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あんさんぶるスターズ!の氷鷹北斗×明星スバルのカップリング
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あんさんぶるスターズ!氷鷹北斗×明星スバルのBLカップリング

概要



「『Trickstar』の二枚看板」(『幕開け! 夢ノ咲サーカス』より)とも称される、新進気鋭の新星ユニット『Trickstar』の相棒コンビ。
アプリゲームの初期の製作段階において、全キャラクターの中でもっとも初めにデザインされたふたりである。そのためか、髪の色や性格などの設定が対照的。
スバルが北斗に甘えた様子で頻繁に抱きついてスキンシップを取ったり、北斗もスバルに硬貨を与えて自由奔放な彼をうまく懐柔したり–––––––と仲がいいように見えて、価値観の相違ゆえの衝突が多い喧嘩ップルである。彼らの諍いには、同じ『Trickstar』の真と真緒の仲裁が欠かせない。
しかし、芸能界のサラブレッドと呼ばれる北斗とアイドルとしての天性の才能を持つスバルは、互いの実力を信頼し認め合う良き関係であり、特にステージの上となると、他の誰にも追随できない抜群のコンビネーションを見せる。
お互いがお互いのことを思い合っている、月と太陽のようなカップリングである。


ストーリーごとの動向


以下、ネタバレ注意









メインストーリー


メインストーリー 第一部




「突然だけど、お金を貸してください......!」
「突然すぎるわ」

第1話、転校生へ向けてのスバルの懇願に対して北斗が登場早々にツッコミを入れるところから、物語が始まる。

「すまん、転校生。こいつの発言は無視してくれ、明星はアホなんだ」
「ひどいこと言うなよホッケ〜! 転校生の俺への第一印象が『アホ』で確定されちゃうだろ!?」
「すまん、転校生。どうか誤解しないでほしい。明星はアホなうえに異常に金に執着するが、いいやつだ。あと空気を読めない、他人にみょうな渾名もつける」
「フォローしてるふりしてフルボッコにしてるだろホッケ〜!? もっと俺を誉めてよ! あるいはお金を貸してください......!」

このふたりの会話では、以上のようにスバルが北斗にじゃれつき、それを北斗が冷たくあしらうといったやりとりがよく見受けられる。

好意をあからさまに表に出してスキンシップを取ろうとするスバルと対照的に、北斗にはスバルに対するつれない物言いや扱いが多い。
第13話で、スバルが大神晃牙に顔を踏まれたときには、
「何てことをするんだ、大神。顔はアイドルの命だぞ、あと明星の唯一の長所だ」
などと述べていた。
しかし一転して、第16話からの北斗の独白のシーンでは、北斗は感情を剥き出しにして、大切な友––––––––スバルのことを真剣に語る。

「明星は、何も考えてない馬鹿に見えるが......。こんな学院でも空気を読まずに夢を追いかけて、好きなものは好きだって胸を張って言える、清々しい馬鹿だ」
「だが、誰もそんな明星を理解できず、関わりあいになるのを避けて......。明星は、この学院から浮いてしまっていた。以前の、あいつは––––––ひとりで笑って歌って踊りつづけている、滑稽なピエロのようだった」
「あいつみたいに、夢を追いかけることが……。周りのひとを楽しませようって、笑顔を振りまくことすら、ゆるされないなら––––––この夢ノ咲学院は、地獄だ」

いつも笑っていて、自分のために怒らない友の代わりを果たすかのように、北斗はスバルのために怒り、嘆き、悔しがる。スバルの人間性を否定する、夢ノ咲学院の現状は決して許されないと、ひとり憎々しげに吐き捨てる。
北斗のスバルへの理解は、そして想いは、それほどに深い。冷たい氷の下に隠された、そうした彼の心の温かさを知っているからこそ、スバルは北斗に懐き、彼の傍にいようとするのであろう。



メインストーリー 第二部



軽音部部室にて、『三奇人』朔間零の助言を得るため、真緒を抜いた『Trickstar』の三人は彼の前でパフォーマンスをおこなった。
何時間にもわたるライブのあとも元気な様子で零に飛びつくスバルを見て、北斗は羨むようにこう述べる。

「あいつは『もの』がちがうからな、ついていくだけで大変だ」
「明星は、本来ならばもっと評価されているべきだ。俺たちに付きあって底辺を這いずり回らなくても、もっと上を目指せる逸材なのだが」(第29話)

北斗のスバルに対する高い評価が、素直に現れている箇所である。


第33話では、零の指示によって転校生と過ごすことになったスバルが、彼女に向けて自分の内面や過去を語る。
スバルには、「暗くなったり、悩んだり、困惑しちゃったりする感じ」がわからない。それが原因で、彼は一年生の頃、生徒会の圧政に俯くクラスメイトたちの中で浮いてしまっていたという。

「みんなも俺と同じなんだと思って、笑おう楽しもう、はしゃごう輝こうって、言いつづけてた。今も、その癖は抜けない。そういうのが重荷になるひともいるって、ホッケ〜たちに教えてもらえたのに。わかんないんだよね、まだ実感できない」
「痛みに気づかなくて、でも傷ついていて......。俺の心は変な具合に歪んで、おかしくなってた。それに気づかせてくれたのが、ホッケ〜たちなんだ」
「大事な仲間だ、俺の人生を救ってくれた。だから、恩返しがしたい。俺は笑って、歌うことしかできないけど。その精一杯で、みんなの夢を叶えたいよ」

北斗たちに救われるまでは、スバルは自分の心の歪みに気付かないまま笑顔を保ち続ける、「滑稽なピエロ」であった。かつて孤独に蝕まれていた彼は、北斗たちに手を引かれて闇のなかから抜け出し、かけがえのない居場所を得たのである。
なお、北斗とスバルの出会いや、『Trickstar』の結成にまつわる詳しい情報は、現時点ではまだ明かされていない。今後のエピソードの追加が待たれるところ。


そのあとスバルは転校生を連れて、後輩・紫之創が所属する『ユニット』のドリフェスを観戦しに学院の講堂へと向かう。
しかし、そこでスバルが見たものは、彼の想像を絶する悲惨な光景であった。一方的な虐殺、空っぽの観客席、大切な後輩の涙を見て初めて、スバルはこの学院の惨状を真に理解したのである。
異様なスバルの様子を心配した転校生に呼ばれ、北斗と真が講堂へと駆けつける。真っ暗な観客席で独りうずくまるスバルへと、北斗が真っ先に声をかけた。

「こんな暗いところで、ひとりで何をしている?」
「おまえらしくないぞ、そんなふうに落ち込んでいるのは......。どうもドリフェスを観戦していたらしいが、そこで何かショックなものでも見たのか?」
「相談してくれ、仲間だろう。おまえが笑っていないと、俺たちもどうしたらいいかわからない。おまえは、俺たちを照らす一等星なんだ」(第38話)

「俺たちを照らす一等星」といった台詞から、北斗の、スバルへの強固な信頼感と深い愛情が窺える。

「うわぁん、ホッケ〜!」
「むう、抱きつくな鬱陶しい。ほんとにどうした明星、いつもとはちがう方向で様子がおかしいぞ?」

スバルは北斗の真心のこもった言葉に反応すると、彼に抱きつきむしゃぶりついて泣きじゃくる。いつもの笑みを消すほど強く打ちのめされていたスバルにとって、北斗の優しさは彼の気を緩め、剥き出しの感情を放出させるものであったのである。


メインストーリー 第四部



北斗たち『Trickstar』は夢ノ咲学院を革命するため、『S1』というドリフェスのライブステージで、生徒会の象徴であるユニット『紅月』を討つ奇襲作戦を実行する。
第66話からは、自分の背中を追う形でステージへと飛び込んできた、スバルを見つめる北斗の心情が描かれる。

