※以下、漫画『アンデッドアンラック』の重大なネタバレが記述されます。
コミックやアニメでこれからを楽しみにしてる人達は閲覧注意。
概要
戸塚慶文の漫画『アンデッドアンラック』で、特異事項「ループ」の経験を基に決行された作戦。
旧世界(100回目のループ)にて、ある否定者の意志を受け継いだ戦略を根幹に、UMA(ユーマ)と古代遺物(アーティファクト)と否定者の超理的な事物を組み合わせた計略。
そして、不変の乙女たちが巡り会った【変わる私】を肯定する変化の秋(メタモルフォール)である。
作戦立案
新世界(101回目のループ)にて始動した、第1回目の課題(クエスト)-課題の否定(パス)⇔発表(オープン)を繰り返して引き当てた試練-にて、課題(クエスト)を成功(サクセス)させるための作戦会議が行われた。
今次の課題(クエスト)は2つ。
UMAオータムの討伐
不可避(アンボイタブル)の否定者を捕獲
ループの経験則、事前の調査、現在の戦力、これら諸々を鑑みて先ずは【UMA(ユーマ)の討伐】へ動く方針に決まる。
課題対象・UMAオータムは厄介な特徴を有している事がループの経験で判明しており、主に3つの難点―
- 接近すれば、爪などの接触で生物は本に変化させられる
- 離れて様子を窺っても、爪ミサイルの攻撃によって本化させられる
- UMAオータム自身は強固な装甲と再生能力がある
を攻略する事が検討される。
なお、前回(100回目のループ世界)では否定者6人がかり-ん?6人だっけ?-でやっと討伐した難敵であったのに対し、今回(101回目のループ世界)は戦力が不十分の体制で挑む状況。
仲間たちから出された現状案には、1.と2.の攻撃に物体撒布(チャフ)の科学力で対抗する防御策が出された。これは簡略すると『適当なものバラまいて本にさせてバリア作っちまおう』って話で、その有効性から即採用された。
そして肝心の攻撃は【不変の否定者:ジーナ=チェンバー】が要と挙げらる組織の女ボス。
この時は不変の否定能力が移行したばかりの時期であり、まだ力不足に業(ちから)を使えていなかったジーナ。集中してもコップ一杯の水を短時間しか【固定=流動を否定する】が精一杯であった。
でも、もし能力操作を熟達するまで変えれれば、今回のUMAオータムですら一撃で倒せる能力戦闘へ変移させれる可能性を秘めていると指摘する現組織のボス。
ただし能力拡張は、長い月日を費やし修練するか、何か衝撃的変動(インパクト)のある機会(イベント)で爆発的な成長でもないと困難な分野。
そこでジーナ=チェンバーの可能性を拡げる奇策として―
組織の女ボス(ジーナの最強を体験している者)がUMAオータムの攻撃を受けて本になる
1.の人物が状態変化した本【人生の全てが具現化した書籍】に入れる古代遺物(アーティファクト)でジーナ=チェンバーを導き、本の世界で経験値を獲得する。
この不可思議な過程の要点には、旧世界(100回目のループ)の激強だったジーナが辿り着いた【不変(アンチェンジ)の解釈】を学ぶことだった。きっと、前回のジーナさんにしか辿り着けなかった真実(ひみつ)があるからと。
しかし仲間たちからは、もし失敗すれば〈本になったままのボス〉という危険(リスク)、なにより作戦の要になったジーナ=チェンバー(組織へ入りたてな10代の少女)への負担が大きいなどの文句が飛び交うも―
や… やってみるよ
ボ… ボス!!
