諸元
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概要
GAT-X105 ストライク用に製造されたオプションパック「ストライカーパック」の一つ。I.W.S.P.とは「統合兵装ストライカーパック(Integrated Weapons Striker Pack)」のバクロニム。その名の通り、エールストライカーの機動性、ソードストライカーの近接戦闘能力、ランチャーストライカーの火力を一つのストライカーパックに統合している。このストライカーパックはニュートロンジャマーの影響下にある戦場にてMSの生存性やスタンドアローン性を高めることを目的とする「ブロック5」と呼ばれる規格に準じたストライクのSEPプログラム要求に応えるべく考案された。P.M.P社が設計したストライカーパックであり、モルゲンレーテ社製ストライカーパックの競合品でもあった。
高性能センサー付きのレールガンや単装砲、対艦刀に攻防一体型のシールドと重武装化されており、ビーム兵器が普及していない開発当時基準では過剰なほどの攻撃力を持つ。さらに、火器管制のためストライク本体の射撃統制システムを補助するコプロセッサーも搭載されている。パック後部には2基のスラスターと3対の空力翼を設置することにより、重量増加と後方に偏った重心モーメントの影響によって低下した運動性を補うための設計も施されている。
これらにより、地球連合軍が要求していた「近・中距離での高機動総合戦闘力」「対艦・対MS接近戦能力」「射程外からの超長射程火器による砲撃能力」を単体で実現し、「究極の装備」という開発目標に相応しい万能性を獲得するに至った。
しかし、構造の複雑化による整備性や信頼性の低下とコストの高騰、パック本体のデッドウェイトによる姿勢制御の悪化に加えて、兵装と制御用電装系の重装備化による消費電力の増加により本体のフェイズシフト装甲の作動時間が大幅に短縮してしまう問題が生じた。消費電力の問題に対してP.M.Pでは新しく高性能な小型パワーパックの開発を行っていたが、技術的限界から開発作業は遅延し、最終的にはパワーパックを実用化できないままにパックの試作を開始することとなった。その結果、超高細度VR戦場用シミュレーション・モデルの試作1号機と実物大モックアップの2号機しか製造することができず、C.E.71年に完成したストライク用ストライカーパックには既に完成していたモルゲンレーテが開発したエール・ソード・ランチャーの3種類のパックが採用され、本パックは採用見送りとなった。
後に開発計画自体がモルゲンレーテへ譲渡され、P.M.Pが暗礁に乗り上げていたパワーパックもそのデータを入手したモルゲンレーテの独自技術を用いることで完成させ、当初想定されていた性能を発揮させることに成功した。また、連合側から開発を譲渡された=開発ライセンスがモルゲンレーテに移ったことから独自の型式番号「P202QX」が振られている(類似例としてP204QX ライトニングストライカーが存在する)。
パワーエクステンダーによって稼働時間が延長されたMBF-02 ストライクルージュへの搭載が予定され、数回に渡る運用実験が行われた。ちなみに、ルージュで運用実験が行われていたものは3号機にあたる。一方、複雑化された火器管制システムをパイロットであるカガリ・ユラ・アスハが扱いきれなかったため実戦投入されることは無く、代わりにC.E.71年9月27日の第二次ヤキン・ドゥーエ攻防戦後に行われた数多くの式典への参加の際、より力強さを演出するため本パックをストライクルージュへ装備していた。さらに、「統合兵装」というコンセプトはEW454F オオトリへ発展した。
C.E.73年にてカガリと共にルージュがオーブを離れた際には、上記のオオトリが完成していたことから旧式となっていたため、国外へ持ち出されずモルゲンレーテに保管されたままとなっていた。