(……さすがだな、明星。まったく緊張していない、心の底から楽しそうだ)
(舞台で演目を披露できるのが、ほんとうに嬉しいのだろう。プレッシャーすら喜びにして前へ進める、それが明星の長所だ)

観客に向き合い、話しかけ、笑みを向けるスバルのパフォーマンスを、『Trickstar』の指針である北斗は、『紅月』のものと比較し冷静に分析する。

(誰に向かって歌うのか。アイドルとはどうあるべきなのか、明星が教えてくれる。明星は、尊敬できる偉大なやつだ。本人に言うとつけあがるから、言わないが)
(俺たちを導いてくれ、『Trickstar』の一番星)

ライブが始動したあとも、北斗はスバルを見つめて絶えず思索を巡らせていた。

(最初の明星が、観客を一気に惹きつけてくれる。明星には華がある、誰よりも煌めく才能がある。一瞬で『講堂』を支配して、観客のすべてを爆撃するように魅了する)
(俺は狙撃手だ。明星の爆撃から生き延びたものを、ひとりひとり仕留める)
(明星は天才的だがムラッ気があるしな、まだまだ自分本位だ。取り逃がしてしまうことも、かなりある。だが、それを俺が拾う。双子との特訓で、視界が広がった。会場のすべてが見渡せる、笑顔を浮かべる余裕もある)
(ひとりひとり射止めてやる、俺の狙撃銃で)

スバルの放つ熱気を浴びた観客を「狙撃手」たる北斗が的確に撃ち抜き、清涼感を届けていく。対照的なふたりの息の合ったパフォーマンスが、観客たちの心を魅了する。
それぞれが特別な強みを持つ『Trickstar』の中でも、特に顕著な実力者である北斗とスバル。この、ふたりが揃って初めてひとつのパフォーマンスが完成するという性質が、「二枚看板」と称せられる由縁であろうか。



『S1』公演終了後となる第76話では、体力を使い果たしたスバルの肩を北斗が支える、という微笑ましいふたりの様子が描かれる。

「あう~……」
「大丈夫か、明星。珍しいな、おまえが倒れるなんて」
「肩を支えてやるから、ちゃんと歩け。全体重を預けるなよ、俺も全身が疲労と筋肉痛で『くたくた』なんだ」

北斗はよろめくスバルに手を伸ばして引き寄せ、自分も疲れているにもかかわらず彼の肩を支えようとする。ここまでの段階では、北斗からスバルに対してスキンシップをとるのは極めて珍しいことであり、そういった意味でたいへん貴重な場面と言えるだろう。


メインストーリー 第五部


第91話

「……すまない」
「……本当にすまない、明星」

生徒会長・天祥院英智の策謀によって状況が激変し、『Trickstar』は解散の危機に陥る。
英智に弱みを握られているために、彼の甘言に乗る形で『fine』への移籍を決断した北斗は、『Trickstar』に残る最後のひとりとなるスバルに謝罪する。

「待てって言ってんだろ! 北斗!」

自分の言葉を聞こうとせず、ただそれだけ告げて去ろうとした北斗に向けて、スバルは大声をあげて怒鳴った。
かつて孤独に苦しんでいたスバルにとって、ひとを渾名で呼ぶ行為には、ある特別な意味が込められている。しかしそれをかなぐり捨ててまで、スバルはこのとき、北斗を引き止めるために彼の名を呼んだのである。

「ふん。初めて『北斗』ときちんと呼ばれるのが、こんな局面になるとはな」
「『ホッケ〜』って呼ばれるの、そんなに嫌だったの? だったらさ、今度からはずっと『北斗』って呼ぶから!」
「だから、行かないでくれよ! また一緒にがんばろう、俺たちは運命共同体でしょ? ホッケ〜……北斗、そう言ったじゃんか!」
「明星、手を離してくれ。悪いが、急いでいる。行くべき場所が、ある」
「嫌だ! 絶対に嫌だよ、手ぇ離したら北斗どっか行っちゃいそうだもん!」

北斗に縋りつき訴えかけるスバルを、北斗は丁寧に引き離した。そしてスバルの頭や頬を撫で、別れの言葉を告げる。

「これまで楽しかった、ありがとう。おまえのおかげで、いいや『Trickstar』のおかげで、俺はすこしだけでも『アイドル』が好きになれた」
「ありがとう」

北斗が立ち去ったあと、床にへたりこんだスバルは、涙を流して慟哭じみた声を放った。

「何だよ……。ほんとにお別れみたいじゃんか、冗談なんか似合わないぞ。笑えないよ、ちっとも! 北斗はさ、いつも前向きで……。一生懸命で、真面目で、俺たちの進むべき道を照らしてくれた」
「おまえがいなくなったら、俺はどうしたらいいんだよ!」
「北斗……!」



第116話

「ざっと調べたけど、氷鷹くんは舞台に立たなかったみたい。たぶん移籍から【DDD】まで間がなかったから、衣装とか用意できなかったんじゃない?」
「そっか。ちょっと、ほっとした……。『fine』の一員になったホッケ〜なんか、見たくないもん」

スバルと転校生が守り抜き、真と真緒が合流した『Trickstar』は、【DDD】の対『Knights』戦で無事勝ち星をあげた。束の間の休憩時間のあいだ、真から『fine』の今の状況を聞いたスバルは、悄然として本音をこぼす。



第125話〜

【DDD】決勝戦、『Trickstar』と『fine』による頂上決戦が幕を開ける。
スバルが英智に北斗の所在を尋ねると、舞台の麓から、『Trickstar』の衣装を身につけた北斗が現れた。彼は自身の相棒、スバルのもとへ歩み寄る。

「すまない。俺には、おまえたちの味方を名乗る資格はないだろう。心配させ、怨まれているはずだ。今すぐ立ち去れ、と言われたら返す言葉もない。すぐに黙って消えよう」

手を伸ばし、涙を流すスバルを撫でて、北斗は『Trickstar』の結成者であり、最後まで『ユニット』に尽くした彼をまっすぐに見つめた。

「だが赦されるのならば、もういちど俺を仲間にいれてほしい」

「俺がおまえに言いたいことは、ひとつだけだよ」
「……遅いぞ、こんにゃろっ☆」

それだけ告げると、笑顔で北斗を殴り飛ばし–––––––スバルは戻ってきた彼を、受け入れた。そのままふたりは、いつもの調子でドツき漫才を始める。
北斗とスバル、ふたりの絆が修復され、『Trickstar』に笑顔が戻った。
再び完全な形となった『Trickstar』は、この最終決戦で、最大の強敵、天祥院英智を擁する『fine』に挑むこととなる。


(以上について、会話文の繋ぎ方や、行間の彼らの動きや様子の描写は、公式小説第1巻〜第4巻を一部参考にした。)





その他のストーリー


春嵐! 花舞う桜フェス



2015年春に開催されたイベント。一部で北スバイベとの通称がある通り、最初から最後まで北スバである。
メインストーリーが完結した直後の、【桜フェス】という特殊なドリフェスを通した北斗とスバルのすれ違いが、全9話の中で描かれる。
事の発端は、『Trickstar』のみんなで花見をしたいというスバルの提案を、北斗が却下したことであった。【DDD】で勝利を飾った『Trickstar』は、全校でたったひとつの『ユニット』しか参加できない【桜フェス】の出演枠に、見事選出された。その準備や練習に注力するため、花見に参加している暇などないと言う北斗に、スバルは激しく反発する。

「ホッケ~は、仕事とお花見どっちが大切なのっ!?」
「仕事だ」
「分からず屋! いいよもうっ、そんなに仕事がしたいなら勝手にすればいいじゃんか!」

……夫婦の痴話喧嘩としか思われない会話であるがそれはさておき、「俺は参加しないからなっ、【桜フェス】とか知るか! 俺はお花見をするんだ~!」と言い残し、スバルは北斗と真を置いて、勢いよく教室を飛び出していった。
あとからまたふたりが喧嘩したことを聞き呆れる真緒に、北斗は「明星とはとことん馬があわん」とぼやく。

