白蛇伝
はくじゃでん
白蛇と男は夫婦になるものの、僧侶等に正体を見破られ西湖畔の雷峰塔に封じ込められる。
原初は白蛇の妖怪が美しい女性に化け、肝を食うために若い男性をさらうというものであった。しかし、時代とともに色々な挿話が付け足され、人間の男性と白蛇の化身の異類婚姻譚となり、次第に恋愛に重点が置かれるようになった。
ちなみに、中国近代初期の小説家として有名な魯迅は、この物語に関して白蛇の妖怪の方に同情しており、白蛇の妖怪が封じ込められたとされる雷峰塔が崩壊した時には「白蛇を封じ込めた和尚は『他人の家庭の事に余計な口を出した挙句、天変地異を引き起してしまった』という罪で天帝に軍を差し向けられ、小さくなって蟹の中に逃げ込んだ。それ以来、蟹の体内には、座禅をしている僧侶を思わせる形の器官が出来た」という地元の伝説を紹介した上で「白蛇を雷峰塔に封じ込めた和尚は、人が造ったものは必ずいつかは滅び去るが、蟹の中に逃げ込んだ自分は蟹という生物が絶滅するまで自由になれない事に思い至らなかったのだろうか?」とコメントを付けた……御上品かつ知的だが要約すると「ざまぁ」になるような随筆を書いている。
東映製作の長編アニメ映画で、1958年10月22日に公開された。
この映画の最大の特徴は、日本最初のカラー長編アニメ映画ということである。製作当時、日本における長編アニメ映画制作のシステムはまだ確立されておらず、スタッフ達はアメリカなどのアニメの研究からアニメーターの養成、アニメ用撮影機材の開発に着手するなど試行錯誤を繰り返し、2年がかりで作品を作りあげていった。
人物の動きをトレースしてアニメ化する「ライブアクション」という手法が採用されており、水木襄、松島トモ子や、当時東映に入社したばかりの佐久間良子といった今では大物とされる人物が起用されている。
映画に携わったスタッフは、その後の日本のアニメ界を牽引する存在となっていった。
登場キャラクター
許仙(しゅうせん)
白娘(ばいにゃん)
- 許仙が捨てた白蛇が変身した、白い衣を着た美しい少女。胡弓の演奏が得意。
法海(ほっかい)
- 孤島の寺に住む僧侶。白娘が妖怪であることを知り、白娘と許仙の恋路を阻もうとする。
龍王(りゅうおう)
- 白娘の願いを聞き入れ、許仙を生き返らせた。