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キング・クリムゾン

きんぐくりむぞん

イギリスのプログレッシヴ・ロック・バンド。もしくは『ジョジョの奇妙な冒険 第五部 黄金の風』に登場するスタンド。
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「『キング・クリムゾン』の能力の中ではこの世の時間は消し飛び………そして全ての人間はこの時間の中で動いた足跡を覚えていないッ!」


曖昧さ回避編集

  1. イギリスのロックバンド「King Crimson」。下記の名称もこのバンド名が元ネタとなる。詳しくは「キングクリムゾン」の項目を参照(なお、こちらの日本語名も「キング・クリムゾン」が公式な表記)。
  2. 漫画『ジョジョの奇妙な冒険 黄金の風』に登場するスタンド。本稿で解説する。

ジョジョの奇妙な冒険の「キング・クリムゾン」編集


関連タグ

ジョジョの奇妙な冒険 JOJO 黄金の風 ラスボス

スタンド ジョジョの奇妙な冒険・スタンド一覧




































「『キング・クリムゾン』の能力の中ではこの世の時間は消し飛び………そして全ての人間はこの時間の中で動いた足跡を覚えていないッ!」

「『空の雲はちぎれ飛んだことに気づかず!』………『消えた炎は消えた瞬間を炎自身さえ認識しない!』」

『結果』だけだ!!この世には『結果』だけが残る!!

「時間が消し飛んだ世界では『動き』は全て無意味となるのだッ!」

「そしてわたしだけがこの『動き』に対応できる!!」

「おまえがどう『動く』か全て見えるッ!これが『キング・クリムゾン』の能力だッ!」


Doppio


【破壊力-A スピード-A 射程距離-E 持続力-E 精密動作性-? 成長性-?】

本体-ディアボロ


巨大ギャング組織パッショーネの「ボス」ことディアボロのスタンド

額にあるもう一つの顔「エピタフ(墓碑銘)」によって十数秒先(アニメ版の解説では数十秒先)の未来を予見し、その未来に至るまでの時(過程)を「消し飛ばす」能力を持つ。


消し飛ばされた時間の中にいた全てのものは、その間に起こったことを認識できず記憶もできない。ディアボロだけが消した時間の中を理解し行動できる。

エピタフで不都合な未来を見る相手の動きを先読みして回避する時を吹っ飛ばしてそこまでの過程を消去

という手順により、自分にとって都合の悪い出来事を確実に回避しつつ常に先回りして有利な状況を作り出せるという凶悪無比な能力である。

このためその能力を知る者からはたびたび無敵であると評される。


その一方で、持続力に乏しい近距離パワー型なためか、常に接近戦かつ速攻で個別に撃破する戦法を取らざるを得ず、さらに複数の人間を相手にすると本体の姿をどこかで見られてしまうリスクから、「奇襲」の状況を狙わざるを得ないなど不自由な点を抱えている。

素顔を隠したいディアボロにとってはこれが弱みであったが、物語最終盤で自ら正体を晒してからはこの弱点も無くなり、主人公ジョルノたちを相手に1対4の状況であろうと何の苦もなく立ち回る強さを見せつけた。


なお、ディアボロのもう一つの人格であるドッピオもこのスタンドの一部を使用可能。本人はボスから「借りた」能力と認識しており、劇中では「エピタフによる予知」と「両腕による打撃」を使うことができた。


ディアボロの容姿が明らかになる前や、シルバー・チャリオッツ・レクイエムの力で魂だけとなったときはキングクリムゾンがアバターのように相手と会話、受け答えをする演出がされる。

