概要
一個人による「聖闘士星矢Ω」の続編を描いた二次創作であり、無印のハーデス編を土台としてストーリーが描かれているが、ロストキャンバス、黄金魂、LoSのネタも仕込まれた事で大胆なアレンジが加えられている。そのため星矢ファンなら思わずニヤリとくる展開が待っている。(さらにいえば星矢Ωの後番組・「のたり松太郎」のオマージュキャラまで登場している)ちなみに執筆者はこのお方。
大まかなあらすじ
激闘を潜り抜けた光牙、ユナ、蒼摩、龍峰、栄斗、エデンら若き新世代の青銅聖闘士は皆それぞれの青春を謳歌していた。
しかし、かつての聖戦で敗れた冥王ハーデスの妻・冥妃神ペルセポネが復活し、同じく滅んだ筈の108の魔星を宿した新世代の冥闘士も覚醒した。
サターンの仕掛けた罠の後遺症で神性を大きく消耗したアテナ、パラサイトに勝利するも戦力を大きく疲弊し未だ満足な補充も整っていない聖域、と芳しくない状況の中、聖闘士たちは大いなる運命に立ち向かう。
一方、聖闘士とも冥闘士とも異なる、人智を凌駕する力を有する者たちもまた聖域軍・冥界軍にそれぞれ与し、自身の陣営に貢献しつつも各々の目的のために動き出していた…。
第一章 聖域編
冥妃神ペルセポネと108の冥闘士の復活を確認した聖域。蒼摩、栄斗、龍峰、ユナたちは各地で冥闘士と交戦し、その後に聖域へ召集される。しかし光牙とエデンだけは、アテナからの勅令により、聖域に近づくことを禁じられていた。
そんな折、警戒態勢が敷かれた聖域の内部に冥界軍の刺客が現れた。新・十二宮およびパラサイトの戦いで死んだはずの蟹座のシラー、魚座のアモール、山羊座のイオニア、獅子座のミケーネ、蠍座のソニア、天秤座の玄武らかつての黄金聖闘士が、先代の牡羊座であるムウに率いられ、旧聖戦のサガやシオンらと同じ冥闘士の尖兵として十二宮侵攻を開始した。
パラスの願いによりアテナの聖闘士の助太刀に駆け付けたタイタン、自身の延命のためにペルセポネの冥闘士に加わったミラーなど、サターンの元・重臣たちも加わり、十二宮全体に激震が走る。
玄武たちの流した慟哭の血の涙は何を意味するのか?
(*画像はイメージです)
第二章 冥府砦編
ペルセポネに代わって冥闘士をまとめる青年・冥府卿アドニスの策略により、アテナはその生命力を徐々に削られていく呪いをかけられてしまう。
アテナを救うため、光牙たちはペルセポネと冥闘士の本拠地である巨城「冥府砦」への突撃を敢行する。
しかし冥府砦の地下は、歪められた時空によって形成された階層が幾重にも渡って敷かれ、更に一層一層に、旧聖戦の舞台となった冥界の獄(プリズン)を再現したトラップが仕掛けられていた。
イミテーションされた地獄である敵陣に乗り込む光牙たちアテナの聖闘士だが、待ち受ける冥闘士や新世代の冥界三巨頭の力の前に一人また一人と脱落していく。
さらに冥府砦の最深部であるジュデッカの階層に到着したユナは、ペルセポネによってその肉体を奪われてしまう。
ペルセポネの憑代となってしまったユナを相手に光牙たちは…?
