概要
元はウソップの故郷・シロップ村の富豪であるカヤの所有で、彼女に仕える執事のメリーと船大工が建造した(0巻ではメリーが20年前の青年時代に「こんな船をいつか作れたらいいなァ」と設計図を描いているシーンがある)。ルフィたちがキャプテン・クロの魔の手からカヤたちを救ってくれた礼として進呈されたゴート船(遊覧を主とした小型船)である。
三角帆使用・船尾中央舵方式キャラベル船(マストを3枚使用した形式の帆船)。
大砲は4門(主砲1/副砲3)装備の4LDK。操舵は舵輪ではなく、棒を進行方向に傾ける方法で行う。全長は13m。全高は11m。製造日は1月22日(VIVRE CARD〜ONE PIECE図鑑〜 STARTER SET Vol.2より)。
船首が羊の頭をかたどっており、おそらく名前もこの船首と「メリーさんのひつじ」にかけているものと思われる。この頭の上はルフィの特等席となっている(泳げないルフィがここに固執する理由は作者曰く「まあ、うれしそうなので、いいんじゃないだろうか」との事)。
空島へ向かう際に、鶏の鶏冠と大きな翼をとりつけた「フライングモデル」に改装されたこともある。
機能
元々が遊覧目的に建造された船のため、船室などの内部構造はけっこう豪華。バス・水洗トイレ・キッチン付きな上に、海水ろ過機能と発電設備まで完備され、まさに至れり尽くせりの快適空間となっている。
シャワー及びバスのお湯は、「水くみあげマシーン(マッスィ~ン)」を利用して、船底から汲み上げた海水をろ過し、真水にしたものを火にかけて使用している(汲み上げるついでに発電も可能)。なお、「水くみあげマシーン」は甲板の階段の下に当初2個あったが、ルフィが壊した為に最終的には1個になっている。
またナミがアーロンから抜けて正式に入団したことを機に、甲板にはナミの故郷であるココヤシ村から持ってきた蜜柑の木が数本植えられており、大事に世話をされている。
ただし、この蜜柑を男陣が食うことは基本的に禁止されており、特に食欲の塊であるルフィへの警戒は強い。また作者曰く、「この蜜柑を食わざるを得ない=餓死寸前の危機」という意味合いもあるという。
後にこの蜜柑の木は後継船に移植された。
損耗との戦い
メリー号を語る上で外せないのが、その損傷の多さ。
『偉大なる航路(グランドライン)』に到達する前から生傷が絶えなかったが、船大工を有さない当時の一味では満足な修復やメンテが行えず、損傷の度にウソップが応急修理(フランキー曰く「ド素人の継ぎ接ぎ」)を続けて何とか持ち堪えさせて来た。ただし、空島編ではメリー号の化身と思われる『クラバウターマン』によって修復された事がある)。
ほとんどが敵の攻撃による損耗(海軍、ワポル、ベラミー、シュラ他)だが、メインマストに限ってはルフィがラブーンにケンカを売った際にへし折ったという何気にヒドい経緯がある。
壮絶な最期
『偉大なる航路』の前半戦ともなると、舵や船底など重大な部分への損傷も多くなり、空島から青海(地上の海)に戻った際の着水の衝撃が原因なのか、ウォーターセブンに辿り着いた時には、船の背骨と言うべき竜骨に甚大なダメージを負っており、既に修復が不可能になっていたことが発覚する(ちなみにこれ、空島から行き帰りする前の段階=ジャヤ島でベラミー達にボロボロにされたせいで既にダメージを受けていた)。
ルフィ達は元々はメリー号を修理する予定でウォーターセブンに立ち寄ったのだが、ルフィ達はメリー号がそこまでのダメージを受けているとは想像もしてなかった。
船を診断したガレーラカンパニーから、メリー号のガワをいくら修理しても中身の竜骨がダメになっている以上はもう寿命であり、次の島に到着する前に必ず沈没すると宣言され、ルフィはここで新しい海賊船を購入して乗り換えすることを決断することになる。
だが、メリー号への思い入れや愛着が人一倍強いウソップが猛反発し大ゲンカになってしまう。
※もちろんウソップが反対することは全員覚悟の上だったが、唐突だった上に彼が思い詰めないようわざと明るく切り出したのが完全に裏目に出た。
「今日会ったばっかりの連中の言うこと鵜呑みにしてメリー号を見殺しにするのか!お前にとっちゃその程度なのか!!」「船長風吹かせて何が決断だ…見損なったぞルフィ!!!」と非難するウソップに対し「いい加減にしろ!お前だけが辛いなんて思うな!みんな気持ちは同じなんだ!!!」と飛びかかるルフィ。激情のあまり「そんなにおれのやり方が気に入らねェんなら、今すぐこの船から…」と禁断の一言が口を衝こうとするも、咄嗟にサンジが「てめェ今何言おうとしたんだ!!滅多な事口にするもんじゃねェぞ!!」と力業で制止。それを受けルフィも「……ああ…悪かった、今のはつい…」と冷静になり謝罪する。