「おまえらステージでは、めちゃくちゃ息ぴったりなのにな。真~、おまえがしっかり見ててやれよ」
「ごめんね、衣更くん。だって、いつも気がついたらふたりとも喧嘩してるんだもん」

以上は、それぞれ真緒と真の発言。普段のふたり、北斗とスバルの関係性がよくわかるコメントである。
スバルの性質を一種の才能として理解し、大人の対応をするべきだと北斗に諭した真緒は、北斗と真ふたりと別れたあと、スバルを探しに出かける。桜の樹の上にいたスバルは真緒、そして彼と一緒に木を登ってきた転校生を相手に、彼にとって、花見には特別な思い入れがあることを明かした。

「頭ではわかってる、ホッケ~が正しいよ。俺たちは、『Trickstar』はここからが勝負なんだ」
「俺ひとりの心をちょっと軽くするために、嫌な思い出を塗り替えるためだけに、みんなにまで『無意味なこと』に付きあわせるのはまちがってる」
「そう思うよ、わかってる。俺の望みなんて、ただの子供の我が侭だって」
「でも俺はさ……ほんとにただ、みんなと無意味にお花見がしたかったんだ」


そして【桜フェス】当日。スバルは結局、【桜フェス】の準備と練習のどちらにも参加しなかった。真緒に表情が硬くなっていることを指摘され、北斗は苦々しくつぶやく。

「明星め……。以前、『Trickstar』の解散騒ぎがあったときは最後まで残っていたのに」
「あのとき『Trickstar』に背を向けてしまった償いをしようと、俺はそう思っただけなのに」
「気持ちを押しつけすぎ、だったのか。俺は焦っていたのか、わからん」
「どうすればいいんだ、俺はまた『Trickstar』のみんなでライブがしたかっただけなのに」

仲間の信頼を裏切った罪悪感を、真面目な北斗はずっと胸の内に抱えている。そのなかで、もっとも強く後ろめたい気持ちを抱いていたのは、スバルに対してであっただろう。北斗は仲間への贖罪のため、そしてまた四人揃ってライブをするために、重要な【桜フェス】の仕事を取ってきた。しかし、肝心のスバルが不在という状況に、彼は深く思い悩む。
『Trickstar』のみんなと一緒にライブがしたかった北斗と、『Trickstar』のみんなと一緒に花見がしたかったスバル。その中身は違えど、仲間を愛し大切に思う気持ちは同じだったのである。

やむをえず三人の状態で開始された【桜フェス】の舞台に、遅れてスバルが突っ込んでくる。無事飛び入り参加を果たした彼は、笑顔で仲間たちに手を振った。

「待たせてごめんね、みんな! 俺がきたからには、もう安心だ……☆」
「遅い」
「おごっ!? マイクの底で殴らないでよ痛いなぁっ、暴力反対!」
「どこで何をしていた、この役立たずめ。今さら『のこのこ』でてきたところで邪魔なだけだ、しっし!」
「意地悪……。心配かけてごめんね、でも俺だって遊びほうけてたわけじゃないんだぞ」

スバルは今まで、お花見をしているさまざまなグループに混ざって騒ぎながら【桜フェス】の宣伝をしてまわり、同時にステージでどんなものが求められるのを肌で感じてきたのだと言う。
スバルへの説教はひとまず後回しだとして、北斗は舞台に意識を向けた。
ようやくのことで四つの星が出揃い、完全な『Trickstar』のライブが始動する。

「生意気な……。終わったらスーパー説教タイムだからな、明星」
「げろげろ。説教する体力なんか残さずに、この舞台に全力集中しようよ~?」
「言われるまでもない、俺はいつでも全力を尽くす」
「信じてるよ。さぁ、歌って踊って響かせよう! 俺たちのアンサンブルを……☆」


メインストーリー序盤と、そして当イベントストーリーの内容を比較すれば、北斗とスバルの関係性が変化していることがわかる。些細なことで衝突を繰り返し、他を顧みずに素直な意見をぶつけ合うことができる関係になっているのだ。それぞれが特訓などの経験を経て成長し、また、共にさまざまな苦難を共有し乗り越えるうちに、それだけ距離が近まっていったということか。
【桜フェス】というひとつの山場となるライブを通して、北斗とスバルふたりの絆は、また『Trickstar』の結束は、さらに深く強くなったと言えよう。


「仲直りはしていない。俺はまだ、こいつの独断専行を許していない」
「独断専行っていえば、ホッケ~もそうじゃんか。勝手に仕事をとってきてさ~、こっちにも予定とか気分とかあるんだからな!」
「気分で仕事するな。だからおまえは子供だというんだ」
「何だとっ、同い年のくせに! そっちのがアイドル歴が長いからって先輩風を吹かすなよ~っ、俺がいなくちゃ何もできないくせに!」
「何だと。服を脱げ明星、分からず屋は拳で修正してやる。衣装が汚れてはかなわん、文句があるならワンワン吠えずに行動で示せ」
「やってやろうじゃん! 育ちのいい、口先だけのお坊ちゃんめ!」

決して、仕事第一の堅物旦那と構われたがりの嫁の間の夫婦喧嘩という内容のストーリーではない。……はずである。



ジャッジ! 白と黒のデュエル


『Knights』と『Trickstar』の対決を描いたイベントストーリー。


「む~、むうう~っ?」
「言ってるそばから、何をしている明星。地べたに寝そべって、券売機の下に手を突っこんでいるようだが」
「だってホッケ~、券売機の下に百円玉が!」
「百円玉を五枚集めると、もっとデカくてキラキラしてる五百円玉に交換できるんだよ!? すごいでしょ、知ってた!?」
「たいていの日本人なら知っている」

昼休みに仲良く教室を出て、賑やかな会話を交わすメンバーたちであったが。北斗、スバル、真の三人はガーデンテラスで、夢ノ咲を代表する強豪ユニット『Knights』に所属する一年生・朱桜司が、主に『Trickstar』を担当するプロデューサーたる転校生に対し、ライブ対決の話を持ちかけている現場を目撃する。
【DDD】で真の拉致監禁という策を弄しながらも『Trickstar』に敗れた『Knights』。その汚名を返上し前へと進むため、『Knights』は彼らが守ってきた伝統的なドリフェス【デュエル】のルールに則り、『Trickstar』に正々堂々、一対一の決闘を申し込むのであった。
この挑戦状を、【DDD】の『Knights』戦では不参加だった北斗は、己にけじめをつけるため、ふたつ返事で引き受けた。スバルも、四人揃って『Trickstar』でライブができることを純粋に喜ぶ。

「あはは、【DDD】のときはバラバラだったから……こうして、みんなと肩を並べて歌えるのが嬉しい! ずっとずっと一緒だよ、『Trickstar』☆」




晩夏 サマーレッスン


『Trickstar』中心のイベント。
夏休みの終わり頃、『Trickstar』のメンバーは学院に集まり、さらなるレベルアップのために厳しい練習に励む。
ランニングの後、ふざけあっている真とスバルの様子に「おまえら、仲良しすぎて気持ち悪い」と北斗が呆れて言うと、スバルは北斗にくっついて笑顔でこう言い始める。

「ホッケ~も混ぜてほしいなら、そう言えばいいのにっ」
「誰もそんなこと言ってないだろう。こら、抱きついてくるな、暑苦しい」
「そういうクールなところも好きだよ、ホッケ~☆」
「俺は嫌いだ」
「えぇっ!? ここは俺もだよって返すところでしょ!? ホッケ~、ノリが悪いなぁ」

