曖昧さ回避
桜庭一樹のライトノベル→GOSICK
乙一の小説→GOTH
語ル二堕チル
最初に断っておくが、この頁はサブカルチャーとしての「ゴシック」を説明するものの、途中まで読んでいくと、
となるように編集されている。
というのも、誰もが皆、それを「ゴシック」と呼んで異を唱えることがないのは、12世紀~15世紀の間に建てられた一連のゴシック建築と、18世紀にイギリスのホレス・ウォルポールが祖となって興ったゴシックロマンスと建築界におけるゴシックリヴァイバル運動………このくらいなもので、それ以降は各々が独自の感性に従って「ゴシック」と呼べるものを創作したり、それを誰かが見つけ出したりを繰り返してきた。
そのために、誰かにとっては「ゴシック」と呼べても、他の誰かはそれに首を傾げるという曖昧さが常につきまとい、ある程度の定義づけとしようとすればするほど、矛盾が生じたり、ゲシュタルト崩壊に似たことになる。
こうして「ゴシック」という単語を連発せざるを得なくなっているのもそのためである。
参考文献などでは、仮の定義づけで枠組みをつくり、その枠の中に入ったものを題材に論じてゆく方法を採っているが、Pixivにおいては「ゴシック」という言葉からユーザーが一人一人、自由に想像を膨らませて創作・投稿をしているので、ここではそうしたことはせずに、今日まで「ゴシック」と呼ばれるようになった文化とPixivの中で「ゴシック」が名をついた創作活動を列挙して、この頁を読んだ人それぞれが、それぞれの感性に合った情報を拾えるように、また他者の感性による「ゴシック」に触れる良い機会になるようにしておく。
概要で改めて説明するが、かつてホレス・ウォルポールがそうしたように、とにかく周囲から「ゴシックっぽい」素材を掻き集め、ひとつひとつ吟味して、自分の趣旨に副(そ)うものを選び出し、自分にとっての「ゴシック」を独自に創り出す。
完全に混沌としている「ゴシック」という言葉の中でできることと言えば、最初から最後までそれしかない。
概要
手垢にまみれた説明から始めると、もともとは12世紀半ばから15世紀頃までに建てられた、北ヨーロッパの教会などにみられる建築様式で、構造としては尖頭アーチ、リブヴォールト、フライング・バットレスの三つが特徴。
代表的な建物としてはフランスにあるシャルトル大聖堂やノートルダム大聖堂などが挙げられ、ルネサンス時代になってから、イタリア知識人たちの目にはその外観が装飾過剰でいびつなものに映り、軽蔑の意味を込めて「ゴート人の (gotico)」と呼ばれるようになったのが言葉の由来である(この15世紀のルネサンス時代から18世紀にゴシック・リヴァイバルが始まるまでの、ゴシック建築が評価されなかった時期は「ゴシック・サヴァイバル」と呼ばれている)。
ただし、この頁で主に説明する「ゴシック」は、ゴシック建築からの影響もあるにはあるが、まったくの別物と初めから捉えていたほうが良い。
発端となったのは18世紀。当時、富裕層の若者たちの間では、学業終了のときにイギリスを飛び出してヨーロッパを旅する「グランドツアー」という慣わしがあり、そこでイタリアの風景画、特に廃墟画が流行した。それと同時に、もともとイギリスにはかつてヘンリー8世が行った修道院解散によって、廃墟となった修道院がいくつもあり、そうしたことから、廃墟に対して「美」や「崇高さ」などを求める発想が生まれる。
そうした経緯があった上で、墓場を背景として死すべき運命を詩にする、墓場派と呼ばれる詩人たちも登場し、トマス・グレイは自身の代表作「田舎の墓地で詠んだ挽歌」を1751年に発表し、また、フランシス・ダッシュウッドは修道院だった廃墟を友人から譲り受けて改装すると、黒ミサを模した乱痴気騒ぎを行うための秘密クラブ「地獄の火クラブ」を1753年から主宰した。
ホレス・ウォルポールがストロベリー・ヒルにある別荘をゴシック建築風に改築し始めたのも丁度その頃(正確には1747年)で、これが評判となって建築業界ではゴシック・リヴァイバル運動に火がつき、また、彼の書いた小説「オトラント城奇譚」がゴシック小説の原点となって、ゴシック趣味という嗜好が確立する。
だが、これは「ゴシックっぽい」雰囲気さえあればそれでよしとするもので、先に触れたゴシック・リヴァイバル運動によって建てられた建築も、外観はゴシック建築を装うも建築構造自体は他の様式であったり、ガーゴイルやグリーンマンなどといった、中世ヨーロッパの精神や宇宙観を象徴的に示す石のフォークロアが省かれていたりと、大雑把な点が多くみられる(注1:もっとも、建築構造だけに絞って話せば、ゴシック様式の尖頭アーチやフライング・バットレスは、現代の建築技術を以ってしても再現不可能な失われた技術であり、それを18世紀後半の人々にやれというのは無茶苦茶ではある)。
評論家で作家の紀田順一郎は、その様子を、
「彼は二人の建築家とともに委員会(コミッティー)をつくり、主として英国の末期ゴシック様式についての文献をあさり、天井はヘンリー七世の礼拝堂にあるもの、墓はコーンウォール伯爵のもの、煙突はカンタベリー聖堂のものというように、あちらこちらから気にいったものを引っぱり出し、しかも日常生活に不自由がないように当代の様式をとりいれるという、折衷方式(というよりゴッタ煮の様式)をつくりあげた。彼の意図によればこうすることによって『陰うつではなやかな、目新しくロマンチックで、しかも居心地のよい』〝ゴシック空間〟が得られるというのであった」(紀田順一郎著「幻想と怪奇の時代」松籟社 2007年より抜粋)
と書いている。
その先人たちの悪い癖を引き継いでいるのか、今現在でも「ゴシック調」とか「ゴシック的な」とか「ゴシック風の」などといった形容詞はよく目にするが、それが何をもって「ゴシック調」であり「ゴシック的」であり「ゴシック風」なのか、はっきりとした定義がない。
