はじめに
当記事では以下のキャラクターを取り扱う。
概要
1980年4月28日発売の任天堂のゲーム機・ゲーム&ウオッチに登場する、黒いキャラクターたちの総称。
この名前で呼ばれるのは、『大乱闘スマッシュブラザーズDX』で『ゲーム&ウオッチ』をモチーフにしたファイターが「Mr.ゲーム&ウォッチ」として登場したことから。
ファンからの通称は「ゲムヲ」など。現役の頃は「ありんこ人間」「黒い人」などとも呼ばれていたようだ。
何気に初登場が液晶搭載のゲーム機で、しかも登場から40年過ぎたなった現在でも液晶搭載のゲーム機に登場するスタンスとアクションを保つ、まさに液晶に生まれ現在でも液晶の中に生き、3DCGが当たり前の中で徹底して黒い平面(※)のままである類稀なるゲームキャラクター。そもそも彼自身は液晶のセグメントそのものである為、現在でも徹底してセグメント表示のパターンのような動きのみ。目が無いように見えるが、初登場の「ボール」の時点で目は存在する。
※:『スマブラ』ではさすがにカラーバリエーションなどで様々な色に変化するが。
解説
真っ黒な影だけの姿をした、実体のない存在。
G&Wの空前の大ヒットにより当時の任天堂の債務を帳消しにし、アタリショックで死にかけていたゲーム業界をその後のファミコンと共に再活性させた、まさしく現在の「ゲーム」の立役者なのだ。ゲームファンはこの黒い人に足を向けて寝られないのである。
しかし後輩のマリオが人気者になるにつれG&Wにも活躍の場を移し、名前もない黒い人たちの居場所は段々と失われ、携帯電子ゲームブームの終息によりG&Wは1985年に国内シリーズは終了。
国外ではもう少しシリーズが続き、1991年「マリオジャグラー」でシリーズ完全終了。皮肉にもこの「マリオジャグラー」は第1弾「ボール」のスーパーマリオ版リメイクであった。
その後、歴史の表舞台からは身を引くが、『ゲームボーイギャラリー』やカードe版・DSiWare版など、移植やリメイクとしてたまに引っぱり出される。
日本国内未発売(後にVCにて国内でも発売)の『ゲームボーイギャラリー4』では『スマブラDX』の姿で出演し、マリオと普通に会話するシーンもあった。
また、暇つぶしやミニゲームに最適なゲーム性から、『DSお料理ナビ』などの一部ゲームにおまけとして収録されており、なんだかんだで今なお出番があるキャラクターである。
2015年にデビュー35周年を迎え、2020年はついに40周年となった。
2021年には「有機ELモデルのニンテンドースイッチ」の発売により、有機ELの中にも登場する事となった。
ゲーム業界黎明期のキャラクターとして
同年に誕生したパックマンは「ボール」よりも1カ月後のデビューのため、ゲーム業界でも最古参の部類に入る(ただ、当時はMr.ゲーム&ウォッチという名称は無かった為、キャラクターという意味ではパックマンの方が古参である)。
任天堂のキャラクター史の中でも、はっきり人型であるビデオゲームキャラクターとしてはシェリフ(1979年)についで2番目。
大乱闘スマッシュブラザーズ
第2作『大乱闘スマッシュブラザーズDX』から、『ゲーム&ウオッチ』シリーズのあらゆる作品の要素が積み込まれたファイター、「Mr.ゲーム&ウォッチ」として登場。
スマブラファイターの中でも際立って高い存在感と影響力を持つ異質の存在で、当時の参戦は衝撃的だった。
ファイター番号は26、通り名は平面世界の住人。
ファイターが爆発的に増えた今もなお、パックマンと並んで最古(1980年)のファイターとして君臨しているが、アシストフィギュアとしては彼らよりも古いシェリフ(1979年)とテレビゲーム15(1977年)が登場している。
また、ダックハントのカモは「光線銃カスタム」(1976年)に登場しており、数えようによってはこちらが最古になるともいえる。
原作通りのカクカクした動きなど、ユニークな要素を多く持つ。地上だけではなく空中戦にも強いワザも持ち、高い火力を持つが、リーチは短く、非常にふっとばされやすい(特に『DX』では顕著)。
使用するワザは『ゲーム&ウオッチ』シリーズの様々な作品の要素が寄せ集められており、珍しく『スマブラ』オリジナルのワザは一つもない。
元になったゲームは以下の通り(原作タイトルをそのまま記載)。
弱攻撃 | グリーンハウス |
---|---|
ダッシュ攻撃 | ヘルメット |
横強攻撃 | ライオン |
上強攻撃 | フラッグマン |
下強攻撃 | マンホール |
横スマッシュ攻撃 | ファイアアタック |
