概要
タイトル名だけでは分かりづらいが、世の中の困っている人を助けるべく、熱い応援団のメンバーが音楽に合わせ全力で人々を応援するリズムアクションゲームシリーズ。対応機種はニンテンドーDS。
『押忍! 闘え! 応援団』は15、『押忍! 闘え! 応援団2』は19のステージに分かれ、お題として各ステージのストーリーに合った楽曲をプレイする。お題は当時の最新曲から昭和を彩った曲まで幅広い。
DSのタッチパネル機能を生かした独特なゲーム性のみならず、
- 昭和の少年マンガのような(いい意味で)暑苦しい世界観
- 不条理で奇想天外すぎる何でもありな超展開ギャグストーリー
- 途中成績が◯か×かで2種類の展開に変化(逆に×の方が予想の斜め上で面白い展開が多い)
- 時折挟まれる涙腺崩壊モノのシリアスな物語(なお成績が悪いとギャグ一直線になる)
- 最後は太陽系規模の壮大かつ壮絶な展開から感動の大団円を迎えるハッピーエンド
- 応援失敗してもギャグ路線の笑えるバッドエンド(しかしシリアスステージでは……)
- 『応援団2』では成績によってエンディングも(ラストを除き)3種類に変化
と遊び心が溢れている。
ステージの出だしは困っている人たちの「おうえんだーん!!」という叫びから始まり、それを聞きつけた応援団が人様の家や学校の中、出店の屋台、挙句には古代エジプトであろうとも、どこからともなく登場するのがお決まりとなっている。
続編の2では応援団登場シーンのノリツッコミぶりが増え、ちゃんこ鍋を食べたり記念撮影をしていたり、時には宇宙空間に行くこともある(各難易度の団員たちで反応が全て違うので、見比べるのも面白い)。
助けを求める人々も一癖も二癖もある個性的な面構えが多く、浪人生やOL、陶芸家から馬、巨大化するサラリーマン、善玉菌に携帯電話の電波と様々。
これらのゲーム性だけではとどまらない魅力によって、「隠れた名作」「バカゲー」としてカルト的な人気を得ており、『応援団2』発売から10年以上経った現在でも続編を心待ちにする根強いファンは多い。
海外版応援団『Elite Beat Agents(EBA)』
ストーリーは絵だけでも展開が分かりやすい構成を取っているので、日本語が分からない海外ユーザーにもネットを通じて人気を得たことから、海外向けにゲーム性以外を全て一新した『Elite Beat Agents(エリート・ビート・エージェンツ)』が発売され、数々の賞を受賞し、mega64にも目をつけられてネタ動画にされてしまうほど、応援団と同様に名作として評価された。
『EBA』も応援団シリーズと同じスタッフが制作し、こちらで培った改善点や新要素を発展させて『応援団2』に生かしている。ローカライズは韓国版だけで日本では発売されてないが、国内にも輸入され中古のゲームショップや通販サイトでも購入可能で、リージョンフリーなので日本のDSや3DSでも遊べる。
内容は黒服を着たエージェンツが「HELP!!」の叫びを聞いて颯爽と現れ、音楽とダンスで応援する人の精神力と行動力を高め、困難に立ち向かう勇気を与えるという『応援団』とほぼ同一のもの。『応援団』では「応援の力」がメインテーマだが、本作ではどちらかと言えば「音楽の力」に焦点が当てられている。
しかしながらこちらも助けを呼んだ人がやるとは限らず、助けを呼んだ別の人物が影響されたり、完全に他人任せになっているものも。
遊び心は本作の方が多く、特定のステージではカーン司令の服装や表情が異なっていたり、応援団シリーズで登場したキャラクターたちがカメオ出演していたりと、非常に細かく幅広く、へのへのもへじなど日本人しか分からないネタまである。
また『応援団2』では期間限定のダウンロードコンテンツ(現在は終了)により、応援団シリーズにEBAを呼び込むことが可能で、チアガールズで最終面を迎えるとちょっと面白いことが起こる。