高原英理は著書『ゴシックハート』の中で、ゴシックを「好悪の精神」と言い表し、その概念に内包されている要素を次のように列挙して、これらの要素のいくつかを含んでいなければ、それをゴシックとは呼ばない。としている。
「色ならば黒。時間なら夜か夕暮れ。場所は文字通りゴシック建築の中か、それに準ずるような荒涼感と薄暗さをもつ廃墟や古い建築物のあるところ。現代より過去。ヨーロッパの中世。古めかしい装い。温かみより冷たさ。怪物・異形・異端・悪・苦痛・死の表現。損なわれたものや損なわれた身体。身体の改変・変容。物語として描かれる場合には暴力と惨劇。怪奇と恐怖。猟奇的なもの。頽廃的なもの。あるいは一転して無垢なものへの憧憬。その表現としての人形。少女趣味。様式美の尊重。両性具有・天使・悪魔など、西洋由来の神秘的イメージ。驚異。崇高さへの傾倒。終末観。装飾的・儀式的・呪術的なしぐさや振る舞い。夢と幻想への耽溺。別世界への夢想。アンチキリスト。アンチ・ヒューマン。」
ただし、これもまた上記で挙げられた要素のいくつかを含んでいたなら、ゴシックをテーマにしていない作品までそうだと断定し、「私がゴシックだと感じたらゴシックで、私が違うと言ったらゴシックではない」という乱暴な主張がまかり通ってしまう問題がある。(注2:もともと、「ゴシックハート」と、これに続いて執筆された「ゴシックスピリッツ」は、対象が『ゴシック』という言葉の枠の外にある創作物であっても、筆者のゴスの感性に適うものであれば紹介し、それがゴシック的にどう見えるのかを論じることが目的で書かれた本であり、その趣旨自体が間違いだというのではない)
例えば、有名なシンフォニックメタルバンド「ナイトウィッシュ」も、ゴシックメタルと呼ばれているが、リーダーのツォーマス・ホロパイネンは自分たちがゴシックメタルであることをはっきりと否定している。
春風社から出版された「クリス・ボルティック選 ゴシック短編小説集(原題:The Oxford Book of Gothic Tales)」の序論では次のように指摘している。
「『ゴシック』という用語は、西洋近代の創造力における、不吉な一隅に対する名称として確立されてきた。けれどもその用語は、指示対象を正確に合意しているというよりも、直感的な思いつきによって機能しているように見える。言葉そのものの用法に関わる、困難な点もいくつかある。なかでも、こんにち最も明白であるのは、文学における意味合いと建築におけるそれとの不一致である。建築の文脈では、『ゴシック』は、12世紀後半から15世紀にかけて花開いたヨーロッパの建築と装飾の様式を指すのであるが、文学や映画を論じる際には、まったく異なった媒体に数百年後に現れた作品を指すのである。このように、大きく時代が異なった二つの産物に対して同時に適用された用語は、何らかのの修飾語をくっつけてくれと要求しているように思える。実際、建築史家たちが、中世後期のゴシックを、19世紀のネオ=ゴシックやゴシック復興様式と区別したのは、賢明である。より論理的な世界においてなら、現代の文学や映画の『ゴシック』に対して、この種のより明確な命名を適用することを、我々は学んでいたのかもしれない。とはいえ、我々が受け継いできた混乱を御破算にするには、もちろんあまりに遅すぎる。たとえそれが可能であるとしても、『ネオ=ゴシック・フィクション』であるとか、不十分な命名を行って、より困難な状況に陥るだけであろう」
先の説明と重複するが、先人たちのゴシック・リヴァイバル運動やゴシック・ロマンス執筆における悪い癖=元のゴシック建築やその他の正しい形式などはまったく無視して、重厚さや崇高さ、どこか寂しさが漂うような雰囲気など、自分たちの好みに合った部分だけを都合よく取り上げて模倣、アレンジする。という行為は、その後の文学、映画、音楽、ファッションなど、あらゆる分野においても受け継がれ、自らの嗜好に副(そ)うものであれば何でも貪欲に取り入れて、それを「ゴシック」と呼んでしまう反面、結果、「ゴシック」という言葉の定義をより一層困難にし、異なるジャンルと「ゴシック」とが混同して捉えられてしまう原因を、自らが作り、増やすという宿命を背負うこととなった。
近年ではゴシックメタルがシンフォニックメタルと、ゴシックロリィタがコスプレやメイド服と同一視されてしまい、愛好家が苦々しい思いをしている話をネット上でよく見かけるようにもなっている。
他方で、ゴシックロマンス、ゴシックロックのように、一時代に隆盛を極めるも、その後、人を惹きつけていた要素、部分だけが別のジャンルへと抽出、昇華していき、元となった「ゴシック」は用済みとなって衰退。再評価される時を待つケースというのも少なからずある。
また、面白い傾向として、過去に「ゴシック」が流行る時期というのは、必ず技術革新や文明の急速な発展と共に、それらに対する不安や不満を胸に秘めた時代で、18世紀にゴシック趣味が誕生した際には産業革命と合理化の推奨があり、後述のゴシック小説で説明するスーパーナチュラル小説などが流行った19世紀末から20世紀初頭にかけては、自動車や電話、ラジオなどが実用化されて一気に普及した頃だった。
1990年代~2000年代も携帯電話やインターネットといった通信技術の変貌と、国際社会のグローバル化などがあり、それに呼び覚まされたかのようにゴシック文化が世界各地で盛り上がりを見せた。
文学においてはニューゴシックという新しいジャンルが確立され、ステファニー・メイヤーの「トライワイト」が2005年に出版されると世界的にヒットする。(日本では鈴木光司の「リング」シリーズや京極夏彦の「百鬼夜行」シリーズなど、日本独自のホラー・怪奇小説が席巻していた頃とちょうど重なり、でなくても「羊たちの沈黙」に代表されるサイコサスペンスものも全盛期だったなので、海外のゴシック小説は本当に好きな人にしか必要とされなかった)