安定のいちゃつきぶりであった。
全話を通して、他の『ユニット』のメンバーも一緒にみんなでスイカを食べたり、屋上で手持ち花火を満喫したりと、高校生らしく夏の風物詩を楽しむ『Trickstar』の様子が描かれた。
そのほか、スバルが迷子になるからという理由で花火大会に行くことを反対したり、はしゃぐスバルを尻目に、部活の後輩の真白友也に向けて「アホの明星が迷惑をかけてすまないな」と声をかける北斗の姿が見られる。




秋の満喫♪ 修学旅行


夢ノ咲学院の二年生たちによる、修学旅行イベント。出発前の学院でも、京都散策のときも、違う班にもかかわらず北斗は始終、奔放に振る舞うスバルのことを気にかけていた。
宿泊先の旅館で、スバルが中心となり同じ部屋にいたメンバーで枕投げを始めたところを、北斗に見つけられる一コマがある。

「……明星。廊下までおまえの声が響いて……って、何だこの惨状は」
「ホッケ~!? うわ、ホッケ~にばれた。ど、どどどうしよう!?」

お小言を食らうと思ったのだろう、身構えるスバルだったが、北斗は案外寛容な態度を示した。

「おまえたち……枕投げをしていたのか? それならそうと言えばいいだろう」
「就寝時間までまだ間がある。まぁ、それをすぎてまで騒ぐようなら俺も黙ってはいないが」

このあとも教師に叱られて止められるまでスバルたちによる枕投げは続き、二年生の生徒たちは『ユニット』の枠を超えて、親睦を深め楽しい思い出を残したのだった。



『仲間』


「ストーリー付きスカウト 北斗編」の北斗☆4カード 責任感と仲間]についてくる、全2話の限定ストーリー。短い話ながら、スバルをはじめ、『Trickstar』のメンバーが総出演する。

「だらしないぞ明星。もっとしゃっきりしろ」
「うう、ホッケ~の鬼! 悪魔! サリ~とウッキ~にはうるさく言わないのに、俺にだけあれしろこれしろ言ってきてどういうつもり~?」

北斗がスバルに対してだけ色々と口を出してしまうとのことだが、ここで北斗→スバルの恋愛感情を読み取ってしまうのはいささか早計である。北斗はスバルが練習を「サボりがちだから」と返答した。決してごまかしや照れ隠しではない。

「ほら明星。十円をやるから、あっちにいってろ」
「ありがとうございます北斗さま!」

スバルとお馴染みのやり取りを繰り広げたあと、北斗はプロデューサーたる転校生と彼女の考えた練習メニューについて話をする。そのときにメニューについて口出ししすぎたのを反省した様子で、北斗は「頭を冷やしてくる」と言い残しひとり練習室を出て行った。

「ホッケ~は何でもかんでもひとりで決めちゃうからな~?」
「【桜フェス】のときだってそうだったし、もっと俺たちを頼ってくれてもいいのにさ」

真の話によれば、『Trickstar』を売り出す時期を逃さぬよう、北斗は最近寝る間も惜しんで『ユニット』のために尽力しているらしい。真面目さゆえにひとりで重荷を抱え込んでしまう相棒を、スバルは気にかけ心配する。


『体力測定』



「ストーリー付きスカウト 泉編」瀬名泉☆4 カードモデルの指南]についてくるストーリー。
春の体力測定の様子を描いた全2話で、主役の泉に加え、『Trickstar』からは2-Aの生徒である北斗、スバル、真が出演する。

「ひゃっほう、これから体力測定だね……☆」
「抱きついてくるな、鬱陶しい。というか、たかが体力測定でそこまでテンションが高いんだ、明星?」

北斗とスバルは序盤から相変わらずのいちゃつきタイムに突入。
体力測定のために教室の外に出たあと、北斗たちは真にちょっかいをかける先輩・泉と遭遇する。スバルが泉を威嚇したり、北斗とスバルで真を庇ったりといった、賑やかな雰囲気のストーリーである。


感謝! ほろ苦ショコラフェス


日頃の感謝を込めて、アイドルたちがファンに手作りのチョコを振る舞う祭典【ショコラフェス】。『Trickstar』のメンバーたちはお菓子作りに詳しい嵐を講師として招き、『Rabits』と合同でチョコの製作に挑む。

「む、むむむ~むむむむむむっ」
「隣で唸るな、気が散る」

北斗とスバルは作業台の前でも隣にいるらしい。

「だって思ったよりトリュフ作りって難しいんだよ? がんばってチョコを丸めてるのに、手にくっついちゃってうまく丸まらないし」
「あれ? でも、ホッケ~は綺麗に丸まってるね。なんで、ずるいっ!」
「俺は体温が低いからな。手も、とても冷たい」
「あ、ほんとだ。すっごくひんやりしてる~☆」
「……チョコがついた手でベタベタ触るな。誤って服についたらどうする?」

バカップルか新婚夫婦かという会話を繰り広げつつ、北斗とスバルは仲良く調理を続ける。
かくして『Trickstar』のチョコ作りは無事終了し、当日のライブでも大成功をおさめたのであった。




宵の宴♪ バンドアンサンブル


『学院祭』の宣伝を兼ねた『前夜祭』に楽器演奏で参加することになった『Trickstar』。彼らは楽器の扱いが得意な『UNDEAD』のメンバーの助けを借りながら、練習に励む。

「放課後だね☆ さぁみんなっ、今日も楽しいお花見の始まりだぁ~……って桜は散ったんだった! どうすればいいのっ、俺は何を見て騒げばいいの!?」
「騒ぐな。話があると言っただろう、どこにも行かずに大人しく座ってろ。ほら明星、十円玉をやるから」
「うわぁい! さすがホッケ~、俺の扱いを弁えてるぅ~! 一生ついていくよ……☆」
「ふふん。おばあちゃんがそういうのに詳しいからな、黒ずんだ十円玉をピカピカにする方法を教えてもらったんだ。どうだ、これが本来の十円玉の輝きだ」

ツッコミが追いつかない。
……「どこにも行かずに」「一生ついていく」等の部分の深読みや邪推はしないものとして、ともかく北斗はスバルのために、わざわざおばあちゃんに教えてもらってまで十円玉をキラキラになるよう磨いて、それを持ってきていたらしい。側で彼らのやりとりを見ていた真もツッコミたくてうずうずしている様子であった。


「おまえ、親に『ほっちゃん』とか呼ばれてるんだな……。あれっ、仲良しなの?」
「普通だ。ともあれ父は理論派だが、母は感覚派でな……いちおう頼みこんで手ほどきを受けたのだが、言ってる意味がさっぱりわからなかった。むしろ、逆に混乱したぞ。『何でできないの? もっとこう、ギュオ~ンって感じ!』とか、いちいち擬音で説明するし」
「ふぅん。天才タイプなんだな、おふくろさん。スバルも、そういうところがあるよな……」

この最後の真緒の台詞で、多くの人の間に衝撃が走った。
北斗の母親は天才タイプの感覚派で、スバルに似ているという。これを裏付けるように、スバルも「キラキラした感じに近づけていけば良い音が出る」といったようなことを後から発言している。
さらに付け加えれば、メインストーリーなどからわかるように、北斗自身は冷静な思考を得意とする理論派である。彼の父親は北斗と同じ理論派で、彼の母親はスバルと同じ感覚派……氷鷹夫妻のタイプ上の組み合わせは、北斗とスバルのものにほぼ合致すると考えられる。無論、まだ北斗の両親に関する詳細な情報が出ていないので決めつけるのは早計ではあるが、とりあえず公式怖い。

「あはは。やっぱり北斗を焚きつけるには、スバルと張り合わせるのが『いちばん』だな~……。ほんと良いコンビだよ、おまえら」

上は、スバルに負けないようにと楽器の習得に励む北斗を見つめる、真緒による台詞。常に北スバの成長を見守り支え、ことあるごとに名台詞を残してくれる彼には、感謝してもしきれない。
他にも、アドニスを励ますために、北斗とスバルがそれぞれハーモニカとオカリナに声を吹き込んでふたりで演技をしてみせる、といった微笑ましい場面などがあった。