殺意や驚きといったリアクションも代わりに行うため、スタンドにしては非常に感情豊かに思える。


能力編集

性能編集

  • 「キング・クリムゾン」

一言で言うなら、自分以外が未来予知通りに動き、自分だけがそれを見える能力。


消し飛ばせる時間の長さは十数秒にもおよび、MAX以下であれば細かく刻んで何回かに分けて発動させることも可能。


発動中のディアボロの視界からは「動くもの」以外が消失し、その発動時間内で起こるはずの動作の軌跡を見ながら移動できる。

そのため自身に向けられるはずの攻撃を回避することができるのだが、ミスタの銃弾を避ける描写もあれば、エアロスミスの弾を避けずにすり抜けさせるなど少し曖昧な点もある。これらは矛盾しているというより、現実的に考えてわざわざ攻撃軌道上に居続ける意味はないため、避けられる体勢ならば移動して能力終了後に備えるのは自然な行動とも言える。


発動中、本体とスタンドは他の物に触れることができないので攻撃を行うことはないが、自身の血など体から離れたものは他の物に付着する。


キング・クリムゾン発動中の他の人間は意識がなく、能力解除後もキング・クリムゾンが発動していた間の記憶がないので『歩こうとしたらいつの間にか数歩先の場所にいた』、『階段を上ろうとしたら知らない間に登り終えていた』、『攻撃しようとしたら自分の攻撃がすでに外れていた』など、『時が消し飛ばされた』ように感じる。消し飛ばされた時の中での全ての生物の動きは「運命」で決まっており、ディアボロだけが運命に逆らって行動できる。


アバッキオのように能力発動前に動きながら喋っていたりしないと他人に指摘されるまで能力が発動したことすら気付かないケースも多い。逆に言えば終了後ならば能力の行使を推察することが可能であり、ジョルノは自分たちがいつの間にか階段を上り越えていることで発動を察知し、ポルナレフがディアボロの射程圏に入ってしまったことを理解した。


身近なもので例えると、テレビや動画サイトのスキップ機能のようなもの。スキップされても動画の内容は変わらないが、飛ばした時間に何が映っていたのかは分からない。キング・クリムゾンはこのスキップ機能を使うことができ、しかも周囲の人間が認識できない本来あったはずの「飛ばされた時間」の中で自由に(自分以外の物に対する干渉を除く)行動ができるため、能力が解除された時、周囲の人間には急に時間が進み、予期しないことが起きたという認識のみが残るというわけである。


数少ない弱点としては、全力で逃走を図る相手を追うことは苦手な点。

時を消し飛ばしたとしても相手は運命通りに走り続け無我夢中で逃げているという認識にしかならず、キング・クリムゾンは近距離パワー型なので結局は本体の足で追いつかなければいけなくなる。

ディアボロが確実に相手を殺せるまで姿を隠そうとするのは、この事態を恐れてのことでもある。


  • 「エピタフ」

キング・クリムゾンの「時を消し飛ばす」能力の前提となる予知能力。King Crimsonの楽曲「エピタフ(墓碑銘)」(原題:Epitaph)から。ディアボロの能力が難解になっている主な要因であり、普通の未来予知のように「未来を"見ていない"自分の攻撃をくらってるシーンが映ったので、それを避ける」のではなく「未来を"見た"自分の攻撃を回避してるシーンが映ったので、その通りに避けられる」というもの。簡単に言えばある程度自分に都合が良い未来(=未来を見て行動する自分)を映像で見て、良くも悪くもその通りになってしまう能力であり、不都合な未来が映った場合は未来を見た程度では絶対に回避出来ないということになる。

詳しくはエピタフ(ジョジョの奇妙な冒険)




主な戦闘スタイル編集

時を飛ばす能力と予知で相手の攻撃をくぐり抜けながら相手の死角に近付き、能力が解除された瞬間に叩く。相手は時間が消された「結果」しか認識できないため、強力な不意打ちが行われる。そこに破壊力・スピード共に抜群の『キング・クリムゾン』のパンチを浴びせるのが主な戦闘スタイルである。