音楽においてはイングランドのメタルバンド・パラダイスロストが1991年に出したアルバム「Gothic」がヒットしたのがきっかけでゴシックメタルが誕生し、2003年にはアメリカのバンド・エヴァネッセンスが世に出たことでさらに注目を浴びた。
ファッションでは1992年からWaveGotikTreffen を開催するドイツのライプツィヒを始め、ヨーロッパ各地でゴシックファッションのイベントが開かれるようになり、日本ではヴィジュアル系の流行などいくつかの要因が重なって、ゴシックロリィタが誕生して、今では日本のサブカルチャーの代名詞として-よく理解されていないまま-語られるようにもなったのは周知のとおりである。
「ゴシック」と「ゴス」
「ゴシック」の略称として「ゴス」という言葉を用い、その愛好家が自らを「ゴシック者」と呼んでいるのは日本国内だけでのことである。海外では建築、ファッション、文学、音楽などにおける形式のことを「ゴシック」、思想やそれ相応の服装を好む人々やその指向のことを「ゴス」と呼んでいる。
「ゴシック」と名前がつく分野
ゴシック小説
大雑把。かついい加減にいってしまえば、「登場人物が怪奇現象に遭遇する物語」。
狭義では次に説明する「ゴシックロマンス」のみを指し、SFやホラー、推理ものなど各ジャンルの源泉と評価されているのだが、そうすると我々が今日「ゴシック」を語る上で欠かすことのできない作品のいくつかが除外されてしまう。
かと言って、あまりにも視野を広げすぎて「ゴシック」と謳っている作品や自称はしてないが周囲から「ゴシック」と呼ばれている作品、また、それに近しい作品にまで目をむけると「わけがわからないよ」となる。
ゴシックロマンス
ホレス・ウォルポールの「オトラント城奇譚」が嚆矢となって、18世紀末から19世紀初頭にかけて流行した小説ジャンルであり、
「窮地に追い詰められたヒロインを理想的な男性が救い出す」
というテンプレートを持つロマンス文学に怪奇現象や廃墟といった要素を取り入れたもの。
多くの作品で、サミュエル・リチャードソンの書いた感傷小説「クラリッサ」(1747年)に倣って<迫害される乙女>というテーマを取り上げており、紀田順一郎はゴシックロマンスの特徴として、
1.センシュアリズムの強調
2.神秘的テーマへの志向
3.そのためのセッティングを〝居心地のよい過去〟に採る
の三つを挙げ、また、物語の定型として、
1.城への"招待"
2.予言、凶兆または危機
3.デモンの顕現
4.出口なき迷路
5.城の崩壊
としている。
以下に紹介するのはその代表的な作品。
「オトラント城奇譚」(1764年) ホレス・ウォルポール
「イギリスの老男爵」(1777年) クレアラ・リーヴ
「ヴァテック」(1782年) ベックフォード
「森のロマンス」(1792年) アン・ラドクリフ
「ユードルフォの謎」(1794年) アン・ラドクリフ
「ケイレブ・ウィリアムズ」(1794年) ウィリアム・ゴドウィン
「マンク」(1796年) マシュー・グレゴリー・ルイス
「イタリアの惨劇」(1797年) アン・ラドクリフ
「フランケンシュタイン、あるいは現代のプロメテウス」(1818年) メアリ・シェリー
「放浪者メルモス」(1820年) チャールズ・ロバート・マチューリン
このジャンルの作品は最盛期にはつまらかろうがどうだろうが似たような内容のものが数多く出版され、1817年にはイギリスの小説家、ジェーン・オースティンがゴシックロマンスの筋書きを逆手に取った『ノーサンガー・アベイ』というパロディ小説を発表している(執筆は1798年から翌年1799年)。
そうして「放浪者メルモス」を最後に、ゴシックロマンス自体はその通り一辺倒なストーリー展開が飽きられて消滅するが、同時に、ゴシックロマンスを形成していた要素一つ一つはさらにクローズアップされ、別のジャンルに派生、昇華していった。
実際に「ケイレブ・ウィリアムズ」は隠された事件を解き明かしていく過程を見せていることから推理小説の元祖と呼ばれ、「フランケンシュタイン」も文学史上最初のSF小説とする評価がある。
それと、これは蛇足だが「フランケンシュタインの花嫁」はアメリカで撮影された映画であり、メアリ・シェリーが同タイトルのゴシックロマンスを書いたわけではない。
エドガー・アラン・ポー「アッシャー家の崩壊」(1839年)
「私」が友人であるロデリック・アッシャーの招きを受けて、彼と、彼の妹マデラインが住むアッシャー家の屋敷を訪れ、そこで目撃した怪奇現象とアッシャー家の最後とを語る物語。
翻訳家で幻想文学研究家の風間賢二が、
「構造的二重化の仕組まれた作品『アッシャー家の崩壊』において、古い城館、幽霊、呪い、禁断の愛、ピクチャレスクな風景といったゴシック・ロマンスでお馴染みの素材を用いながら、オート・パロディ的にこのジャンルを主題化してみせた、ポストモダン・ゴシックの先駆けでもあった」(「幻想展覧会Ⅱ ニューゴシック短編集」より抜粋)
と評価しているように、ウォルポールたちゴシックロマンスの作家たちの場合は、無意識的に、18世紀当時推し進められていた産業革命や推奨されていた合理主義への反発心、それに概要でも説明したような、廃墟やゴシック様式の建築物から直感的に感じる「美」と「崇高さ」への憧れを、物語や建築などといった目に見える形にし、それが結果的に「ゴシック」になったのに対して、ポーは最初から「ゴシック」そのものを意図的にテーマにして「ゴシック」を書いた。
