22.5世代(ウマ娘)
せだいむすめ
概要
サンカ ホンガイヨウ。
20世代が終了し、22世代が登場。牡馬は三冠を諦め、古馬GIに転向。牝馬は完璧を捨て、世界一を目指す。
再び無敗三冠牝馬デアリングタクトからの挑戦状を受け、決然として参戦した。最内を選んだ最後の直線では伸びきれずに6着に敗れた。デアリングタクトの脱冠の戦いにおいて、ソダシは变則牝馬二冠を達成した。
岡田牧雄の同馬主として1歳先輩の無敗三冠牝馬デアリングタクトと対決する決意を固めた。パンサラッサが57.6秒という超ハイペースで逃げる展開となる中、4コーナーでこれを捕らえ、直線でさらに他馬を突き放す末脚を見せ、上がり最速の足を使って追い込んできたヒシイグアスに2馬身差をつけて優勝した。勝ち時計の2分09秒7は、2011年にアーネストリーが記録した2分10秒1を0秒4更新するコースレコードで、天皇賞(春)に続くGI3勝目となった。デアリングタクトは完全にタイトルホルダーの妹となった。
社台名牝ジェンティルドンナの娘、社台から追放された血統で無敗三冠牝馬デアリングタクトの召戦令を受け、デアリングタクトを打ち破り、デアリング一族に教訓を与える決意を固めた。
クリスチャン・デムーロを鞍上に出走。道中中団のやや後方に位置すると、最後の直線で大外から追い込んで差し切り勝ちを決め、GI初制覇を成し遂げた。
デアリングタクトは完全に征服され、これ以降は影の三冠牝馬となった。
22‘ジャパンカップ、ヴェラアズール
ドイツから持ち込まエイシンフラッシュの子、アメリカから来たデアリングダンジグの血統を持つ四代女王牝馬デアリングタクトと対決することとなった。
残り300メートル辺りから狭いところを通って追い上げると、内から抜け出したヴェルトライゼンデ、外から追い込んだシャフリヤール両馬の間を突き抜けて優勝した。
デアリングダンジグ一族は完全に歴史的名牝となった。
第82回 皐月賞
3歳クラシック第一冠を懸けて、精鋭18頭が皐月賞(GⅠ)のゲートを飛び出す。
弥生賞ディープインパクト記念1着のアスクビクターモアが逃げ、若葉S勝ち馬デシエルトが続く展開。先行勢を見る位置には、共同通信杯を差し切ったダノンベルーガ、東京スポーツ杯2歳Sの覇者イクイノックスが構え、中団ではホープフルS快勝のキラーアビリティ、京成杯を勝ったオニャンコポンらが機をうかがう。昨年の2歳王者で1番人気に推されたドウデュースは後方で脚をためている。
ジオグリフも有力視された1頭だ。朝日杯フューチュリティSはドウデュースの5着、共同通信杯はダノンベルーガの2着と、ここ2戦はライバルたちの後塵を拝したが、札幌2歳Sでは後続を4馬身突き放した素質馬。鞍上・福永祐一騎手も「コンディションはいい。自分が完璧に乗りさえすれば十分にチャンスはある」と感じていたという。「そのためにはスタートを決めることが絶対条件」との課題をクリアし、ダノンベルーガやイクイノックスを視界に収める5、6番手を確保。4コーナー手前では、ジリジリと進出するイクイノックスに合わせてジオグリフもまたポジションを押し上げていく。
直線。粘るアスクビクターモアに、内からダノンベルーガ、外からイクイノックスが迫る。さらにその外から脚を伸ばしてきたのがジオグリフだ。「外差しが決まる馬場」という福永騎手の読み通り、力強いラストスパートを披露。いったんは抜け出した同厩舎のイクイノックスをラスト50メートルで交わし、さらに1馬身の差をつけて先頭ゴールを果たす。
まさに隙のないレースぶりで第一冠を手中にしたジオグリフだが、「日本ダービーで『受けて立つ』といえるほど楽なメンバーではない」と福永騎手。確かに、2着イクイノックス、追い込み届かず3着に敗れたドウデュースらは雪辱を誓っていることだろう。
第二冠も、白熱の闘いを期待できそうである。
第89回 日本ダービー