リメンバー 真夏の夜の夢


『Trickstar』と『Knights』に焦点を当てたイベント。
『Trickstar』は【DDD】や【デュエル】で因縁のある『Knights』と共に、花火大会の日に合同ライブを行うことになる。真と泉の関係や、年末に『SS』を控えた『Trickstar』の今後の課題が明らかになったイベント内容であったのだが。
北斗とスバルに関して、なんと言っても話題を集めたのが、北斗に対するスバルのこの発言。

「ウッキ~ばっかりずるいっ、俺も撫でて! 耳の裏とか撫でて~♪」

耳の裏を撫でる。仲良しの友人では済まされない、恋人同士にしか許されないコミュニケーションである。このスバルの爆弾発言により、赤飯を炊くPが続出した。
また、イベントストーリーとは離れるが、北斗のプロデュースコースのひとつで「明星くんも撫でてあげて?」という選択肢を選ぶと、

「明星か......。撫でたが最後、暑苦しく絡まれる気がする」
「さっきも耳の裏を撫でてほしいとまとわりつかれたからな」
「あれを振り切るのには苦労した......」

といった会話が見られた。
またもうひとつのパターンでは、

「......そうだな。あとで明星も撫でてやるか」
「遊木を撫でておまえまで撫でたと知ったら明星のことだ、ずるいと騒ぐだろう」
「ならば、同じことをしてやったほうが被害は少ないはずだ」

とのこと。結局北斗はスバルがねだったとおりに、彼を撫でてやったらしい。本当にありがとうございました。



咆哮 夜空のROCKIN' STAR


『Trickstar』と『UNDEAD』を中心としたイベント。友人の晃牙が『ロックフェス』に共演する『ユニット』を探し奔走していることを聞いたスバルは、大切な友人を助けるために立ち上がる。

「ホッケ~......!」
「うぉっ、ビックリした! 弾丸みたいに飛んできたな。北斗、大丈夫か? スバルも馬乗りになってないで退いてやれよ~?」

かくして仲間の待つ防音レッスン室へと駆け込んできたスバルは、中にいた北斗を見つけるなり彼に飛びつき、馬乗りになった。馬乗りってそれもう騎乗......
ともかく北斗はスバルの頼みを受け入れ、リーダーの承諾を得たことで『Trickstar』は無事に『ロックフェス』に出演できることが決まったのだった。



スカウト! 薔薇十字物語


北斗の所属する演劇部を中心とした、限定スカウトのストーリー。スバルは夏目と共に、2-Aのメンバーとして登場する。

ガーデンテラスで昼食を摂っていた北斗を見かけた夏目は、「ホッケーくん」と親しげに話しかける。しかし北斗はその呼び方に対して、苦々しい反応を見せた。

「……逆先。何度も言うようだが、『ホッケー』って呼ぶな」
「エェ~? バルくんにはそう呼ばせてるじゃン、バルくんだけ例外ってこト?」

明るい口調でわざとらしく北斗をからかう夏目であったが、次第にスバルについて、そしてふたりの関係性について、いまだ誰も触れていない部分にまで鋭く切り込んでいく。

「そうだネ。バルくんは、『ひと』の話は聞かなイ」
「だけど君が心からそう望めバ、ちゃんと聞いてくれるはずだヨ」

「君は彼の世界観のなかでは希有な、対等な人間だからね」

スバルの過去を熟知する夏目の言葉は、限りなく重い。
「孤高の天才」であるスバルの世界には、彼と肩を並べられる存在はほぼないに等しい。自身と同じくスーパーアイドルの血を継ぎ、人一倍恵まれた条件を持つ北斗だからこそ、そして、「才能の差は、努力で埋められると証明してやる(バンドアンサンブルより)」と豪語してみせたように、差をつけられても追いつこうと前向きに突き進む情熱を秘めた北斗だからこそ、対等な「相棒」でいられるのだろう。

そのあと、教室に入ってからも夏目はわざとスバルを刺激し、彼の内面を暴き出してくれる。

「ごめんねバルくん、お友達をとっちゃッテ♪」
「べつにとられてないし。ふたりって、仲良しだっけ? 今日の昼休みにも、一緒にごはんを食べてたみたいだけど~?」
「いや、あれは逆先が一方的に絡んできただけだ」
「いいけどね? ホッケ~が誰と仲良くしようが、俺には関係ないし~?」


太神楽! 祝いのニューイヤーライブ


年明け最初に開催される、隠し芸大会とライブパフォーマンスを合わせた特殊なドリフェス【太神楽】。年末の『SS』を乗り越えた『Trickstar』は、この舞台で『紅月』と直接対決することとなる。

『SS』で実績を残したことで、周りの自分たちへの反応が変わってしまったのではないかと不安を感じ、なかなか登校することができずにいたスバル。しかしそんな彼を、彼の仲間たちは『これまでと同じ態度』で受け入れた。

「遅いぞ明星」
「あ痛っ!? もうっ、ホッケ~まで殴る! 暴力反対!」
「俺はお餅じゃないよっ、いつまでお正月気分なの? 気を引き締めろっ、相棒......!」

今までと同じ扱いをされてむしろほっとしたのだろうか、北斗に殴られたスバルは嬉しそうに軽口を叩く。
アプリゲーム内で、北斗とスバルが「相棒」と表現されるのは初めてのことである。めでたい。


「太りにくい体質なんだ、昔から。明星は逆に痩せてないか、大丈夫か?」

【太神楽】当日には、正月明けのスバルの体型を気にする北斗の姿が見られた。リーダーとして、日頃からメンバーの体型をチェックしているのだろうか。それにしても、北斗がいつも必要以上に元気なスバルに対して「大丈夫か」と気遣い、心配して声を掛けたということは特筆すべきであろう。
しかし、このあとすぐ、さらに衝撃的な事実が明かされる。

「うちの父が、おまえのことを心配していたぞ。何度か『スバルくんと母上をうちに招いたらどうだ』、とか言っていた」
「おぉう、気を遣うなぁホッケ~パパ。母さんに聞いた話、これまでも随分と良くしてもらったみたいだし......これ以上、甘えるのはちょっと申し訳ないかも」

北スバ、家族ぐるみのお付き合いをしていたことが判明。

数多くのキャラクターが登場するあんさんぶるスターズ!の中でも、親同士が親交を持っているという例はほとんどない。北斗とスバルの関係は、特別と言って差し支えないだろう。
しかし、明星家と氷鷹家の関係は、いつから始まったのか、生死さえ不明のスバルの父と北斗の父に面識があったのか否か––––––––現在の距離感も含めてすべてが謎である。今後の情報追加が待たれるところ。
スバルの父と北斗の父について現在時点出ている情報については、『余談』参照。



追憶 春待ち桜と出会いの夜


※いつも以上に長いのでご注意ください



「すう、すう……♪」
「うむ、幸せそうな寝顔だな……。起きろ明星、だらしない態度をとるな。恥ずかしい」

『Trickstar』が【DDD】優勝を飾った、その翌日のこと。四人は教師から呼び出しを受け、職員室に集まっていた。北斗は職員室のソファで熟睡するスバルを叱責する。
一年前、桜に願掛けをしていたことを思い出したスバルが突然飛び起き、一目散に飛び出して近所の桜公園へと走って向かってしまうと、北斗は職員室に真と真緒を残し、スバルを追いかけていくのだった。
あとに取り残された二人はスバルの台詞から、一年生だった頃の記憶に思いを馳せる。


プロローグ後、物語は一年前の回想へ。
北斗とスバルは、共に1-Aに所属していた。同じクラスにもかかわらずほとんど会話したことすらない様子で、どこか奇妙で不安定な距離感の二人が描かれる。