(*画像はイメージです)
最終章 アルカディア編
ついにペルセポネを利用していた真の黒幕が動き出した。彼は、禁忌の聖衣である「13番目の黄金聖衣」を神聖衣に進化させ、天界の聖山・オリンポスの麓にある理想郷アルカディアへと逃亡した。
過ちに気付いたペルセポネ、そして星矢たち12人の黄金聖闘士の協力により、光牙たちは冥府砦とアルカディアを結ぶとされる神と天上人以外は登れない「慙悔(くやみ)の梯子」を登り、天界のアルカディアにたどり着く。
しかしそこで彼らを待っていたのは、天上人の戦士・智闘士(ワーロック)であった。一人一人が、あのタナトスとヒュプノスを同時に倒せるほどの小宇宙を有し、その圧倒的な力の前に打ちひしがれていく光牙たち青銅聖闘士。
だが地上に残ったアテナ、シャイナ、パラス、エマ、羅喜、鋼鉄聖闘士、さらにフロディら神闘士の祈りや想いが、天界に居る光牙たちに届いた時、粉々にされたはずの青銅聖衣に変化が起きた。それはあの神衣をも超える大いなる聖衣の覚醒であった。
(*画像はイメージです)
聖域側の主な登場人物
Ωの聖闘士
サターンとの聖戦を終えた後は、みなそれぞれ青春を謳歌しており、聖域からひとまず距離を置いている。
日本の星の子学園に住み込みで働いていたが、108の魔星の復活により聖域に戻る。神殺しのペガサスとして今作も重要な役を務める。
故郷にて瞬と共にボランティア活動に従事していた。幼少の頃の出来事が彼女に身に大きな転機をもたらす。終盤においては、とある人物と再会を果たす。
パライストラにて講師を続投。冥闘士になったソニアや青銅聖闘士に昇格したエマ、それに貴鬼や邪武から関心を寄せられている。
故郷の五老峰において、農業に勤しみつつ医者の勉強に取り組んでいる。彼の成長には、玄武の存在が大きく影響している。
ロッカーに復帰し充実した毎日を送っていたが、氷河より冥闘士の復活を聞かされ、聖闘士としての覚悟を試される。
光牙と共に星の子学園に居たが、魔星の復活を知り、更にある事がきっかけで聖闘士の使命を放棄してしまうが、一輝の叱咤により目覚めて戦線に戻る。
伝説の聖闘士
城戸沙織(アテナ)は厳密には聖闘士ではないが、便宜上ここに記す。
伝説の聖闘士の筆頭にして射手座の黄金聖闘士。今作に於いては聖域に常駐し、アテナの身辺の警護を担当する。立場の関係から、沙織へのプライベートな感情は抑えている。第二部終盤に於いては、ある重大な決意を迫られる事になる。
龍峰の父で、天秤座の黄金聖闘士。沢に捨てられていた女の赤子を清夏(しょうか)と名付け、本当の娘のように育てている。聖域に侵入した冥闘士の中に、玄武やムウが混じっていた事から、冥界側の企みをいち早く看破する。
白鳥星座の青銅聖闘士にして水瓶座の黄金聖闘士。本編開始前から水瓶座の資格を受領しているが、ある理由から白鳥星座の青銅聖衣を二回装着している。(どちらも栄斗が絡んでいる)第一部、第二部を通して冥闘士となったミラーとは宿敵関係となる。
アンドロメダ星座の青銅聖闘士。ドクターとしてユナの故郷の復興を支援。伝説の聖闘士の中で唯一「Ωの小宇宙」に到達。作中に於いて、フドウから黄金聖衣を託され、乙女座(バルゴ)の黄金聖闘士を正式に継承する。
瞬の兄。鳳凰星座の青銅聖闘士にして伝説の聖闘士の最強格。本作ではエデンを気にかけている描写がある。第一部では戦意を失ったエデンに喝を入れ、その後に新生フェニックスを獲得。第二部ではミケーネの思念より黄金聖衣を譲渡され、獅子座(レオ)の黄金聖闘士に正式昇格する。
