「仕掛け…?そんな物はない わしは真実を言っているだけ それで勝手に傷ついているのだ、身も心も!」
データ
概要
第六幕「悪口王」に登場。
キノコのような、大口を開けた獣のような姿を持つアヤカシ。妖怪『覚』伝承のルーツとされる存在である。
一人称は「ワシ」で二人称は「おまん」と古風な話し方で、長く伸びた赤い舌の様な刀身の「舌先三尺刀(したさきさんじゃくとう)」で武装している。
頭部や首周り、二の腕がキノコの傘のようになっており、特に頭部の意匠は伸びた菌糸のようにも見える。背後の三つ目と相手を嘲笑うような目つき、歯並びの悪い大きな口も特徴で、この口こそが能力の要となる。
その能力は一言で言えば「悪口攻撃」であり、相手が最も気にしている欠点に関する言葉を一目で見抜いて、それを本人に向かって言い当てて心理ダメージを負った相手を物理的に吹き飛ばしてしまう。しかも心理ダメージが大きい程に受ける物理的なダメージも大きくなってしまう。
傍から見ればコミカルな描写だが、実際は凄まじい衝撃で壁や地面等に叩きつけられているので、被害者が命に関わる程の重傷を負わされている事は容易に想像できるだろう。
見ず知らずの相手(それも得体の知れない怪物)に見透かされたかの如く、触れられたくない点を的確に言い当てられる事も恐ろしいのだが、放たれた悪口はまさしく「言葉の暴力」となって精神的にも物理的にも相手を傷つけるという意味でも極めて質が悪い。
何よりズボシメシ自身も、「相手がのた打ち回る様を見て快感を得る」悪辣な性格であり、言葉の暴力によって相手を弄んで喜ぶ、まさしく現世に仇なす外道である。
こうした能力と性格から、普段から外道衆の仲間内でも「一言多い」タイプとして敬遠されているようで、骨のシタリからも発言を極力制止させられるところから「口は災いの元」という言葉をこの上無く悪い意味で体現したアヤカシと言える。
弱点はその巨大な口そのもので、これを塞がれると当然ながら相手への悪口を言えなくなり、能力を封じられてしまう。また、悪口を言われても決して動じない屈強な精神があればその攻撃に耐える事もできるのだが、あくまで耐えているだけなので物理的なダメージ自体は蓄積される。
しかも本人は「自分の言葉を絶対」とする程に、アヤカシらしく自らの能力と実力に強いプライドを持っている為、万が一効かない相手が現れれば容赦なく罵詈雑言を浴びせかけて心をへし折ろうとする。
なおズボシメシはあくまで相手の言われたくない事を見抜いて言い当てているだけで、本当に心を読んでいる訳ではない。
その為、自身が見抜いた悪口の背景や何故相手がその言葉を気にしているのかという事までは分からず、心を読むキャラによくある「相手の心を読んで攻撃を予知する」といった能力も当然ながら無い。ここについては伝承の『覚』とは異なっているが、そんなことなど知らない人々にとっては心を読む化け物と錯覚しても仕方ないだろう。
劇中の活躍
三途の川から這い上がって来るや、ズボシメシは出迎えた骨のシタリに対し、再会の挨拶を言おうとして口を止められ、その上で「向こうで好きな事を言えば良い」として、川の増水の為に人間界へ行って人間を絶望させる様に命じられる。
斯くして現世に侵攻したズボシメシは作業員を「デブ」、警察官を「フラれ男」、女性を「厚化粧」、サラリーマンを「スケベ」、OL3人を「プチ整形」、眼鏡の学生を「存在感ゼロ」、フリーターを「穀潰し」、カップルを「二股同士」と、各人が気にしている事を言い放ちその心身を傷付けていく。
駆けつけたシンケンジャーに対してもシンケングリーン=谷千明を「落ちこぼれ」、シンケンブルー=池波流ノ介を「ファザコン」、シンケンピンク=白石茉子を「一生独身」とそれぞれの悪口を言い放ち、更にはシンケンレッド=志葉丈瑠をも「嘘つき、大嘘つき」と連続で罵倒して蹴散らしてしまう。
