曹植
そうしょく
生涯
幼少時より詩など数十万言を諳んじ、自身も詩人であった曹操に寵愛された。
礼法に拘らず、華美を嫌い、酒をこよなく愛し、闊達さと奔放さを合わせ持った天才肌の貴公子だったと伝わる。ただし礼法に拘らない性質が災いし天子の専用通路を勝手に通ってしまうという不祥事を起こしたとされる。これは当時で言えば反逆の罪で一族全員誅殺されかねない程の大罪であり、日頃曹植を寵愛していた曹操でさえも流石に激怒したと言う。また、文人のイメージが強いが実際は14歳の時から父に従い袁尚・烏桓征伐、馬超との潼関の戦い、張魯征討、劉備との漢中攻防戦など数多くの戦役に従軍しており、軍事の能力は未知数ながら戦場の空気には馴染んでいたと思われる。のち関羽により樊城の曹仁が包囲され于禁らの援軍も壊滅させられた時、曹操は曹植を総大将とした援軍に派遣しようとしたが、曹植は酒に酔って曹操の招集に応じることができなかった。ちなみに曹植の代役として派遣されたのが徐晃である。
曹操の晩年に後継者候補として兄曹丕と競うが、敗れて冷遇されることになる。彼自身は殺されはしなかったものの側近の多くを誅殺され、死ぬまで様々な地を転々とさせられた。政治的登用や親族間での交流を復活させて欲しいと願う上奏文を曹丕やその子曹叡に送り続けたが結局叶う事は無く、鬱々とした晩年を過ごし232年に41歳で死去した。
死後は嫡子の曹志が継いだ。曹志は西晋にも仕えたが初代皇帝・司馬炎が弟の斉王・司馬攸を疎んじ中央から遠ざけたことを諌めて免職・財産没収の憂き目にあった。
詩人としての曹植
父・曹操、兄・曹丕と並んで建安文学の「三曹」の一人に数えられ、唐時代に李白と杜甫が登場するまでは中国史上最高峰クラスの詩人として「詩聖」の評価を受けていた。
中でも最高傑作ともいわれる「洛神賦」は、曹丕の最初の皇后である甄氏がモデルとも言われる。
その他、張遼がモデルとも言われる「白馬篇」、仲が良かった異母弟・曹彪と共に封地へ帰還することを妨害された時に詠った「贈白馬王彪」などを遺している。
ちなみに曹植本人は意外にも彼自身は詩文によって評価されるのは好んでいなかったらしく「男子たるものは戦で武勲を挙げ、民衆を慈しんで善政を敷き、社稷に尽くしてこと本望と言う物だ」といった内容の手紙を側近であった楊脩へ送っている。
- 三國志シリーズ
一貫して政治力・知力・魅力は高く、武力や統率力は低い。
曹操存命期に楊脩が処刑される「鶏肋」の件で名前だけ登場している。
曹丕が魏王に就任した時に本格的に登場。この時、祝賀を述べに来なかったことを口実に側近共々死刑になりかかるが、本人は母のとりなしもあって命を助けられ、爵位を下げられるだけで済んだ。このとき七歩吟のエピソードが使用されている。なお、これ以降は登場していない。
整然とした貴公子然とした横山三国志と対照的に奔放で酒好きの天才肌の貴公子として描かれ樊城攻防戦でのやらかしなども描かれている。曹彰や何晏と仲が良く甄氏に憧れている。
魏の数少ない良心として、救われているが救われていない微妙な待遇になっている。
曹操に「劉備と戦っては殺られるだけです」と警句を発するも曹丕の楽観論に言い負かされ、魏に居られなくなってモンゴルで世捨て人になる。その後、果たして曹植の言った通りに魏は攻め滅ぼされ、曹操も曹丕も惨死を遂げる。
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