非公式フリーゲーム『osu!』
応援団シリーズのゲーム性が高く評価されたことによって、海外の応援団ファンがそれを元に製作した『osu!』というフリーソフトがあり、本家とは異なる進化を遂げた。
しかし本家よりもこちらのゲームの知名度が高くなってしまったせいで、本家の方を「osu!みたいなゲーム」と勘違いする人が続出し、応援団ファンをやきもきさせる逆転現象が起きてしまった。
しかしながら間接的であるとは言え、『osu!』によって応援団シリーズの完成度の高さがより国内外で評価され、イニスの矢野慶一氏は後述のインタビューで『osu!』に言及し、譜面やシステム面に関心を持っていると明かしている。
キャラクター
『Elite Beat Agents』
ジェーン(ベビーシッターのアルバイトをする女学生。彼氏はかなりのアメフト脳)
クリス(マイケル・ムーアにそっくりな映画監督。俳優も応援団のある人物にそっくり)
ジャック(ハンドルを持つと豹変するタクシードライバー)
レオ(かのダ・ヴィンチ本人。ある女性に一目惚れする)
トーマス(手品師だが、やっていることは魔法使い)
アマンダ(ブロードウェイに立つことを夢見る少女)
サム(少年テッドに飼われているパグ。トラックで居眠りして離れ離れになる)
キャプテン・ブルーク(海賊船長のような風貌のトレジャーハンター)
ソフィー(お天気キャスター。空軍はおろか動物からも支持されているほどの人気者)
ケン(スシ・モータースの御曹司。奪われた新車の設計図を奪還するためニンジャになる)
ノーマ&イザベラ(セレブ姉妹。楽観的な性格で、金持ちらしく全て他人任せ)
ホワイト看護師長(擬人化された白血球。はいてない)
マックス(ある家の飼い猫。世界観や展開があの作品)
ルーシー(赴任先で亡くなった父親の帰りを待つ少女。健気だがラストステージでは……)
コーネル(石油王。石油を掘りに行くとアトランティス大陸を発見するほどの強運)
ハルク(引退した野球選手。「You bet kid!〈もちろんさ!〉」)
ジェイク(ナッツ会社の強面従業員。ゾンビ化したアメリカを救う)
RHOMBULAN(宇宙から飛来した悪の侵略者。世界中の人々が彼らに音楽の力で立ち向かう)
余談
シリーズの続編について
2016年に行われたPolygonのインタビューによれば、矢野氏は応援団シリーズの続編に対し、「ハードのタイミングが合えば、応援団シリーズの続編を出す意欲がある」と意気込みを見せていた。
しかしイニスは後に経営難を理由に破産してしまったため、続編構想が危うい状況になっている(一応イニスの後継会社は存在し、会社実績として本作が紹介されているが)。
収録曲について
収録曲のほとんどはカバー曲で本人歌唱ではないことを疑問視する人もいるが、これは「歌を含めた本物の楽曲を使ってしまうとロイヤリティ料(印税)が発生してしまい、4800円では買えないほど高価になってしまう」からである。
そのため、本人歌唱曲は2作を合わせて合計3曲しかないが、本物の歌手を起用できないことを逆手に取り、SMAPの『BANG! BANG! バカンス!』のような、楽曲そのものを大幅にアレンジしたカバー曲を『応援団2』では取り入れていた。
また『EBA』は全てカバー曲であり、応援団シリーズ以上にアレンジした楽曲を取り入れたステージが存在する。
『osu!』の言及について
『osu!』は良く言えばリスペクト、悪く言えばパクリのゲームであるため、本家の応援団ファンからは冷たい視線を向けられていることも少なくなく、応援団シリーズの話題の中で『osu!』の話題を持ち出すのは、雰囲気をギスギスさせてしまう要因になるため、避けた方がいいだろう。
関連項目
押忍!闘え!応援団 燃えろ!熱血リズム魂 - 表記ゆれ
スペースチャンネル5 - セガのドリームキャストで発売された、似たノリと雰囲気の音楽リズムアクションゲーム。