日本三大妖怪とは、日本の伝承や説話に登場する妖怪の中で「鬼・天狗・河童」という妖怪の種族、もしくは「大嶽丸・酒呑童子・玉藻前(白面金毛九尾の狐)」という固有名を持つ最強格の大妖怪を指す呼称。
いずれを指して三大妖怪とするかについては、主に二つの定義が挙げられる。
概要
鬼・河童・天狗
妖怪研究家・作家の多田克己は以下の三種族を三大妖怪と定義した。
(多田克己 『幻想世界の住人たちⅣ<日本編>』)
上記の三妖怪は日本各地で広く伝承されている種族である。
「鬼・天狗・河童」に「狐(妖狐)・狸(化け狸)」を加えて日本五大妖怪とする説もある。
成田亨
ウルトラ怪獣をデザインした彫刻家、画家の成田亨は、海外の文献の記述に誤りが多いと知り、研究の末に中国起源である「竜」と「鬼・天狗・河童」を日本のモンスターであると認定して、それらの絵画制作をライフワークとしていた。
佐藤有文
佐藤有文は「鬼・天狗・河童」に「幽霊・風神雷神(風神と雷神でひとつの種族)」を五大妖怪としているが、幽霊が妖怪に含まれるのかは民俗学者などの間で意見がわかれている。
大嶽丸・酒呑童子・玉藻前
文化人類学者・民俗学者の小松和彦は以下の固有名を持つ三体を三大妖怪と定義した。
- 大嶽丸 – 桓武天皇の時代に鈴鹿峠の往来を妨げた鈴鹿山の鬼神魔王。坂上田村麻呂と鈴鹿御前に討伐された。
- 酒呑童子 – 一条天皇の時代に平安京に出没した大江山の鬼の首領。源頼光と頼光四天王(渡辺綱、卜部季武、碓井貞光、坂田金時)、藤原保昌に討伐された。
- 玉藻前 – 鳥羽上皇の寵愛を集めた傾国の美女。安倍泰成(安倍泰親、安倍晴明とも)の占いで白面金毛九尾の狐の正体を暴かれ、上総介広常と三浦介義純に討伐された。
(小松和彦 『日本妖怪異聞録』)
上記の三妖怪はお伽草子で語られる名実共に上位三体であり、いずれも討伐後には遺骸や首が京都の平等院にある宇治の宝蔵に収蔵されたという共通点がある。
小松氏は、時の為政者が強大な妖怪を上回る武力・知略・神仏の加護を有することを象徴するために、お伽草子の物語で付け加えられたのだろうかと述べている。
歴史地理学・文化地理学・歴史民俗学の佐々木高弘は日本三大妖怪とされる玉藻前、大嶽丸、酒呑童子はいずれも古代の関所が関わっているとの指摘をしている。
俗説
日本三大悪妖怪
Wikipedia日本語版が初出と考えられる「酒呑童子・玉藻前・崇徳院」を指す俗説。
当該記事のノートで議論され、Wikipedia日本語版の三大方針である「中立的な観点」「検証可能性」「独自研究は載せない」に照らし合わせて引用元の有無が検証され、日本三大悪妖怪は信頼できる情報源がないとして、現在はWikipedia日本語版から削除されている(2018年4月26日閲覧)。
詳細は日本三大悪妖怪を参照。
その他
かの有名な牛若丸こと源義経に剣術を教えたとされる大天狗・鞍馬天狗が挙げられていると、この記事の2018/01/09 10:50のバージョンで追記された。
いつどこで誰によって鞍馬天狗が日本三大妖怪とされているのかなど、出典元が不明であることから信憑性に疑問がある。
創作において
日本三大化生
『Fate/EXTRA』において、キャスター(Fate/EXTRA)が日本三大化生であることについて言及されたのが最初である。以後、キャス狐を紹介する上で日本三大化生という呼称が用いられることがある。
日本三大化生の残り二人が誰であるかは言及されていないものの『Fate/Grand Order material』では玉藻前は酒呑童子と「三大妖怪仲間」としていることから、キャス狐と同じく日本三大妖怪に数えられる酒呑童子(Fate)と大嶽丸(Fate)が考えられる。
ただし大嶽丸については陸奥の大嶽丸としているため霧山の大武丸がモデルと考えられ、鈴鹿山の大嶽丸とは別であることから三大化生にはあたらない可能性もある。