「彼女を追う資格が、君にあるのかな?」
「終わらせることができますよ……我々には」
CV:下野紘
この記事には『機動戦士ガンダムSEED FREEDOM』のネタバレが含まれます。
概要
新興国ファウンデーション王国の宰相を務める男性。
女王親衛隊「ブラックナイトスコード」の一員で、女王であるアウラ・マハ・ハイバルに強い忠誠心を抱いている。
シュラ・サーペンタインと共にアウラの側近ポジション。エンドクレジットではキラ・ヤマト、ラクス・クラインに次ぐ3番手扱いとなっており、重要人物として扱われている。
以下、劇場版本編のネタバレが含まれます。
本作におけるメインヴィランでありラスボス。
プロフィール
生年月日 | C.E.55年2月5日 |
---|---|
星座 | 水瓶座 |
年齢 | 20歳 |
人物
繊細で端整な顔、穏やかで紳士的な人物。
だが本質的にはブラックナイトスコードのメンバーに通じる傲慢な性格。また思い通りにならないことに直面すると感情を爆発させたり、自制心が利かなくなるなど精神的に幼いと思わせるところがある。
反面その高い自尊心だけの高い実力を持つ。戦艦グルヴェイグの指揮を執り、モビルスーツ乗りとしても優れている。
ファウンデーションがめざましい復興を可能としたのは、彼の手腕でギルバート・デュランダル前議長も認めていたという。競技レベルのダンスも踊れる。
一人称は「私」だが、ファウンデーション王城の庭園でラクスと話している時だけ「私」と「僕」の両方を使っている。
正体
その正体は、アウラによって生み出されたデスティニー・プラン導入後の世界を管理し、人々を導く者として作られた存在「アコード」の一人。
実はラクスもアコードで、彼女とは対として設計された運命の相手。お互い右手に色違いの指輪を付けており、右手で接触すると二人だけの空間に入っている。監督曰く共鳴とのことで『機動戦士ガンダム』のアムロ・レイとララァ・スンのオマージュとのこと。引用
指輪が光る演出の元ネタは『ウルトラマンA』のウルトラリング。エースリングとも言う物で、監督はエースリングだったりするとポストしている。
初めて触れ合った時はオルフェも驚いた顔をした後に笑みを浮かべているため、この時に自分と彼女の運命的な繋がりを実感したのかもしれない。
キラのことはラクスのそばにいる目障りな存在と見ており、敵意を隠さない。能力を使って「邪魔な奴」だと言い放つだけでなく、面と向かっても責め立てもした。
映画公開後に開催された『2/4ラクス・クライン生誕記念舞台挨拶』にて、福田己津央監督が明かした裏設定によると、
- ラクスとオルフェの誕生日が同じなのは同じロットで産まれたからであり、(血縁・的な)きょうだいではない。
- オルフェは無条件でラクスに惹かれていた。
- オルフェがキラに似ているのではなく、キラがオルフェに似ている。だからラクスはキラに惹かれたのだと思う。
とのこと。
2024年3月号『アニメージュ』掲載の監督インタビュー。
- 公開前のイベントで彼のことを「明るいキラ」と称したことがあったのですが、それはキラに近い遺伝子を持っているという意味で言ったんです。それ以外の部分はキラと違って、挫折を知らない、失うことの痛みを知らない人。そんな人物だと捉えています。特に意識したのは、ラクスに対していやらしくならないように、『DESTINY』のユウナみたいにはしないように、というところでした。「あなたのために咲いたのです」とラクスにバラを差し出すシーンはとくに。あれは一歩間違えると、ものすごくキザになっちゃう。オルフェの言葉に含みを感じるようなことがあってはいけないし、ラクスへの純粋な好意が出ているキャラクターであってほしい。この部分は、最終的にオルフェ役の下野紘くんに託しつつ仕上げていきました。
オルフェたちがラクスを姫呼びしているのは「あなたたちの姫」と教えられて育ったから。オルフェの部屋には大きなラクスの肖像画があると3/17日の舞台挨拶で監督が明かした。
