烈海王
れつかいおう
概要
烈海王は、板垣恵介の漫画作品『グラップラー刃牙』シリーズに登場する架空の人物である。アニメの声優は安井邦彦。
中国四千年の歴史の中でも最高の才能を持つとされ、母国では拳雄・魔拳などと称された。
拳法家であるが、流星錘や投げナイフ、青龍刀などの武器術にも長ける。
かつて拳を交えた主人公の範馬刃牙から「世界中を探しても烈海王に勝てる人間など見つかるかわからない」と言わしめるほどの強さを誇るが、諸事情によりネタ扱いされることが多い。
格闘家のタイプとしては技巧派・速度派だが、手にはめた指輪を破砕する握力を持つ孫海王と力比べで勝利するなど、素のパワーもズバ抜けて高い。初対面の刃牙曰く「どうやってあんな身体作ったんだ」とのこと。
中国拳法の歴史に対する絶対的な信仰を持っており、登場初期は他の格闘技を見下す傲慢さが目立ったが、次第に角が取れ、義理人情に厚く面倒見の良い好漢としての面が見られるようになった。
ただし、中国拳法への誇りは以前持ち続けており、それを侮辱する者に対しては容赦しない。
本名は「烈永周」。「海王」とは、作中世界で拳法の達人に与えられる称号であり、彼以外にも何人か「海王」が存在するが、烈海王はその中でも群を抜いて優れた拳法家である。
拳法だけでなく料理も得意で、中華料理の腕はプロ並み。
来歴
第1部『グラップラー刃牙』
生まれは香港で、劉海王の元で少林拳を学び、メキメキと腕を上げていく。やがて海王の座を継承した烈は徳川光成主催の地下トーナメントに出場することを決意する。
第1回戦ではサンボのロシアチャンピオン・セルゲイ・タクタロフを圧倒し難なく勝利、続く2回戦でも、刃牙を大苦戦させた東洋の巨人マウント斗羽を敵の体重を利用し試合開始1分以内に降参させる。3回戦では愚地克巳との一騎打ちにて、伝家の宝刀・マッハ突きを封じるべく最速の一撃を放ち、見事撃破する。
そして準決勝で刃牙との対決に挑み、イメージ・トレーニングで自分との対戦を予測した刃牙に対し靴を脱いで最速最強の状態で挑みかかる。中国四千年の歴史を体現したかのような攻撃に刃牙は苦戦するも、すんでの所で範馬の血が覚醒し、首を折られ敗北したかに思えたが、頚椎を外す事により死亡を回避し試合を続行、その後猛攻を躱され、首に回し蹴りを受けて敗北した。
第2部『バキ』
最大トーナメント終了後、愚地親子の空手道場に食客として招かれ、神心会の更なる進化へと協力する。ある日克巳と共に弟子の指導を行っていた烈だったが、そこに白人の大男が現れ、克巳を卑劣な手段で痛めつけて倒してしまう。激怒した烈は大男に戦いを申し込むが、男は口に含んだ酒に火をつけて烈に吹きかけ、その隙に逃走してしまう。
彼の名はドリアン。かつて劉海王が「今のお前は彼には程遠い」と称した白人唯一の海王であった。最凶死刑囚と対峙する5人の戦士として選ばれた烈は、24時間どんな時でもバトルを受けるという契約を結ぶ。
数日後、ドリアンによって痛めつけられた加藤清澄を発見した烈は克巳に報告、神心会は総出でドリアンを探し出し、遊園地に追い詰めた。この時にドリアンが同門であることを悟った烈は戦いを拒み、代わりに独歩が戦う事となり、結果ドリアンは敗北し捕まったかに思えた。その後、ドリアンは懲りずに逃走して独歩を爆弾で痛めつけるが、烈はドリアンを殴り倒して捕縛した。
続くヘクター・ドイル戦では、「キサマは中国武術を嘗めたッッッ」とマジギレし、あらゆる武器術の使用を解禁してドイルの片目を潰し、鏢を全身に刺しまくり、青竜刀で切り刻み、多節棍で滅多打ちにし、死の一歩手前まで追いやるもののジャック・ハンマーに麻酔薬を打たれ、眠ってしまう。朝、目を覚ました烈が見たものは、カラスに目ん玉つつかれそうになりながらも血まみれで立ちすくみ自分を酔っぱらいや不良から守り抜いたドイルの姿だった。敵ながら天晴なその姿に敬服した烈はドイルを抱えて神心会本部へと向かい、彼を治療させた。
