曖昧さ回避
四大民間説話の「白蛇伝」
白蛇と男は夫婦になるものの、僧侶等に正体を見破られ西湖畔の雷峰塔に封じ込められる。
原初は白蛇の妖怪が美しい女性に化け、肝を食うために若い男性をさらうというものであった。しかし、時代とともに色々な挿話が付け足され、人間の男性と白蛇の化身の異類婚姻譚となり、次第に恋愛に重点が置かれるようになった。
アニメの「白蛇伝」
東映製作の長編アニメ映画で、1958年10月22日に公開された。
この映画の最大の特徴は、日本最初のカラー長編アニメ映画ということである。製作当時、日本における長編アニメ映画制作のシステムはまだ確立されておらず、スタッフ達はアメリカなどのアニメの研究からアニメーターの養成、アニメ用撮影機材の開発に着手するなど試行錯誤を繰り返し、2年がかりで作品を作りあげていった。
人物の動きをトレースしてアニメ化する「ライブアクション」という手法が採用されており、水木襄、松島トモ子や、当時東映に入社したばかりの佐久間良子といった今では大物とされる人物が起用されている。
映画に携わったスタッフは、その後の日本のアニメ界を牽引する存在となっていった。
登場キャラクター
許仙(しゅうせん)
白娘(ばいにゃん)
- 許仙が捨てた白蛇が変身した、白い衣を着た美しい少女。胡弓の演奏が得意。
法海(ほっかい)
- 孤島の寺に住む僧侶。白娘が妖怪であることを知り、白娘と許仙の恋路を阻もうとする。
龍王(りゅうおう)
- 白娘の願いを聞き入れ、許仙を生き返らせた。
※森繁久彌と宮城まり子が声を使い分け、全登場人物を演じている。
スタッフ
- 製作:大川博
- 企画:高橋秀行、赤川孝一、山本早苗
- 原案:上原信
- 脚本・演出:藪下泰司
- 台詞構成:矢代静一
- 構成美術:岡部一彦、橋本潔
- 音楽:木下忠司、池田正義、鏑木創
- 原画:大工原章、森康二
- 動画:大塚康生、坂本雄作、喜多真佐武、紺野修司、中村和子、寺千賀雄、楠部大吉郎、長沢寿美子、藤井武、加藤洋子、松隅玉江、赤坂進
- 背景:草野和郎、前場孝一
- 撮影:塚原孝吉、石川光明
- トレス:進藤みつ子、山田みよ
- 彩色:伊藤澄子、宮崎正子、本橋文枝
- 編集:宮本信太郎
- 録音:森武、小松忠之
- 音響効果:吉武冨士夫
- 風俗考証:杉村勇造
- 記録:山崎幸子
- 進行:稲田伸生
- 現像:東映化学工業株式会社
余談
- 公開当時17歳だった宮崎駿はヒロインの白娘に一目惚れし、アニメ界に進むことを選んだ。後年、宮崎が「もののけ姫」を作る際に森繁久彌を声優として招いたが、森繁は本作のことは忘れていた。
- 西武池袋線の練馬駅の西口の案内板には本作のキャラクターが描かれており、「アニメ発祥の地 練馬区」と記述されている。
関連タグ
なつぞら:作中で東映動画をモデルにした会社・東洋動画が類似のアニメ「白蛇姫」を制作する。
メデューサメギド:後にネタにされる特撮番組「仮面ライダーセイバー」の怪人(メギド(仮面ライダーセイバー))。
白蛇伝説/1988年:イギリスで公開された実写映画。原作はブラム・ストーカーの "The Lair of the White Worm" で、『白蛇伝』とは無関係。