オルフェ役の下野氏は『機動戦士ガンダムSEED FREEDOMキャラクターアーカイブ』に収録されているインタビューで「福田己津央監督からはどのようなディレクションがありましたか?」という質問に対して「基本設定として説明されたのは、ラクスが運命の人だと教え込まれていて、それをまったく疑うことなく大人になり、国の宰相としてやってきた人物だと。オルフェからすれば、ラクスは本当に運命の人で、彼女と一緒に世界を導いていくという気持ちに何の疑いもない。」と答えられている。
行政面のサポート役であるイングリット・トラドールからは密かに異性として想いを寄せられているが、ラクスに執着してる彼の目には全く映っていない。だからといって嫌っているわけでもなく、失態を犯した彼女をブラックナイトスコード カルラに同席させチャンスを与えてはいる。
実力者であるシュラが戦死した時には驚きと怒りの表情を見せた。
他のアコードたちがアウラを呼ぶ場面がないため、どう呼称しているか明らかにされてないが、オルフェはアウラを「母上」と呼んでいる。同じ金髪碧眼、赤子のオルフェをアウラ(すでに幼児化してる)が抱きかかえている(ラクスはラクスの母親、髪色的にイングリットとシュラに見える子は同僚らしき男性が抱き上げている)などの描写から、遺伝子的に実の親子ではないかという考察があるが詳細は不明。
終盤における「ではなぜ私は愛されない!?」という叫び。これは「ラクス」になのか「誰にも」なのか受け取り方はさまざまだが、後者の場合ならば、アウラが自分に対し真の意味での愛情は向けていないと思っていることになる。
アウラはアコードを「子どもたち」と称して愛情を向けているように見えるが、その愛は彼らが「自身が作った最高傑作だから」とも解釈でき、そのように認識するとアコード達が戦死した時に見せた反応は何処か空々しさを感じさせるものがある。オルフェに叩かれたイングリットを見るアウラの表情は、オルフェ同様に険しいものだった。
自国民を核で焼く、レクイエムを使っての虐殺と恫喝、目的を果たすためであるなら手段を問わず、蛮行に対する反省や罪悪感のない精神性の持ち主ではあるが、生まれ育った環境的に同情の余地もあり、アコードたちはデスティニープランのために生まれ、人生を振り回され、同時に振り回した者といってもいいのかもしれない。
劇中の活躍
コンパス一行にブルーコスモスの盟主・ミケール大佐の捕縛に協力したいと申し出る。
ファウンデーションに到着したラクスと挨拶を交わし、不思議なシンパシーを感じ合う。歓談の席ではラクスをダンスに誘い、踊り終わると宮殿の中庭へ。薔薇の花園で一輪のピンクの薔薇を差し出し、ラクスは受け取り礼を言った。
薔薇一本の花言葉は「一目惚れ」「あなたしかいない」
その後、ミケール捕縛のための合同作戦が開始。その最中にグリフィン・アルバレストがキラの精神に干渉し、いもしないミケールを見させ、国境線を超えさせた。ファウンデーションとユーラシアは独立騒動で元々折り合いが悪い、コンパスをユーラシアは承認していない。そのため事前協議において「国境線を超えない範囲でのみ軍事活動を許可する。超えれば侵略行為とみなしてコンパスでもファウンデーションでも攻撃する」と取り決めがなされていた。
予定通りにコンパスを壊滅に追い込み、ユーラシアからファウンデーションに向けて核ミサイルを発射させ、ラクスを伴い宇宙に。
自国に核を撃たれた報復として、ユーラシア連邦首都のモスクワに「神の祝福を」とレクイエムを放った。そして全世界に、自分たちはアコードだと公表し、プラントには「共にゆこう、コーディネイターのきょうだいよ。旧人類による矛盾と暴虐の時代は終わった」と呼びかけ、地球にはデスティニープランの実行を要求する。
放送を終えると、ラクスに自分たちは人々を導く存在、互いに惹かれ合い結ばれる運命だと手を取り迫る。
