概要
「黎明編」に登場。弥生時代の邪馬台国の女王・ヒミコの忠実な家来。
以降シリーズに登場する”猿田型”人間たちの祖先もしくは前世。
猿田彦、猿田博士、我王、鞍馬の天狗など、共通して大きな鼻の持ち主と運命付けられているが、それぞれの編の世界観に合わせ名前やキャラクター、何ゆえにそのような大きな鼻を持ったのかの由来が少しずつ異なる。
猿田彦、八儀家正(八百比丘尼の父)は「元々醜い顔で、さらに病気で鼻が大きくなった」、猿田博士は「元よりそのような顔と鼻」、我王と生命編の猿田は「病で醜くなると同時に鼻も大きくなる」、宇宙編の猿田は「元より鼻は大きく、さらに醜くなる」、太陽編の猿田は「鼻が大きいだけでそれ以外は醜くはない」など、作品ごとで異なる。鼻が大きい理由も、猿田彦は蜂によるもの、八儀家正は鼻癌であるが、それ以外は原因不明。
雑誌版の火の鳥太陽編では鉄腕アトムのお茶の水博士の兄弟として登場していた。
単行本版では手塚治虫本人によりその部分は削除された。
基本的には猿田にまつわる人物の殆んどはその醜さから女性との縁が無い事が多いが、一部の猿田にはその容姿とは関係無しに純粋に女性(猿田とは正反対の美女)に惚れられた者もおり、その女性は後の猿田の名がつく者に繋がるとされる子孫を身籠っている。
猿田一族
- 黎明編 - 卑弥呼に使える兵士(防人)として登場。作中ではメインキャラクターとしての扱いを受けている。初登場時は鼻は大きくなかった(メイン画像参照)が蜂の群れに襲われて大きくなった。軍人としては極めて優秀であり、弓矢を切り払ったりパンチ一発で猪の突進を止めたりと身体能力も高い。卑弥呼の弟・スサノオからも高く評価されていた。邪馬台国が騎馬民族からの襲撃を受けた際、無数の矢に撃たれて死亡。
- 未来編 - 数千年後の未来、荒廃しきった地球では人類の衰退が決定的になり、大部分の人々が地下のメガロポリスで生活する中で、地上のドームで寂しく過ごす博士として登場。160歳。地球生命の絶滅を防ぐために奮戦するが、メガロポリス・ヤマトとレングードの核戦争に巻き込まれ、残された他のメガロポリス・ユーオーク、ピンキング、ルマルエーズも参戦し壊滅、人類と地球生命の事実上の絶滅を目の当たりにする。最終的にはドームに侵入した放射能に侵されて死亡。死体は本人の遺言に従い、ロケットに載せられ地球の周りを回り続ける。
- 宇宙編 - 地球と植民星の資料と物資を運搬する長距離航行の宇宙飛行士「猿田」として登場。宇宙に漂流の末に辿り着いた惑星で罪を犯す。猿田が未来永劫呪われる原因となった男。
- 鳳凰編 - 「我王」という名前(あだ名)で登場。生まれてすぐに事故で片目と片腕を失った奈良時代の男。出生と差別により盗賊としての荒んだ日々を送るが、速魚や良弁僧正との出会いと別れにより、人として深く成長していく姿が描かれる。悪人から善人へと変わっていく姿はもう一人の主人公と比べても非常に対照的な構成となっている。FC版の話はするな。
- 復活編 - 未来編の猿田博士の若いころとして登場。(といってもこのラストシーンは西暦3340年代であるため、未来編の3404年から逆算しても100歳前後とおもわれるが……)。
- 乱世編 - 鳳凰編の我王の年老いた姿として登場。鞍馬天狗と呼ばれる。奈良時代(8世紀前半)から平安時代末期(12世紀後半)まで生きてるので、なんと400歳ほどの年齢になる。この異様なまでの長寿は火の鳥の力によるものかもしれないが、詳細不明。
- 生命編 - アンデスのクローン研究所に勤める青年として登場。婚約者がいるが、何度手術しても再発する醜いデキモノがある鼻を持つ自分では釣り合わないと考えており、鼻のデキモノを駆除したクローンを作り、婚約者の元へ帰そうと考えていた。主人公・青井と一緒にクローン技術を取得しようとするが、試練に耐えられず死んでしまう(青井からは当初こそクローンマンハントの実験台にされそうになっていたが、それでも人格を評価されていた様で、死を知らされた際には相手に対して激昂している)。
- 異形編 - 主人公である八儀左近介の父親、八儀家正として登場。応仁の乱に参戦したことを切っ掛けに名もなき武士から大名クラスの身にまで成り上がった、下剋上を体現してきた男。極めて傲慢で残虐な人物として描写され、男子に恵まれなかったために主人公を女なのに男として育てる。結果的に左近介からは骨の髄まで恨まれている。後に鼻癌となり、八百比丘尼に治療を依頼するが、当の八百比丘尼が左近介に殺害されたため、それ以降の生死は不明。
- 太陽編 - 未来側の反体制集団・影(シャドー)の指導者「オヤジさん」として登場。日本を支配していた「光教団」が滅亡すると、今度は自分が適当に名付けて作った「不滅教」の教祖に就任し、日本を乗っ取る予定。雑誌版では火の鳥に裁きを受け失明するが、この展開は単行本版では削除された。
漫画以外
- 大地編 - 主人公の大学の元恩師で現在は大東亜共栄圏資源開発庁の研究センターの博士として登場。
- 火の鳥2772 - 。世界的な科学者であるが、政府に批判的な言動をしたために、アイスランドの強制労働キャンプに送られてしまう。その後、火の鳥と壮絶な戦いの果て死亡。
- 火の鳥(第二部) - 辺境の世界でただ一人研究を続ける学者。
- 舞台劇版火の鳥(火の鳥2001年編) - 主人公の愛するクローンを作った博士。
- 休憩 - 明確な猿田は登場しない。しかし、とある人物が”シワクチャな年寄りとなって夢を見る”と語る。そのシワクチャな人物こそが・・・。
- 現代編 - 全ての猿田の始まりであり、終わり。たった1コマと言われる。
手塚スターシステム
『ブラック・ジャック』では主人公の恩師である本間丈太郎医師役、『七色いんこ』では元俳優の批評家・湖月真鷲役で登場。後者では『ブラック・ジャック』の題材にもなった鼻の大きな剣士「シラノ・ド・ベルジュラック」を演じている。
特に猿田系は何かしらのプロフェッショナル(しかも凄腕)役が目立つ。
『ブッダ』ではマハーカッサパ(釈迦十大弟子の一人「迦葉」)役で出演。序盤ではコーサラ将軍・ブダイ役として鼻を患う前の姿で登場している。
関連タグ
サルタヒコ…モデルとなった神としての猿田彦はこちら。