不安はあるが、それよりも期待に応えたい意思を強く主張する不変の少女。
斯(か)くして、1人の少女に課題(クエスト)の成功(サクセス)が託された、不確定事項(アンチャーテッド)もある作戦が始動する。
作戦開始
【1999年 1月9日】変化の秋作戦開始
UMAオータムと対峙する課題(クエスト)の挑戦者、組織の面々たち。
さっそく組織の女ボスがUMAオータムのジュニア(人間を変質させたUMAもどき)へ嚙まれに向かい作戦が進行していく。
そして不変の少女・ジーナ=チェンバーへ出番が迫る間際、始めての課題(クエスト)を成功へ変えられるか不安もある少女は、作戦前の会話を回想する。
ある月夜の下、組織の本拠地。まだ寒い夜中の屋外-何処か見覚えのある巨石が立ち並ぶ場所-で暖かい飲み物を携えて、対面しながら会話する不変の少女と組織の女ボス。
どことなく女ボスが神妙な雰囲気なのは、ある真実を不変の少女へ伝えるためだった。
突然の話題に「なんで?」となるジーナ=チェンバー。今までの交流してきた感じから、前の私は仲間だったのではないかと不思議がる少女。
これは先に言っておかなければ不公平だと思っての告白だと明かす組織の女ボス。今作戦において、ボスが変異した本へ入ること、彼女の過去を見た上で協力するかも、全ては今のジーナ=チェンバーへ決める権利はあると、その変化を受け入れると真摯な面持ちで告げられていたジーナ。
そして作戦が進行中の今。
古代遺物(アーティファクト)によって自身の身体から魂が抜き取られるジーナ。仲間の科学者たちが防御(チャフ)で今次の課題(クエスト)から自分たちを守ってくれる。初めての仲間、初めての友達でもあるボスを信じて、そして託してくれた正義(きもち)へ応えるため。
不変の否定者・ジーナ=チェンバーは、魂の冒険へ向かって動き出す。
魂(ジーナ)の冒険
魂になったジーナ=チェンバーは、気が付くとバイカル湖の周辺にある草むらへ降り立っていた。周囲を確認すると、今は夏の季節である事、見覚えがある2人の少女たちを見つける。
赤いニット帽を被った少女と、厚底の靴を履いてオシャレにアクセサリーなどを着飾ったハデな少女。彼女たちは絵描きや、時折に談笑を交えて楽しそうにしている。
この2人が、きっと作戦前に聞いていた重要人物たちなのだろうと察するジーナ=チェンバー。
彼女たちの動向を追っていけば、本作戦に於ける目的「不変能力の拡張」へ近づけると、草陰などへ身を隠しながら様子を窺う。
何… コレ…
ジーナ=チェンバーは理解する。
昔の私(ジーナ)は、めちゃくちゃ強かった。
当人は容易い様子で、バイカル湖の大部分をUNCHANGE-不変-で固定してみせた。今の私(ジーナ)はコップ一杯の水ですら不満足に固定するのが精々なのに。
そして、赤いニット帽の少女と、昔の私(ジーナ)と、更に不死の男が合流して戦闘が始まる。否定者(ひていしゃ:世界の理を否定する業の器になった者)たちの能力戦闘は苛烈を極めていた。
不死の男が自爆して降らせた血飛沫に染まる不変の捕獲技「空気の手」が幾つも伸び、ベレー帽から噴射する空気を固定した剣と不死の男が携える日本刀が火花を散らし、赤いニット帽の少女による不運で死闘に決着が……。
不変の少女(ジーナ)が敗れ、彼女を看取る不死と不運の2人。
壮絶な死闘で分かった事は―
〝 バカが シワの数でお前の魅力は変わらない 〟
死にゆく(変わっていく)不変の16歳(レディ)を抱き寄せ、最後まで変わらない不死の人間(ダンディ)を、赤いニット帽の少女と同じ男性を昔の私(ジーナ)は好きになったんだと……。
場面はロシアの飲食店内へ変わる。
二人掛けのテーブルに座る男女。
ゔゔゔ ゔゔ
向かい合わせに座る2人、少女は不変の16歳が着ていた上着(ジャケット)を大切に抱きしめて泣き、男性は殺した(変わった)女性の事を黙するように無言で付き合っている。そんな不運と不死の否定者たちから離れた席で1人様子を窺う今の私(ジーナ)。