精神を共鳴した彼女にキスをしようと迫るがキラの声が聞こえたことで直前で正気に戻り拒んだ彼女にキラは死んだ、貴方が討ってもよいと言ったといい「彼はもう必要ない」と語るが「必要だから愛するのではありません!愛しているから必要なのです!」と反論されるが「おやめなさい!ナチュラルのような世迷言は!」と言い返した。
ところが、生き延びたキラが宣戦布告してくる事態に直面。
動揺を隠しつつ、部屋に軟禁したラクスを訪ねた際、更なる反抗的な態度に痺れを切らして押し倒し、さらに服に手をかけるが「力で人を従えても、心はけっして従えることはできません。何をされても、私の中からキラを消すことはできません」と言われて手を放した。
そして「なぜだ……あなたは私と世界を統べるために生まれたはずだ!なのに、どうして私を受け入れない。私の愛を!?」と声を荒げた。
「あなたの愛するラクス・クラインは私ではありません」と言われて部屋を後にする。
流石にショックが大きかったのか、部屋の扉のある方向を一回間違えるほど動揺していた。
その後、救出に来たキラにラクスを奪還された上に、彼女にミレニアムからファウンデーションの方針に賛同していない声明を全世界に発表されてしまった。
ラクスを奪い返されたイングリットを張り倒して「役目を果たせなければ我らに生きる意味はない!」と糾弾。
彼女と共に専用機のブラックナイトスコード カルラに搭乗して自ら出撃し、キラのストライクフリーダム弐式と交戦。
キラの「(僕にも武器はある)ラクスの愛だ!」発言に「ふざけるなぁぁ!汚らわしい!貴様のようなゴミがラクスの名を口にするなど百万回殺してもその罪は消えぬッ!」「生まれてくるべきではなかったのだ!なのにのうのうと生きて愛されている!そんな資格もないくせに!」となじり、「愛されることに資格なんて必要ない!」と返されると「ならばその愛をよこせ!彼女は私のものになるはずだったのだ!それを貴様がッ!」と逆恨みと嫉妬をぶつける。
機体性能の差、シュラとの連携、ジグラートによる砲撃支援によりキラを追い詰めるが、アスラン・ザラに割って入られ、その隙にラクスが乗ってきたプラウドディフェンダーとドッキングされてしまいマイティーストライクフリーダムに強化されて形勢を逆転される(この時、ラクスが自身と対峙すると悟った時は冷静さをかなぐり捨てて「ならば、その愚鈍な愛とともに滅びるがいい!」と攻撃を仕掛けていた)。
ラクスとの問答の末「ではなぜ私は愛されない!?」と叫び「いいえ、必ず誰かがあなたを見ています。今ではなくとも未来にいる誰か。あまりに近すぎて、気づかない誰かが」と返されるが「未来などいい!私は今、あなたが欲しい!」とラクスを求める。
マイティーストライクフリーダムのディスラプターの接射でカルラの左腕が大破。
「人の愚かさ故に我らは生まれた。平和だ、平等だと口にしながら他者に変わることを要求し、決して自ら変わろうとしない!」
キラ「そんなことはない!」
「だからいつの時代も争いは絶えない。怨みを忘れず、破滅に瀕しているというのに目先の損得や思い込みに取りつかれ、足を引っ張りあう!みんな愚か者だ!」
イングリット「オルフェ!」
「導く者が必要なのだ!この分断と流血の歴史を終わらせる。それが我らの生まれた意味だ!」
ラクス「人は必要から生まれるのではありません。愛から生まれるのです!」
キラ「僕は自分の手で未来を選ぶ!」
直後、フツノミタマでコックピットを貫かれてしまい、瀕死の重傷を負う。
それでもなお「私には使命が……」と固執するオルフェを一人の女性が抱擁していた。「もういいのよオルフェ……」と涙を溢れさせながら言われて「イングリット……?」と彼女に目を向ける。「私は知っているから……」と語りかけられ、目を閉じた。共に爆炎に包まれる直前、僅かに涙が目頭に浮かんだ……。