時間を消し飛ばしている間は敵に干渉できず、攻撃自体は通常の時の流れにおいて行われるが、この不意打ちに対応できたのは「スピードAの剣術を持つシルバーチャリオッツを使えた第3部終了後のポルナレフ」だけであり、ほとんど問題にならない。そのポルナレフも初戦は敗北しその後『キング・クリムゾン』を研究して『血の雫をたらして水滴の数の一瞬の変化をみて能力発動を感知する』という対策をしたものの、再戦にあたっては本体であるディアボロの腕をわずかに傷つける程度であった。


その後、ジョルノが同じように血の雫をたらして発動に備えたが、反応できず頭を殴られスタンドの腕も吹っ飛ばされる。最終決戦時、全てのステータスが測定不能の『ゴールド・エクスペリエンス・レクイエム』も能力を抜きにした純粋なスペックだけの勝負では反応できていない。エピタフの予知でもジョルノの心臓をぶち抜いており、『ゴールド・エクスペリエンス・レクイエム』曰く『お前が見ているものは確かに真実』、『お前の能力がこの先起こす実際の動きを見ている』。


強力なパワーを持っているが、エピタフの能力ゆえに基本的に「ラッシュの撃ち合い」には持ち込まない。敵のラッシュは時間を飛ばして回避し、死角に回ってから確実に始末するために重い一撃や手刀による斬撃を撃ち込むことが多い。


ドッピオの人格の時は『時間を消し飛ばす』ことができないため戦法が変わり、エピタフによる『予知』がメインとなり拳によるラッシュも繰り出す。


エピタフによる未来予知と「時を消し飛ばす」能力によって理論的には暗殺にも対応できるため、危機回避に関しては非常に優秀。しかしブチャラティの床からの不意打ちパンチやポルナレフの攻撃に対しては驚きながら、前者は頬にかすり傷を入れられつつ時を飛ばし、後者は腕に一線入れられたので、常にエピタフで全周囲を見ているわけではないと考えられる。

ただし『予知できていない=時を飛ばすのが間に合わない』では無い。本体への暗殺を考えるブチャラティ達に対してポルナレフは『暗殺はきっと失敗する』『まず返り討ちになるのは目に見えている』として止めた。


PS2ゲーム版の戦闘では、この能力は自分以外の動きをスローモーションにするものとして描写されている(背景も消滅しない)。このためプレイヤーの動きは非常にゆっくりになるが、ボスとキング・クリムゾンとG.E.レクイエムだけは普通に動くことができる。

しかも原作と異なり、能力発動中にも普通にダメージを与えて来る。そこへブチャラティのドテッ腹を貫いた超威力のパンチを放って来るのが基本戦法。

実はタイミングを見て回避をすれば割と簡単に対処できる(回避の判定時間もスローになるため)。

ちなみに能力発動の際は「キング・クリムゾンエピタフ!」と叫ぶ。

逆輸入の意図があったのかは不明だが6部のラスボスがこれに近い能力である(ラスボスからすれば相手の動きがスローに見える)。


バトルロイヤル形式のアーケードゲームであるラストサバイバーでは、ディアボロ及びキング・クリムゾンの姿が他のプレイヤーの視界から消え、ほぼ全ての攻撃を受けなくなり、発動者以外のプレイヤーは動きがゆっくりになり、効果時間中全ての背景が見えなくなるというふうに実装された。


議論編集

射程距離に関する議論編集

能力の射程距離については度々議論されることがある。

ディアボロの『空の雲はちぎれ飛んだことに気づかず!』『我以外の全ての時間は消し飛ぶ』『この世の時間は消し飛び…そして全ての人間はこの時間の中で動いた足跡を覚えていない』という作中のセリフや、スタンドの能力解説における『この世の時間を消し去る』『時間の消された、この世のすべての人間や生き物は、その時間を体験しておらず、記憶はもちろんない』などの記述から全世界が射程範囲だと読み取ることができる。


しかしこの能力が「認識と記憶ができないだけで時間自体は流れている」性質のものであり、運転中や手術中の人間などが巻き込まれた場合未曾有の大混乱を引き起こすかもしれないことから、能力の及ぶ範囲について疑問を持つ意見もある。