「……」
「うお、ビックリした!?」

放課後の教室でスバルが夏目と話していたところ、忘れ物を取りに戻ってきた北斗が不意に現れる。北斗はスバルに取り入ろうとする夏目のことを批判し、スバルに忠告を与えた。

「ふん……。おまえは『明星』だな、あまり逆先とは関わらんほうがいいぞ」
「俺たちを、というか俺やおまえの親の名声を利用して何か悪巧みしているだけだ」
「関わっても、損しかせん。逆先の噂ぐらいは聞いてるだろう、そいつは危ないやつだ」

日直の仕事をしていた、と言うスバルに、クラス委員長として日直の当番を把握していたのだろうか、疑問に思ったらしい北斗は真面目にも、率直に問いかける。

「おまえ、日直だったか? 誰かに、仕事を押しつけられたのか?」
「……手伝おうか?」
「ううん。大丈夫だよ、夏目が手伝ってくれるっぽいし。もう、だいたいぜんぶ終わっちゃってるから」
「そうか。それなら、いい。……邪魔したな、また明日」

それだけ言い残し、北斗はあっさりと去っていった。
さほど親しくない相手でも、不当に仕事を押し付けられていると知ればすぐに手を貸そうとするところに、冷たく見える彼の人柄が窺われる。


夜、校内の敷地を大吉を連れて散歩している途中、スバルは駐輪場で晃牙と出会う。自分と一緒にがんばってほしい、自分の友達になってほしいと話すスバルの願いを、晃牙は『仲良しごっこ』にすぎないと跳ね除けた。彼が立ち去ったのち、スバルは深く思い悩む。

(独りで戦う覚悟、か。でもガミさん、独りじゃどんなに強いひとでも潰れちゃうよ)
(父さんもそうだった……。だからせめて、背中を預けられる相棒が欲しいんだけどな)


そしておそらく、同じ夜の桜公園。無事演劇部に入部届を提出した北斗は、ひとり思考を巡らせていた。

(……駄目だな。誰かを、他者を求めてしまうなんて。俺は独りでも平気だし、誰にも俺の気持ちなどわからない)

「独りでも平気」という言葉が、直前のスバルの独白と対比される場面である。
王子を演じていた北斗は、桜の樹の根元に蹲るスバルの存在に気づく。声は掛けようとせずに、離れたところから見つめながら、

(『あの明星』の、忘れ形見……。俺と立場が似ているのでどうしても意識してしまうが、よくわからんやつだな)
(実力は飛び抜けている。俺よりも、あらゆる点で優れている)
(悔しいが、それは事実だ。ものがちがう。だが、いまいち何がしたいのかわからん……)

北斗はメインストーリーなどで、繰り返しスバルの才能・実力を評価しているが、その認識はこの時期からすでに始まっていたことらしい。
その有り余る才能のせいで周囲から浮いているにもかかわらず、懸命に周りの人間と同じ顔をしようとするスバルを、北斗は「変人」だと称し心の中で語りかける。

(馬鹿だな。夜空の星は、遠くから眺めているから綺麗なんだ。それが接近してきたらみんな怯えるし、激突すれば大惨事になる)
(そんなこと、おまえもとっくに気づいているはずだろう?)

黙って立っている北斗に、蹲っていたはずのスバルが突然「ねぇねぇ!」と声をかけた。北斗は動揺した様子で聞き返す。

「……? えぇっと、何だ? 俺に、呼びかけたんだよな?」
「うん! ねぇ、きみって『王子さま』なの?」
「……先ほどの俺の小芝居を、見ていたのか?」
「ん〜? 俺の願いが叶って、お空の星から王子さまが降ってきたのかと思ったんだけど?」

スバルはこのとき、彼の演技は関係なく、北斗のことを「王子さま」だと思い込んでいたらしい。
スバルにとって北斗は、桜と星とが奇跡的に出会わせてくれた、「王子さま」という希望そのものなのだろう。しばらく同じ教室で過ごしてきたとはいえ、二人の真の「出会い」はこの場面であるとも言えるのではないか。実際にこのときのスバルの願いを叶えるように、北斗は彼が望んだ「相棒」として、そして大切な仲間のひとりとして、一緒にキラキラ輝く舞台に立ってくれることになるのだが……それは、まだまだ先の話である。

「願い? おまえの願いとは何だ、おまえなら望めば何でも手に入るはずだろう?」
「俺とちがって、本当に才能があるんだから」
「『才能』って嫌いな言葉だな〜。それって、そんなに大事? それがないと生きていくこともできない、内臓か何かなの?」
「どっちかっていうと、俺にとっては他の誰も持ってない内臓をひとつ余計にくっつけられちゃった感じかも」
「もうそんなの、ちがう生き物だよね」
「だから誰も、友達になってくれないのかな」

北斗の使った『才能』という言葉が、スバルの痛ましい本音を引き出した。スバルは大吉を抱きかかえたまま、寂しげな表情で星空を見上げる。

「……あれっ、きみって同じクラスの氷鷹くん?」
「誰だと思っていたんだ」
「いや、ほんとに遠いところからきた『王子さま』かと思った。何だかとっても、それっぽい雰囲気だったし」

スバルは本当にこの瞬間まで、北斗が誰だかわかっていなかったのである。
さらに後から、帰り道だったらしい真と真緒が、桜公園で話すふたりの前に揃って現れる。星の光と桜の樹に導かれるようにして、のちに『Trickstar』となる四人が初めて集ったのだ。
すぐに帰ろうとする北斗を、スバルははしゃいだ様子で引き止める。

「じゃあな、明星。……また明日、教室で会おう」
「あぁん、待って待って! もっと仲良くお喋りしようよ、王子さま〜♪」
「王子さまって呼ぶな」

それを見ながら真緒は、「はは。よくわかんないけど、賑やかだな〜……。変な連中♪」と笑う。北斗とスバルのやりとりを見守る真緒という図は、ここから始まっているのだろうか。

「現実を見ろ。大人になれ」
「え〜? 夢ぐらい見てもいいじゃん、俺たちまだ子供だし!」

のちに、「現実」を受け止め英智から提示された「大人」の判断に従い、『Trickstar』を離れることになる北斗と、自分を「子供」だと思いながらも最後まで相手に屈さず、「夢」を諦めずに『Trickstar』であり続けたスバル。メインストーリーの内容を暗示するような会話である。


季節は移り変わり、秋。ソロ活動をしている、成績トップクラスの一年生から選抜されたメンバーのみでおこなうドリフェス【金星杯】で、北斗とスバル、そして真、真緒は初めて同じ舞台に立った。

「黙っていろ。ほら動くな、明星」
「ひゃっ、うひゃひゃ☆ やめてっ、超くすぐったい!」
「動くなというのに。暴れるなよ、衣装に皺が寄るだろう」
「んん〜、ひとに着替えさせてもらうのって変な感じ! ちっちゃい子じゃないんだから、自分でお洋服ぐらい着たり脱いだりできるよ?」

本番前の着替えの手伝いにくわえ、簡単ながらメイクまで北斗にしてもらっているスバルは、終始落ち着かない様子であった。

「至れり尽くせりだね、偉いひとになった気分」
「ふん。舞台の上では、俺たちが王さまだ」
「え〜、氷鷹くんは『王さま』じゃなくて『王子さま』でしょ♪」

またもやこの台詞。桜の樹の下で出会ったあの日以降、スバルは嬉しそうに「王子さま」と繰り返す。

「俺はおまえとはちがう、明星。ちゃんと毎日、こつこつ努力して己のなかに技術や経験を積み重ねている」
「偉いよね〜、氷鷹くんは。嫌味とかじゃなくてね、ほんとに尊敬する」
「俺は何か春ごろにはもう、一生懸命やるのも馬鹿馬鹿しくなっちゃったよ」

「……ドリフェス制度、俺はあまり支持していないけどな」
「謹厳実直に授業を受けたりするやつより、たまに派手に仕事をしたやつのほうが評価されるし」
「アイドルってそういうもんじゃないの。実力主義、成果主義でしょ……。俺と氷鷹くんじゃ、努力の方向がちがうってだけ」