さっきまで 自分が殺されてそうだったのに…
心の中で、不運の少女がみせる優しさ強かさといった人間性に、1人しみじみと思う・・・はずだった。
あーあ
わんわん泣いちゃってまぁ
この先やっていけんのかね
いつの間にか向かいの席へ腰掛けている16歳ぐらいの少女。
今の私(ジーナ)は、死んだはずだった昔の私(ジーナ)と遭遇した。
変わらない真実(きもち)
驚愕(あんぐり)となる今の私(ジーナ)が、突然の遭遇に叫びそうとなるのを咄嗟に停める昔の私(ジーナ)。先ずは落ち着けと口を抑え、目の前にいるのは「魂」になった私(ジーナ)であると説明する。
因みに、よく似た女の子たちがわちゃわちゃしている時、離れた席では上裸で筋肉質の男性が「ビーフストロガノフ2つと食前にウォッカを3つ」と注文をしている。
これは本の世界だからこそ起きた不思議体験か、以前に世界へ追加された「霊魂」の理(ルール)を司る存在・UMAゴーストによる影響か。
真実は不明だが、昔の私(ジーナ)と今の私(ジーナ)が対談する機会(イベント)が訪れた。
先ず最初の話題は、何で「昔の私」が此処にいるかについて。今の私(ジーナ)が「ループの事」や「不変(アンチェンジ)の使い方を学ぶため」と概略を説明する。現状を知り、更に不可思議対談を導いたのは不運の少女である事も理解する昔の私(ジーナ)は―
じゃあヤダ なんも教えない
かつての恋敵による計略と分かりツーン(`>´)っと否定心地な昔の私(ジーナ)。まさかの対応にワーワー(; ・`д・´)と抗議する今の私(ジーナ)。
そして話題は、服飾(ファッション)が趣味であった昔の私(ジーナ)が気になる事、今の私(ジーナ)がしている変な恰好に変わる。御年16歳の少女は何故かダボダボのジャケットを着ている(モテピ ナメてんの?)。ダボった着こなしをする少女曰く、これは彼女の上司(ボス)が「お守り」として渡された上着だという。
「お守りのジャケ」に心当たりがある風な昔の私(ジーナ)は―
ちょっと裏地みせて
うら?
「これの事?」と不知な表情で裏地をみせる今の私(ジーナ)。チラッと捲った裏地には、↑の上に♡がくっついたような紋様、これを挟むように棒線部分を隔て両脇に「アタシ♡」「デッドちん♡」と文字も手刺繡されている。ジャケの裏地をみて昔の私(ジーナ)は「何でそれがここにあるの…!」という面持ちで息を呑む。次第に顔を伏せ「完敗だよ」と、この不可思議対談を導いた不運少女にある暗喩「変わる私を大切(すき)でいてくれた変わらない心」を、理解した不変の16歳乙女。
顔を上げると心境一変、昔の私(ジーナ)は今の私(ジーナ)へ協力の姿勢をみせる。
そして最重要課題である「不変(アンチェンジ)のコツ」について核心を述べる昔の私(ジーナ)。
いい? 不変(アンチェンジ)は心で操る
理屈なんざいらない
あの人を捕まえたい
あの人を守りたい
その変わらない強い心が 不変(あなた)を変える
いるでしょ 今のアンタにも大切な人
酸いも甘いも知った大人の女性が、純粋無垢な乙女の少女へ諭すように、肝心となる道標を示す。16歳の少女は「うんいる!」と元気に答えた。今の自分にとって大切な人は「初めてできた友達」であると。すると徐々に体が透けて空に浮かんでいく今の私(ジーナ)。答えを得て本の世界を巡る冒険は終幕、別れ際に昔の私(ジーナ)は今の私(ジーナ)へ心強い言葉を贈ると共に見送る―
いいじゃん!!
全力で守ってやんな!!
一度殺(や)り合って生まれた女同士の友情ってのは
時を越えても 不変だよ!!
そして場面は現在の世界、仲間たちの防御(チャフ)が切れ窮地に陥っていた。あわやUMAオータムに押し潰されるかという刹那…
ありがとう みんな 信じてくれて
変えさせない 私の大切(すき)なもの全部!!
それが 私の不変だ!!
今のジーナ=チェンバーが能力強化を経て覚醒!!