戦いの女神・アテナの化身。サターンの罠により小宇宙や神性を大きく消耗したため、今作ではアテナの聖衣を纏えなくなってしまった。しかしその慈愛の心は、星矢や光牙たちの大きな支えになっている。第二部終盤では、自身のアテナの聖衣をある人物に貸し与えた。彼女の持つニケの杖は、作中を通して大きな役割を果たすことになる。
次世代の黄金聖闘士
戦闘レベルは伝説の聖闘士たちに若干劣るが、いずれも聖域の守りの要を果たしている。
白羊宮を護る黄金聖闘士。この時代における、唯一の聖衣修復師。十二宮攻防戦において、玄武やムウの裏切りに強い衝撃を受けている。劇中では、シラーとアモールを怒りの一撃で叩きのめし、ガガや将鬼など強力なサイキック能力を扱う冥闘士と激戦を繰り広げている。第二部の前半で牡羊座の新生黄金聖衣を獲得した。
聖域の新たな教皇。但し本人は前線向きの性格を自負している。玄武たちの裏切りに怒りを爆発させ、教皇の間の沙織の保護を星矢に委任すると、自ら彼らの討伐に赴いた。第二部前半では牡牛座の新生黄金聖衣を獲得している。なお彼が教皇に就任した事で本来守護する金牛宮は、現在だと守護者不在の無人の宮と化しているのだが…。
双児宮を護る黄金聖闘士。空間を操る力に長け、聖域攻防戦では双児宮に“ジェミニの迷宮”を作り出した。またサターン戦の後も修行を重ね、姉・パラドクスの技を幾つかを習得し、第一部ではゴールデン・トライアングルを、第二部序盤では双子座の新生黄金聖衣を会得した。なお彼女が何らかの理由で戦闘不可能になると、聖衣に宿ったパラドクスの魂が彼女に憑依し、パラドクスの人格として戦闘が再開される。
処女宮を護る黄金聖闘士。彼の過去がこの聖戦に大きく関わってくることになる。先代の乙女座であるシャカとは知己であり、次代の乙女座である瞬が聖闘士として大成するまで聖衣を預かっていてほしい…とかつての聖戦が勃発する前に彼から密かに頼まれていた。沙羅双樹の園にて、冥闘士になった玄武・ソニア・ミケーネと対峙し、乙女座に伝わる奥義・天舞宝輪を発動させるが…。
以下、今作より登場する新たな黄金聖闘士
パラスの従者を担う元・パラサイト四天王。星矢をライバルと認めている。パラスより、アテナと聖闘士たちの力になってほしい…と頼まれ、助太刀のために聖域に赴く。その際、山羊座の聖衣石から後継者に選ばれ、新たな山羊座の黄金聖闘士として、金牛宮にてイオニア、第二部にてより強力な冥闘士たちと戦う事になる。
元・一角獣座の青銅聖闘士。第一線を退いた後は、弟子の蒼摩や自身の後継者となったエマから慕われている。第二部後半では鋼鉄聖衣を装着して聖域の守備に就き、冥闘士たちの猛攻にさらされ危機に陥るも“Ωの片鱗”を再覚醒させ、ミロやソニアの魂に導かれて新たなる蠍座の黄金聖闘士となる。先代と違って毒針を用いた攻撃は出来ないが、代わりに光速の域にまで進化した蹴りを駆使し、リストリクションを防御技にするといった離れ業も見せている。なお邪武の誕生星座は蠍座である。
元・狼星座の青銅聖闘士。第一線を退き、劇中では蛮と共にパライストラにて鋼鉄聖闘士の養成を担っている。第二部後半ではかつての仲間や教え子らと聖域の防衛ラインを固め、冥闘士として復活したファフナーの攻撃で危機に陥るも“Ωの片鱗”を再覚醒させ、デスマスクの魂に導かれて新たなる蟹座の黄金聖闘士となり、積尸気を応用した新技も使えるようになった。なお那智の誕生星座は蟹座である。
元・孔雀星座の白銀聖闘士。ユナたちを白銀聖闘士の追手から逃がした後に重傷を負うが、偶然にも神闘士であるシグムントとフロディに助けられ、ワルハラ宮に運ばれる。傷が癒えた後、ユナの力になるためにアスガルドで修行を積みセブンセンシズに覚醒。聖域に戻る際に魚座の聖衣石と遭遇し、新たな魚座の黄金聖闘士になる。なお作中設定によれば氷河の弟子である。最終回にて彼女の意外な正体が明らかに…。
