「八意様、食糧庫の緊急解放を実施した直後からの状況が…つ、繋がらない。…はっ!?貴方、ここの方ですか!?よろしければ、博麗神社へ導いていただけませんでしょうか。私の名前は綿月豊姫。八意様の下で『潤沢院』を取り仕切る者です。」
「飴玉の弾幕に撃ち抜かれるなんて、脆弱ねぇ。」
概要
東方ロストワードのストーリーのひとつ『秘封ロストワード』に登場する、帝都の巨大システムにより改変された綿月豊姫。
とある別世界の中の更に別世界?の豊姫であり、三重会議と呼ばれるシミュレーションシステムにより顕現された帝都の住人の1人。
帝都に存在する4つの組織・およびその組織の長を務める『四院』の一人で、豊姫は4つの組織のうちの一つ『潤沢院』を管轄している。潤沢院は食料・日用品から平和器(武器や兵器のこと)までに至る物資の全ての製造・流通を担当する。
左目に眼帯と杖を携えている。白いローブは『高等姉妹』の証らしい。
量子浄化扇(私製)
帝都の豊姫の大発明品の一つ。もともと使用していた浄化扇を、豊姫自身の発想で改造・換装した。
帝都の豊姫の役割である生産供給は、その対象を食糧のみにとどめず、あらゆる資源資材がその管理の範疇に収まる。
そのため、帝都の各平和維持組織が用いる平和器(武器・兵器)もまた、原則的に豊姫の発明品であるらしい。
量子浄化扇の仕組みは、量子振動の波動を放つことで対象を素粒子レベルにまで分解するというもの。素粒子にまで分解された物体は、一切の穢れが入り込む余地がなくなるため、すなわち浄化される……という学説で豊姫は永琳平和賞を受賞した。
『一点集中』『広域拡散』などの多彩なモードを使い分けることができ、それを含む細かな火器管制は専用の眼帯を通して行われる。
フェムトファイバー式クリーナー
帝都の豊姫の大発明品の一つ。
内部にフェムトファイバー(わかりやすく言うと「須臾の組紐」)を用いた『穢れ回避機構』が組み込まれたとても小さな装置。
フェムトファイバーは「認識できない細さの繊維で組まれた組紐は限りなく連続した物質に見える」ほか単一素材による構成でできていて、極めて高い強度を持ち、「余計な穢れがつかなくなる」という効果もある。
フェムトファイバー式クリーナーは、この性質を利用して穢れの吸着に指向性を持たせ、体に付着するのを防ぐという仕組み。依姫たち他のメンバーにも豊姫からの贈り物としてこれを与えられている。
帝都の若者の間ではこのクリーナー機能が付いたキーホルダー型液晶育成ゲームが大ブームになったことがあるらしい。
壱式ロリポップくん(私製)
帝都の豊姫が用いる大発明品の一つ。見たままの『飴玉供給機』であるが、『飴玉製造機能』も搭載している。
『千珠』『満珠』という名のたった2種類の基本フレーバーを配合するだけであらゆる味を再現することが出来るという。
栄養配分も立体印刷機構によって分子レベルで構築されるため、原料になる何らかの物質さえあればほぼ飴玉を作り出せてしまう、(飴玉界では)チート級の性能。
だが、なぜかロリポップくんはあくまでも飴玉しか作り出せない。ガチャガチャすると飴玉をひとつ出せるが、なぜかフレーバーの指定はできず完全ランダム。ハッカ味が出ると帝都の子供たちからブーイングが飛ぶという。
プレイアブル化
実装形態 | 超フェス限定 |
---|---|
式 | 回復式 |
気質 | イジュドゥバル |
拡散 | 枚聞の玉の井 |
集中 | 量子浄化扇 |
スペカ1 | 龍宮『オトヒメバンケット』 |
スペカ2 | 龍宮『タマテボックス』 |
ラスワ | 『万民養う岩雫』 |
2021年11月30日開催の「召しませ潤沢なる宴超フェス」にて実装された。初の回復式超フェス限定キャラクターである。
味方全体の禁止状態回復という(実装当時)唯一無二の個性を持つ。後にこの効果は同じ回復式である八意永琳(強化後)、八雲紫、小悪魔、因幡てゐなどの回復式上位クラスのキャラに配られることになり、高難易度の探索において回復式が日の目を浴びるようになるきっかけとなった。
