概要
1986年11月21日に発売されたファミコン専用ロールプレイングゲーム。発売元はバップ。
西遊記を元にしたゲームだが、余りに問題点が多く、完成品とはとても思えないレベルのスッカスカな内容で今なお語り継がれている。つまらなさの観点ではファミコンゲーム史上屈指のクソゲーと言える。
現代では考えられないが、バブル景気で尚且つ情報も乏しかった当時はファミコンソフトというだけで入れ食いで売れる時代であったため、開発者3人だけで制作し、本来没になる予定であったが何故か30万本以上出荷されてしまったという話がある。
戦闘はランダムエンカウント制で、戦闘画面ではゼルダの伝説やテイルズオブファンタジアなどのように格闘ゲーム風に戦う。
主な問題点
システム面
- フィールド画面で歩くことしかできない。
- しかもその歩く速度が星をみるひとを下回るほどノロノロな上に、フィールドが異常に広い。にもかかわらずセーブ機能が無く、途中から再開するばあいコマンドを入れる必要があるが、入力方法が説明書に記載されていない。
- 食料と水は動いているだけで減るが、たまに建ってる民家で補給しない限り補充不可能。店もお金も宿も存在しない。
- フィールド画面におけるワープゾーンが透明。
- 戦闘画面が非常に見づらく、味方にも攻撃が当たってしまう。
- その味方は動きが遅く攻撃がロクに当たらない。いない方がまし。
シナリオ面
- ゲームを始めると「ながいたびがはじまる…」と表示され、いきなり悟空と三蔵法師が何もない島(多分台湾)に放り出される。なめとんのか。
- 何故か、原作において強敵として描かれている牛魔王・紅孩児が雑魚として無数に登場する。そしてラスボスがなぜか、原作において「三蔵に帰依する以前に仙人修業を積んでいた時代の悟空が留守の間に猿山を乗っ取って悟空にあっという間にやられた序盤の敵」である混世魔王。ドラゴンボールで例えるなら悟空が旅に出たらフリーザやセルが雑魚キャラとして登場し、ラスボスがブルマをさらったプテラノドンというドラゴンボールのゲームみたいなものである。
- エンディングがたった7行の文章だけ。しかも原作完全無視の文面。
その他
- 装備品や消費アイテムが一切無い。イベントアイテムが1個あるだけ。
- パスワードやバッテリーバックアップ方式のコンティニューなどできるわけがない。
- 卑猥なメッセージがROM内に残されている。
- そもそもタイトルの何が元祖西遊記なのかが不明。
余談
- このように褒める所が見当たらない本作だが、旅情感を掻き立てるフィールドBGMや、1986年当時において時間の概念をゲームシステムとして導入していた点などを、数少ない評価点として取り上げる向きもある。
- ゲームを途中から再開するためには、作中世界で点在している「都」に立ち入ると表示されるコマンドをタイトル画面で入力する必要があるが、無条件で猪八戒と沙悟浄が加わり、水と食料の状態も初期化されるため、再開よりショートカットの趣が強い。
- ボス討伐フラグは電源処理を行うまで保持されるため、ゲームオーバー後すぐ再開すると一部道中が楽になることがある。反面、ボスを討伐していない状態で一部の再開コマンドを入力すると、イベントアイテムを入手できない状況に追い込まれて詰みに陥ることがある。
- 漫画『銀魂』に登場。桂小太郎が過去に借りパクしたもので、作中での役回りは攘夷党の投擲用武器としての扱いであった。
- RTAinJapanの2023年末の冬季イベント『RTA in Japan Winter 2023』では、2人の走者がすり抜けバグを駆使し、5分を切るタイムで完走(参考)。まともなクリアすらままならなかった当時を知る者からしてみれば信じられないような光景である。
- 説明不足や表現不足な面はスーパーマリオブラザーズ等の超名作アクション等は世界観の説明もエンディングでの語りもほぼ無くドルアーガの塔等の様に謎解きにヒントも何も無いというのが当たり前の時代であるので本作だけが全く何も説明がないという訳でもない。説明書と原作で大体わかるでしょ?とするのは北斗の拳等のメディアミックス作品であるあるであり、その点は本作が特別酷いという面でもない。