概要
1945年3月5日生まれ。岡山県出身。
主なポジションは一塁手。右投右打。
3兄弟の次男として生まれ、4つ上の兄に影響されて野球を始める。
関西高校卒業後、硬式野球部が新設された丸井に就職して社会人野球の道に進んだものの、丸井の硬式野球部はわずか1年で廃部になってしまったため、監督の勧めで受けた東映フライヤーズ（現北海道日本ハムファイターズ）の入団テストに合格し、プロ野球選手となる。
1年目から1軍で起用され、3年目には飯島滋弥コーチの「月に向かって打て」というアドバイスでホームランバッターの素質が開花。この年27本塁打を放って頭角を現した大杉は翌年から6年連続で30本塁打を記録し、本塁打王と打点王を2度ずつ獲得するなど名実ともに球界を代表するスラッガーの一人として名を馳せていった。
1973年に球団の親会社が日本ハムに変わり、その日本ハムのフロントがチームカラーを一新するために東映時代から在籍していた選手達の放出を決定。大杉もトレードでヤクルトスワローズ（現東京ヤクルトスワローズ）に移籍となった。
移籍1年目の1975年は低迷したものの翌年からは復調し、1978年にはチームの初優勝に貢献。阪急ブレーブス（現オリックス・バファローズ）との日本シリーズでは後述する事件が起きながらも4本塁打10打点の大活躍でMVPに輝き、チームを日本一に導いた。
1983年にはプロ野球史上初の両リーグ1000本安打を達成し、両リーグ200本塁打にもあと1本と迫るのだが、妻が入院していたことに加えて自身も持病が悪化していたため、この年限りで現役を引退。
翌年行われた引退試合でのセレモニーでは、スタンドのファンに向けて「最後にわがまま気ままなお願いではありますが、あと1本と迫っておりました両リーグ200号本塁打、この1本をファンの皆様の夢の中で打たして頂きますれば、これにすぐる喜びはございません。」というロマンチストの大杉らしい言葉を贈り、会見では「さりし夢 神宮の杜に かすみ草」という句を詠んだ。
引退後は解説者として活動し、1990年には横浜大洋ホエールズ（現横浜DeNAベイスターズ）の1軍打撃コーチに就任するが、肝臓がんを患い、翌年に退団。
1992年4月30日、47歳の若さでこの世を去った。
1997年、野球殿堂入り。
通算成績は打率.287、2228安打、486本塁打、1507打点、OPS.869
本塁打・打点は歴代9位。
1970年に記録したシーズン15犠飛はNPB記録である。
人物
グラウンドでは喧嘩っ早かったことで知られ、乱闘では審判が「速すぎて見えなかった」と語るほどのパンチで相手チームの助っ人外国人をKOしたり、長嶋茂雄監督を殴ってしまったりと様々な武勇伝を残している。
その一方でホームランを打ってダイヤモンドを一周した際にスタンドのファンに向けて投げキッスをするなどファンへのサービス精神が旺盛な人物でもあり、上述した引退セレモニーでの挨拶からも分かるようにロマンチストな一面もあった。
また愛妻家としても有名で、日記の内容は大半が妻にあてたもので、ヤクルトが初優勝した時もチームメイトと街に繰り出すことはせずに妻が待つ家に真っすぐ帰ったという。
伝説のホームラン打ち直し
1978年の日本シリーズで起きた球史に残る大事件。
第7戦の6回裏、大杉が足立光宏から放ったレフトポール際への打球に線審がホームランの判定を下したことに阪急側が異議を唱え、試合が中断。
阪急側も審判側もお互いに一歩も引かず議論は平行線を辿り、遂には阪急の上田利治監督が「判定を受け入れる代わりに左翼の線審を代えてもらう。でなければ試合再開には応じない。」と試合放棄も辞さない構えを見せたため、観戦に来ていたコミッショナーと阪急の球団代表がベンチに赴いて上田を説得するという前代未聞の事態に発展。説得の末に上田が折れたことで、中断から1時間19分後にようやく試合再開となる。
結局判定は覆らなかったものの、中断している間、自分のホームランに延々とケチをつけられたことが気に入らなったのか、大杉は8回裏に回ってきた次の打席で山田久志から「これならどうだ」と言わんばかりに、今度は左中間スタンドに文句のつけようがない完璧なホームランを放ってみせたのであった。
大杉がこのシリーズで放った4本塁打は長嶋と並ぶタイ記録であり（後に城島健司も達成）、10打点は長嶋の9打点を超える日本シリーズ新記録である。
関連タグ
東映フライヤーズ 日拓ホームフライヤーズ 日本ハムファイターズ ヤクルトスワローズ
張本勲：東映～日ハム時代に大杉を弟分として可愛がり、共に打線の中核を担った。