主な白銀聖闘士
ベテランの白銀聖闘士。光牙の師匠で、今作ではオリジナル鋼鉄聖闘士らと共に行動し、冥闘士らと対決する。第二部では後輩の聖闘士たちを指揮して防衛ラインを固め、第三部では天界に上った光牙たちに声を送り届けた。
ケフェウス星座の白銀聖闘士で元・カメレオン星座の青銅聖闘士。瞬の姉弟子であり、十数年に渡って修行を続け、自分たちの師が纏っていたケフェウス星座の白銀聖衣を継承する。戦いに迷うユナを叱咤するなど、先輩としての風格を保っている。実は瞬との間に…。
- 杯座(クラテリス)のジャンヌ
オリジナルの女性白銀聖闘士。謎が多いが、この聖戦の最大のカギを握る人物。既に新生聖衣を獲得しており、その小宇宙は黄金聖闘士どころか星矢たち伝説の聖闘士をも上回るほどである。彼女の纏う聖衣は、いかなる傷でもほんの数時間で治癒する不思議な能力を備えている。パラサイトとの戦いで、三級パラサイト・ハリメデに討たれたと思われていたが…。
主な青銅聖闘士
一応はベテランにあたる青銅聖闘士。パライストラや聖域でもそれなりに戦果を挙げている。しかし基本的にコメディリリーフなので戦闘での活躍はあまりない。勝敗は常に顔で決まる
次世代の一角獣座(ユニコーン)の青銅聖闘士。サターン戦後に小宇宙に目覚め、パライストラに入校し、わずか一年で飛躍的な成長を遂げた。邪武から一角獣座の青銅聖衣を託され、パライストラに攻めてきた冥闘士たちの撃退に貢献。その後は聖域に上り、第二部では聖域防衛ライン維持のために冥闘士の軍勢に挑む。なおガッツや度胸が大きく備わっており、ベテランである瞬にも真っ向から抗議するほど。(かつての銀河戦争にて、邪武が瞬に惨敗した事も関わっているようだが)
- 大熊星座のマッターロ
オリジナルキャラ。次世代の大熊星座(ベアー)の青銅聖闘士。イタリア人だが相撲スタイルで戦う。年齢18歳。故郷にて荒くれていた所を檄にスカウトされパライストラに入校。しかし問題行動が目立ち、本人も校風が合わなかったせいか、光牙が来る前に自主退学。だがその後もマーシアンやパラサイトと独断で戦い、幾度も死線を彷徨ううちにセブンセンシズに目覚め、復活したディオネを斃すまでに成長した。なお名前の由来は星矢Ωの後番組であるのたり松太郎。(松太郎→まつたろう→マツタロウ→マッタロー→マッターロ)
鋼鉄聖闘士
単独で目立つ場面は無いが、それぞれ後進の育成や指導、あるいは戦闘補佐を担当している。
神闘士
黄金魂にて先代の黄金聖闘士と敵対した者たち。現在はヒルダに認められて正規の神闘士となり、第二部の聖域攻防戦では星矢たちの救援に駆け付けた。
フロディはアイオリア、シグムントはサガ、スルトはカミュとシュラとミロ、ヘラクルスはアルデバランを目標として台詞を述べている。
冥界側の主な登場人物
ペルセポネとアドニスは厳密には冥闘士ではないが、便宜上、記述する。
- 冥妃神ペルセポネ
冥王ハーデスの妻で冥界の妃。冥界軍のシンボル。
元は地上に住むゼウスの娘の一人・コレーであり、アテナやパラスにとってある意味で姉妹にあたる。神話の時代、ハーデスに見初められた事で冥界に引き摺りこまれてしまう。
その後、ハーデスが地上を獲得する日までエリシオンの地下で眠らされていたが、ハーデスが消滅しエリシオンが崩壊した事で、眠りから解放され、アドニスによって冥府砦に招かれる。大きく穢れてしまった地上の自然に酷く落胆し、亡き夫の悲願を達成するため、地上を第二の冥界へと変える「オービタル・シェイディング」を実行する。
