概要
2001年10月1日午後7時から8時のゴールデンタイムで放送された『仮面ライダーアギト』のスペシャル番組。正式なタイトルは『仮面ライダーアギトスペシャル 新たなる変身』。
本作のみのロード怪人であるビートルロードの登場に加え、これまた本作オリジナルの仮面ライダーG3マイルドの奮闘(?)ぶり、そして何よりも津上翔一のシャイニングフォームへの覚醒を描くとともに、翔一の恩師である国枝東の息子である国枝広樹が死の直前にアギトへと覚醒していた事実が語られている。
その一方で『アギト』本編を知らない視聴者に向けての配慮(鈴木英一郎による冒頭のナレーション、登場人物にテロップや役割を併記して表示、序盤の展開が「世界観を説明する」メタ的な流れになっているなど)もなされており、本作だけでも一通り理解する事は可能である。
なお、『劇場版 仮面ライダーアギト PROJECT G4』のクランクアップ前に急遽本作の制作が決定し、劇場版スタッフの多くがスペシャルの本作の制作へと移行しているため、劇場版の宣伝も兼ねたものになっている。
時系列について
ラストシーンにて仮面ライダーG4の強奪が描写されており、劇場版の前日譚であることが示唆されている(2017年に東映チャンネルにて放送された超解像度版ではカット)。
また劇場版は葦原涼/仮面ライダーギルスが抱える変身の後遺症などの存在からTV本編とはパラレルワールドとされており、本作についても北條透がTV本編とは異なる経緯で津上翔一が仮面ライダーアギトであることを知っているためパラレルワールドと思われる。
一方で、涼が北條に対して殴りたいほどの因縁を持っている、涼が真魚に恩義を感じているという描写から、本編第34話までを念頭に置いているようである(冒頭で使用されている回想シーンもそこまでである)。
本作オリジナルの登場人物
国枝東(演:京本政樹)
翔一が入院中に彼の面倒を見ていた(なお、序盤で美杉家が食していたピーマンのサラダのレシピを伝授していたらしく、翔一曰く「入院してから『初めて』口にした」思い出のメニューらしい)心理学者で、「大雑把に言って」が口癖の好漢。羊羹が好物。
かつて広樹という18歳の息子がいたが、アギトに覚醒しかけたのを機に自殺してしまう。その後、偶然にも翔一がアギトであった事を知ってしまい、バーニングフォームの力に呑まれて現実逃避を繰り返す翔一に対し、入院中に見た青空の美しさを思い出させ、シャイニングフォームへの覚醒を促す。
…ちなみに話の本筋には絡まないものの、端役のおばあちゃん(本名不明。仮面ライダー図鑑では「老婆(TVSP)」として紹介されている)を(彼女の「大雑把」な道案内に「この道を通るのはもう7回目だ」などと悪態をつきながらも)自身のバイクに乗せて一緒に走っていた。
深海理沙
劇場版の登場人物。ラストに彼女と思しき人物が登場し、Gトレーラーに潜入している。
余談
「アギトにおける3人の仮面ライダー」を語る際にしばしば引用される「すでに仮面ライダーである男」「仮面ライダーになろうとする男」「仮面ライダーになってしまった男」の各フレーズは実は本作の冒頭ナレーションが元ネタであり、あまりに言い得て妙であったために現在に至るまで「アギト」を象徴する台詞として知られている。
国枝東役の京本政樹は特撮やバイクに造詣が深い事で知られており、かつては『ウルトラマンG』の日本語吹き替え版ではウルトラマングレートに変身する主人公・ジャック・シンドー役を担当していたほか『仮面ライダーBLACK』でも滝竜介役でゲスト出演した事がある。
なお、本作で国枝が乗っていたバイクは自身がチューンナップしたモデルをそのまま流用(名前を変えただけで実車を使用)している。
また、本作では芋羊羹も登場したのだが、少なくとも芋長製でなかったのか別に食べても巨大化はしなかった。
2021年8月7日に『PROJECT G4』(本作に先駆け朝11時にプレミア配信。本作は「アギト」第43話のプレミア配信後の夜9時半にプレミア配信)とともにYouTubeでプレミア配信された。