アセチレン・ランプ
あせちれんらんぷ
概要
手塚治虫の旧友がモチーフになったキャラ。プロデビュー以前の漫画にも登場しており、手塚漫画ではヒゲオヤジに並ぶ古株。最初に登場したロストワールドの印象があまりに強いせいか、悪役としての登場が多いが、70年代あたりから善玉としての出演も目立つようになった。
たまに頭の後ろに蝋燭を立てているが、キャラのモデルにした友人の後頭部が凹んでいるのを見て、ろうそく立てに見立てたものからきている。
主な活躍
ロストワールド
「青いものが食いたい! 野菜が食いたい! 果物が食いたい!!」
地球に接近した遊星・ママンゴ星の秘密を探るために探検隊のロケットに密航した新聞記者として登場。保身のためなら何でもする悪辣な男であり、餓えに狂って人間の姿をした植物人間・あやめを殺害してその死体を貪り食う、国際陰謀団との乱戦にて弾薬の補給を懇願する探検隊員に「じゃあすぐやるよ」と言って射殺する、その後寝返って味方に付いた陰謀団もサッサと見限って暗殺するなどといった悪の大盤振る舞いを見せたが、その最後は私家版(原作)にしろ単行本版にしろ、その悪行の報いを受けるかのような悲惨なものだった。
鉄腕アトム
「悪人というものは最後には滅びてしまうものなんですね」(アトム)
何度か登場しているが、『冷凍人間の巻』ではウラン鉱石を強奪して車で逃走しようとしたあげく、横を飛んでいたアトムに気を取られてハンドルを切り損ねて事故死してしまい、アトムに冒頭の台詞を吐かれている。
3作目のアニメである『ASTROBOY 鉄腕アトム』では、過去のトラウマからロボット排斥を唱える人間至上主義者(政治家)として全編を通じて登場。最後はアトムに敗れて逮捕されてしまう。ゲーム版『アトムハートの秘密』ではアトムと和解する。
ジャングル大帝
「ルネをよこせ」
元ナチス軍人だったハム・エッグに収容所で暴行されていたというユダヤ人、という設定(どこかで聞いたような設定だ)。そのことを理由にハム・エッグを脅迫するなどやはり悪党。その後ダンディ・アダムが二重スパイであることを突き止めてルネを奪おうとアダムを脅迫するもアダムは断固として拒否し対立。アダムのサーカスが火事になった際も揉み合っており、結果2人まとめて逃げ惑う象の軍団に踏みつぶされて死亡する。
落盤
「これで石井もくたばるだろう、かわいそうだが・・・」
前橋(ランプ)は大村と名乗る少年とともに20年前に落盤事故があった炭鉱を訪れる。前橋はその際同僚だった石井が自分をかばって殉職したと話すが、大村はその発言の矛盾を次々と指摘する。実は大村は石井の息子で、父を殺害した前橋に復讐しに現れたのであった。
証言の再現画像は信憑性が高まるごとに写実的になるという独特の演出も見どころ。
キャプテンKen
「その辺で辞めときなさい、このマンガの質が下がる」
江戸弁(沖田総悟とかカモ君みたいなアレ)を話す、隻眼の殺し屋・ランプとして登場。金のためなら何でも行う悪党、といった感じだが「ロストワールド」「アトム」「ジャングル大帝」あたりに比べれば「ライバルキャラ」としてまだマシな描かれ方をしている。
声優
主な声優
石井康嗣…アストロボーイ・鉄腕アトム、トヨタ プリウスCM
内海賢二…海底超特急マリンエクスプレス、フウムーン、ブラック・ジャック (テレビアニメ)、手塚治虫物語~ぼくは孫悟空~(作中、教官役として手塚少年に折檻する)
大塚周夫…ブレーメン4 地獄の中の天使たち
大友龍三郎…鉄腕アトム 〜青騎士の巻〜
田口計…鉄腕アトム (アニメ第1作)
納谷悟朗…どろろ(1969年)ジャングル大帝 進め!レオ(1965?))
羽佐間道夫…ブラック・ジャック (OVA「葬列遊戯」「人面瘡」)
八奈見乗児…銀河探査2100年 ボーダープラネット
矢田耕司…ジェッターマルス
広瀬正志…火の鳥復活篇
山路和弘…どろろ(2019)
声優不明(エンドロール記載なし/映像資料なし)
ジャングル大帝(1997)
手塚治虫アカデミー大賞(1999)
声なし
手塚治虫が消えた!?20世紀最後の怪事件(ガヤとして登場)
エピソード
・手塚治虫自身が書いた「スターシステム名鑑」によると、「スター人気投票1位」となっており、ハムエッグとも良いライバルとされている
・手塚治虫自身曰く「ランプは貧乏で服もあのスーツ一着しかないため、たまに上等な福を着せても似合わない男」と言われている
・OVAブラックジャックで高杉警部として『葬列遊戯』で初登場したランプだが、当初シリーズ続編に続投する予定はなかった。
しかし彼の声を担当した羽佐間道夫氏の名演技により、ブラックジャックとピノコ以外で唯一シリーズに同一人物として『人面瘡』に登場。ちなみに『葬列遊戯』の時と『人面瘡』の間に異動になったのか、所属部署は変わっている
・TVアニメシリーズ版ブラックジャックで友引警部として登場した際の声優、内海賢二氏は『海底超特急マリンエクスプレス』が初のアセチレン・ランプ役であった。しかしそれから15年以上にわたり、他の手塚作品においてもアセチレン・ランプ役として声を担当し、手塚キャラの同一キャラの声を最も多く担当した声優であった。