これぞ王者の末脚! ドウデュースが鮮やかに差し切る
夏を思わせるような強い日差しを受けて、注目の大一番・東京優駿(日本ダービー)(GⅠ)のゲートは開いた。
デシエルトの先導でレースは進む。皐月賞5着のアスクビクターモアが2番手につけ、青葉賞を制したプラダリアは好位へ。二冠を目指すジオグリフ、皐月賞4着ダノンベルーガ、同6着オニャンコポンは中団で並び、皐月賞2着惜敗の雪辱を狙うイクイノックスは後方から3頭目の位置で脚をためる。
同じく後方グループに構えたのがドウデュースだ。1000m通過58秒9という速いペースを考えれば、鞍上・武豊騎手が振り返った通り「いいポジション、いい形」の追走といえただろう。
流れは緩まないまま、縦長の馬群がコーナーを駆け抜けて、さあ直線での追い比べが始まる。いち早く先頭に躍り出たアスクビクターモアを目標に、迫る後続各馬。中でもひときわ鮮やかな伸びを見せたのが、大外に持ち出されたドウデュースだった。
武騎手いわく「自信を持って4コーナーを回った。ゴーサインに対する反応も最高だった」。確かに、ドウデュースは素晴らしい瞬発力で内の馬たちを交わし去っていく。残り200mを切ったところで先頭に立つと、追いすがるイクイノックスをクビ差振り切ってのゴール。2分21秒9のレースレコードを叩き出しての勝利である。
昨年、朝日杯フューチュリティSを勝利して2歳王者の座を手にしたものの、今春は弥生賞ディープインパクト記念1番人気2着、皐月賞も1番人気3着と連敗を喫したドウデュース。その悔しさを晴らすとともに、世代トップの座を奪還したことになる。また武騎手は、日本ダービー6勝という前人未到の金字塔を打ち立てた。陣営が次の目標として掲げる凱旋門賞に、果たして歩を進めるのか、そこではどんな走りを披露してくれるのか。この黄金[[コンビ]の未来には、期待が募るばかりである。
第82回 桜花賞
馬群をこじ開けたスターズオンアースが待望の重賞初制覇!
場内の桜が満開から葉桜へと移行する中で迎えた桜花賞(GⅠ)。注目を浴びたのは、チューリップ賞を鋭く差し切ったナミュール、昨年の2歳女王サークルオブライフ、ファンタジーS勝ちの実績を持つウォーターナビレラ、クイーンCを制したプレサージュリフト、エルフィンS快勝のアルーリングウェイといった面々だ。
これら実績馬を粉砕してみせたのが、いまだ1勝馬の身のスターズオンアースだった。
一団となって進む馬群が4コーナーを回り切り、直線へと向かう。長い追い比べの始まりだ。ここまで隊列を引っ張ってきたカフジテトラゴンを交わし、2番手追走のウォーターナビレラが先頭へ。好位にいた報知杯フィリーズレビュー2着馬ナムラクレアが内から食い下がる。
後方待機組のナミュール、サークルオブライフ、プレサージュリフトらも外からスパート。しかし、前との差はなかなか詰まらない。ここで力強い末脚を繰り出したのがスターズオンアースだ。
道中は中団馬群の真ん中で脚をためたスターズオンアース。鞍上の川田将雅騎手は「無理をせず、この馬のリズムを大切にしながらの追走。雰囲気は悪くなかった」と振り返る。ただ、直線では前が壁になる場面も。しかし川田騎手は「ポテンシャルは高い。上手く誘導してあげられれば」との思いで混戦の中へと突っ込んでいく。
眼前にいた2頭の間を割って抜け出したスターズオンアースは、粘るウォーターナビレラを急追し、最後の1完歩でハナ差捉えて先頭ゴールを果たしたのだった。
ここまでスターズオンアースは5戦して勝ち星は未勝利戦のみ。が、赤松賞はナミュールの3着、フェアリーSとクイーンCでは僅差2着と、どんな相手に対しても力を出し切り、善戦を続けてきた。その安定感に、今回は馬群を突き破る底力もプラスして、重賞初制覇を桜花賞という大舞台で成し遂げたのである。
第83回 オークス
またも末脚を炸裂させて、スターズオンアースが堂々の二冠達成!