ポーは他にも「早まった埋葬」「赤死病の仮面」など、かつてのゴシックロマンスの伝統的なモチーフを取り上げた作品を執筆しており、後に続く作家たちに多大な影響を与えたのは言うまでもない。
スーパーナチュラル小説
19世紀末期から20世紀初頭にかけて、イギリスを中心に流行した。
「スーパーナチュラル」とは「神秘的な」「不可思議な」などの意味合いで使われる言葉だが、、日本ではあまり馴染みがなく(日本語版Wikipediaに『スーパーナチュラル』という頁がないほどだ)、「怪奇小説」とか「幻想小説」と呼ばれることが多い。
代表作としてヘンリー・ジェイムズの中編小説「ねじの回転」(1898年)が挙げられ、アンソロジストのフィリップ・ヴァン・ドーレン・スターンは、1898年から1911年の13年間を、発表された傑作の多さから「黄金時代」と呼んでいる。
ゴシックロマンスではその作品の雰囲気を演出するためのいわば「小道具」でしかなかった幽霊や怪奇現象も、この頃になると完全に主題となり、舞台や時代設定も「昔々、あるところに……」ではなく、現代の(我々からすれば当時の)日常生活の中にしている。
ようやくここでブラム・ストーカーの「ドラキュラ」(1897年)が入り、また、「ゴーストストーリー」と呼ばれる作品群もこれの下位区分にあたる。
このジャンルが流行ったのは、ポー以降も、かつてのゴシックロマンスからの伝統が文学界の中で受け継がれていたことに加えて、19世紀に交霊術などのオカルティズムが流行っていたという点があげられる。
ラヴクラフトとそんなはずじゃなかったクトゥルフ神話
ここでコーヒーブレイク。↓
先に触れたスーパーナチュラル小説の一つ、ゴーストストーリーを書いた代表的な作家の一人にウォルター・デ・ラ・メアがいる。
彼が執筆の際に用いていた手法は「朦朧法」といい、恐怖の実態をはっきりとはさせず、あいまいな描写や暗示などで読者の想像力を搔き立てることで恐怖を演出するというもの。
ラヴクラフトの場合だと、初期作品「ダゴン」の結末=「いや、そんな!あの手は何だ!窓に!窓に!」がそれにあたる。
ラヴクラフトがエドガー・アラン・ポーの影響を大きく受けていたのは有名な話だが、それ以外にもスーパーナチュラル小説やファンタジー小説からの影響もあり、
「彼の新しい恐怖小説の概念は、充分に熟した形になってから発表されたのではなかった。初期の作品は、『ランドルフ・カーターの弁明』『アウトサイダー』『冷気』『妖犬』といった、ダンセイニ風の小品とポー系列の作品からなっている。彼はマッケンの描いた人獣の恐怖を導入し、『潜み棲む恐怖』『壁のなかの鼠』『赤い鉤の恐怖』『アーサー・ジャーミン』等の作品を書いた。」(「ラヴクラフト全集Ⅰ」荒俣宏訳 創土社 1975年に載せられた、フリッツ・ライバージュJrの解説「恐怖小説のコペルニクス」より抜粋)
スーパーナチュラル小説では、恐怖の根源は心霊現象などのような、自然界における、人が未だに科学で解明しきれていない部分によるもの(あるいは、人が『自然』と呼んで認識している枠組みの外から来たもの)だったが、ラヴクラフトの作品群は「宇宙的恐怖(コズミックホラー)」といって、「あまりにも巨大な宇宙規模の物事に起因した出来事であるため、小さな人間では理解しようがないが故の恐怖。の、ほんの一端」が書かれている。
だが、ラヴクラフトの死後、オーガスト・ダーレスらによって「クトゥルフ神話」という形に体系化されてしまう。
これによって世の中から忘れ去られる可能性のあったラヴクラフトの作品は注目され、多くの作家がクトゥルフ神話に参入してきたのだが、一方で、この体系には善悪二元論や四大元素といったダーレスの個人的な解釈が含まれており、また、その解釈を他の作家・読者に強要するという負の側面がある。
そしてなにより、ラヴクラフトが描き続けてきた巨大なはずの宇宙は歪曲化・矮小化され、その全容が明らかとなり(ラヴクラフトが実際に頭に思い描いた『宇宙』とは異なっている可能性は大いにある)、読者からしてみれば「得体が知れないが故の恐怖」がなくなってしまった。
これが「ラヴクラフト最大の誤算」と呼ばれる出来事のはずなのだが・・・・・・Pixivでは意味が違うらしい。
詳細は→ラヴクラフト
ニューゴシック
1990年代になって、イギリス人作家パトリック・マグラアを中心に確立したジャンル。この頁でたびたび参考文献にしている「幻想展覧会Ⅰ」「幻想展覧会Ⅱ」(ともに福武書店から1992年に出版)は、もともと原題が「The NewGothic」(アメリカにて1991年に出版)であり、このジャンル確立のいわば宣言書。
かつてのゴシックロマンスとの違いは、原初の作品郡が主人公の「不幸な運命」を主題をおいて怪奇現象を絡ませていたのに対し、ニューゴシックは主人公の「心理」を主題に、そこに怪奇現象が絡ませるというものとなっている(無論、すべての作品がそうだというわけではない)。
アン・ライス、タニス・リー、その他
アン・ライスは本国アメリカで「ゴシックの女王」と呼ばれている小説家で、代表作は「夜明けのヴァンパイア」(1979年。映画『インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア』の原作)を始めとしたシリーズ「ヴァンパイア・クロニクルズ」。
ゴシック小説とはいささか離れてしまうが、タニス・リーは「ダークファンタジーの女王」と称されるイギリスの作家で、こちらは神秘的かつ耽美な作品を数多く出版している。
また、ステファニー・メイヤーの「トライワイト」シリーズなど、ヒロインが吸血鬼や狼男と恋に落ちる、いわゆる「パラノーマルロマンス」ものも人気がある。(吸血鬼や狼男が登場する=『ゴシック』となる風潮のある今日だが、ゲイル・キャリガーの『英国パラソル奇譚』シリーズのような、吸血鬼や狼男と共存する架空の19世紀ロンドンを舞台に、パラノーマルロマンスも含んだ物語であっても、明らかにゴシック小説ではない作品だって実際にある)