ズボシメシの言葉をデタラメだと返して向かって来るシンケンイエロー=花織ことはだが、ズボシメシは「デタラメなら平気のはずだ。傷つくのは図星の証拠!自分で試してみろ!」と返し、そのまま「お前は・・・ドジ!」と言い放って吹き飛ばそうとしたが、ことはは吹き飛ばずにそのまま自身にシンケンマルを振り下ろしてきた。吹き飛ぶと高を括っていたズボシメシはそのままダメージを負ってしまう。
「何ィ・・・そんなはずは!?」と混乱するズボシメシだったが、今度は距離を詰めて「ドジ」、「アホ」、「間抜け」、「ドン臭女」と罵倒するもまるで通じず、逆にランドスライサーを喰らって大ダメージを受けた上に、更に水切れの為に撤退を余儀なくされる。
撤退後、ズボシメシは六門船で薄皮太夫に何か悪口を言って吹っ飛ばし、自身の能力が正常なのを確認(当然太夫は怒ったがドウコクによって制止されてしまう)。三途の川の水が順調に増えているとして、ドウコクから引き続き人間を傷付ける様に命じられると、自身の能力が効かないイエローへの敵愾心と共に再び現世へ侵攻する。
「わしもこのままじゃ気持ちが悪い。どんな奴も、わしの言葉でたっぷり傷付いてもらわんとな!」
やがて、侵攻先の進秀予備校にて、予備校生達を「不合格」と罵って吹っ飛ばし、自身の能力に問題が無い事を再確認した直後、現れたシンケンジャーを「また自分の真実の姿を教えてやろうか?」と挑発するも、侍としての平常心を保つ事で悪口攻撃を凌ごうとする五人に対し、いの一番に流ノ介を「マザコン!」と罵り吹き飛ばす。
そして「おまん等は引っ込んでろ!用があるのは黄色いの!おまんだけだ!」と、自身の対戦相手にことはを名指しで指名。
他の四人がナナシ連中と乱戦になる中、ことはに対して「アホ!」「バカ!」「マヌケ!」と能力で読み取った悪口を次々と浴びせ掛ける。だがことはは屈することなく「うちには効かへん!」と返して袈裟斬りを食らわせる。
しかし、ズボシメシはすぐさま起き上がると「わしの言葉は絶対だ!必ずおまんを言葉で倒す!」と「いじめられっ子!」と悪口攻撃を続けるが、ことはは「うちは平気や!」と叫びつつまたズボシメシを斬る。
後退しつつも「このっ・・・鈍感女!」と罵り、最後に「姉ちゃんの補欠!」と言い放つと、流石にことはは一瞬怯んでダメージを受ける……かに思えた矢先、千明がウッドスピアで援護し、木ノ葉隠しで撹乱。
何とか踏み止まったことはは「石」のモヂカラを発動し、対するズボシメシは「落ちこぼれ」と言い掛けた所で口を無数の小石で塞がれてしまう。
そしてことはは、
「言葉で人を傷つけるなんて、あんたみたいなん、最低や!」
と怒りの叫びをぶつけ、シンケンマル・土の字斬りでズボシメシを一閃。
そこにトドメの兜五輪弾が炸裂して倒された。
その直後、「おのれシンケンジャー!わしに二の目を使わせるとは!」と叫んで二の目となって巨大化したズボシメシは、シンケンオーを背中の3つ目からの光線で攻撃し、「舌先三尺刀」で斬り掛かる。しかし、直後にシンケンオーから分離し、そのまま蹴り飛ばされたエンブレム形態の猿折神の直撃に怯んだ所へ、カブトシンケンオーのビームと連続斬りで畳み掛けられた末、兜大回転砲を止めの一撃に喰らって爆散した。
戦いの後、ことはは蓄積されたダメージが限界点を超えた為、気絶してしまう。
気丈に「うちは平気や!」と振る舞っていた彼女だが、強靭な精神力で無自覚に抑え込んでいただけであり、実際はしっかりとダメージは受けて蓄積されていたのだった。
余談
- モチーフ
キノコと狸で、名前の由来はそのまま図星+示し。
