概説
いわゆる「もういい大人なんだから、子供みたいに漫画やゲームを追いかけ続けてないで、とっとと卒業し去るべきだ」とするメッセージを指す。
この手の思想は20世紀(昭和時代以前)には一般的だった。
しかし平成世代(おおむねポスト団塊ジュニア世代以降)になるとアキバ系の台頭や、その活動による経済に対する恩恵の評価から、こうした主張は『古い価値観』と扱われ始め、現在は『上から目線の押し付け』として忌み嫌われる場合が多い。
しかし、近年のネット上ではある出来事を切っ掛けに、それらサブカルを提供する側の人間が自らファンを追い出す行為としての意味も帯びるようになった。
コンテンツやシリーズが人気を失う等で衰退する「オワコン」は、基本的に消費者側によってそう定義され打ち立てられる概念である。
しかし中には、製作者側が意図的にそうなるのを促す描写を「裏テーマ」として盛り込んだ作品を作成するケースも極少数ながら存在し、近年に限らず昔にも類似例は確認されていた。
理由として、シリーズや連載を続ける現状に疲れてしまったり、月日と共に増加・激化する厨坊の類を嫌い疎むあまり、「自分で全部壊して楽になりたい」との願望が芽生えてしまうのだと考察されている。
また、昭和世代ではオタクコンテンツのクリエイターも「卒業推奨の思想」を共有している節が多かった様で、中でも有名なのは富野由悠季。ただし彼の場合一種の芸風にもなっており、どこまで本気なのかは分からない。
その他、平成以降の子供向けコンテンツに数多く出演している役者でも、似た様な考えを持っている人物は存在する。
この場合「原作者が自ら壊して終わらせる」のであれば比較的諦めはつきやすいが、「他から委託された立場の人物」が同じ事をすれば「職権濫用でヘイト創作をファンに押し付けた」「作り手が作品を馬鹿にするとは」などで炎上に繋がりやすい。
アンチテーゼとして
逆に主人公がこの言葉に反論して討ち倒すケースもあり、冒頭の価値観を否定するシーンこそ製作陣の伝えたかったメッセージという作品もある。
その場合「現実主義や事なかれ主義に陥って夢や理想を否定する、悪い意味の大人」に対する主張として、「そんな"ダサい大人"になるくらいならガキでもいい」と切って捨てる展開になることが多い。
「"理想"を掲げて変化を望み平和のための犠牲を否定する主人公と、"現実"の名の下に現状維持を図ろうとしたり犠牲を許容しようとする敵」という構図は割とよく見るであろう。
- 例
事例とされている作品
※性質上、賛否両論になり易いが、必ずしも低クオリティな訳では無い旨には注意されたし。
※大抵は自虐ネタやメタ要素が含まれており、単に出来が悪くファンの期待を裏切った、等の理由は該当しない誤用となる。
- ポケモンの没プロット
- 世界の中心でアイを叫んだけもの
- ドラゴンクエストユアストーリー
- ひぐらしのなく頃に卒業
- 仮面ライダー平成ジェネレーションズFOREVER
- ニューダンガンロンパV3
- 映画版バービー人形
- VS騎士ラムネ&40炎
- SSSS.GRIDMAN
- おジャ魔女どれみ16
- ヒーリングっど♥プリキュア
- SWシークエル・トリロジー
- 勇者特急マイトガイン
- ハイスクール!奇面組
- 代紋TAKE2
- 東京大学物語
- スターオーシャン3
- 烏丸久美子は巫女でない
作劇上での特徴
何らかの形で現実を突きつけ「受け手の夢をいい意味で壊そうとする」展開が取られるが、その手法についてはある程度の傾向が見られる。ここでは、上記と合わせてその一例を紹介する。
メタフィクションネタ
いわゆる俺達が現実だと思っていたのは実は作られた世界だったんだよ!な展開。
仮想世界や夢オチなどを使い、キャラクターに自身がフィクションの存在である事を自覚させる事で、そこからの脱却という形に持っていく事が多い。
批判意見としてはそれまで何の匂わせもなかったのにいきなりフィクションの中だと明かされたことによる視聴者置いてけぼり状態である事が多く、思想云々ではなく単なる作者の力量不足である事がほとんど。