ドリフェス制度で一気に成績を伸ばしたスバルと、今までこつこつと地道な努力を重ねてきたぶんそういったものに反感を覚えずにはいられない北斗。このあたりで、北斗とスバルの生き方は大きく分岐したのだろう。初めは真面目に授業に出て、何もかもに全力で取り組んでいたスバルは、そうすればそうするほど周囲から浮き、さらに孤独を深めていった。やがて「馬鹿馬鹿しく」なってしまった彼は面倒なものを放り捨て、頻繁に学校を休んだりと奔放に振る舞うようになった。北斗はその間も変わらず、周囲を気にせずにただ黙々と、己を磨き高めていたのである。
また、北斗はここでスバルのことを「運命を味方につける、主人公気質」とあらわしている。


「……とりっくすたぁ?」

渉を評する北斗の台詞に出てきた「トリックスター」という単語にスバルが興味を示すと、北斗が演劇部らしく説明を付け加えた。

「知らないか? 狂言回しなどともいう、舞台を引っかき回すような役柄だな」
「トリックスターかぁ、お星さま(Star)の悪戯(Trick)って感じ?」
「あぁ、スペルがちがう。StarじゃなくてSter……って、口で言ってもわからんか」

過去に出た雑誌の情報によれば、『Trickstar』の名付け親はスバルということになっている。北斗とのこの会話が、彼らがのちに『ユニット』を立ち上げた際のネーミングにつながっているのだろう。

「今回だけの短い付きあいだろうが、よろしくな……明星」
「うん! よろしくねっ、王子さま〜♪」
「だから王子さまって呼ぶな」

そんな会話をする彼らは、のちに同じ『ユニット』を組んで学院の体制に反旗を翻すことになることなど、まだ想像すらしていない。

ステージの上で本番前の練習に励む北斗とスバルを、後から遅れてやってきた真緒はじっと見つめる。

(あいつらが、 A組の代表? 氷鷹と明星か……まぁ、順当だな)
(でも、あいつら何でソロでやってんだろ……。どっちも有名アイドルの子供だし、扱いづらそう〜って敬遠されてんのかな)
(はは。しかしまぁ……めちゃくちゃ楽しそうに歌って踊ってるな、あいつら)

本人たちは無自覚かもしれないが、楽しんでいる様子の彼らを見て真緒は苦笑する。
未来の「相棒」となる二人が、初めて同じ舞台で、声を合わせ、歌い、踊った。性格の不一致や考え方の違いなどから何かと噛み合わないことの多い北斗とスバルであるが、すでにこのときから、ステージの上では抜群の相性を見せている。

本番が始まると、スバル、真、真緒の心境が順に描かれたのち、北斗の心内描写に移る。

「不思議だな、俺は故障でもしたんだろうか。足が、手が、勝手に動く」
「喉の奥から歌声が溢れてくる、身体の内側で命が燃えている」
「理屈がわからない。最も不可解なのは、それが快いということだ」

本来ならばこのライブでは体力を使い切らず、消耗を抑えて次の演劇部としての公演に備えるべきなのに、身体が勝手に動いてしまう。今までひたすら機械的に、ただただ正しい道をまっすぐに進んできた北斗は、己を突き動かす人間らしい感情、身体の内側から湧き上がる情熱に困惑する。そんな北斗に、スバルは笑顔で手を差し伸べた。

「お〜い、もっともっと歌って踊ろうよ! みんな一緒に……☆」
「最高に楽しいよ! ほらおいでっ、手ぇ繋いで踊ろう……王子さま♪」
「だから、王子さまって呼ぶな」

スバルの☆5カードにもなっているこの場面のスチルでは、スバルは迷う北斗を前へと引っ張りだすように、輝かしい場所へと連れ出そうとするように彼を振り返って、しっかりとその手を握っている。☆10。

「ん〜、でもさ、きみって名前で呼ばれるのが苦手っぽいから」
「俺と同じで、『親の七光り』に灼き尽くされちゃいそうなんだろうなって……」
「だから共感できるし、きみとは仲良くできそうな気がするんだけど」

スバルがのちに北斗につけたあだ名の「ホッケ〜」は「ほくと」に由来する。北斗の名字ではなく、あえて下の名前からあだ名を考えたのは、こういった彼の気遣いがあるからなのだろうか。

「……仲良くしてどうする。アイドルに友達は不要だ。俺やおまえの父親は、孤独なまま頂点に立ったスーパーアイドルだった」
「だから俺も、独りぼっちで当然だと、ずっと思って生きてきた」

「ずっと思って生きてきた」という過去形の言い方から、このとき初めて、北斗のこの思考に迷いが生じたことがわかる。まだ立ち止まっている状態の彼に、スバルは明るく笑いかけた。

「俺もだよ。……でもさ、そうじゃなかったとしたら?」
「独りで歌わなくても良かったなら、肩を並べて同じ夢を目指せる友達がいるのなら! 最高に嬉しいよね、幸せだよね!」
「俺はそう思うよ、きみはどう?」

そう問いかけられた北斗は、彼らしくしっかりと考え、真剣な答えをスバルに返した。

「……わからない。だが、思案してみる価値のある命題だ」
「親の人生をなぞるだけなら、何のために生まれてきたのかわからないものな」

今までの生き方を考え直し、北斗は、スバルの手を握り返して微笑んだ。

「だとしても。今、ようやく目覚めることができたような気がする」
「あはは。眠り姫を起こすのは、きみの役目でしょ……王子さま♪」

スバルに手を引かれたこの瞬間、北斗は真の意味で「目覚め」た。無から有が生まれたのではなく、ずっと彼の中に眠っていたものが目を覚ましたのである。ちいさな子供の頃から、両親の望むアイドルになるために個性を封じ込めてきた彼のあつい情熱が、このとき壁を突き破って溢れ出した。北斗はようやく、新しい自分としての一歩を踏み出せたのだ。その喜びは、スバルの手を握る北斗の生き生きとした笑顔にあらわれているだろう。言うまでもなく、先述したスバルのカードスチルとこの北斗のカードスチルは対になっている。二枚合わせて☆100。
(余談ではあるが、このときの「眠り姫」はスバルのことではないか、という受け取り方ができなくもない。北斗を目覚めさせたスバルによる「眠り姫を起こすのはきみの役目でしょ、王子さま」という発言は、これでは立場が逆、ということを暗に匂わせているとも取れる。春にスバルが北斗のことを、自分の願いを叶えるため星から降ってきた王子さまだと思ったこと、エピローグのあの台詞もあわせて考えると……。もちろん演劇部の公演での眠り姫役は渉であるので、どこまで読み取るかは読者の判断に委ねられるだろう。)



エピローグ。回想が終わり、場面は【DDD】翌日に戻る。
まだ明るい桜公園にて、北斗とスバルは思い出話に花を咲かせていた。後から追いかけてきた真と真緒、そして転校生も加わり、『Trickstar』が今の形になった経緯などの話題で仲良く歓談する。

「今年はいつ咲くのかな、桜。俺、すっごいお花見したい♪」
「そんな余裕があるのか? 【DDD】には勝利したものの、何もかもまだ始まったばかりだ」

と、北斗とスバルはこのとき、桜フェスの内容につながる会話をしていた。
願掛けに用いたビー玉を掘り起こそうとするスバルを、北斗がたしなめる。

「余計なことをしていないで、さっさと行こう。俺たちの物語は、まだ始まったばかりだ」
「ここで満足して、『めでたしめでたし』だと思われても困る」
「はいはい。わかってるよ王子さま、俺をどっか輝かしいところにつれていってね♪」
「舞踏会とかにか? というか久しぶりに言うが、王子さまって呼ぶな」
「俺は王子さまでなく、おまえと同じように、アイドルになったんだ」

