概要
てんとう虫コミックス21巻及び、藤子・F・不二雄大全集19巻に収録。
アニメ版のうち、1987年版と2006年版はスペシャル枠で放送されたため、アレンジが多めになっている。
そして2006年版ではドラえもんもバットマンのような恰好をしていて、少女にはリリアン、彼女の両親にはドリアン、マリアンという名前が与えられ、リリアンの声優は南央美が担当し、両親の声優はのび太の両親の声優が兼任した。更にブーデや、三悪のシズラー、ジャイラー、スネラーというアニメオリジナルキャラも登場し、ブーデの声優は石井康嗣が担当し、後の三人はモデルとなったキャラの声優が兼任した。
ストーリー
ドラえもんが庭に巨大な機械を出していたため驚くのび太だったが、これが例えば地球が爆発するような時に乗って脱出するための「宇宙救命ボート」だと説明されると、「地球が爆発する」の部分に驚き途端に慌て出し、これにドラえもんは何があっても使えるように手入れをしていただけと説明。
一安心し内部を見物していた2人だったが、興味本位でのび太が壁についていたボタンを押したためボートが発射してしまい、全自動だったため地球に戻ることもできず、「宇宙へなんか行きたくない」とのび太は泣き出していたが、既にその時ボートは宇宙まで到達。すぐにワープでの蝶空間の移動に移ったため星が見えなくなったが、またすぐに再び星が見えるようになり、見えて来きた惑星へと落下。
衝撃でふらふらになりながらも外へ出た2は、目の前に少女が立っていたため「人間だ」と大喜びし、そのまま彼女の家に招かれ、ごはんもご馳走になった。そして経緯を説明すると地球は既に爆発してしまったのかと思われたが、すぐに無事であると訂正し、それ以上の経緯はバカバカしくて話すきになれなかった。
更にボートが直るまでうちで暮らすことを許してもらえ、その晩のび太は夜空を見ながら故郷の地球を懐かしみ、ママが心配しているか、夕食のおかずはなんだったのかをドラえもんに質問もしたが、当のドラえもんはボートの修理に苦労していて、永久に直らないかもと言った際に無責任だと言われ、のび太と口論に発展。
そんな時近くでで銃声が聞こえたため急行すると、一台の車が走去って行く中、この家の男性が足を撃たれ倒れていた。男性は何とか大丈夫な状態で、家の中に入った後ドラえもんとのび太は、この男性から、犯人はこの町にはびこっているシンジケートの者で、そいつらが悪事の限りを尽くし、強力すぎる故に警察も手が出せないこと、新聞記者の自分がやつらの追放のため市民に呼び掛ける記事を書いていること、それを目障りに思ったやつらに襲われたことを聞かされた。
これに彼の妻は危ないことは止めるよう勧めたが、男性はそんな態度がやつらを付け上がらせると言い、あくまでも自分は戦い続けることを宣言した。そしてこれにドラえもん達は拍手していたが、就寝時はベッドの中で警察でも手が出せないということを思い出し、早くボートを直して逃げだそうかと話し合っていた。
だが翌朝、少女が登校時にシンジケートの黒服に誘拐されてしまい、誘拐した娘を返して欲しければ、これ以上シンジケートのことを書くなという置手紙も残されていた。これを呼んだ両親はひどく心配し、一方のび太は「許せない」と誘拐犯に対し怒っていたが、ジャンプした際に屋根を突き抜け外まで飛び出してしまった。更に追いかけて来たドラえもんも、この星に着いた時から体が軽かったのは引力が地球より弱かったためだったことを説明しながらジャンプ。
着地した際にブロック塀を壊してしまったが、その時近くに昨夜の弾丸が落ちているのに気づき、のび太がポップコーンのようにこれを潰せたことで、この星の人が引力が弱い故に地球人に比べて筋力も弱いであろうことが分かり、ドラえもんはのび太を地球から来た「ノビタマン」というヒーローとして家の夫婦に紹介。
そしてビル群をジャンプして先を急ぎ、シンジケートの本部のビルに到着すると、ボスのいる階に壁を破壊して突入。名乗った際に銃を撃たれるも全くノーダメージで、彼らが化け物だと怯えた隙にパンチやキックで一掃し、少女が地下室に監禁されていることを吐かせると、そのまま床を破壊してそこまで直行。少女を発見すると、ついでにこのビルも破壊し、父親の男性から「いつまでもこの星で正義を守って欲しい」と手を握られ大いに感謝された。
更にこの活躍でテレビや映画に出演したり、映画も作成されることになり、ドラえもんとのび太はどうしてもボートが直らなければこの星で暮らしてもいいと思い始めていた。だがのび太が、不思議な運命のいたずらだったと言いながら再びボタンを押したため、既に直っていたボートが発進してしまい、地球に帰ったのび太は宿題が終わらず家の外からジャイアン、スネ夫からバカにされることになり、「ドラえもんがボートを直したりするからだ」と文句を言っていたが、ドラえもんも「君がボタンを押したからだ!!」と同じく文句を言っていた。
アニメにおける原作との主な相違点
