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愛國戰隊大日本

あいこくせんたいだいにっぽん

愛國戦隊大日本は1982年に当時大阪芸術大学にあった映画サークル・ダイコンフィルムが製作した自主製作特撮映画であり、そのサークルが後にGKメーカー&ショップのゼネラルプロダクツの設立を経て、映像製作会社ガイナックスへと発展した。
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概要編集

愛國戦隊大日本とは、1982年にバトルフィーバーJから大戦隊ゴーグルファイブまでのスーパー戦隊シリーズをパロディした、大阪芸術大学の映画サークル・DAICON FILMが製作した自主製作特撮映画である。

総監督は赤井孝美、特撮監督は庵野秀明。総尺約19分。

当時『帰ってきたウルトラマン マットアロー1号発進命令』の製作が間に合わなかったため、『快傑のーてんき』と同時に制作された自主制作特撮である。

当時の東西冷戦右翼を茶化し、機械や登場人物名に当時のソビエト連邦を風刺したネーミングを並べ、学生ならではの視点から見たお遊びや、学生サークルとは思えない特撮技術が特徴。

そして、馬鹿をしつつ真面目にストーリー展開するガイナックスの馬鹿マジ路線のルーツにして原点と言える。

映像化されたのは全26話中第3話とされる「ビックリ!君の教科書もまっ赤っ赤」のみであるが、「♪もしも日本が弱ければ」で始まる強烈なオープニングテーマ(太陽戦隊サンバルカンの替え歌)や、ややチープながらも特撮愛と遊び心満載の内容はインパクト十分で、伝説となっている。


ストーリー編集

日本征服を狙う秘密結社レッドベアーは、デスクレムリン要塞を根城に「洗脳五カ年計画」と称して日夜日本の共産化を目指し、日本で暗躍している。

しかし、日本を守る5人の若者達は富士山将軍の指揮下のもと、赤露殲滅武装集団・愛國戦隊大日本を結成。日夜レッドベアーに戦いを挑む。

果たして大日本は日本を守り切る事が出来るだろうか?


キャラクター編集

赤露殲滅武装集団・愛國戦隊大日本編集

共有武器として十手型の「バンザイ・スティック」を持つ。

必殺技はそれぞれが持つボールを合体させて放つ「天誅ボール」。


  • アイ・カミカゼ / 神風猛

大日本のリーダーで、スーツカラーは赤。有事に備え身体の鍛錬を忘れず、また読書家でもある文武両道の若者。得意技は「特攻・ゼロ戦パンチ」。ボールは「仁」。設定に依ると、最終回では本当にラスボスに特攻したとされる。


  • アイ・ハラキリ / 切原弾児

大日本のサブリーダーで、スーツカラーは青。何かと問題が起きると矢鱈切腹したがる困った性格である。ボールは「義」。巨大戦では大日本戦艦で大日本ロボを援護する。設定では「第23話」で名誉の戦死を遂げるそうである。


  • アイ・ゲイシャ / 舞子ユキ

大日本の紅一点でスーツカラーは桃。普段は芸者として働いている。得意技は接待で敵キャラを困惑させる幻を見せる「色町遊び・天国と地獄」。ボールは「信」。巨大戦ではハラキリと共に大日本戦艦で大日本ロボを援護する。設定では最終回で自決し、生死不明となる。


  • アイ・スキヤキ / 白滝肉男

すき焼きが好物の男で、スーツカラーは緑。両手から白滝をはなち敵を絡める「白滝肉絡め」が得意技。ボールは「智」。設定では最終回で名誉の戦死を遂げる。


  • アイ・テンプラ / 衣あげる

天麩羅を使った料理を応用し戦うスーツカラーは黄。普段は料理人として働いている。得意技は「海老天投げ」と火炎攻撃「油地獄・きつね色」。ボールは「忠」。設定ではハラキリと共に「第23話」で名誉の戦死を遂げる。


