概要
全身が機械仕掛けの老人のような風貌をしており、戦場の全兵をその掌に操る「機巧導師」の異名を持つ。
猩覚や馬董と共にその力を恐れられ長らく幽閉されていたが、元老院の連中を抹殺して春雨を掌握した虚の手により解放され、第七師団討伐のため烙陽に召還された。
猩覚から「メカジジイ」と呼ばれた際には、自身の頭部は彼の50倍の硬度を誇ると豪語してみせたり、坂本辰馬や陸奥から「ザク」呼ばわりされた際には、「ガンダム」や「ザク」の姿に扮したりするような、ノリがいい一面を見せている。
戦闘能力
猩覚や馬董とは異なり、個人の武ではなく人や機械を自身の駒のように操って戦う。第三師団は十二師団の中で唯一兵を持たない師団と認識されているが、実は彼の体内では他の師団の人数を上回る大量の尖兵(ナノマシンウイルス)が飼われており、彼らを用いて機械の中枢システムをハッキングしたり、あるいは人の脳に寄生させて自在に操ったり、さらには感染によってその勢力を急速に拡大させたりと、機巧導師の名に違わぬ非常に厄介な能力を有している。
作中の動向
猩覚と桂小太郎の決着がついた頃、彼は坂本率いる快援隊を相手に戦っていた。尖兵達を用いて彼らが乗っている船の制御システムをハッキングし、また船員達の意識を支配して同士討ちを繰り広げさせた。本艦である快臨丸の中枢システムを范堺にハッキングされることを危惧した坂本と陸奥は、人質として保護していた徳川喜喜を連れて、范堺に操られ襲い来る船員達を振り切りつつ本艦の制御室へと向かう。しかし、そこに范堺の姿はなかった。
突如、坂本に機械の触手が襲い掛かり、身を挺して彼を庇った陸奥が重症を負ってしまう。その触手は、喜々の口から放たれた物であった。実は范堺は既に喜々に襲い掛かっており、彼の体内にとりついて坂本を討つ機会を窺っていたのである。前述の機械仕掛けの老人のような姿は仮初めの器に過ぎず、その体内に寄生していた触手の生えた巨大なミジンコのような姿をした機械生命体こそが、彼の本体なのであった。
尖兵にとりつかれた陸奥と自身が操る喜々を使って坂本を絶体絶命の危機に追いやるも、坂本の言葉や生き様に感銘を受けて自身の人生を振り返る傍らで自我を取り戻した喜々からまさかの反逆に遭い、体内に接続していた触手を引き千切られて大きな隙が生じる。そして、かろうじて僅かに自我を保っていた陸奥に支えられた坂本が放った銃弾が本体に直撃したことにより、自身が放った尖兵もろとも機能停止となり敗北した。
烙陽での戦いが収束した後、猩覚と馬董が第七師団の前に現れた際には、彼のみ姿を現さなかった。詳細は不明だが、おそらく死亡(故障)したと思われる。
その後、最終章・銀ノ魂篇ではデータのバックアップが残っていたらしく、武市変平太により13体以上に複製された上で火之迦具土神を機能停止させるべくハッキングを行っていた。