大山版と水田版で各2回ずつ放送されており、放送日は前者が1981年3月31日及び1987年8月14日、後者が2006年12月31日及び2018年10月26日である。
なお、水田版では2018年放送分はほぼ概ね原作に沿った内容となっている。
1987年版
- サブタイトルが「GO!GO!ノビタマン」に変更
- 冒頭のび太は皆と共にスネ夫の家で『地球最期の日』というビデオを見せられ、これが地球に巨大な星が接近し赤ん坊を連れた夫婦が宇宙船で地球を脱出するという内容だったため、ジャイアンやスネ夫にバカされたものの本当に地球の最期が来たらと心配になり、帰宅後ドラえもんに相談した。だがドラえもんは自分は22世紀から来たことを言い、これでのび太は少しがっかりしたが、更に人類自身が自らの手で地球を破壊するかもしれないと言われため心配になり、「宇宙救命ボート」を出してもらった。
- ボートを出した後はしずかも一緒にこれに乗っていて、発進後のび太はしずかにこんなことにんってしまったことを謝っているが、ドラちゃんがいるから安心と言われ、「どういう意味!」と迫ったが、すぐに納得した。
- 着陸した星が地球ではないと気づいたのはしずかで、理由は空に太陽が2つ登っていたからだった。そしてこの直後、車でギャングから逃げている車がギャングの撃った銃でタイヤが破損しこちらに走ってきたが、のび太がとっさに持ち上げて助けた。そしてこの車に乗せてもらい、彼の家まで連れて行ってもらった。ちなみに家でご馳走になっていたのはデザートで、この最中のび太としずかは誤ってスプーンを曲げてしまっている。ちなみに男性の家は洋風に変更されている。
- ドラえもん達は何かが壊れる音を聞いて男性の部屋に急行していて、男性の話を聞いた後、ドラえもんはボートを修理していて、「こうなったのは誰のせいだ!」「やっぱり僕のせいにしてる!ドラえもんの道具はいつもこうだ!」「それをいっちゃあおしまいだよ!」「ああおしまいさ!」と口論になっていた。一方しずかは少女の部屋にいて、互いに理科が苦手だという話をしていた。
- ギャングは少女と間違えてしずかを誘拐していて、置手紙を残していた。このため少女が家を出た先で誘拐される場面は描かれていない。またのび太は飛び跳ねたのは家の外だったため、屋根は突き破っておらず、ドラえもんもブロック塀も破壊していない。そして一方しずかも分からいながも牢屋のドアを破壊して脱出したり、追って来たギャグを投げ飛ばしたりしていた。
- 男性は妻から警察へ連絡することを勧めたが、男性からドラえもん達が他の星から来ていることをどう説明すればいいのかで悩んでいて、そこにヒーローになったのび太が現れた。そしてドラえもんは「ロケットより早く、力はブルドーザーより強く、高い山もひとっ飛び!」と紹介していた。またこの後2人がビル群をジャンプしていた際には人々は「鳥だ!飛行機だ!」と驚いていたが、一人の老人が「ありゃ狸だ」と言ったためドラえもんはずっこけていた。
- シンジケートの僕は白い服を着ていて、乗り込んできたのび太を「のびたまんじゅう」と聞き間違えていた。そしてこの最中に部下の男性が撮り抑えに来たが、あっさり跳ね飛ばされた。
- のび太はしずかを助けた後、一人車で逃走するボスを捕まえに行き、その後ビルの前に警察が到着すると、ドラえもんと協力してビルを持ち上げて海上の岩場まで持って行った。そして警察のボスからも感謝され、このことは新聞にも取り上げられた。
- ボートが発射した後、ドラえもんとのび太は再び口論になっていて、ラストは「僕のせいにしてる!」「だってそうじゃないか!」「それを言っちゃあおしまいだよ!」「ああこれでおしまいさ!」という会話で締めくくられ、一方ボートは地球に向かっていた。
2006年版
- サブタイトルには「正義のスーパーヒーロー」の煽り文句が追加。
- ボートが発射した後、のび太はどこでもドアを使うことを閃いたが、ポケットが洗濯中で物干しに干されていたためダメだった。ちなみにこの時家では、昼食ができたためママがドラえもんとのび太を呼んでいたが、2人が見当たらないので首をかしげていた。
- のび太が、宇宙へ行きたくないと嘆くシーンは、星に着くまでどのくらいかかるか尋ねるものに変更されている。
- 星に着陸した後2人は、「ドラえもんの出す道具はいっつもこれだ!」「君が勝手にボタンを押したんだろ!」と顔を突き合わせ口論になったが、今更喧嘩しても始まらないとすぐに冷静になり止めている。そしてドラえもんはボートの中にほんやくこんにゃくが常備されていたことを確かめている。
- ドラえもんとのび太は始めジャングルの中を探索していて、そこで初めに巨大なガガマガエルのような生物に会ったが、のび太の悲鳴に驚いて逃げて行ってしまい、次にピンクの毛を生やした二足歩行のウサギのような生物に会い、これがキバをむき出しにして襲って来たので逃げたところ、少女に洞窟へと誘導され助けられた。