確かにそこにあった自分に向けられていた『愛』に、オルフェは最期に気づくことができたのだろうか……? その答えは、神のみぞ知る……。
パイロットとしての実力
終盤しかモビルスーツに搭乗しないため、その実力の程がいまひとつわかりにくい。
確実なのは
- アコードなので、シュラたち同様に読心や精神干渉が使える
- イングリットと一緒に搭乗したブラックナイトスコード カルラでキラ及びラクスと戦いを繰り広げ、最後に敗れた
- カルラについて「イングリットが火器管制を担当」と説明されている
といったところ。
視聴者からの印象としては、宰相という戦闘向けでない役割を担っていること、モビルスーツに乗っていた終盤にメンタルがボロボロで「精神面に限れば」終始押されていたことからかなり低い評価を下されやすくなっている。
「イングリットが火器管制を担当」と言う解説がこれに拍車をかけており、カルラの火器全般も全てイングリッドに丸投げして、オルフェは火器以外の戦闘機動や近接格闘戦しか出来ず、独りではまともに戦えないと言う極端な過小評価を行う者すらいる。
しかし、判断材料が多くない中で限られた材料を元にこうした「弱い」イメージを膨らませている視聴者が多いこと、そして多くない判断材料の中には「弱い」イメージに対する反証も多少は存在する点には留意すべきだろう。
例えば、オルフェの担当声優から「オルフェ自身もドラグーンを遠隔操作している」という言及があり、資料の中には「イングリットは主にジグラードを担当している」と言った文章も確認できるため、カルラの基本操縦=本体の火器管制はオルフェ自身の力量であるとも取れる。
加えて、キラとオルフェの間には圧倒的な戦闘経験の差があるにもかかわらず、少なくとも操縦は確実に自分で行っているオルフェがSEEDを発現させているキラの動きに適切に反応しついていくことができている。
戦艦クラスの支援ドラグーン「ジグラート」による絨毯爆撃支援とシュラとの連携による実質的な3対1、圧倒的な機体性能と相性の差、というアドバンテージはあるものの、ドラグーンの撃ち合いでは一方的にストライクフリーダム弐式のドラグーンを撃ち落とし、細かい判断を瞬時に求められる(=経験がものを言う)白兵戦でも互角以上に渡り合っている。
戦士としての才能を鍛えるだけでスキルが伸びていくキラとまともに戦闘が出来る時点で、オルフェの素質そのものは非常に高い事がうかがえる。
一方で上記の圧倒的なアドバンテージがありながらストライクフリーダム弐式を撃墜まで追い込めず、なおかつカルラ側もドラグーンを一基撃ち落とされるという反撃まで受けており、このあたりの描写がオルフェの実力が過小評価される原因となっている可能性もある。
アニメイトタイムズでの福田監督のインタビューによると「元々両澤が作ったプロットに、最終的には2対2になって、キラとオルフェの力は互角で、ラクスとイングリットのあり方が勝負を分けるという最終的なゴールまで書かれていたので、それに沿おうとは思っていました」とのこと。
小説版下巻
オルフェはイングリットにとって“太陽”。生まれた時からずっとオルフェを見ていたイングリット曰く「ずっと変わらず信念を持ち続け、その明るさと強さで、皆を導き励ましてくれた」。そんなオルフェに対して、いつからか特別な想いを抱くようになった。と好意を寄せられるようになった背景が語られた。
著者の後藤リウ氏は『SEED FREEDOMキャラクターアーカイブ』でオルフェのことを「私の中では『女の子(ラクス)と結ばれればすべてがうまくいく』という、逆『白馬の王子シンドローム』をイメージしていました」とコメントしている。
実際、作中で
- オーブはとうの昔に消えているはずだった。キラ・ヤマトやコンパスの邪魔な連中も、すべて消えているはずだった。ラクス・クラインは自分の隣で微笑み、輝かしい未来を約束してくれているはずだった。それなのに。とオルフェの心理が描かれている。