C.E.72年3月10日のユニウス条約締結後の兵器開発方針転換を受け、ユーラシア連邦の軍需企業アクタイオン・インダストリー社が主導するアクタイオン・プロジェクトの折に新規製造された。アクタイオンはモルゲンレーテから技術やデータの提供を受けていないが、C.E.71年6月15日に大西洋連邦により敢行されたオーブ解放作戦によりオーブからの難民と共にパワーエクステンダーの技術が流出、一般化したためP.M.Pの抱えていた問題を容易にクリアして完成させることができた。
これをスウェン・カル・バヤンのGAT-X105E ストライクEに装備する形で実戦投入が行われた。この運用データを基にAQM/E-X09S ノワールストライカーが製作され、さらに、AQM/E-A4E1 ジェットストライカーとAQM/E-A4E1 ドッペルホルン連装無反動砲の開発にも活かされた。
また、アクタイオン・プロジェクトにおいて企業グループの一社として参加していたフジヤマ社は東アジア戦線においてストライクEと共に本パックの運用を行っている。
漫画「機動戦士ガンダムSEED C.E.73 Δ ASTRAY」におけるオーブ軍出向者の部隊『マーシャン討伐隊』へ、地球連合第81独立機動軍ファントムペインの主力機GAT-01A2R 105スローターダガーが配備された際に、ライトニングストライカーと共に本パックが登場している。ファントムペインから支給された時点にはジェットストライカー装備で配備されていたが、搭乗者のワイドが本パック使用の希望を指揮官であるスウェンに出し、スウェンがその許可を出している。ライトニングストライカーと共に許可が降りた事や配備当初はジェットストライカー装備だった事などから考えて、モルゲンレーテが製造した方の本パックを配備している(アクタイオン製ならば、連合軍は自力で本パックを準備できる)。なお、「カガリ機のイメージとして強いI.W.S.P.で〜」と言う台詞こそあるが、ワイド機の本パックがカガリ用と同一かどうか不明である。
武装
115mmレールガン
パック上部に左右で2門搭載されている遠距離攻撃用のレールガン。肩越しに目標を射撃する。
砲身の同軸上にマウントされた強化型高指向性索敵照準センサーにより、超長距離射撃時の命中精度を向上させている。このセンサーを用いることによりニュートロンジャマーの影響下でも熱センサーや映像分析等による複合的解析が可能となっている。
発射時、ローレンツ力により砲弾の弾速を秒速5kmにまで加速させることができる。
105mm単装砲
レールガンと並行するように肩部にマウントされる単装砲。近・中距離戦用の武器。
9.1メートル対艦刀
ビームブーメランに次ぐ切れ味を持つ特殊合金製の実体剣。
本パックのエネルギー消費が大きかったことから完全な実体剣となっており、モビルスーツとの格闘戦だけでなく巨大な艦船にも有効とされる。I.W.S.P.の両サイド下部に備えられた鞘用途の基部に挿し込まれる状態でマウントされている。このマウント方式が後のジェットストライカーに活かされている。
M1アストレイの追加装備としても本武装が転用されている。
余談
本装備を搭載したストライクEに搭乗したルカス・オドネルは「相手の断末魔の叫びが聞こえる得物」と評して愛好している。
コンバインドシールド
「30mm6銃身ガトリング砲」と「ビームブーメラン」を内蔵ないしマウントする実体盾。
対ビームシールドとしてだけでなく攻撃にも使用可能な攻防一体の武装であり、ザフトで言う「複合兵装防盾システム」にあたる。
巨大な砲身と弾倉により重量化しており、機体の左側に大きく重心がかかるために使い勝手が悪く、改良型のノワールストライカーやオオトリでは完全にオミットされた。
30mm6銃身ガトリング砲
シールドと一体化されたガトリング砲。
1分間に8000発の連射を可能としていることに加え、弾芯にはチタンカーバイド鋼が用いられているため高い貫徹力を持つ。
ビームブーメラン
コンバインドシールドの表面にマウントされるビームブーメラン。
ソードストライカーの「マイダスメッサー」と同様にビームブレードに対する干渉反応を利用し、ニュートロンジャマーの影響を受けずに軌道を遠隔制御できる。そのため、空気の有無を問わず投擲後はブーメランのような軌道を描いて手元に戻ってくる。さらに、大容量のパワーコンデンサーを内蔵しているため、飛んでいる間は常にビーム刃を維持し続けることができる。