ゴシックロック、ゴシックメタル
Pixivが画像をメインとしているため、詳しい歴史や音楽スタイルなどの説明はウィキペディアを参照すること。(外部リンク→ゴシックロック、ゴシックメタル)
ちなみに「ゴシックパンク」はファッションスタイルの名称であり、そういった名前の音楽ジャンルはない。
ゴシックファッション
「ゴシック的な」という感じのイメージからデザインもしくはコーディネートされたファッションスタイル。
ゴシックロマンスの場合、その重厚な雰囲気など、ゴシック建築からインスピレーションを得て創作されていたのだが、ゴシックファッションの場合は建築からの直接的な影響はなく、ゴシックロックの誕生によって大きく発展した。
日本でわかり易いスタイルというとヴィクトリア時代の服装をして、オカルト的なイメージを連想させるアイテムを身に着け、黒のアイシャドーなどでメイクをするといった風だろうか。
ただし、ファッション分野でもやはり「ゴシック」という言葉に込められた宿命からは逃れられず、近年ではボンテージなどの露出度の高い服装が用いられたり、サイバーファッションと融合した「サイバーゴス」が誕生したりと、「これがゴシックファッションだ」とする定義がしづらくなってきている。
ゴシックロリィタもその例の一つであり、ただ単に黒を基調としたロリィタファッションやメイド服が「ゴスロリ」だと呼ばれることを嫌い、ゴスの要素を求める一方で、ゴシックファッションとは別個のものだとする主張が一部にあり、また、ゴシックロリィタ特有の「黒いお姫様願望」ともいうべき精神と、他のゴシックファッションが包含している思想との間に齟齬や軋轢が生じている現実が実際にある。
いかに多種多様であるかは、ドイツのライプツィヒで毎年5月に開かれるヨーロッパ最大のゴシックファッションイベントWave-Gotik-Treffenの様子を見れば分かるだろう。(注3:イベント参加者にはスチームパンクや初音ミクのコスプレなど、明らかにゴシックファッションとは別の格好をした人もいる。特に前者の愛好家は多い)
また、ここ数年も「パステルゴス」や「Bubble Goth」と呼ばれるスタイルが、いつの間にか新しく出てきていた。
なお、逆にゴシックファッションが影響を及ぼしたと言われるファッションスタイルとしてはゴシックロリィタの他に、十代若者の多感で不安定な心情を体現するエモファッションがある。
その行動や思想がゴシックが包含するいくつかの要素と近いことや、このファッションの愛好家の中にゴシックロックを好む者も多いことなどから、両者が混同されてしまうケースもある。
ゴシック建築
概要の始めの方で「まったくの別物と初めから捉えていたほうが良い。」と書いたが、建築である。
というのも、この頁のメイン画像に使われているのが、ノートルダム大聖堂のイラスト……だからではなく、ゴシックの一要素としてアンチキリストが挙げられることは高原英理著「ゴシックハート」にもあるとおりだが、実はゴシック様式の大聖堂が最もしたたかに、他の分野のゴスよりも巧妙に、それを実践してみせているからだ。
フランス・シャルトルにあるノートルダム大聖堂を例に出せば、まず建てられているその土地が、元々はケルト信仰において聖地だった場所であり、大聖堂の中にある黒い聖母は、かつて崇拝されていた大地母神がマリア信仰に吸収されたもので、実際にキリスト教的には不吉な色として忌諱されているにも関わらず、古来、豊穣なる土を示す聖なる色とされた黒がその名残りとなっている。(文献によって、元々の大地母神は古代アナトリアのキュベレーだとしたり、エジプトのイシスだとしたりと、細かいところで異なっている)
また、身廊の床に描かれたラビリンスもキリスト教的には「聖地エルサレムへの巡礼の道」となっているが、これも大地母神の女陰=冥府の入り口を象徴するものとして古くから存在する図形で、外部から中央に向かって、右へ左へと移動しながら進んでいき、中央に辿り着いたらまた来た通路を戻ってゆく。そうすることによって「死と再生」の儀礼が成り立つ仕掛けになっている。
他には、
・ガーゴイル ノートルダム大聖堂の屋根の隅に、ちょこんと座っている悪魔の姿が有名だが、元々は家の守り神であり、古くは水の神とされていた。
・グリーンマン 壁などにある、植物に覆われた男の顔の彫刻で、口から無数に蔦を吐き出しているバージョンもある。ゴシックよりも前のロマネスク建築でも見ることができるが、これはキリスト教的な意味合いはまったくなく、ケルト時代の森林や樹木への崇拝(アミニズム)が何故かそのままの姿である。
など。
これらのように、ゴシック様式の大聖堂にはキリスト教が吸収しようとしたが消化しきれなかった、キリスト教以外の思想が、ごくごく自然にそこここに佇んでいる。
どうしてそうなったのかというと、一説には、大聖堂を立てる際、教会の聖職者たちは重要な部分のデザインはあれこれと指示を出したものの、細かい部分に関しては何も言わず、現場に丸投げした。だが、まだ北ヨーロッパに広まってまだ間もないキリスト教のことなんてよくは知らない、という当時の石工職人たちは、デザインのアイデアを自分たちが生まれ育った土地に残る伝承や風習に求め、結果、こうなった。という。
ゴシック様式の一つ前、ロマネスク様式の教会でも見ることができるが、アイルランドでは自らの女陰を手で広げる女神=シーラ・ナ・ギグの彫刻が魔除け(悪霊たちにとって、地母神の女陰=冥府の入口は自分らをぺロリと食べてしまう恐ろしい存在……という発想は、実は沖縄の言い伝えでも残っている)としてあるのも、石工職人たちのセンスであり、中には教会への不満を忍ばせたデザインというのもあるらしい。