桜花賞2番人気4着のサークルオブライフや1番人気10着のナミュールは巻き返しを誓っての参戦。あるいは忘れな草賞1着のアートハウス、フローラSを勝ったエリカヴィータ、フラワーCの勝ち馬スタニングローズなど別路線組もゲートに収まる。
これらを一蹴してみせたのがスターズオンアースだ。桜花賞で見せた鋭い末脚が、この優駿牝馬(オークス)(GⅠ)でも炸裂。堂々の二冠達成である。
レースはニシノラブウインクの逃げで開幕。アートハウスやスタニングローズは好位に構え、ナミュールや桜花賞2着のウォーターナビレラは中団を追走、サークルオブライフは最後方からの競馬となる。
スターズオンアースは、縦長となった馬群のちょうど真ん中あたりで折り合う。鞍上のクリストフ・ルメール騎手いわく「馬の状態はすごく良かったし、最初から冷静に走ってくれた」という落ち着いた道中だ。
勝負は直線の追い比べへ。粘るニシノラブウインクを、アートハウス、さらにはスタニングローズが交わしにかかり、内からはナミュール、馬群を割るように桜花賞5着のピンハイも伸びてくる。これらを外から飲み込んだのがスターズオンアースだ。近親に、やはりルメール騎手とのコンビでオークスを制したソウルスターリングがいる血統。「距離の心配はしていなかった」というルメール騎手の自信を体現するかのように、最後まで力強い末脚をスターズオンアースは繰り出す。最後はスタニングローズに1馬身4分の1差をつけてのゴールとなった。
“桜の女王”に続いて“樫の女王”の称号も手にしたスターズオンアースを「1600メートルでも2400メートルでも勝ったのだから、2000メートルも勝てる」とルメール騎手は称賛する。果たして牝馬三冠の偉業達成はなるのか。秋を楽しみに待ちたい。
第165回 天皇賞(春)
圧巻の逃げ切りでタイトルホルダーが盾獲りを果たす!
阪神大賞典を連覇し、昨年2着惜敗の雪辱に準備万端のディープボンドが1番人気に推された天皇賞(春)(GⅠ)。他にも、ステイヤーズSと阪神大賞典で連続2着のアイアンバローズ、4連勝でダイヤモンドSを制したテーオーロイヤル、日経賞僅差3着のヒートオンビート、万葉Sを差し切ったマカオンドールなど、スタミナ自慢たちが顔をそろえた。
これらを相手に、小細工なし、堂々の逃げ切り勝ちを決めたのが、日経賞1着をステップに臨む昨年の菊花賞馬タイトルホルダー。メンバー中唯一のGⅠウィナーである。
鞍上の横山和生騎手は、「返し馬で雰囲気の良さを感じた。折り合いの不安もない馬。しっかり出していこう」と、スタートしてすぐにタイトルホルダーを先頭へと導く。テーオーロイヤル、ディープボンド、アイアンバローズら多くの有力馬も好位をキープするが、タイトルホルダーもまた軽快。「この馬の力を信じて、邪魔しないよう、仲良く走ろう」という横山騎手と共に悠々ラップを刻み、後続を引き離していく。
向こう正面に差し掛かるあたりでは、「息を入れたいタイミングを、馬が自分でわかっているかのよう」という横山騎手の言葉通り、ややペースを落として2番手以下を引きつけたタイトルホルダー。そこで力をためて、3コーナー過ぎにはふたたびペースアップ、誰にも先頭を譲らないまま直線へ向かうこととなる。
そこからは圧巻のラストスパート。追いすがるテーオーロイヤルを突き放すと、さらに差を広げていく。最後は、さすがの底力で2着まで押し上げてきたディープボンドに7馬身の差をつけて、タイトルホルダーは完勝のゴールを飾ったのである。
菊花賞を逃げ切った弟・横山武史騎手から手綱を受け継ぎ、結果を出した兄・横山和生騎手。嬉しいGⅠ初制覇は“同じ馬での兄弟騎手GⅠ勝利”、さらに、祖父・横山富雄騎手、父・横山典弘騎手に続く“父子三代での天皇賞制覇”も成し遂げる、歴史的な勝利ともなったのだった。
第166回 天皇賞(秋)
ハイペースを鋭く差し切ったイクイノックスが待望のGⅠ初制覇!
フルゲートに満たない15頭で争われることとなった天皇賞(秋)(GⅠ)。だが個性あふれる、そして高い実力を備えた面々が集い、スリリングなレースが繰り広げられた。
白熱の一戦を鋭く差し切ったのは、1番人気の3歳馬イクイノックスだ。
まずスタンドを驚きで揺らしたのはパンサラッサ。ドバイターフを逃げ切ったスピードをここでも遺憾なく発揮し、後続を大きく引き離していく。そのパンサラッサを札幌記念で破ったジャックドールが好位に構え、直後には昨年の日本ダービーと今年のドバイシーマクラシックを制したシャフリヤール、さらには皐月賞馬ジオグリフが続く。イクイノックスは、共同通信杯勝ち馬ダノンベルーガを従える形で中団の外に控えていた。
パンサラッサは1000メートル通過57秒4という速いラップを刻んだ後もペースを落とさず、10馬身以上のリードを保ったまま直線へ。そこからは、逃げ切れるのか、それとも誰かが追いつくのか。渾身の追い比べとなった。
馬場の真ん中からジャックドール、内に潜り込んでダノンベルーガがそれぞれ追撃。が、これらを上回る末脚を披露したのがイクイノックスだ。
「パンサラッサがかなり前にいて心配になったけれど、反応良く加速してくれた」と鞍上のクリストフ・ルメール騎手。確かに、皐月賞、日本ダービーとも2着惜敗に終わった春の悔しさを晴らすかのようにイクイノックスは弾けた。“JRA平地GⅠで1番人気は16連敗中”という呪縛も突き破り、粘りに粘るパンサラッサを鮮やかに交わし去ると、1馬身の差をつけてゴールへ。「春はアンラッキーだったが、本当のイクイノックスを見せられた」とルメール騎手が語った通りの、待望のGⅠ初制覇である。
「初のGⅠだけれど最後のGⅠではない。もっと良くなる」と、ルメール騎手は愛馬の将来を確約する。イクイノックスには、瞬発力と成長力を武器にGⅠ戦線の中心的存在となってくれることを期待しよう。
第63回 宝塚記念
堂々の走りを披露したタイトルホルダーがレコードで優勝!