  • 富士山将軍

大日本の指揮官。オープニングに登場するが、後述の事情で公の場で放映される作品では顔と名前を隠して上映・放送される。


レッドベアー編集

共産主義による日本征服を企む秘密結社。

  • デスマルスク書記長

日本の赤化を企むレッドベアーの首領。


  • ジャボチンスキー将軍

レッドベアーの幹部で洗脳五カ年計画の指揮官。頭の鎌と槌がトレードマーク。

設定では「第19話」で怪人態のジャボチンスキー仮面に変身、大日本と決戦を繰り広げ戦死する。

  • ツングースカキラー

もしも日本が弱ければ②

レッドベアーの女幹部。


  • ミンスク仮面

もしも日本が弱ければ

本作でのレッドベアー怪人。「なんのこれしきのピロシキ」など独特な口調で話す。武器は労働者の鎌、ミグミサイル、パルナスケーキ爆弾等。

北国生まれのため熱さに弱い。

頭は戦艦を模しているが、史実のミンスクは空母(重航空巡洋艦)だった。


メカニック編集

  • 大日本戦艦

愛国戦隊大日本・大日本戦艦 再UP

大日本ロボに合体する三台のメカを運搬するだけでなく、大日本ロボの戦闘を援護する基地艦。


  • 帝釈天号

アイ・カミカゼが操縦する戦闘機で大日本ロボの頭部等に変形合体する。


  • 毘沙門天号

アイ・スキヤキが操縦する戦車で大日本ロボの胴体と手に変形合体する。


  • 兜率天号

アイ・テンプラが操縦する車両で大日本ロボの下半身と足に変形合体する。


レッドベアー怪人が特大化した時、大日本戦艦の艦載機3機が合体し完成する大日本最後の切り札。


存在しない全26話編集

前述のように設定上は全26話中の第3話とされているが、これは後年『アニメック』のゼネラルプロダクツによる連載コーナーにおける『大日本』の紹介記事によるものである。

記事上では実際には制作されていない第14話のあらすじが掲載され、当時日本一の長寿として知られた泉重千代が本人役、新井素子が泉の孫娘役で出演するという設定になっていた。

このほかにも以下の設定が明かされていた。

  • 第18話でレッドベアーの新幹部カストロ魔王が登場。第19話でジャボチンスキー将軍が戦死し、第25話でデスマルクス書記長も戦死したことから新書記長に就任する。
  • 第23話で戦死したハラキリとテンプラに代わって新戦士トツゲキとオサシミが加入する。
    • それまでスキヤキが操縦していた毘沙門天號をオサシミ、テンプラが操縦していた兜率天號をトツゲキが操縦、スキヤキは大日本戦艦に移乗する。
    • 前述のように全26話のためふたりが活躍するのはわずか3話ということになる。
  • 新メンバー加入後の第24話では仁徳天皇陵から発進する超巨大戦艦「皇國号(すめらぎごう)」が登場。第24話の放送時間の半分以上をこの皇國号の発進描写(ノズル全開まで8分、浮上まで13分)に費やした。
  • 第25話ではハニワ型のパワードスーツが登場する。

余談編集

  • 空母ミンスクはソビエト連邦→ロシアでの退役後、中国に払い下げられ空母博物館となっている。

  • その右翼的な内容、特に作中でレッドベアーの面々を「アカ」、「ロスケ」とストレートな蔑称で呼ぶことが当時SF大会に来ていた東欧を始めとする共産圏の客から批判を受けた。
    • 上映後の1980年代前半頃には多くのSF同人誌で「『大日本』論争」と呼ぶべき大論争が繰り広げられていたという。そしてその論争には当事者でもある岡田斗司夫武田康廣も参加していた。
    • SF作家の筒井康隆もエッセイで「アホな演しもの」として本作について触れている。

  • 富士山将軍はあるSF作家が演じており、初上映時には顔出しで登場していたが、上記の批判に伴い「名前をクレジットに出さないでほしい」と要請があったため顔も含めてぼかされている。顔出しバージョンのフィルムはおそらく現存していないと思われる。

  • ゼネラルプロダクツが発行した同人誌「よいこの匪歌集」でセルフパロディの『共産戦隊ダイロシアン』のあらすじとモノクロイラスト、主題歌の歌詞(『大日本』と同じく『太陽戦隊サンバルカン』の替え歌)が掲載されていた。

  • 後に円谷から公認を受けた『マットアロー1号発進命令』と違い、あまりに過激な内容であるためかこちらはビデオ化がされたのみでDVDやBlu-rayなどの媒体では発売されていない。

  • 岡田は「宮崎駿が本作を気に入り構想中だった新作映画を実写で撮影したいとDAICONFILMメンバーを呼び出した」と著書に記しているが、岡田はこの面会には参加しておらず、参加した赤井は「宮崎さんが褒めたのは庵野くんの『帰ってきたウルトラマン』のほうで『大日本』はくだらないとおっしゃっていました」と証言している。

表記揺れ編集

愛国戦隊大日本

関連タグ編集

ガイナックス 自主製作映画 スーパー戦隊 パロディ


怨念戦隊ルサンチマン:1997年に京都大学の映画サークルが作った愛國戦隊大日本のパロディ。

突撃!!アーマージャック:1996~97年に中京テレビの喜井竜雄PDが自主製作で作ったウルトラファイトレッドマンゴッドマンのパロディーで此方はプロフェッショナルが作った。

フランスファイブ:20世紀末から21世紀初頭にフランスの有志が作った自主製作特撮映画。本作の影響を受けている。

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