- 原作にあった事情を説明する下りはこの洞窟の中でやっていて、この後彼女の住む町を案内され、ここで「ドラドーラ」というどら焼きに似ているがとても塩辛い食べ物をご馳走になったり、「メロンメーロ」というメロンパンに似たとても辛い食べ物を教えてもらったりしていた。そして空地にてどら焼きに似た味のお菓子をご馳走してもらった。
- 少女の父親と会ったのはこの後で、ギャングに狙われているところに鉢合わせしたが、のび太が警察の名前を叫んだことと、ドラえもんがネズミに似た生物を見て驚き、その勢いのまま積んであった大量の木箱にぶつかり崩壊させたことで父親は助かりギャングは逃げて行った。このため、彼がギャングに銃で撃たれる場面は描かれていない。
- 男性の活動を心配していたのはドラえもんになっていた。またボートを修理した際にドラえもんとのび太が口論になる下りはこの後に描かれている。
- のび太が高くジャンプしたのは翌日、空地でリリアンたちに誘われゴム飛びに誘われたからで、この後ブーデのギャング撲滅の演説を聞く下りが追加されている。そしてドラえもんがこの星の重力が地球よりも軽いことに気付いたのは、その後のび太と共にボートの修理に使えそうな物を集めていた時、銀行を襲撃するギャングに襲われた時で、ギャングは2人に目掛けて銃を乱射してきたが、この時ドラえもんは銃弾が自分達にとって軽いことに気付きギャングを撃退した。そしてその晩帰宅した際、この出来事がテレビニュースで報道されたが、撃退したのが自分達だとバレるとこの家の人たちに迷惑がかかると思い黙っておくことにした。
- 2人が埠頭で武器を密輸や銀行強盗をしているギャングから男性やリリアンを助ける下りが追加されて、後者の時に上記の三悪が写真を撮影したことでリリアンは翌朝誘拐された。
- のび太はギャングのアジトに乗り込んだ際、爆破のトラップを突破したものの催眠ガスで眠らされてしまい、後からやってきたドラえもんがギャングたちを一掃し、リリアンの居間所を吐かせた。そして彼女がいたのは最上階の部屋で、最初に乗り込んだ部屋には先ほどの写真の件でへまをしたために三悪がおり、リリアンはその隣の部屋にいた。更にこの後彼女を連れて地上に降りたが、そこで待っていたブーデに彼女を引き渡してしまい、後でのび太から彼こそがギャングのボスであることを聞かされた。
- ブーデは最後のあがきでリリアンを人質に取りミサイルも発射させようとしたが、ドラえもんとのび太が乗り込んできた後、彼女に指を噛まれその隙に逃げられてしまい、ミサイルも発射はされたものの、のび太がやけになって必死に振り回した後、ドラえもんの頭突きを受け空中で大爆発した。以上のことによりギャングのアジトが破壊される描写はカットされ、のび太はリリアンに正体を知られた後、彼女と一緒に救った夕暮れの町を眺めていた。
2018年版
- 2006年版と同じく星に着陸した後、ドラえもんとのび太は口論になっているが、少女が来たことですぐに止めている。
- ドラえもんとのび太がベットの中で考え事をする場面はカットされ、翌朝には電線に小型の始祖鳥のような生物が止まっていた。
- 弾丸がポップコーン並みに柔らかいと気づく場面はカットされている。
- 1987年版と同じく、ビル群をジャンプするドラえもんとのび太を見て、町の人々が「鳥だ!飛行機だ!」と叫ぶ場面が追加され、「狸だ」と男性が言う場面も同じく追加されたが、この時ドラえもんは降りてきて自分はタヌキではないと言っている。
- ドラえもんはボスの机を階段ではなく、単にギャングの集団に向けて投げつけている。そしてこの後、上の階から狙撃されたが全く効果はなかったので、これを撃った奴から少女の監禁場所を聞き出している。
- 1987年版と同じくボスは車で逃走しようとしたが、のび太が壊したビルの下敷きとなった。また2人の活躍が町の大型テレビで報道されたり、公園に銅像が作られたりする描写も追加された。
余談
恐らく本作の元ネタは、半年前の1979年1月に発表された同作者によるSF短編『ベソとこたつと宇宙船』。
ドラえもん達が重力の低い星で悪人を倒してヒーローになる話は後の『のび太の宇宙開拓史』と似ており、発表時期的にも大長編の原型となった可能性も指摘されている。
ちなみに、もし現実にこのような惑星が存在した場合、大気がとてつもなく薄くなるため、ホイホイ地球人が行こうものなら酸欠でのたうち回り、鼓膜は破裂し、脳や網膜の血管が破れることになるであろう(一応、ロボットのドラえもんは空気が存在しない環境でも平気だが)。
というかドラえもんたちの言動を見る限り、この星の重力は十数分の1くらいしかないので、現実なら地表がほぼ真空になっているはずである。
まあ、マンガだからその辺は追及しないでおこう。
関連タグ
小説家になろう:何かと主人公が別世界では最強になる事で有名な作品群。本エピソードに於けるのび太も別の惑星内で強力な存在になっていた事でその点が共通しており、これを想起した人も多かった。