こうなると、もはやアンチキリストどころではない。古代の信仰や風習が後世まで生き残るために、逆にキリスト教を利用した。と言える。
そういう意味で参考になりそうなのは、後期ゴシック建築のひとつで「ダヴィンチコード」でも注目を集めた、スコットランドはエディンバラ南郊にあるロスリン礼拝堂だろうか。
が、あまりにもキリスト教からかけ離れたものなどもあって、神父は困ってとりあえず、
「あれは悪魔です。」
と説明し、他方では、
「これは石工職人(と書いて、無理にでもフリーメーソンと読む)によるなんらかの暗号……まさか、聖杯の在り処が!?」
とかなんとか、都市伝説などが好きな人間が目を輝かせているのが、とても愉快な現代である。
ちなみに小泉八雲(パトリック・ラフカディオ・ハーン)は少年時代、このゴシック建築に恐怖したことをエッセイ「ゴシックの恐怖」に記している。
Pixiv内における展開と関連タグ
個人による投稿
サイト内をキーワード検索すればわかるように、各々が独自に「ゴシック的」と考えるイメージを膨らませ、オリジナル、または二次創作の作品を投稿している。
交流企画
PIXIV Evil Spirits
2009年7月18日から「ゴシック調エクソシスト交流企画」と銘打って交流企画「PIXIV Evil Spirits(通称ならびタグはぴくスピ)」が開始された。
ゴスショタ
2010年にはアニメ版黒執事の第二期が放送を開始した影響からか、王宮貴族風の服を着た少年にスポットを当てたゴスショタを盛り上げようとした痕跡が残っているが、この造語(ゴシックロリィタを十分に理解しないまま、その対義語として提案されたらしい)の定義がいい加減過ぎたことが大きな要因となって、いまいち盛り上がらないままに終わった。もともと、類似のファッションスタイルは「王子ファッション」または「王子系」という呼ばれ方がすでにされている。
pixivゴシックグラウンド
2011年~2012年には交流企画として「ゴシックグラウンド(タグは【ゴシック】。正式名称:『pixivゴシックグラウンド』)」が開催されていた。
PixivZodiacCards
2012年~2013年にはBLモノの交流企画として、「PixivZodiacCards(タグは【PZC】)」が「創作ゴシックファンタジー」と銘打って開催された。
カゲプロゴスロリ・ゴスパン企画
2014年1月には、「カゲロウプロジェクト」のキャラクターにゴシックロリィタ、ゴシックパンクの服を着せたイラストを、参加者が順番に投稿するという交流企画「カゲプロゴスロリ・ゴスパン企画」が立ちあがり、同年の3月1日から4月2日にかけて開催されていた。
グループ
2014年7月1日現在までに「ゴシック」はおろか「ゴシックロリータ」を主題としたグループはない。強いて挙げれば先述の交流企画「PixivZodiacCards」が、企画運営のためにこの機能を活用していたくらいである。
関連タグ
ゴシック Gothic ゴス goth ゴシック系
ゴシックをテーマにした作品につけられているタグ。圧倒的にカタカナ表記のゴシックが使われている作品が多く、アルファベット表記のgothicやgothだと外国人ユーザーの作品が目立つようになる。
ゴシックファッション
いうまでもなく、服装絡みのタグ。とはいっても、このタグが使われているケースは稀。
ゴシックロリータ ゴシックロリィタ ゴスロリ GothicLolitaなど
ゴシックロリィタファッションの服を着た、女の子(あるいは女装した男の子)のイラストにつけられるタグ。圧倒的に略称のゴスロリが使われていることが多い。面白いことに外国人ユーザーの投稿作品の場合、アルファベット表記のGothicLolitaを使う人は少なく、Gothic(あるいはgoth)とlolitaの二つのタグをセットにしてつけていることが多い。
ゴシックパンク ゴスパンク ゴスパン
ゴシックパンクファッションの服を着た、キャラクターのイラストにつけられるタグ。略称のゴスパンが一番よく使われているが、それでキーワード検索をすると、まったく関係ない作品までひっかかる難点がある(ゲーム「アイドルマスター」の関連タグに「インディゴスパングル」があり、それが間違ってひっかかる。また、同じゲームの衣装にゴシックパンク風の「パンキッシュゴシック」という衣装があるが、それにはパンキッシュゴシックというタグがつけられている)。
なにより、実はこのゴシックパンク。定義がはっきりとしておらず、海外のゴシックファッションに倣ったものかと思いきやそうでもなく、Pixiv百科事典の「ゴスパン」の頁にも「ゴシック+パンクの意。」と分かるような分からないようなことしか書かれておらず、Wikipediaですら「ゴシック・ファッション」や「ゴシック・アンド・ロリータ」、「パンク・ファッション」などの頁で、ついでに語られている程度にしか書かれていない。
悪く書けば、一般的にはパンクとロックの違いを「なんとなく」でしか理解できていない日本の土壌で、パンクロックの愛好家が「ファッションパンク」と蔑んでいるファッションスタイルに「こうすればゴシック的になるだろう」というアイコンをつけ加え、「概ねこんな感じ」という感じにした感じ。
ただ、海外でも見た目や雰囲気だけゴシックロックのつもりでいて、まったく様になってないバンドやファンはいるというから、日本国内の状況ばかり悪くは言えない(注4:外部リンクの「ゴシックシーンフレーズ集」を参考のこと。ただ、リンク先のサイトもゴシックロック以外の話になると不得手らしく、頭の中を「?」が飛び交うようになるので注意)。