このあたりはもはや語る必要などないので、それぞれ噛み締めていただきたい。(やっぱり王子と姫……)(でも今はアイドルとアイドル……)
致死量を超える北スバ要素と彼らの強すぎる運命力に殴られしばらく日本語を話せなくなる民が続出した、まさしく伝説級のイベントである。ただし今回の回想部分のみでは、夏の期間や『Trickstar』結成時の話など語られなかった部分も多いので、これからの情報追加が待たれるところ。


輝石 前哨戦のサマーライブ


年末に『SS』を控える『Trickstar』は、生徒会長・英智の計らいにより、玲明学園に所属するアイドル『Eve』との合同ライブを行うこととなった。

「どうしたのホッケ~、今日はやけにピリピリしてない?」
「いつもどおりだ。いや、そうでもないのだろうか......」

北斗が、玲明学園の生徒が同席する【サマーライブ】の打ち合わせに向かっていたところ、大吉の散歩中だったスバルと校内で鉢合わせする。スバルは、自身も気づいていなかった北斗の緊張を敏感に感じ取った。
二人はそのまま、しばらく雑談に興じる。

「おまえは愛想よく応えるわりに、基本的に他人の要求は聞かずに『でも』『だって』って自分の意志を押し通すな......。この頑固者め」
「それはホッケ~も同じじゃない? 俺たち似たものどうしだね!ずっと友達でいようね☆」
「似ているか? 正反対だと思うぞ、おまえには世界がどう見えているんだ?」

「似たものどうし」という表現に北斗は納得いかない様子であったが、物事の本質を感覚的にとらえることができるスバルの台詞であることを考えれば、的を射たものと言えよう。
北斗とスバルは正反対の似たものどうし、なのである。

「まぁいい。おまえと話していたら気が抜けて楽になった、ありがとう明星」

そう言ってスバルと別れ、北斗は生徒会室へ向かっていった。
なお、そのあと北斗は生徒会室にいた英智から「ちょっぴりご機嫌な様子だね、何か良いことでもあったのかな」と指摘される。いったいどのような様子だったのか。ぜひ映像化をお願いしたいものである。

【サマーライブ】本番で、『Eve』の謀略にとらわれた『Trickstar』は彼らのパフォーマンスの背景的な存在となってしまう。それぞれにとっての収穫はあったものの、『Trickstar』と夢ノ咲学院にとっては惨憺たる結果となった。
ライブ後、スバルに抱きつかれた北斗はこのような発言をする。

「抱きつくな、明星。暑苦しい......。いつもより過剰に元気よく振舞っているな、一方的に負かされてさすがにおまえも凹んでいるのか?」
「空元気は痛々しいが、しょんぼりしても仕方がないものな」

何かと鈍感な北斗が、ここでスバルの空元気を見抜いたのである。この台詞には、非常に重要な価値があると言えよう。




迷い星✳︎揺れる光、プレアデスの夜



アイドル活動を取るか、それとも占い師としての道を取るか。逆先夏目の苦悩、そして決意までをえがく『Switch』を中心としたイベント。
夏目の友達として、何か力になれることはないかと頭を悩ませるスバルに、北斗はこう声を掛ける。

「ふむ、よくわからんが。どういう事情だ、明星」
「何か困っていることがあるなら、相談してくれ。仲間だろう、おまえの悩みは俺たちの悩みだ」

メインストーリー第38話『暗闇』での「相談してくれ、仲間だろう」という発言を想起させる、頼もしく優しい台詞である。



余談



イベントストーリーなどから、北斗とスバルの父親について、まとめて言及されている箇所を抜粋した。


『嘘つきたちの偶像』

「明星先輩や氷鷹大先輩の時代ならいざしらず、『たったひとりのズバ抜けた英雄』が存在しにくいご時世ですしねっ?」
「『SS』といえば若手アイドルの登竜門っ、あの明星先輩や氷鷹大先輩すら優勝を逃した難関です!」


『リメンバー 真夏の夜の夢』

「働き過ぎると鬱になるよ~、さいあく過労死するよ。たまには、気ぃ抜こうよ」
「(プレイヤー名)がいなくなったら、嫌だな。本人はそれで満足かもしれないけど、残された人間の気持ちも考えてほしいよね」
(あぁ……。そういえば、この子は『明星先輩』の……)


(いいや、必ず勝とう。父さんすら優勝を逃した『SS』を制すれば、俺はようやく胸を張れる気がする)
(アイドルとして。両親の息子としてではない、俺自身として。氷鷹北斗として)


『追憶 集いし三人の魔法使い』

「やっぱり入学したときに話題になってたのは、氷鷹北斗くんでしょうか」
「あぁ、芸能界のサラブレッド……。彼については今はまだ判断できないなぁ、単なる親の七光りかもしれないし。そういう意味では、明星スバルくんもまだ保留かな」
「えっ、明星? 明星って、あの明星ですか? 息子さんがいたんですね~、うちの学校の卒業生じゃいちばんのスーパースターですよね?」
「いちばんの汚点でもあるけどね。まぁ、一学年についてはまだ保留かなぁ……」

『太神楽! 祝いのニューイヤーライブ』

「うちの父が、おまえのことを心配していたぞ。何度か『スバルくんと母上をうちに招いたらどうだ』、とか言っていた」
「おぉう、気を遣うなぁホッケ~パパ。母さんに聞いた話、これまでも随分と良くしてもらったみたいだし......これ以上、甘えるのはちょっと申し訳ないかも」

「でも夢ノ咲学院の出資者ってことは、俺の父さんのこととか知ってるひともいるんじゃないですか」
「そのせいで、俺のせいで……。『Trickstar』のみんなが色眼鏡で見られたり、変な野次られかたをされたりしたら嫌だな~って」
「『SS』でも、似たようなことがあったしさ」


『追憶 春待ち桜と出会いの夜』

「君の父親にも、そんな『戦友』がいてくれたら……あのような、悲劇的結末を迎えずに済んだのかもね」

「ふん……。おまえは『明星』だな、あまり逆先とは関わらんほうがいいぞ」
「俺たちを、というか俺やおまえの親の名声を利用して何か悪巧みしているだけだ」

「『あの明星』の稼ぎが残ってるなラ、人生を何度も遊んで暮らせるぐらいの財産はあると思ったけド」
「いや〜、うちの父さんぜんぜんお金に頓着しないタイプだったから、あちこちの慈善団体に寄付とかしてたし」

(独りで戦う覚悟、か。でもガミさん、独りじゃどんなに強いひとでも潰れちゃうよ)
(父さんもそうだった……。だからせめて、背中を預けられる相棒が欲しいんだけどな)

(あとは、ひたすら努力を重ねれば……。父のように母のように、俺も一角の人物になれるはずだ)
(もう誰にも、親の七光りなどと言わせない)

(『あの明星』の、忘れ形見……。俺と立場が似ているのでどうしても意識してしまうが、よくわからんやつだな)

(仕方ないんだ。そういう運命なんだ。父さんと同じように、死ぬまでずっと俺は独りぼっちで舞台に立つんだ)

(でも。そんなふうに思わなくても、良かったのかな)
(せめてみんなが口に出すのも避けて、忌み嫌って……)
(『いなかったこと』にされた父さんのぜんぶを、受け継ぐことだけを望まなくても)

「……仲良くしてどうする。アイドルに友達は不要だ。俺やおまえの父親は、孤独なまま頂点に立ったスーパーアイドルだった」

「ううん。父さんと同じかそれ以上にすてきな、キラキラした舞台に立ちたいって」
「俺は父さんに比べたらちっぽけな、生まれたての星だけど」
「ずっと孤独だった父さんとちがって、大事な、大好きな仲間たちと一緒に最高のステージで歌って踊れたんだ」
「だからねぇ、俺の夢は叶ったんだ」

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