なお普段は、ザクロ色に輝く「ガイアの宝珠」からアドニスと意思疎通を行っており、彼女自身は冥府砦の最深部「ジュデッカ」に暮らしている。彼女の素顔を直接見た者はアドニスと冥府卿四銃士のみで、一般の冥闘士の中には未だおらず、三巨頭ですら部分的にしか拝謁できていない。
その正体はユナと瓜二つの美女であり、かつてハーデスより渡されたザクロを食したために、地上には8~9か月しか滞在できず、ユナを「冬の器」と称して憑依する。
第二部終盤にて、自ら戦いに赴く。
- 冥府卿アドニス
ペルセポネの意志を冥闘士たちに告げる伝令使。彼女に代わって冥闘士たちを指揮する権限を与えられており、冥界軍での実質的な最高指導者。
エリシオン崩壊後、冥府砦にて目覚めたペルセポネの元に最初に馳せ参じ、108の魔星と冥闘士の復活を補佐した。
しかし実際は強烈な野心家であり、禁断の聖衣である「13番目の黄金聖衣」を手に入れるため、秘匿したハーデスの冥衣を纏い、玄武たち元・黄金聖闘士や監視に就いた部下の冥闘士たちを囮に利用して、アテナ神殿に潜入。第一部終盤にて、神殿で星矢と対峙する。
第二部では冥界三巨頭の叛乱にあい、一時的にペルセポネより冥府卿の地位を凍結させられるが、ジュデッカにて発生した様々な状況を巧みに利用して復権。その後、自身の正体と秘めたる野望を露わにする。
第三部では野望の発端となった事実が判明する。
(ちなみにアドニスの名は、神話上にて登場するペルセポネが愛した人間の美青年のこと)
次世代の冥界三巨頭
冥界軍におけるトップクラスの冥闘士たち。その戦闘技能は、先代のラダマンティスたちを凌ぐ。三人とも、アドニスによる冥界軍の統率に懐疑的であり、如何なる手段を用いてでもアドニスを伝令使から解任させ、ペルセポネ本人による冥界の本格的掌握を実現させたいと願っている。
なお第二部序盤で、アドニスの命令から三巨頭全員が総入れ替えになっている。
- 天猛星ワイバーンのアルクメネ
次世代のワイバーンで三巨頭の紅一点。性格は猛々しく、第一部にて敗走してきたシラーとアモールを粛清し、聖域侵攻と玄武たちの監視も兼ねて、配下の冥闘士を潜入部隊として十二宮に送り込んだ。(潜入部隊は第一陣と第二陣に分かれている)その後、自身の行動がアドニスから利用され謀られたと知り激昂。聖域に単独で飛行突入し、人馬宮で光牙たち次世代の青銅聖闘士と対決する。当初は圧倒的な力で、光牙たちを叩き伏せるも、Ωの力を束ねた光牙の攻撃を受けて聖域の遥か外まで弾き飛ばされた。…しかし辛うじて生存しており、第二部では意外な形でパワーアップを遂げて戦線に復帰、再び光牙たちの前に立ち塞がる。
実はユナとペルセポネの繋がりを密かに看破していた。
名の由来は、神話上におけるラダマンティスの妻、アルクメネ。
- 天雄星ガルーダのテラモーン
次世代のガルーダ。第一部にて、自身の側近であったシーマをエデンに斃された事で、仇討ちのために日本へ無断出撃した。しかし戦意を取り戻したエデンと新生聖衣を会得した一輝の攻撃を受けて負傷。寸手の所でカトレウスに助けられ、冥府砦に撤退する。一輝を当初は圧倒した事、Ωの小宇宙を再び発動させたエデンに対して僅かに優勢だった事から、その実力は高い。
第二部中盤では、冥府砦・ジュデッカの手前で再びエデンと対峙。三巨頭としてのプライドは高く、ペルセポネによる冥界の完全掌握にひたすら拘り、旧聖戦のハーデスや双子神には聊かも関心を持っていなかったが、一方で戦いとは無縁である普通の人生を送る事に僅かながら憧れていた様子である。実はアドニスの正体をいち早く察していた。