また、ゴシックロリィタにはV系バンドでの活動の中で「エレガントゴシックロリータ」を提唱したMANAやALIPROJECTの宝野アリカといった、物理的にも精神的にも牽引役となる人物がいるのに対し、ゴシックパンクにそのように目立った人物が存在していないこともひとつの要因として挙げられるのに加え、音楽に絡んだ話になると、骸骨や悪魔など、ゴシック的だとされるモチーフがヘビーメタル等でも特に好まれている点も、ゴシックとそうでないものとの区別を難しくしている。
サイバーゴス 和ゴス
それぞれにサイバーゴスや、ゴシックロリィタ風の着物ドレスを着たキャラクターにつけられるタグ。ただし、和ゴスも一般的に和ロリとの区別が曖昧になっているので注意が必要。両方とも「着物ドレスを用いて、和風にアレンジしたロリィタファッションのひとつ」とすればだいたいあってる。
ゴスっ娘
ゴシックな雰囲気を漂わせた女の子のイラストにつけるタグ。といっても、例えばダンガンロンパのセレスティア・ルーデンベルク や、艦隊これくしょんの深海棲艦の一部のキャラクターのような、日本のアニメやマンガ、ゲームなどの登場人物の場合はそれぞれの関連タグやそのキャラクターの服装を示すタグで事足り、どちらかといえば海外のカートゥーンや、それに倣って制作されたタイトルのキャラクターにつけられている。
黒は女性を美しく見せる
本来はゴシックとは関係なく使われているタグだが、「黒=ゴシック」というイメージは根強く、ゴシックをイメージした、黒いドレスなどを着た女性のイラストに、「ゴシック」と共に使われているケースも多い。
ダークファンタジー
人間の負の側面をテーマにしたファンタジー作品につけられるタグ。元々はヒロイックファンタジーと同様に、中世ヨーロッパやそれに倣った異世界が舞台の、いわゆる「ハイファンタジー」ものから派生したジャンルのひとつだが、Pixiv百科事典「ダークファンタジー」の頁でも説明されているとおり、一部の作品は吸血鬼や悪魔、魔女といったゴシックでも馴染みのある題材が取り上げられおり、「ゴシック」ではなく、こちらのタグをつけた作品も多い。
ダークメルヘン
童話をモチーフとしているものの、ダークファンタジーと同様に人間の負の側面(『ダークメルヘン』の頁では『毒気』と表現している)を含ませた作品につけられるタグ。子供たちの持つ「純粋無垢であるが故の危うさ」や、「無邪気であるが故の狂気」「幼いが故の自覚無き歪んだ感情と言動」……そういったものを描くにはちょうどよく、パッと見た感じの可愛いらしさとゴシックにも通じる恐ろしさとが混在しているので、ゴシックロリィタに好まれるテーマともなっている。
ダーク dark ダークネス
ダークファンタジーやダークメルヘンがあるのだから、無論、「闇」とか「暗黒」を意味するこれらもタグとして使われている。だが、キャラクターや版権ものの作品のネーミングでもすでによく使われているので、キーワード検索などに使う言葉としてはお勧めできない。例えば「ToLoveるダークネス」などはR-18指定も含めてひっかかてくる。
ただ……ソコデ冥府ノ入リ口カト思ウホドノ、冒涜的ナ形ヲシタ世界ノ起源ノ前ニ「タ」チ、ソノ名状シ難キ深淵ヲサラニ覘キタイトイウ恐ロシキ衝動ニ心モ躯モ丸呑ミニサレ、果タシテ、二度トハ戻レヌ探訪ノ旅二出タトシテモ、ソレヲ止メル理由ハナイ。
手作り ハンドメイド アクセサリー
文字通り、自作した小物類、装飾品の写真を投稿する際につけるタグ。
「ゴシック的」だとしてよく扱われているイメージやモチーフ
概念
頽廃(またはデカダンス)、耽美、憂鬱(またはメランコリー)、ダンディズム、オカルト、死(概念としてはタナトスと言ったほうが正しい)、エロス(タナトスと対を成す、生の欲動としてのエロス。Pixiv内でよく使われるエロとは、かなり異なってしまうのでリンクせず)
建築
廃墟、城、教会や大聖堂あるいは修道院、霊廟(または建築とは言いがたいが墓地)
動物または植物
架空の存在
吸血鬼、狼男(または人狼)、フランケンシュタイン、魔女、悪魔、堕天使、天使、両性具有(ただし、これは『ヘルマフロディテ』と呼ばれるもので、男性器のある女性の肉体的な卑猥さを描くふたなりとは違い、こんもりとした胸の膨らみを持つ少年といった風の人物の、特異な肉体を持ったが故の苦悩や葛藤といった内面を主題に描かれることが多い。外見だけを言えば、今日は男の娘や女装男子に求めているエロティシズムの究極形態と言った方が早いか)
人工物またはシンボル
その他
「不思議の国のアリス」などの童話も、ゴシック的に解釈やアレンジがなされている。
ゴシック作品一覧
ゴシック作品一覧>ゴシック作品一覧を参照のこと
ページ内参考文献、ならびに、参考になりそうな関連リンク
参考文献一覧
「ラヴクラフト全集Ⅰ」荒俣宏訳 創土社 1975年
「幻想展覧会Ⅰ ニューゴシック短編集」パトリック・マグラア&ブラックフォード・モロー編 柴田元幸・他訳 1992年 福武書店
「幻想展覧会Ⅱ ニューゴシック短編集」パトリック・マグラア&ブラッドフォード・モロー編 加藤三也・他訳 1992年 福武書店
「グリーンマン-ヨーロッパ史を生きぬいた森のシンボル-」ウィリアム・アンダーソン著 板倉克子訳 河出書房新社 1998年
「迷宮学入門」 和泉雅人著 講談社 2000年
「廃墟論」クリストファー・ウッドワード著 森夏樹訳 青土社 2004年
「ゴシックハート」高原英理著 講談社 2004年
「人造美女は可能か?」巽孝之・荻野アンナ編 慶應義塾大学出版会 2006年
「ゴシックスピリッツ」高原英理著 朝日新聞社 2007年
「幻想と怪奇の時代」紀田順一郎著 松籟社 2007年
「クリス・ボルティック選 ゴシック短編小説集」クリス・ボルディック編集 石塚則子・他訳 春風社 2012年