最凶死刑囚が全員お縄に着いた後、柳龍光の毒手により死に瀕した刃牙を治療すべく、刃牙らを誘い烈は中国へ向かう。そこでは100年に一度の武道の祭典、中国大擂台賽が開かれていた。刃牙もこれに参加し、結果的に参加したことで一命を取り留めることとなる。
烈は1回戦にて握力自慢の孫海王を難なく倒し、中国武術対日米格闘家による5対5のバトルでは中堅を務め、日本人唯一の海王である寂海王を小細工を弄されながらも撃破した。
第3部『範馬刃牙』
第3部になってからはしばらく出番が無かったが、原始人ピクルが発見されると他の格闘家たち共々ピクルのケージに忍び込もうとするなど、世紀の一戦に立ち会いたいという情動に狩られることとなる。猛虎をも瞬時に屠るピクルに対し、「私がヤツのエサになる」と光成に宣言し、戦いを挑んだ。
人間どころか哺乳類の範疇を凌駕するピクルには、烈の技がことごとく跳ね返される。中国武術が負けるわけにはいかない、そう決意した烈は海王であることを捨て、一人の人間としてピクルに立ち向かう。そう、その技こそが
グルグルパンチだった。
勿論勝てるわけもなかった。生物としてピクルには勝てないのか、そう思い始めた烈だったが、その体に刻み込まれた中国四千年の技の数々は、彼に膝を突かせることを許さなかった。「武術家」烈海王は最後の最後まで戦い抜き、右足を代償として得難い経験を得たのだった。
義足の身となってからは、ボクシングに転身している。
ボクシングルール縛りの枷があっても、なおプロボクシングの猛者達を圧倒する。
表社会の競技者ファイターとは格が違う事を見せつけている。
第4部『刃牙道』
現在、アメリカで修行中とのこと。
以下、ネタバレ
第66話にて、死亡。
武蔵との武器解禁戦において奮闘するも、苦戦を強いられる中幾度と活路を見い出すも戦況を覆すには至らず、捕縛され死に方も選べない有り様に涙。
そして、最期は消力を上回る武蔵の一撃にて胴を横薙ぎに斬り裂かれ、地に伏す。
回想にて「例え斬られても私は即座に反撃してみせる」と言っていたが、一太刀にて臓腑を斬り裂かれ背骨も両断。動く事が出来ず切り口から大量の血と臓物を飛び出させ、そのまま二度と起き上がる事は無かった・・・。
初代より刃牙ワールドを支え続けた偉大なる格闘家・烈海王。
その人生は、常に戦いの中にあった。
控え室で刃牙らに囲まれた烈の遺体を前に、徳川公は武蔵と戦わせた事で烈を死なせてしまったと後悔し、「徳川は間違っていたと! 言うてくれっつ!!」と、涙を流し叫ばずにはいられなかった。
その展開は、ピクル編で足を失った以上の未曾有の衝撃を、これまでの戦いを見守り続けてきた全ての読者に与えた。
一方の武蔵も流石に楽勝の自覚は無いらしく、その戦いぶりから烈海王の強さを「関ヶ原」と称し、
「惚れてしまった」「その鍛錬に惚れ、その発想の飛躍に惚れ、その豪胆さに惚れ」
「同時に畏怖(おそ)れた」
と言わしめた。
ネタの数々
・ズボンの中から多節棍を取り出す
・発勁でバイクの後ろ半分だけを吹き飛ばす
・「カァァァ」「食うんだ!」
・最終奥義がグルグルパンチ
・会話中にチャーハンを口一杯に頬張る
・刃牙vsピクルの解説を行う
など
烈海王をモデルまた影響されたキャラクター
馮威:『鉄拳』シリーズに登場するキャラクター。容姿や格闘スタイルまで酷似している。
牙刀:『餓狼 MARK OF THE WOLVES』などに登場するキャラクター。物腰や技などが共通している。またネーミング自体が範馬刃牙のもじりと思われる。