上半期を締めくくる大一番・宝塚記念(GⅠ)。多士済々の顔触れを相手に堂々の走りを披露したのはタイトルホルダーだ。ファン投票では史上最多となる19万1394票を獲得。その大きな期待に応える、見事な勝利だった。
タイトルホルダーの鞍上・横山和生騎手は「スタートの上手な馬なので『来るなら来い』という気持ちで出していった」と、まずは先手を主張する。が、ドバイターフ1着(同着)のパンサラッサがこれを交わし、1000メートル通過57秒6のハイペースを作り上げていく。
過去5勝全てが逃げ切りのタイトルホルダーにとっては望ましくない展開。激しい流れに対応しながら、前に離されず、好位につけた天皇賞(春)2着馬ディープボンド、中団にいる香港C2着のヒシイグアス、昨年の年度代表馬エフフォーリア、牝馬三冠のデアリングタクト、後方に構える大阪杯勝ち馬ポタジェらにも注意を払わなければならなかった。
ただし横山騎手は「この馬とのレースでは、リズムよく走れていることが大切」と、速いラップも相手も気にすることなく、自分の走りに徹するのだった。
ペースは緩まぬまま、最後の直線へ。満を持してパンサラッサに並びかけたタイトルホルダーは、一気に加速し、先頭を奪い返してゴールへと向かう。ディープボンド、ヒシイグアス、デアリングタクトらが追いすがるものの、これらを寄せ付けない力強いスパート。結局タイトルホルダーは2着ヒシイグアスに2馬身の差をつけて勝利を飾ることになる。
勝ちタイム2分09秒7はコースレコード。菊花賞、天皇賞(春)で示したスタミナに加え、スピード能力の高さもアピールしたといえるだろう。横山騎手の「このメンバーで、番手からのレースでも結果を出せた。成長している」という言葉にも納得するほかない、3つ目のGⅠ獲得劇であった。
第67回 有馬記念
またも末脚炸裂! イクイノックスが圧勝でグランプリを制す
各世代のトップホースが集結した有馬記念(GⅠ)。鮮やかに突き抜けたのは、天皇賞(秋)を鋭く差し切った1番人気の3歳馬イクイノックスだった。
レースはファン投票1位・タイトルホルダーの逃げで開幕した。好位には昨年2着のディープボンドや菊花賞3着のジャスティンパレスがつけ、その直後に連覇を狙うエフフォーリア。後方にはジャパンC覇者ヴェラアズール、エリザベス女王杯を差し切ったジェラルディーナ、菊花賞2着のボルドグフーシュが構える。
クリストフ・ルメール騎手が「いいスタートを切れた。ただ、途中で行きたがるところがあった」と振り返るイクイノックスは、中団の外で我慢の追走を続ける。そして、前へと急ぐ闘志と溜め込んだエネルギーは、この後、一気に解き放たれることとなる。
馬なりのまま4コーナーで前との差を詰めたイクイノックスは、粘るタイトルホルダーに迫るエフフォーリアに並びかけていく。そして直線、いざスパート。一瞬にして先頭へ躍り出ると、さらに後続を突き放す圧巻の末脚を披露する。大外から上がってきたボルドグフーシュが2着に入ったが、これに2馬身半差をつけての勝利。ゴール前でルメール騎手が後方を確認する余裕すら示したほどの走りで、GⅠ連勝を果たしたのである。
2005年ハーツクライ、2016年サトノダイヤモンドに続き、“クリスマスのグランプリ”で3勝目をマークしたルメール騎手は「二度あることは三度ある」と微笑む。さらに「春のクラシックではまだ大人ではなかったが、秋から強くなった。キタサンブラックの子だから、来年も楽しみ」とイクイノックスについて語る。
同世代の日本ダービー馬ドウデュース、菊花賞馬アスクビクターモアらとともに、2023年の古馬中長距離戦線を牽引してくれることを、イクイノックスには期待したい。