作品内では能力に巻き込まれたジョルノはフーゴに水を取ってくれと頼まれた事までは覚えていても渡した記憶がなく、フーゴは水を取ってくれと頼んだまでは覚えているが礼を告げてないことを疑問に思っている。さらに言えばこの時フーゴは突然水を飲んだ状態になっているにもかかわらずむせたりはしていない。ミスタはトリッシュから弾丸を渡された記憶がないが、トリッシュは渡したと認識している。

このように時間が消し飛んだことを疑問に思えるかどうかはある程度個人差があり、行動そのものは問題なく完了しているため、そもそも混乱自体が起こらず無自覚に過ごしている可能性がある。


能力発動中の「すり抜け」と「巻き込み」について編集

詳細な描写が少なく、その能力に謎の多いスタンドだが、上述した能力だけでは説明しきれない現象として「エレベーター内のトリッシュを攫うシーン」と「ナランチャ奇襲時のシーン」が挙げられる。

どちらも「キング・クリムゾンの発動中は自分以外に干渉できない」という推測からは導き出しにくい結果を生んでおり、こちらも議論の対象になって幾つかの説がある。


説の一例としては、まず「発動中のキング・クリムゾン(と本体)は他の存在をすり抜けられる」という、エアロスミスの弾をすり抜けさせた時と同じ効果があることを前提としつつ、「発動直前に触れていた存在(生命を含む)を能力に巻き込むことができる」という法則を補うものがある。


つまりトリッシュを攫うシーンでは、トリッシュのみを能力に巻き込む必要があるため、ブチャラティと繋いでいた手首を一瞬で切断し(エピタフの予知による死角からの攻撃)、トリッシュに触れたまま能力を発動させて一緒にエレベーター内から抜け出た、という動きになる。


さらにナランチャ奇襲時も、ナランチャに触れたままキング・クリムゾンの能力に巻き込むことで鉄格子と重なる位置に移動させ、能力解除とともに鉄格子で貫いたという解釈になる(ただし、鉄格子の上部を一瞬で破壊したように見える描写には追加の解釈を補う必要がある)。


そもそもキング・クリムゾンは本体が身に付けている衣服や持ち物も巻き込んで発動するため、「触れたものを巻き込む」という解釈も(暗殺能力としては脅威的だが)飛躍したものではない。

また、「発動中に受ける攻撃を避けるように動く」戦法も、緊急の解除時に自分と重なってしまうおそれを考えればやはり自然な行動だと言えるだろう。

作品のテーマの中の位置づけ編集

このキング・クリムゾンの「過程」を吹っ飛ばして「結果」だけを残すという能力は、ディアボロ自身が殺害したアバッキオが夢の中で出会った警官の「わたしは「結果」だけを求めてはいない…(中略)…大切なのは『真実に向かおうとする意志』だと思っている」という言葉と対になっている。


一見無駄なことのように見えても「過程」をきちんと踏んで一歩一歩進んでいく「真実に向かおうとする意志」こそが大切なのであり、「結果」はその末にやってくるものなのである。その「過程」を吹っ飛ばして常に「結果」だけを求めてきたディアボロの最後は、いかなる「結果」にもたどり着けず、そこに至るまでの「過程」を永遠に繰り返すこととなってしまった


スラングとして編集

スタンドの能力である「過程を飛ばして、結果へ至る」「時を吹っ飛ばす」という独特の能力から、物語の過程の場面をカットして結果や事後を描く表現、動画媒体でのショートカット編集、寝落ちなどで気が付いたら時間が経過していたことなど、間の時間がなかったかのように感じるものの比喩として使われる。特にこの場合、しばしばキンクリと略して言われることもある。


関連タグ編集

ジョジョの奇妙な冒険 JOJO 黄金の風 ラスボス

スタンド ジョジョの奇妙な冒険・スタンド一覧

未来予知 時間操作 カット スキップ

キングクリムゾン(スタンド):表記揺れ


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吉良ディアボロプッチ
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