- 「どんなときもラクスを想ってきたのに。プラントの放送で歌う彼女を見たときも、デュランダルが倒され、未来が閉ざされたかに見えたときも。彼女さえ手に入れれば、輝かしい未来が待っていると信じて」ともあり、まさに自分が幸せになるために『ラクス・クライン』を手に入れる事が人生の目標になっていたことが伺われる。また、そのための努力はしていたようで「彼女の伴侶にふさわしい男になるために鍛錬し、自らを磨いた」というモノローグもある。
- ラクスが全世界に向けて声明を発表しても邪魔をする者はすべて消してラクスを取り返すことを諦めておらず(取り戻せないならば、いっそと脳裏をかすめるも「なぜかオルフェの頭はその先を考えることを拒否した」)キラの元に駆けつけたラクスを見た時はドロドロとした感情に支配され、すべてを忘れた。計算も、理想も、役目も。なにせその姿はオルフェが望んでいたものだったのだから。
小説版ではオルフェはギルバート・デュランダルをデスティニープランの提唱者で精神的父親であるかのように慕っていたが、そのデュランダルが『DESTINY』にてラクス・クライン暗殺を目論んでいたことに対してはアウラから知らされていない可能性が高い。
デュランダルとアウラ・マハ・ハイバルの間でラクス・クラインの扱いについては意見の相違があったようで、「デュランダルはラクスを諦め、切り捨てようとしたがアウラ・マハ・ハイバルは反対だった」と一文で描写されている。
そう考えると、オルフェがラクス・クラインを番として欲していたことをデュランダルからは梯子を外されていたことになるのだが…。
初期プロット
福田監督の公式X(旧Twitter)から引用。
両澤の初期オルフェのメモです。ファウンデーションメンバーの設定はだいぶ変更になってますので、違いを見てもらうのも良いかも。
[ファウンデーション/アコード側]
オルフェ・ラム・タオ(アコード/20歳/男)
「僕らは必要だから生れたんです。人類の未来の為に」
「君には彼女を愛する資格も権利も無いでしょう?」
ファウンデーションの宰相。どこがと言われると難しいが、ラクスにとってはキラにそっくりに感じる人物。迷わない、揺るがない、子供っぽいが強い。高い感応能力を持つ。イングリットという恋人がいるが、真実の相手はラクス。
全ては『世界の為に』その為だけにしか生きられない。アウラを絶対視。キラは宿敵。アウラがラクスの目を覚まさせると信じている。アコード同士は軽い精神感応力を有する。
余談
- キラはオルフェに遺伝子が似てる、オルフェが数ヶ月年上なことを踏まえると、キラの超人的な空間認識能力の由来、あるいはオルフェを作り出した際のデータ、つまりアコード技術がキラに用いられた可能性が考えられる。
- 後の監督のXで明かされた両澤氏によるアウラの初期プロット情報には「メンデルにおいて、キラの父親の共同研究者だったが、衝突から袂を分かった。(コーディネイターよりも進んだ人類を造るという目的)キラの父はこの研究者と方法知って、自身も着手。キラはそうして造られた」という記述がある。(ただしあくまで初期プロット。ファウンデーションメンバーの設定はだいぶ変更になってます。特にアウラ。とも語られているため、実際の設定とは異なっている可能性が高いことを留意されたし。)
- ファウンデーション王城の東屋でラクスに「あなたは誰なのですか?」と問われたオルフェが「私はオルフェ・ラム・タオ」と答えるシーン。『SEED』でラクスがキラにフリーダムを託す際の「君は誰?」「私はラクス・クラインですわ」と似通っていることから、セルフオマージュ説がある。
担当声優の下野紘氏へのインタビュー内容を一部引用。
- 『役づくりで気をつけた部分は?』(月刊ニュータイプ2024年3月号)