名の由来は、神話上におけるアイアコスの息子、テラモーン。
- 天貴星グリフォンのカトレウス
次世代のグリフォン。3人の中で一番冷静で知性的。先代のミーノスと同じく、亡者たちへの裁判を行っている。
第一部では、一輝とエデンの攻撃を妨害してテラモーンを救出・撤退させる。第二部では本格的に戦線に出陣し、自身の側近で『裁きの館』の代行官であるギールを討ったタイタンとは宿敵関係になる。その後もタイタンと付け狙うが、力の差は明らかであり、やむを得ず“あるモノ”を利用して大幅なパワーアップを遂げ、タイタンを圧倒する。
仲間意識は強く、同じ三巨頭や部下たちを気遣う部分も見受けられるが、一方で自身を裏切り蹴落としたシーザーを凄惨な方法で報復するなど、執念深く陰険な表情も見せる。
名の由来は、神話上におけるミーノスの息子、カトレウス。
冥府卿四銃士
アドニス直衛の冥闘士。階級こそ三巨頭に劣るが、三巨頭には無い特権がアドニスから与えられている。それぞれかなりの猛者であり、紫龍、氷河、瞬、一輝ら伝説の聖闘士たちと五分の勝負が出来る。…尚、全員が歴史上の学者や有識者の名を名乗っている。
- 天速星ケツァルコアトルのスミス
四銃士のリーダー的存在でアドニスからの信頼も厚い。土や鉱物、更には重力をも操作することが出来る。第一部の冒頭と終盤にて重要な任務を任される。第二部冒頭では一輝と対峙し、その後エデンとテラモーンの戦いにも割って入る。第三部では、エデンと直接対決を行っている。
- 天威星イフリートのプリゴジン
炎や熱を操る冥闘士。第一部では氷河の監視のために日本・幕張に現れ、氷河と栄斗の小宇宙に興味を持つ。命令無視を仕出かしたスケルトンを躊躇わずに粛清したり、独断専行に走ったミラーを脅して黙らせたりと性格は冷徹。第二部では残虐な性格が顕著化し、自身を振り切った龍峰と栄斗を恫喝。その後、氷河と対決している。四人の中では一番思慮の浅い人物らしく、第三部ではスミスから、『番犬以下』と評されている。
- 天満星リヴァイアサンのフェルマー
水圧や水流を自由に操る冥闘士。第一部では紫龍の監視のために中国・重慶に現れ、そこで紫龍や龍峰の小宇宙に興味を持つ。その後は冥府砦に留まり、アルクメネら三巨頭の監視と牽制を担当している。一方で、聖域に潜入した同胞のために退避路を用意するなど冷静で機転が利く。第二部では紫龍と対決し、彼からは『長引けばこちらが危なかった』と評されている。第三部では、コペルニクスと行動を共にしている。
- 天暗星ガーゴイルのコペルニクス
空気や風圧を操る冥闘士。第一部では瞬の監視のために東欧のユナの故郷に現れ、そこで瞬とユナの小宇宙に興味を持つ。ユナ本人すらも知らない隠された秘密を看破し、彼女がリネの墓標に残していった『TOGETHER EVER』と彫られたペンダントを回収した。十二宮攻防戦では、天蠍宮にて待ち伏せし、訪れた瞬やジャンヌと対決。痛み分けに終わり、フェルマーからの指示で撤退する。第二部では再びジャンヌと合いまみえる。
当作品における冥闘士たちの概要・設定
冥闘士(スペクター)
かつて冥王ハーデスに忠誠を誓い、有史以前より250年単位で覚醒し、地上を闇に変えようと、アテナの聖闘士と敵対した。雑兵スケルトンでも青銅聖闘士並みの力があり、正規の者は“天の星”“地の星”いずれかの魔星を具現化させた冥衣を装着する。実力はピンからキリまで幅広く、白銀聖闘士より若干強いレベルから黄金聖闘士が数人がかりでようやく互角になるレベルなど様々な者達がいる。
