすることがある。食事できない期間が1週間~10日までの場合には「末梢静脈栄養(PPN)」、それ以上の長期間にわたると予想される場合には「中心静脈栄養(TPN)」が選択される。 |
「血液増量剤投与」 | 恐らく代替血液(代用血液)のこと。生体由来の血液製剤に代わるものとして近年開発が進められている人工的血液製剤の総称。血管を循環する血漿の量の維持を目的とする代用血漿(血漿増量剤)は既に実用化されているが、これは高分子化合物の膠質(こうしつ、コロイド)を含む溶液で、膠質浸透圧により血管外から水を引き込み保持する作用を持つ。献血量の不足、感染症などの問題から赤血球の代用となる製剤の臨床応用が期待されている。 |
「浸透圧利尿剤投与」 | 浸透圧利尿の原理を利尿薬として応用した薬物。近位尿細管内の浸透圧を上昇させることで、ナトリウムおよび水の再吸収を抑制し、ナトリウムおよび水の排泄を促進する。 |
「複合輸液投与」 |
スペルカード2 薬符「コンバインドドーセイジ」
「シシ システム 起動 モード 投薬
クすり? ドれがイい? ドれでもイいよね」
バレット名 | 詳細 |
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「薬剤投与」 | 「投薬」は患者に病気に合った薬剤を処方して与えること。実際は与えるだけではなく患者に与える薬の詳細を説明することも投薬の一環として含まれている。 |
「錠剤投与」 | 医薬品の剤形の1つで、固形の製剤。一定量を服用しやすく持ち運びしやすい。有効成分だけを固めたものと、有効成分に添加剤を加えてから固めたものの2種類がある。錠剤は、有効成分の種類や効果を発揮したい部位によって形や大きさが異なり、飲みやすいようにコーティングされるなどの工夫が施されたりする時もある。 |
「丸剤投与」 | 医薬品の剤形の1つで、球状の医薬剤。「丸薬」と呼ばれることもある。生薬を粉末にし混ぜたものにハチミツなどの賦形剤を加えて丸く固めたもので、一般的に白湯やお水で服用する。「緩に通じ緩徐に病気を治す」という意味があり、他の剤形よりも長期保存ができ、また薬効も緩やかで持続性もあるといわれている。 |
「散剤投与」 | 医薬品の剤形の1つで、粉状または粉末状の医薬剤。粉ぐすりや微粒剤、細粒剤と言われるものの総称。粒が小さいため簡単に量が調整できたり、錠剤やカプセル剤に比べ早く体内に吸収されたりする。2種類以上の散剤を混ぜ合わせ調剤することも可能。 |
「顆粒剤投与」 | 医薬品の剤形の1つで、粒状の医薬剤。散剤よりも粒が大きく、大きさも揃っている。苦さを抑えたりと飲み込みやすいよう工夫されている。 |
「液剤投与」 | 医薬品の剤形の1つ。液体の医薬剤。チューブのような容器に梱包されていて、水と一緒ではなくそのまま液剤だけで服用することができる。液体なので溶け出すのを待つ時間が必要なく、効果が出やすい。 |
ラストワード
ラストワード「外科的内科的オペレーション」は東方ロストワードオリジナルのもので、手術をテーマとしている。ちなみに演出に関しては対象年齢の関係でスプラッタな演出はNGとなっているため、血のメタファーとして様々な色の液体に置き換わっている。
「外科」と「内科」の違いをざっくり分けると、手術によって外から治療を行うのが外科、薬剤で身体の中から治療するのが内科とされている。
「オペレーション」は医療業界においては「外科手術」という意味で使われていて、手術を行う手術室はそこから「オペ室」とも呼ばれている。また医療以外では「機械などの操作・運転」「作戦/軍事作戦行動」を意味することもあり、コンピュータの世界においてはソフトウェアの実行やデータの処理などをオペレーションと称することもある。
「外科的内科的」なのに「オペレーション(外科手術)」なのはショットやスペルカードがいずれも吸入・注射・輸液・投薬といった内科的治療であるためと思われる。
※参考:内科と外科はそれぞれどのような違いがあるの? - 善利クリニック(一部参考・引用)