上スマッシュ攻撃、最後の切りふだ | オクトパス |
下スマッシュ攻撃 | バーミン |
通常空中攻撃(DX)、上必殺ワザ(X以降) | パラシュート |
通常空中攻撃(X以降) | トロピカルフィッシュ(日本未発売) |
前空中攻撃(forまで) | マリオズセメントファクトリー |
前空中攻撃(SP) | マリオズボンアウェイ |
後空中攻撃 | タートルブリッジ |
上空中攻撃 | スピットボールスパーキー |
下空中攻撃 | ドンキーコングJr. |
つかみ攻撃、起き上がり攻撃、ガケのぼり攻撃 | アラーム |
前投げ、後投げ、上投げ、下投げ | ボール |
通常必殺ワザ | シェフ |
横必殺ワザ | ジャッジ |
上必殺ワザ | ファイア |
下必殺ワザ | オイルパニック |
必殺ワザ
- 通常必殺ワザ:シェフ
フライパンで、本来受け止めるはずの料理を飛ばす。左右入力で軌道を変えられる。フライパンには炎属性がつく。
長押しで5つまで連続で飛ばせるが、連打するとより短い間隔で飛ばしていく。
- 横必殺ワザ:ジャッジ
ランダムで1~9までの数字を出しつつハンマーで叩く。高い数字ほど強い効果が発動する。
各数字の効果は以下の通り。特筆がない場合は数字×2%のダメージ。
- 1:大ハズレ。相手が一切ひるまない上に、自分も12%のダメージを受けてしまう。
- 2:ハズレ。微々たるダメージとふっとばしのみ。
- 3:今は亡き「はりせん」の音が鳴る。後ろにふっとばす他、シールドを大きく削る。
- 4:斬撃になる点を除けば至って普通。
- 5:電撃攻撃。4回までヒットし、最大12%(3%×4)。
- 6:炎攻撃。横に強くふっとばす。
- 7:ラッキーセブン。当たると足元に4%回復できるりんご(『DX』ではいずれかのたべもの)が出現。『SP』では一度に3個出てくる。
- 8:氷結攻撃。ダメージが低い(『DX』では4%、『X』『for』では9%、『SP』では13%)代わりに、必ず相手を凍らせる。
- 9:一撃必殺級のふっとばしをお見舞いする。ホームランバットのスマッシュ攻撃を当てた状態に近く、効果音も同じ。
なお、『for』以降のホームランコンテストでは運要素を排除するため「6」で固定される。
- 上必殺ワザ:ファイア
トランポリンで高く飛び上がる。
『X』以降では降下中にパラシュートが開いてゆっくり落下する。
- 下必殺ワザ:オイルパニック
エネルギー系の飛び道具を吸収し、満タンの時に使うと攻撃する。
ダメージが高い飛び道具を吸収するほど火力が増し(SPではなんと2倍)、一撃必殺級のワザに早変わり。
波導の効いたルカリオやサムスのフルチャージなんかだと…想像するだけでも恐ろしい。
『for』からは10%以上の飛び道具を吸収すると、1度に複数の目盛りが溜まるようになった。20%以上なら一気に満タンになる。
『SP』ではなんと物理判定の飛び道具を反射出来るようになった。リンクたちの弓やドクターマリオのカプセルも、もう怖くはない。
ただし威力は等倍…つまり1倍なためあえて狙うメリットはない。
お守り代わりにしておこう。
- 最後の切りふだ:オクトパス
巨大タコに変身し、相手にぶつかってダメージを与える。ボタンを押すと足をのばして下側の相手にも攻撃できる。
使用中は完全無敵だが、移動速度は遅めでジャンプ力も無く、高い段差や長い谷を越えられない。オクトパスのまま谷底へ落ちる様は非常にシュールである。
『SP』では操作系の切りふだの廃止により、前進しながらのばした足で相手を捕まえてステージの外に連れ去るようになった。
移動中は上下に位置をずらす事が可能だが、相手の蓄積ダメージが低いと捕まえても抜けられるので注意。
ちなみに上スマッシュ攻撃も『DX』では「オクトパス」という名前だったが、『X』からは切りふだと被るため「オクトパスヘッドバット」に改名されている。
変遷
全ての作品で隠しファイターとなっている(ただし、挑戦者が現れましたの画面で全隠しファイターがシルエットで伏せてる中、元から黒ずくめの彼だけ隠しきれていない)。
『DX』では必ず最後に使用可能になるキャラ。その条件は「Mr.ゲーム&ウォッチを除く全キャラでシンプルorアドベンチャーorターゲットをこわせ!をクリア」or「対戦ゲームの試合を1000回以上おこなう」というなかなか骨の折れるものだった。
また、『DX』では歩行速度、落下速度、急降下速度、すべりにくさ、重力がマリオ(ドクターマリオ)と同じだった。
