ひみつ道具としての解説
藤子・F・不二雄原作の漫画・アニメ作品「ドラえもん」に登場するひみつ道具の一つ、及び同作品のエピソードの一つ。TC8巻収録。
外観はダイヤモンドのように輝く、紫色をした掌サイズの美しい宝石だが、自分の身体に擦りつけた後他者に持たせることで、使用者(ダイヤを身体に擦りつけた者)に振りかかる悪い出来事(痛み・汚れなど)をダイヤの所持者に全て移すことができる。
例えば使用者が誰かに殴られた場合、使用者は傷も負わず痛みも感じないが、ダイヤの所持者は使用者の代わりに苦痛を味わい傷を負う羽目になってしまう。それだけでなく使用者が側溝など水の中に落ちた場合、使用者の体は一切濡れず、ダイヤの所持者の体がずぶ濡れになってしまう。
エピソードとしての解説
外出中に落ちていた瓶を踏んで転ぶ、電柱に登って作業していた作業員の落としたペンチが頭を直撃する、「表を歩くとろくなことない」と急いで帰宅すればちょうどママが誤ってばら撒いた画鋲を踏むなど、いつにもましてひどい目に遭いまくるのび太を見かねたドラえもんは、悪運を他人に移すことができる「悪運ダイヤ」を取り出す。試しにドラえもんはダイヤを自分に擦りつけてそれをのび太に持たせ、その後金槌で自分の頭を叩くと、ダイヤを所持しているのび太が殴られた痛みを感じるようになった。
のび太はこのダイヤで自分の悪運を誰かに引き受けてもらおうと考え、悪運ダイヤを自分の体に擦りつける。そしてドラえもんがその悪運ダイヤを道端に置いて誰かが拾うのを待つが、よりによってしずかが「まあきれい!」と拾おうとしたためドラえもんたちは慌てて制止する。この時にのび太が転んだことで、先に悪運ダイヤを拾ったドラえもんが痛がる一幕もあったりする。その後、スネ夫が「これは僕のだ、さっき落として捜してたんだ」と言って持っていき、ドラえもんとのび太は一安心する。
しばらくして、のび太は悪運ダイヤの効果を試すためにわざとジャイアンを怒らせ、「スネ夫がダイヤを持っているから殴られても大丈夫」と平然とするのび太だったが、ここでスネ夫が「やっぱり良心が許さない」とダイヤをのび太に返しに来たためのび太は一転ピンチに。ジャイアンに殴られる寸前でドラえもんがタケコプターで飛んで駆けつけ、なんとか逃げ出すことができた。
のび太を助けた後、ドラえもんは「誰かに拾われないと意味がない」と悪運ダイヤを遠くに放り投げる。そのまま帰宅したドラえもんとのび太だったが、のび太は次第に「誰かが僕の代わりにひどい目に遭うなんて悪いもの」と罪悪感に駆られ、その言葉を聞いたドラえもんはのび太と共に悪運ダイヤを捜すことにする。
通行人に悪運ダイヤのことを訊ねた際、のび太は「本当に知らない?隠し持っていたら痛い目に遭うから」と詮索したことで相手の怒りを買って頭を殴られるが、なぜか痛みを感じない。その様子を見たドラえもんは、誰かが悪運ダイヤを拾ったことに気づく。
そこでドラえもんは「歩きながら頭をぶつんだ。痛がってる人を捜せばダイヤが見つかる」と提案し、のび太の頭を金槌で叩きながら「誰か頭の痛い人いませんか?」と悪運ダイヤの拾い主を捜し始める。その最中にのび太はうっかり側溝に落ちてしまうが、悪運ダイヤのおかげで全く濡れずに済んだ。
そんな2人の前になぜか頭がゴチゴチ痛む上突然ずぶ濡れになったジャイアンが現れ、先ほどの続きに加え理由もわからない苦痛の鬱憤晴らしとしてのび太に殴りかかるが、なぜか逆に殴ったジャイアンが痛がり傷だらけになってしまう。それでダイヤを拾ったのがジャイアンだと気づいた2人は、当分彼に悪運ダイヤを持たせておくことにするのだった。
余談
このエピソードはのぶドラ版で1回、わさドラ版で2回アニメ化されており、のぶドラ版は1979年11月3日放送、わさドラ版は2006年11月10日・2018年8月31日放送。以下では、原作と比べて大きく異なる点を記載する。
わさドラ版1回目(2006年11月10日放送)
- サブタイトルが『のび太の不幸をあなたに…悪運ダイヤ』になっている。
- ドラえもんは最初のび太のために未来デパートから「幸運ダイヤ」なる物を購入したはずが、手違いで悪運ダイヤが送られてきてしまったという展開になっている。
- 通行人がのび太を殴るシーンが変更されており、こちらではのび太が怒った通行人から慌てて逃げ出した際に電柱に激突する展開になっている。また、ドラえもんとのび太が悪運ダイヤの拾い主を捜すシーンも変更されており、原作版ではドラえもんはのび太の頭を普通の金槌で叩くだけだったが、こちらは叩くのに使う物がピコピコハンマーに変更されているのに加えて、のび太をくすぐったり頬をつねるなどしている。
わさドラ版2回目(2018年8月31日放送)
- 最初にのび太に降りかかる災厄が「犬に噛まれる」「ジャイアンに殴られる」などになっている。
- こちらもわさドラ版1回目と同様に、のび太は通行人に殴られる形ではなく、怒鳴られた拍子に尻餅をつく展開になっている。
- ジャイアンに殴られそうになったのび太を助けた際に弾みで悪運ダイヤを飲み込んでしまった結果、のび太に降りかかる災厄を引き受ける羽目になってしまったドラえもんが「一生のび太くんのひどい悪運を背負わなきゃいけないなんて、これからどうやって生きていけば…」と嘆く展開が追加されている。なお、悪運ダイヤはその後ラジコン飛行機が(のび太に)激突した弾みで吐き出すことができ、その後「僕も大変な目に遭ってよくわかったよ。(悪運ダイヤを使うのは)やめよう」と言っていた。
- ドラえもんとのび太が悪運ダイヤの拾い主を捜すシーンで、のび太の頭を叩くのに使う物が漫画チックな大きなハンマーになっている。
ゲームソフト「ドラえもん のび太の牧場物語 大自然の王国とみんなの家」
- 「牧場物語」シリーズの一作品だが、ここでもアイテムとして出てくる。使用すると3時間の間信じられないほど運が悪くなり、釣りや採掘でいいアイテムが出なくなる。…これだけ聞くと役立たずであるが、実は相当の壊れひみつ道具で、効果中に採掘しても「金属のかけら」しか出なくなるが、金属のかけらはとある所でひみつ道具と交換するための専用通貨になる。つまり金属のかけらを効率よく稼ぐためには必須ともいえるひみつ道具、ひみつ道具との交換には金属のかけらが10個必要だが、3時間の効果時間で埋め合わせできる。ケロンパスと併用すればより効果的。
関連道具
ふくびんコンビ
それぞれのロボットを誰かに見せながら後頭部のボタンを押すと、見せた相手について回り、貧乏神がついた側が受けるはずの幸運を福の神がついた側にそっくり移すことができる上、貧乏神がついた側は理不尽なほどの災厄に見舞われる。
どちらかのロボットの後頭部のボタンをもう一度押せば効果は切れ、もう一方のロボットがブザー音で効果切れを知らせる。