概要
電光石火ゴウライジャーの霞一甲、霞一鍬兄弟の実の父親で、劇中では既に故人。
かつて迅雷流に所属していた壮年男性で、同流派最大の汚点と呼ばれた最悪の忍者にして、伝説の覇者とされるゴウライジャーとなる事を目指し、果たせなかった男。
異常なまでに攻撃的かつ好戦的な性格で、任務とは無関係な殺戮と破壊を不必要に繰り返してきた人物(劇中の回想のシーンでは、彼が任務を行ったと思しき街が炎上している描写が描かれている)。小説版によると若い頃は真っ当な人物だったようだが、理由は不明だがやがて力に取り憑かれるようになり、いつしか上記したような外道へと変わっていった模様。
そんな危険人物だった為に、小説版によると世界各国の諜報機関に危険人物としてマークされ、迅雷流からも激しく疎まれ孤立し、危険な任務ばかりを与えられていた。
息子達に対しても親らしい情など皆無で、幼い彼等に苛烈なまでの修行を課し、更にはあえて自身への憎しみを煽って、彼等に怒りと憎しみばかりを叩き込み続けた。
実は、かつてある任務の最中に偶然流星群と遭遇し、そこに秘められていた邪悪なる意志のメッセージに感応して、「アレ」に関する情報を入手していた。
そして、「アレ」の力に魅了された彼は「アレ」を復活させようと目論むも、その力を恐れて隠蔽しようとする迅雷流上層部と対立(御前様の存在を考えれば、迅雷流が「アレ」の情報を隠蔽したのは当然の判断である)。以降は迅雷流の意向を無視して内密で独自に捜査を続け、「アレ」を手に入れるべくゴウライジャー復活と、専用のシノビマシンの研究・開発を進めていた。
ところが、力が足りなかったのか前述通り彼自身は結局ゴウライジャーにはなれず、そこでその役割を子供達に託す事にし、自分の知り得る情報をあらかじめデバイスに残していた。その結果、霞兄弟は巻之一で封印の洞窟でゴウライチェンジャーを発見し、目論見通りゴウライジャーとなった。
しかし、そんな行動を迅雷流が見逃がすはずもなく、最終的には一鍬曰く「殺されたも同然」の任務を与えられ、迅雷流に暗殺されたに等しい形で死亡した。
霞兄弟からも自分達を苦しめた最悪の親として憎悪を抱かれており、流派に殺されたのも仕方なかったとある程度割り切っている。しかし一方で、兄弟にとってはどれ程冷酷で危険だったとしても、唯一心の頼りとする事ができる人物であったが為に、「強くてでかい」と半ば皮肉混じりに評していた。
彼等にとって父親に幼少期から叩き込まれた教えは大きく、彼等の序盤での行動原理の全ては父親の思想と道筋を辿ったものである。それ故に父親に対してもそれを殺した迅雷流に対しても、愛憎入り交じった複雑な感情と執着を抱いている。
しかし、最終的に一鬼は2人の息子を互いに殺し合わせる事で、「アレ」を呼び出すつもりだった事が判明する。彼が流星群から得た「アレ」を呼び出す方法とはこれであり、息子達に怒りと憎しみを叩き込み続けていたのも、いずれ彼等に兄弟同士で殺し合いをさせる為だったのである。
この事実が発覚し、兄弟の絆を取り戻してハリケンジャーとも和解した一甲は、「親父は強くもでかくもなかった」「ああしか生きられなかった本当は哀れな男だった」と評し、2人は父親の呪縛を乗り越えて新たな道を進む事を決意した。
鬼雷丸
一鬼が生前愛用していた武器で、製作者は一鬼自身。
外見は、イカヅチ丸の両端に大型の刃を付けたような薙刀状の武器であり、この武器で同じく一鬼が編み出した「鬼雷爆撃破」という強力な奥義を放てる。
彼の死後は、迅雷流によって封印されていたが、巻之三十八で一鍬の中の振り切れていなかった父親や迅雷流への執着と葛藤に反応して復活し、生前の一鬼の修行場でもあった封印の地で父親の幻影との修行を経て、一鍬は鬼雷爆撃破を習得した。
しかし、この技と鬼雷丸の実態は広範囲に強力な電撃を放出し、周囲の味方ごと敵を倒す為のものである。普通武器というのは当然ながら味方を守って敵を倒す為のものなのだが、この武器は最初から味方の犠牲を前提として敵を倒すという、まさに「味方殺しの魔剣」だったのである。
迅雷流が鬼雷丸を封印したのもこの為であり、サタラクラが持つ『宇宙極悪武器全集』にも載っている等、その悪名は宇宙全体にも知られている。その設計思想はあのサタラクラにすら、「君のパパりんはちょっと普通とは考え方が違ったみたい」とまで言わしめた程である。
その事実を知った一鍬は、ショックを隠せずにいたが、ハリケンジャーから「自分が信じた迅雷流を貫いてみろ」と背中を押された事で吹っ切れ、自ら鬼雷丸を真っ二つに叩き折って敵に投擲し、それを避雷針代わりにして電撃が周囲に飛ばないように誘導しつつ、敵の体内に全ての電撃を直接叩き込むという、一鍬オリジナルの鬼雷爆撃破を編み出した。
同時にこの技によって、鬼雷丸も一鍬に半ば捨てられる形で敵諸共爆散して消滅。加えてこれ以降一鍬が自身の執着を昇華する形で吹っ切れたのもあって、2度とこの技が使われる事はなかった。
余談
演者の団時朗氏は、『帰ってきたウルトラマン』にて主人公『郷秀樹』を演じていた事で特撮ファンには広く知られており、他にもハリケンジャーから17年後、『騎士竜戦隊リュウソウジャー』にて『長老』役で再びスーパー戦隊シリーズに出演する事になる。
しかし、前者は正義感がとても強く、後者はユーモアもある等いずれも一鬼とは似ても似つかぬ人物である。
なお、日向無限斎役の西田健氏とは、『帰ってきたウルトラマン』で共演している。
関連タグ
ダークトレーダー:似たようなチームの子供の育ての親。こちらは養子でありながら、子供の事は溺愛している。
エンデヴァー:霞一鬼と似たような方針で子供を育てていた某作品の父親。ただし、こちらは最終的には自分の考えを改めて改心している。