本パックが搭載している唯一のビーム兵器であり、対艦刀の通用しない相手と格闘戦を行う際は本武装を使用する。
バリエーション
AQM/E-X09S ノワールストライカー
アクタイオン・インダストリー社が開発した本パックの発展型。
元のコンセプトを継承する万能型モジュールだが、その万能性を殺さず、特性を近接格闘に振り向け特化させたものとなっている。
また、外装にヴァリアブルフェイズシフト装甲を全面採用しており、ストライクE本体が盾を装備する必要性が薄くなった。
EW454F オオトリ
モルゲンレーテ社が開発した本パックの発展型。
ストライクルージュの開発と同時期に製作が進められており、P.M.Pから入手したデータ(設計)を見直し、独自の技術を取り入れて完成させた。基礎設計を改変することにより、原型機の抱えていた信頼性や整備性の問題点を解決した他、島国ゆえに海上戦を国土防衛の要とするオーブの戦略に対応し、大気圏内での動力飛行を可能とした推進システムと4発のエンジンを搭載したX状の空力推進翼を駆使することにより、高度な飛行能力を有している。
ゲーム作品
スーパーロボット大戦シリーズ
『SEED』のシナリオ参戦している作品では隠し要素として登場する。
第3次αではストライクルージュ専用装備(というより、この作品のストライクルージュはこれ以外にエールストライカーのみ)だったが、JとWではストライクガンダムとスカイグラスパーにも装着可能。入手時期的にはいずれもキラがフリーダムガンダムに乗り換えているため、普通にプレイしてたらムウかカガリが運用することになる。
ちなみにJでは、同じコンセプトかつスパロボシリーズ屈指のチートユニットとフラグが競合しているため、どちらを取るかはプレイヤーの思い入れやプレイスタイル次第となる。
立体物
1/144スケールでは『HG ストライクルージュ+I.W.S.P.』が発売されている。無印終了直後の「SEED MSV」のキット化第1弾であり、現在から見れば本体のルージュ共々色分けや可動の面での古臭さは否めない。その後、プレミアムバンダイよりRG エールストライクの色変えとなるルージュにHGのI.W.S.P.を組み合わせた『RG ストライクルージュ+HG I.W.S.P.』が発売された。
1/100 MGでは『ストライクガンダム+I.W.S.P.』、MG ストライクノワールガンダムの本体と組み合わせた『ストライクE+I.W.S.P.(ルカス・オドネル専用機)』が発売されている。
METAL BUILDではI.W.S.P.単体で製品化されている。
余談
本パックには試作機を示す「Y」や「X」が含まれておらず、その上でナンバリングが「1」であることから、設計当初はかなりの期待が寄せられていたことがうかがえる。
関連タグ
機動戦士ガンダムSEED 機動戦士ガンダムSEED DESTINY 機動戦士ガンダムSEED MSV 機動戦士ガンダムSEED C.E.73 Δ ASTRAY
対応機種
競合機
類型機
ライトニングストライカー / ライトニングストライク:本パックと同じく、バッテリーパックの小型化ができず開発計画がモルゲンレーテに譲渡されたストライカーパック。超長距離狙撃任務を目的とした設計をしている他、友軍機へのエネルギー供給も行える。
マルチプルアサルトストライカー / パーフェクトストライク:同じコンセプトを持つストライカーパック。本パックと比較して、エールをベースとしてソード・ランチャーの主武装を一纏めにした上にバッテリーパックを増設したことにより火力と持久力で勝るが、それら故の重量過多により機動性で大きく劣る形態。
デスティニーシルエット / デスティニーインパルス:同じコンセプトを持つオプション装備。こちらはザフト製のシルエットシステムであり互換性はない。メイン兵装は実弾ではなくビーム兵器だが、それに比例してエネルギーの消耗が激しい上に対応機種とのバランスが合致していない等といった共通の欠点を持つ。