該当例:ハイスクール!奇面組、ドラゴンクエストユアストーリー、等
ファンを隠喩する人物
作品内に作品のユーザー、またはスタッフ等を擬人化したキャラクターを登場させるもの。
いわゆるギャグやポジティブな意味を含んだ「俺ら登場」とは異なり、作品内のキャラクターが苦しむ元凶である事が多く、受け手はお前らが作品を楽しむ、作るせいで画面の中のキャラが苦しみ続けるんだという皮肉を突きつけられる形になる。
作り手による自虐である事がほとんどであるが、見方を変えると同じ趣味の読者に対する攻撃であるとも見られるので、どの道扱うには注意が必要である。
該当例:SSSS.GRIDMAN、勇者特急マイトガイン、等
他作品、他ジャンルへの揶揄
作品内に留まらず他ジャンルの作品を皮肉ったり揶揄した存在を登場させるという手法。
有名な例を挙げるとすれば劇中劇があり、例えば昔子供達から人気を集めたロボットアニメが戦意高揚のためのプロパガンダとして利用され、多くの少年兵を戦場に送る事になったといった所か。
上記のファンを揶揄する人物と共通点が多く、それに加えて他作品のファンにも喧嘩を売る形になるという問題点がある。
該当例:上の該当作にはないが光殻天使このか☆エンジェル、銀魂等
過去のシリーズ作品に対するアンチテーゼ
シリーズ作品の続編やスピンオフにおいて見られる手法で、これまで過去作で語り続けてきたテーマと反対の内容を描くというもの。
シリーズのファンからすれば、「これまで語ってきた事はまやかしに過ぎない。現実なんてこんなもんだよ」という過去作否定にも等しいメッセージに捉えられかねない。
該当例:SWシークエル・トリロジー等
また、これ以外にも様々なパターンや展開があり、それらは同時に登場する事も留意願いたい。
外部が語る場合
制作側自ら言い出した結果スラングとして成立した訳だが、いずれにせよこの様な主張をする場合、必ずTPOを弁える必要がある。
昨今「図体はデカくなったのに内面はガキのままで、本当の子供は気にしない様なクオリティや解釈違いでギャーギャー騒ぎ続ける輩」が問題となって久しく「少しくらい大人になれよ」と説教したくなる気持ちもわからなくもない。
しかし「大人も楽しめるサブカル」も少子高齢化で主要となってきた現在、そうした風潮そのものを疎み「ゲームも漫画も子供の遊び!大人がやるものじゃない!」と叫んで回ったところで、メインターゲットの子供からすればまるで意味が分からないし、当の大人ユーザーから見てもただ冷や水をかけるだけのアンチにしか写らない。
そんな時流すら読めず、昭和の価値観を大人ぶって振り翳すのは「大人」ではなく「老害」であり、客観的に見ると「自分の理想・主張を駄々っ子のように世界へ喚き散らす『同じ穴の狢』」になってしまっている事態もしばしば。
大人として不甲斐ない輩に苦言を呈する気持ちも分かるが、自立した上で子供っぽい趣味を持つ者に文句をつける前に、貴方も「理性と我慢」を持って寛容さを身につけた「大人になれよ」なのである。
関連イラスト
関連タグ
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脚本の被害者 賛否両論 みんなのトラウマ キャラヘイト アンチ ヘイト創作:人によってはこのように受け取られかねない。
毒親、ずるい大人:現代を舞台にした作品ではコンボになっている可能性がままある。
人の振り見て我が振り直せ:「大人になれよ」への正しい返答の一端。
「好きで大人になったんじゃないよ」「大人になんかならないよ」:「大人になれよ」への誤った返答の一端。後者はそれなりのアンサーも出している。
お前が言うな/特大ブーメラン:発した対象によってはこのように受け取られかねない。
少子化:子供っぽい趣味にハマってる暇があるなら子供を作れという極論も存在する。
価値観の押し付け:自分の思想や考えを優先するがために発してることも少なくない。「大人とはこうあるべき」という考えは理解できるが押し付けるのは自己中心的と捉えられかねない。