『X』でも出現条件が「対戦を250試合以上行う」or「“ターゲットをこわせ”のどこかの難易度のクリアキャラクターが30人以上になる」で、亜空の使者で仲間に加わるのも終盤のため、使えるようになるのは結構後の方。
『for』ではパックマンの参戦ムービーの最後に先行登場。ここでデザインが変わったことが明かされた。
今回は出現条件が大分和らぎ、WiiU版では2番目に乱入させることもできる。(最後に乱入させることもできる。)
『SP』では大半のワザで原作のゲームに準じた姿に変わるようになり、大幅な性能の変更が施されることになった。
下強攻撃「マンホール」は姿勢が低くなり、上強攻撃「フラッグマン」は旗を前後に1回ずつ上げるワザに、上空中攻撃「スピットボールスパーキー」は息を飛ばしての直接攻撃にそれぞれ変更。下スマッシュ攻撃「バーミン」は先端を当てれば相手を埋めることが出来るようになった。
前空中攻撃は爆弾を落とす「ボンアウェイ」に変更。直接攻撃ができなくなったが、下方向に高威力の爆弾を落とすため、牽制等に使える。
総じて、同じMr.ゲーム&ウォッチでも全く別物と呼べる性能に仕上がっている。
過去作で彼を使いこなした人ほど慣れるまでの時間が必要になるだろう。
アドベンチャーモード
亜空の使者
本人はストーリー終盤に登場。亜空軍に加担しており、複数の分身を作り戦艦ハルバードを操縦していたが、スネーク、ルカリオ、メタナイトらに一掃され甲板に放り出される。
甲板に放り出された後は影虫の姿になり、デュオンへと変貌。その場にいたピーチ、シーク、フォックスらに加え、ルカリオとスネーク、さらに遅れてやってきたファルコらと対峙し戦闘となる。
撃破された後にフィギュアになってしまうものの、ピーチによって復活させられ、彼女に優しくされたことで改心し以降は亜空軍との関わりはなくなる。
なお、亜空軍の雑兵であるプリムなど悪役のほとんどは彼の体内で生成される「影虫」という物質から生成されており、亜空の使者における全ての元凶と言えなくもない。ちなみに、Mr.ゲーム&ウォッチは善悪の概念がないため自身の及ぼす影響を理解していない(スマブラ拳より)。
その他
勝ちあがり乱闘「母線回帰」
ROUND | 敵 | 備考 |
---|---|---|
1 | カービィ | 6Pカラー(モノクロ) |
2 | パックマン | |
3 | ダックハント | |
4 | マリオ、ルイージ | バトルロイヤル |
5 | ドンキーコング | チーム乱闘(味方:マリオ)。ドンキーは3Pカラー(赤) |
6 | Mr.ゲーム&ウォッチ×6 | 軍団戦(3体ずつ) |
BOSS | マスターハンド(&クレイジーハンド) |
発売されたゲームの年代が新しい方から古い方へさかのぼるように、ファミコン・アーケード(+ゲームボーイ)世代のファイターが登場する。
タイトルの「母線回帰(母川回帰とも)」は、サケやマスが産卵のために河川をさかのぼる習性のこと。
同期のパックマンとは対になっているとも言える。
余談
あまりの平面ぶりからamiiboがどうなるのか心配されていたが、ゲームよりもだいぶ厚みをもたせた状態でフィギュア化された。
製造コストが他のファイターより安いからか、4種類のポーズが用意されており、差し替えることができる。ある意味別格の扱いである。
外部出演
主役の座こそ引いたものの、その強烈なキャラクターは「昔なつかしの任天堂キャラ」として強い需要がある。
『メイドインワリオ』シリーズでは、ナインボルトステージの常連。
『みんなのリズム天国』では「はたらくまんじゅう」の背景にゲスト出演。「まんじゅう1」では『セメントファクトリー』、「リミックス3」では『シェフ』、「まんじゅう2」では『ジャッジ(ただしハンマーではなくカマを持っている)』の姿で登場する。
『Nintendo Land』では、『オクトパス』の潜水夫がダンスするアトラクション「オクトパスダンス」が登場する。
関連イラスト
関連動画
関連タグ
横井軍平:生みの親
ゲムヲ:略称
パックマン:同期
ファミリーコンピュータロボット:同じく生みの親が横井軍平氏
液晶:電卓から液晶モニターの歴史と共にある
ビネガーシンドローム:液晶に使われている偏光板の接着剤の経年劣化・変質で液晶がまともに見えなくなる現象。ある意味ゲムヲの天敵(?)
スマブラ関連
ファルコ:『DX』以降、全作品で隠しファイターとして参戦している点が同じ。
ルイージ、ルカリオ:「ターゲットをこわせ!」が解放条件になったことがあるファイター