だがウソップは「いいんだ、それがお前の本心だろ、使えねェ仲間は切り捨てて進めば良い」と、2億ベリーを強奪された負い目、ルフィ達の強さに付いていけないと感じていたことなどをここぞとばかりに吐露し「おれはこの一味をやめる」と宣言。そしてウソップはケジメとしてルフィに決闘を申し込む。そしてウソップはこの決闘に自分が勝てばメリー号は自分が強奪させてもらうと、海賊らしい要求を突きつけた。
その夜、二人のタイマン勝負が行われる。
ウソップは「お前を倒す算段はつけてきた」と豪語するだけにある程度は善戦できていたものの、やはり実力差は圧倒的で「ゴムゴムの銃弾」を受け敗北。だが、それでもルフィはメリー号をウソップに明け渡した。
その後、ウソップはメリー号をなんとか修理しようと一人で奮闘するが、メリー号を再起不能と診断したカクがそんなウソップの未練に不快を示し、六式のパワーでメリー号を蹴り飛ばし海中に投棄してしまう。
だがそれでも幸運にもメリー号は大破を免れ、廃船島に流れ着いていたところをアイスバーグに拾われ、CP9から隠れている最中に応急処置を施される。しかし、その後に起こったアクア・ラグナの際にメリー号は海に流されてしまう。一時は大波に呑まれたかと思われたが、エニエス・ロビーでのCP9との決戦後に海軍に囲まれた一味の前に姿を現し、島から一味を脱出させる。
そして脱出が成功して沖合に出たところで限界だったのか、船体が前後に真っ二つに割れ大破、遂にメリー号は最期の時を迎えることとなった。
最期はルフィたちによって船体に火を付けられ、火が回りきったところで自沈、永遠の眠りにつく。
今際の際に発したメリー号の声は、一味の全員に聞こえていた。
ごめんね・・・もっとみんなを遠くまで運んであげたかった・・・
ごめんね・・・ずっと一緒に冒険したかった・・・
ルフィ「ごめんっつーなら!! おれ達の方だぞメリー!!!
おれ舵ヘタだからよー!! お前を氷山にぶつけたりよー!!
帆も破った事あるしよー!! ゾロもサンジもアホだから色んなモン壊すしよ!!
そのたんびウソップが直すんだけどヘタクソでよォ!!!
ごめんっつーなら…」
だけどぼくは、幸せだった
今まで大切にしてくれて、どうもありがとう
ぼくは本当に、幸せだった
その後、ウソップは一味と和解し復帰。彼の雄姿に感動した新たな仲間フランキーによって、後継となったサウザンドサニー号にはメリー号の意匠が前面に押し出されている。また、ソルジャードックシステムの「チャンネル2」に"蒸気機関外輪船ミニメリー2号"が配備されることとなった。
魚人島編~パンクハザード編の間を描いた番外編『エピソードオブメリー』では、ミニメリー2号にウソップ、チョッパーと一緒に乗車していたブルックが、ミニメリー2号について「ミニじゃない子羊さんがいてそれをモデルにしたのか」と元となったメリー号の存在に気づき、またルフィたちが以前から言っている「メリー」の事が気になっていた。ゴーイングメリー号と別れた後から仲間になったブルックはメリーのことを知らなかったため、ウソップがメリーについての説明をした。一連の流れを聞いたブルックも「一目でいいからお会いしたかった」と涙した。
余談
メリー号と言えば船首や柵、竜骨などに白い塗装が施されているイメージが強いかもしれない。実際、Pixivに投稿されているメリー号のイラストの多くもその姿で投稿されているし、ネット上で画像検索を掛けても大概は白く塗られている。
が、実はこれはアニメ版独自の姿であり、原作においては船首も竜骨も材木の色そのまんまで塗装されていない。単行本12巻や32巻、イラスト集などでもこちらのカラーリングで描かれている。
原作初期を基にした海外ドラマ版(制作中)でももちろん登場するが、コンセプトアートでは船首の羊がリアルすぎると一部で話題になっており、
「もはや羊というより山羊」「燃やしたら呪われそう」
といった感想まで出ている。(参考リンク)
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桑島法子 …クラバウターマン及びメリー号の声を担当。