「幻想文学講義:『幻想文学』インタビュー集成」東雅夫編 国書刊行会 2012年
出版社
国書刊行会 国内外の怪奇小説やオカルト・占い関連の書籍に強く、アレイスター・クロウリーの「法の書」や、紀田順一郎と荒俣宏が企画をして持ち込むも多くの出版社が断られ続けた「世界幻想文学大系」を出版した話は有名。ゴシックロリィタ愛好家なら嶽本野ばらのエッセイ「それいぬ-正しい乙女になるために」を出した出版社と説明すれば早いかもしれない。
アトリエサード アートや文学、アニメやゲーム、TRPGなどといったサブカルチャーに力を入れる出版社。二階健や古川沙織といった、奇妙であったりエロティックであったりする世界観を描く作家の作品集も出していて、季刊誌「トーキングヘッズ叢書」NO33における、V系、A系、澁澤乙女といったゴシックロリータ愛好者の分類法は、今でもネット上でゴシックロリィタを語る際に使われることがある。
ステュディオ・パラボリカ 2000年4月30日に惜しまれながらも解散したペヨトル工房の跡を継いだ出版社。
海外のゴシックファッションイベント
Wave Gotik Treffen ドイツ・ライプツィヒにて、キリスト教西方教会(カトリックとプロテスタント)におけるペンテコステ(精霊降臨祭)の祝日にあわせ、毎年開催されている。
whitby goth weekend イギリス・ウィットビーにて開催。彼の地がブラム・ストーカー作「ドラキュラ」の中で、ドラキュラを乗せた船が漂着した港町であるため、ゴスカルチャーの聖地となった。
Lumous Gothic Festival フィンランドのゴスカルチャーイベント。
ゴシックファッションイベント関連リンク
AFP BB NewsでのWaveGotikTreffen関連記事一覧その1(「wave Gothic」での検索結果)
AFP BB NewsでのWaveGotikTreffen関連記事一覧その2(「wave Gotik」での検索結果。開催地がドイツなので、こちらの「Gotik」が正しい表記)
AFP BB NewsでのMadrid Gothic Week関連記事(2009年の第一回開催時の様子を伝える記事)
ライブドアニュースでのwhitby goth weekend 関連記事
Wikipedia内関連ページ
海外の有名イラストレーター
ルイス・ロヨ スペイン出身の画家。主にファンタジーやサイバーパンクなどを背景世界として、エロティックな女性を描いている。
ヴィクトリア・フランシス スペインのイラストレーター。ゴシックロマンスの世界を追求した、幻想的な作風が人気。
アン・ストークス ゴシックな世界やドラゴンの絵に定評のあるイラストレーター。RPG「ダンジョンズ&ドラゴンズ」の仕事を手がけていることでも有名。
その他
ゴス的で行こう! - 骰子回転劇場・転 ゴシックTRPG「Wold of Darkness」のファンサイトにおいて、海外のコラムを訳して紹介されていたもの。ユーモアを交ながら書かれており、ヲタ的には「中二病で行こう!」と捉えて読んでも楽しめる。
東京ダークキャッスル 日本におけるゴスシーンの先駆者的ロックバンド・AUTO-MODが主催するゴスクラブイベント。
Gothic Beauty Magazine ファッションを中心とした、アメリカのゴスカルチャー情報誌。日本でも通信販売などで入手可能。
orkus 音楽を中心としたドイツのゴスカルチャー雑誌。ブラックメタルのような、ゴスとは「違うけれど近い」音楽性のジャンルも取り上げている。
The Gothic Shop UK イギリスのゴシックファッションオンラインショップ。優雅なドレスからコルセット、Tシャツまで豊富な品揃えで、ゴシックファッションの参考になる。
Epicurean Garden インポート物のゴシックファッション、というよりもアングラなファッションアイテムを取り扱うオンラインショップ。先の情報誌「Gothic Beauty Magazine」も輸入・販売している。
Alchemy Gothic 1977年創業の、イギリスのゴシックアクセサリーブランド。日本国内でこのブランドを扱うオンラインショップも多い。
Goth Types Wiki 海外のゴスカルチャー解説サイト。ゴシックロリィタなど日本由来のものは「J-Goth」という名称で紹介されている。
ゴシック&ロリータ&パンクの会 2009年に創設された、早稲田大学インカレッジファッションサークル。「外に向けてゴシック、ロリータ、 パンクファッションの魅力を発信する」ことを目的とした、さまざまな活動を行っている。
Bloody Rose 群馬県にて、インポート物のランジェリーやゴシックグッズを扱うセレクトショップ兼ランチ&バーのお店。
不思議雑貨店ネバーランド 徳島にある雑貨屋さん。アクセサリーやインテリア、フィギュアなど、海外のゴシックグッズを取り扱っている。
迷宮の国のアリスならび系列店 「不思議の国のアリス」「鏡の国のアリス」をイメージしたレストラン。ゴシックロリィタファッション情報誌「ゴシックアンドロリータバイブル」や、ヴィジュアル系音楽情報番組「Vの流儀」などでの撮影場所として使用されたこともある。
キリストンカフェ東京 中世ヨーロッパの教会をイメージした、新宿のダイニングバー。先述のクラブイベント「東京ダークキャッスル」の会場として使用されている他、ゴシックロリィタブランドとして有名なh.naotoや映画、TVアニメとのコラボ企画も時折行っている。
パラボリカ・ビス 出版社で紹介したステュディオ・パラボリカの運営するイベントスペース。2階にあるショップ&カフェ「Costad'Eva(コスタディーバ)」は展示会開催期間中か、もしくは不定期でオープンする。