テーマ曲
豊富と平等の潤沢院のテーマ曲は、IRON ATTACK!の「Filling Lack Of The Moon」で、依姫と共通。原曲は「綿月のスペルカード ~ Lunatic Blue」。
余談
気質は『イジュドゥバル』。アポロ群に属する地球近傍小惑星のひとつ。
豊姫が左目に眼帯を付けているのは、古代エジプトのシンボル「ホルスの目」が元ネタで、その中の左目の方「ウアジャト(ウジャト)の目」から来ていると思われる。
古代エジプトでは古くから「太陽と月は天空神ホルスの両目(「ホルスの目」)である」と考えられてきた。やがて二つの目は左目は月の象徴「ウアジャト(ウジャト)の目」、右目は太陽の象徴「ラー(プロビデンス)の目」とされた。
ウアジェトは、コブラの姿、あるいは頭上にコブラをつけた女性の姿で描かれる、下エジプトを守護する女神。ウアジェトの目は、周期的に満ち欠けする月の象徴であることから、欠けた月が再び満ちるように「失ったものを回復させる」「完全なるもの、修復されたもの」という意味がある。
ほかにも「全てを見通す知恵」「癒し・修復・再生」の象徴ともされたり、ホルス神が癒された目を父オシリス神に捧げたというエピソードから供物の象徴とされることも。
"ロリポップくん"の基本フレーバー『千珠』『満珠』は、鹽盈珠(しほみつたま)・鹽乾珠(しほふるたま)が元ネタだろうか。
ショット、スペルカードはいずれも東方ロストワードオリジナル。
拡散ショットの「枚聞の玉の井」は鹿児島県指宿市開聞町の枚聞神社(ひらききじんじゃ)が由来。
枚聞神社は九州本島最南端の古社で社格は「薩摩国一宮」。主祭神は大日孁貴命(おおひるめむちのみこと)、配祀神は五男三女神の8柱の神だが、明治時代以降は近隣の神社を合祀していて、祭神については海神(別名:わたつみのかみ、大綿津見神、和多都美神、海神豊玉彦など)のほか、猿田彦神、国常立尊、大宮姫など様々な説がある。(ちなみに豊姫の元ネタは海神=大綿津見神か、もしくはその娘「トヨタマヒメ(豊玉姫)」であるとされる。)
大正14年8月の「枚聞祭神調書」によると、後鳥羽天皇の文治の頃から後陽成天皇の慶長4年までは、和田都美(わたつみ)神社と称せられていた……とされている。
また神社の近くには、豊玉姫と後に夫となる火遠理命(ホオリノミコト)が出会ったとされ、日本最古の井戸ともいわれる玉の井がある。『玉の井』はいい水の出る井戸のこと。神代の時代、神社の辺りは竜宮界で、枚聞神社の井戸は竜宮城の門前の井戸だったとされ、豊玉姫はその井戸を朝夕使っていたといわれる。
「量子浄化扇」はもちろん、豊姫の所持品であるあの森を一瞬で素粒子レベルで浄化する風を起こす扇子から。
スペルカード龍宮『オトヒメバンケット』と龍宮『タマテボックス』は浦島太郎の話から。
前者は竜宮城に来た浦島太郎をもてなしたこと、後者はそのまんま「玉手箱」から。玉手箱はあの「『この箱を開けないで下さい』と言った乙姫との約束を破って開けたら、煙が出てきてあっという間にしわしわの老人に……」で有名なアレ。ちなみに玉手箱は前述の枚聞神社に展示されていて、国の重要文化財に指定されている。
ラストワード「万民養う岩雫」は宮崎県日南市・鵜戸神宮の霊石「お乳岩」の伝説が由来と思われる。
トヨタマヒメは出産時に夫の火遠理命に本来の姿を見られたことを恥じ、子供(後の鵜草葺不合命)を残して綿津見神の国に戻った際、子への愛情と健やかな成長を願って岩屋に自分の両乳房をくっつけた。その時の岩がこのお乳岩である。
その後、乳母として代わりに送られた妹のタマヨリヒメは、岩屋の中に残された豊玉毘売の乳房からしたたる乳水で鵜草葺不合命を育て上げた。
ちなみにお乳岩から滴り落ちた清水で「おちちあめ」が作られている。
東方求聞口授では竜宮城=月の都であることが明らかとなっている。