名前の語感はキノコモチーフという事でシメジ、「心を読む」から「考え」の敬語表現である「思し召し」ともかけているのだろう。
ちなみに狐や狼など他のイヌ科モチーフはしばしば出てくるが、狸がモチーフの戦隊怪人は結構少数派で、90年の『地球戦隊ファイブマン』のタヌキツネギン以来実に19年ぶりである。
- 妖怪伝説のルーツ
現代の伝承では『覚』はどこからともなく現れて相手の心の内を読む化け物らしく、シンケンジャー世界においてはズボシメシの悪口攻撃がそのルーツとされている。ただし、前述した通りズボシメシはあくまで相手の言われたくない事を見抜けるだけ。この辺りはズボシメシの悪口攻撃を見た当時の人が、心を読む能力だと勘違いして伝聞したのだろう。
獣人のようだと表される覚の姿もズボシメシの姿に由来すると思われる。
- 中の人ネタ
声を演じた二又氏は昨年の『炎神戦隊ゴーオンジャー』でもスピーカーバンキというGP-06に登場する怪人の声を担当した。こちらの敵組織も異次元からの侵略者である点が共通している。
- 実は伏線だった「嘘つき」
ズボシメシは丈瑠に向けて「嘘つき」と言い放ったが、これは終盤になって志葉家全体の秘密に関わる重大な伏線だった事が明らかとなった。ズボシメシは第六幕に登場したのだが、こんな序盤から終盤の展開に関わる大きな伏線がしっかりと張られていたのである。
しかもこの「嘘つき」という伏線の秀逸な点としては、前回兜折神が初登場した際に丈瑠は「自身に使いこなせるのか」という不安を抱きつつも殿(当主)という立場から虚勢を張って、隠れて一人で修業をしていた為、この時点では誰もがズボシメシの「嘘つき」呼ばわりはそうした態度を指しているのだと思っていたのである。事実、視聴者に限らずこの回の監督を務めた竹本昇も、丈瑠を演じた松坂桃李に問われた際に「家臣に内緒で鍛錬したりしてるからなんじゃないの?」と答えていたらしい。
海外版での名前はネガトロン。決して一字違いのデストロンの破壊大帝の方ではない。
海外においても彼の悪口はキレッキレであり、
作業員→「まるで生ゴミ処理機だな!豚みたいにフゴフゴ食いやがってさ!」
郵便配達員→「切手にまで舐められてないか?なんたって犬だけじゃなく、猫までも怖いってお前くらいだもんな!」
化粧中の女性→「素敵なメイクだな。ピエロみたいだぞ!」
バルクとスパイク→「サムライ志願者か?冗談もほどほどにな!」
談笑中のOL→「お昼を食べながら噂話の時間か?ペラペラうるさい!どうせ嘘ばっかだろ?」
運転が荒い男性→「おーい迷惑だぞ!ろくに前も見えてないだろ!」「車の停め方を知ってるか?教えてやるよ!」「駐禁は取らないでおいてやるよ!さっさと失せろ老眼ジジイ!」
グリーンレンジャー(マイク)→「10歳まで補助付き自転車に乗ってただろ?」
ブルーレンジャー(ケビン)→「お前って退屈すぎ!」「メンターのペットが!」
ピンクレンジャー(ミア)→「料理下手!」
レッドレンジャー(ジェイデン)→「お前とんでもない嘘つき野郎じゃないか!秘密を持ってるなんて!」
ダユウ→「お前胡散臭いんだよ!」
買い物中の女性たち→「なーにが(お金を)貯めなきゃだ!お前達みたいのはどうせ店ごと買い取っても満足しないんだろ!?」
とブラックジョーク混じりになっている。
また、ジェイデンに対して言った悪口も本家同様伏線となっている。
関連タグ
侍戦隊シンケンジャー 外道衆 アヤカシ(シンケンジャー) さとり 覚
口は災いの元:ズボシメシの為に存在すると言っても過言ではない言葉。
サトリ(魔化魍):『仮面ライダー響鬼』に登場する、覚繋がりのライダー怪人
タイジュウケイグルマー:15年後の戦隊に登場する彼と似たような行為を行った戦隊怪人。