- オルフェは色々な表情を持ったキャラクターなので、監督からは、例えばラクスに対しては優しく接することで好意をアピールする、を重視して、片やキラには最初から敵意剥き出しのようにと、様々な面を出し分けてほしいと言われていました。また、国を代表する宰相の立場でもあるので、色々な人と会ったり、軍の指揮を執ったりもする。そういう状況では、堂々とした振る舞いをしっかり出すよう意識して演じました。
- 『逆に想いを寄せられているイングリットに対するスタンスは、どのようなイメージでお芝居されましたか?』(月刊「パッシュ」2024年3月号より)
- オルフェは彼女に対して特に何の想いも抱いていないので、共に出撃するときも突き放すような物言いをしています。でも、本当にオルフェのことを想っていたのはイングリットだったわけで、最後の最後になってオルフェが少しでもそこに気付けたら良いなと……。なので、ラクスだけを見ていたオルフェがようやくイングリットに気付くようなニュアンスを入れさせていただきました。わずかですけど。
- 『オルフェを演じていくなかで、彼のどんなところに魅力を感じましたか?』との質問に対して。
- 「序盤は特に嫌なヤツだと思うところもありますが、後半になれば、彼自身がものすごく子供なんだと感じられる瞬間がありました。子供がわがままを言って、自分の周りを顧みない主張をしているだけなんだと思うと、かわいらしいなとも思いますし、彼自身、自分がこの世界をラクスと共に導いていくことも嘘ではない。本当に救世主になるために、ラクスと一緒になり、頑張っていきたい思いがあったんだろうと思います。純粋に自分の思ったことを素直に言うところが、彼の魅力です。大人っぽく振る舞っていても、本当のオルフェは少し子供なのではないかと思ったり、そんな子供っぽい部分も魅力ですし、人間くさいところも好きです」
- 『下野さんの中で印象的なオルフェのセリフはありますか?』とインタビュアーに問われた下野氏は、以下の2つを挙げた。
- 「イングリットから「もういいのよ、オルフェ」と言われた時の「イングリット」です。とても難しかったし、どのように表現しようかじっくり考えました。最終的に、オルフェが少し大人になった、その一歩を踏み出した台詞です。今までのオルフェの感情とは全く違うものがその台詞に出てきたので、言い方には気をつけました。イングリットの名前を呼ぶだけの一言でも、そこを大切にしないとオルフェはただのワガママ坊やで終わってしまう。今でも『あれで正解だったかな?』と考えるくらい悩んだ台詞です」
- 「もう一つは、キラとのシーンでの「彼女を追う資格が君にあるのかな?」というセリフです。オルフェとしては序盤のシーンで、僕の中では「ここから入るよ!」というスイッチにもなったので、ワクワクしながら言っています。キラを追い詰めることができるということもあり、心の底からニヤニヤしながら収録しました(笑)。」
- 劇場版パンフレットに収録されているインタビュー記事では『オルフェのシーンで印象的だった場面ありますか?』に対して。
- 「色々と印象的なシーンがあって迷ってしまいますが、ラクスを諭すシーンとキラを責め立てるシーンですね。とにかく落差がすごいですよね……。ラクスには厳しくもまるで愛を囁くように優しく論すのに対して、キラにはしっかりと敵意を持って、噛みつくように責め立てる。本当に分かりやすいというか、子どもだな〜と思ってしまうシーンですが、個人的には気持ちの切り替えがハッキリしているので演じていてすごく楽しかったです‼︎」
- 同じくパンフレットのインタビュー記事内で、監督からは「名だたる大先輩方のように素晴らしい演説を」とディレクションを受けて、すごくプレッシャーを感じながら、収録させていただきました。と明かした。監督と下野氏は前例としてギレンやシャアなどを意識していたらしいことがうかがえる。
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