ハーデスの小宇宙を帯びた魔星による加護をうけているが、旧聖戦でハーデスが本体ごとエリシオンで斃された事で、冥闘士の覚醒もあり得ないモノになった。…はずだったのだが、冥界の新たな統治者になったペルセポネに仕える事で新時代において復活。光牙ら次世代の聖闘士と対決する事になる。
アドニス曰く、「計画遂行のための駒」
108の魔星
ハーデスの小宇宙によって生み出された冥闘士たちの守護星。それらが具現化したのが冥衣。冥闘士たちの小宇宙をコントロールする役割も兼ねている。かつての聖戦でシャカの数珠に全て封印され、尚且つハーデスもまた完全に打ち倒された事で魔星の復活はあり得ないモノとされていた。…しかし何らかの経緯により次世代にて復活。ペルセポネ軍の兵力の要となった。
なお魔星に選ばれた冥闘士は、過去の歴史だと地上で生を受けた者たちにのみ該当したが、今回の聖戦では既に死亡している元・白銀、元・鋼鉄、元・火星士、元・刻闘士、更に闘いとは無縁の一般人らも蘇生後に選ばれるというイレギュラーな形式になっている。ちなみに彼らは魔星に選ばれた訳では無く、死後の世界でペルセポネやアドニスに忠誠を誓った事で魔星と冥衣を授かっている。
冥衣(サープリス)
冥闘士たちが纏う防具で108の魔星が具現化したもの。聖衣石と同じく、次世代の冥衣は、魔星石《サープリストーン》という小さな水晶に変異させて随時携帯が可能。
基本的には黄金聖衣よりも防御力で劣るが、魔星の力で自己再生が可能であり、装着者の体質を細胞レベルで強化させたり、小宇宙を持たぬ者に小宇宙を与えたり、既に覚醒している者の小宇宙を増幅させたり、かつて瀕死の重傷を負った者の生命を維持する機能も保有している。
実際は冥衣こそが冥闘士たちの本体であり、装着者はあくまで冥衣の性能を稼働させるハードウェア的なものに過ぎない。
とはいえ冥闘士の中には、元から強力な小宇宙を有している者もいるため、逆に冥衣の方がただの飾りになる場合もある。
冥府砦
イタリア・シチリア半島にある冥界軍の地上拠点。地上から見える城塞部は「冥府城」と呼ばれ、ペルセポネから伝言を受け取る“伝令使の間”、その伝令使が冥闘士たちに指示を下す“謁見の間”、冥闘士たちの頂点に立つ冥界三巨頭たちが集う“三巨頭の間”といった部屋が確認されている。庭は侵入者の力を封じる結界の張られた“死出の庭園”が配置され、アテナの加護を持たない者はその小宇宙を抑制される。
冥府砦の真の正体は、地下へと延々に続く歪曲された階層空間であり、各階層の終点にある階段を自身の足で降りてゆかねばならない。しかも階層同士を繋ぐ階段は、一人ずつしか通れない仕様にされており、突入した聖闘士たちは階層を突破するごとに、別々の階層に振り分けられ戦力を散り散りにされてしまう。
なお各階層は前聖戦の舞台となった冥界の獄(プリズン)を再現しており、冥界に代わって亡者の魂を裁き苦痛を与える場所としても活用されている。そのため、冥府砦内部までに結界は張られていない。(但し最初の階層である『アケローンの階層』は例外)
最下層である『ジュデッカの階層』には“虚空の標(しるべ)”と呼ばれる建築物が存在し、これが破壊されると冥府砦の全ての階層が一つに繋げられ、聖闘士たちの進むあらゆるルートがジュデッカに集約されてしまう。
ジュデッカのさらに奥にある冥府砦の最終地点には、ペルセポネの本体が眠るペルセポネ神殿、そして天界にて罪を犯した神を地上へと墜とす『慙悔(くやみ)の梯子』が存在する。
第二部の主戦場。
(なおシチリアは、神話の時代においてコレー《乙女という意味》と呼ばれていた頃のペルセポネが、冥王ハーデスに見初められて冥界に引き込まれた場所である。)