多大な攻防を炸裂させ、戦場を、大地を、天空を変える程の活躍をみせた。
1999年1月9日
変化の秋作戦(メタモルフォールさくせん)にて UMA秋(オータム)を討伐成功
備考・余談
今戦略【変化の秋作戦】は、本作の5話~8話(コミック1巻~2巻)の裏面を舞台に紡がれた物語展開。いわば以前の章節に改変(アレンジ)を加えた続きであり、特に【No.008 変わる私は好きですか?】の副題へ応えるような物語変移-恋敵・風子の変わらない真実(たいせつ)が伝われていった運勢-も受け取れる出来事(アンサーストーリー)。
作戦行動中の所々で、5話~8話にあった主人公達の交流・戦闘も新規描き下ろし-別角度から描くアンデラの世界-があり、その裏側や離れた場所であった一幕(IF)が今作戦の一部である。その為、それぞれの章節(チャプター)を読み比べると面白味【あの時にあの人はあんな事をしていた繋がり】が増すだろう。
前の私(ジーナ)が、風子が「お守り」と大事にしていたジャケをみて茫然とする一コマ。
台詞はない一枚絵でもあるが、此処まで至る物語を顧みれば、彼女(ジーナ)が幾つもの心情変化で言葉にできない瞬間だったと察せれる。
本作の読者にとっては、作品を読み込む毎に変わる【深味】を感じれる一時と捉えられるかもしれない。
いいね!! 感慨だ!!
今の私(ジーナ)が、風子へ頼み事「ジーナちゃんって呼んで欲しい」を言う一コマ。
両手の人差し指をチョンと突き合わせて、頬をほんのり紅く染めながら、チラッと上目づかいになる乙女。これは大人の魅力(アダルティ)でなかなか出せず、初々しい10代半ばだからこそ現れる自然(ナチュラル)な仕草は必見。
いいね!! 萌萌(キュンキュン)だ!!
後日談(第141話)にて、今の私(ジーナ)は変わった。前の私(ジーナ)に倣(なら)った日本のJK風な着こなしへ変わり、可愛い服の勉強として「シノラー(🎒)」を学んでるという?!
🎒:正式には「シノラーファッション」と言われ、日本の女優・篠原ともえが1996年~1999年頃にかけてキャピキャピ(?)と発していた好感触な個性(パッション)へ由来する。主な外見の特徴が、ハーフパンツとサスペンダーと原色の服を基盤にめっちゃデコる。この服飾類(デコレーション)は、くしゃくしゃ靴下にごつごつとした靴、顔に星などのシールを貼り、100円ショップに在るキラキラしてるアクセサリー、なわとびで作った腕輪と目玉指輪、縁日の露店で売ってる腕パッチンと腕時計を二つ、動物キャラクターなどのポシェットをつけ、髪にはモールやウサギ帽子などを被り、羽を付けたランドセル、、、あんじゃこりゃがたっぷりの流行(こせい)は社会現象にもなった(参考:Wikipedia)。
驚愕(あんぐり)だよ ジーナちゃん( ゚Д゚)
因みに作中の注釈もあったが、彼女(ジーナ)から「シノラー」を聞いた女上司が不認知(わからず)の反応だったのは、ギリ世代でなかったため。女上司の経歴「(2020年の)初登場時は18歳」「この歳でループをして新世界(101回目の今ループ)へ渡った事」を遡れば、2002年辺りの生まれと窺えるため、当歳時からの時代背景からギリ知らない印象になったのは当然だったと分かる。
また本作の読者にとっては、今の少年少女の殆どはきっと不可思議な単語であり、心は少年少女の読者層によっては昔懐かしの「思い出」や、まさか令和の少年漫画で平成初期の流行(ノスタルジックワード)を聞くとは思わなんだであろう。
ジャケットの裏地にある刺繍「特に学園もので、あるあるマーク」は、日本圏で常識並に周知されるおまじない。そして意外かもしれないが、外国圏では不認知の独自文化でもあるらしい(参考:Wikipedia)。
ネットが普及してる情報社会の現代では、日本国外でどれほどの認知度かは不明だが、1970年代のソビエト連邦-インターネット普及前の時代-で暮らしてきた16歳の少女・今の私(ジーナ)が、チラッと裏地に在る手縫いをみても大きな反応はなかった。この様子から、彼女は「おまじないの意味」を知らなかった可能性が大きい。
きっとソ連育ちの乙女(16歳)には「外国語と↑の組合せ」と視えて「何だろうコレ?」と不思議に感じてたのかもしれない。
関連項目
不変の16歳(昔の私)/ ジーナちゃん(アンデラ)(今の私)