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アエロフロート821便墜落事故

おれだってできない

アエロフロート821便墜落事故(これは日本で報道された時の便名の名義によるもので、実際に運航していた会社を示すアエロフロート・ノルド821便墜落事故と表記されることもある)とは、ロシアの航空会社であるアエロフロート・ノルドで運営されていたB737がシベリア鉄道の線路に墜落した事故である。調べてみたところツッコミどころ満載の事実が明らかとなった。
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事故概要編集

※アエロフロート・ノルドはアエロフロートの子会社であった。親会社がエアバス系で運航しているのに対し、こちらはボーイング系(B737)でやり繰りをしていた。

発生日時2008年9月14日 AM5時
発生場所ロシア ペルミ
機材B737
乗員6名
乗客82名
犠牲者88名(全員)


迷走そして破滅編集

モスクワを飛び立ちペルミ国際空港に向かっていた821便は、ペルミに近付いたところで挙動がおかしくなり始めた。滑走路に向けて降下するべき時に上昇した上に、管制指示に従わないなどの迷走を始める。不審に思った管制官は「821便、乗員は大丈夫ですか?」と問いただし機長は「大丈夫だ」と応答したが、挙動はさらにおかしくなり右に方向を向けるはずが何故か左に向かい進入コースから外れだし、管制の方向指示にも応答出来なくなる。傍から見ると混乱しているようにしか見えなかったであろう。


そうこうするうちに機体は突然大きく左に傾きバレルロールしながら急降下。そのまま成す術なくシベリア鉄道線路に突っ込んで大破し燃料に引火して炎上した。勿論搭乗していた者は全員死亡した。



鉄道修理&オールスターな調査編集

シベリア鉄道はロシアのインフラでも最も重要度が高い交通網のため、ロシア当局は残骸が散乱した現場復旧に全力を尽くし同日夕方に復旧された。


事故調査は会社所在地であるロシアのIACに加え、機材がB737であったことから米国のNTSB、エンジンの関係上からフランスのBEA、さらにはイギリスのAAIBも携わることとなった。

鉄道修理作業と並行する形で行われた初期調査により残骸の端は事故現場で全部見付かったことからテロ&爆弾による空中分解説は真っ先に除外される。

事故機を担当した管制官に事情聴取をするも「小雨は降っていたけど視程は十分あった。なのに821便は迷走するばかりで、指摘しても大丈夫だと一点張りの主張を口にしながら思いっきりふらふらしていた。最後には応答すらしなくなった。訳が分かりませんでした」と困惑するばかり。

”B737が方向のコントロールが効かずに傾いて墜落した”という経過を耳にしたNTSBは、1990年代にB737に立て続けに起こった方向舵不都合と関連があるのではと疑った。しかし、回収された残骸の調査から方向舵は改良された部品に更新されていたことが判明、この路線も消えた。


ところが、会社に保管されていた資料を調査したところ、当機は左右のエンジン推力が不均衡で右の方がより大きめの推力を出す状態であったことが分かった。そのため、操縦難易度は少々上がっていたのである。だが、これはB737訓練を十分に受けたパイロットであれば問題なくカバー出来る範疇のハズであった。


管制に落ち度はなく、天候や視程も問題ない。機体には若干不都合があったが普通に訓練を積んだパイロットなら問題なく操縦出来たはずであった。とすれば、調査の焦点は必然的にパイロットに当てられる。


何故組ませた編集

そこで、資料を取り寄せてパイロットの経歴を調べたところ、調査官が呆れるような実態が明らかとなる。


機長は34歳で総飛行時間が3,689時間(そのうち夜間飛行は1,400時間)。副操縦士は43歳で総飛行時間は8,713時間であった。こう聞くと、確かに経験豊富なパイロットに見える。


しかし、機長は機長としての総飛行時間は452時間と少なく(452時間は民間航空の操縦士としては1年間の飛行時間にも満たない)、実質的に機長としては初心者に等しかった。その上、機長の総飛行時間は2/3がTu-134リア・エンジン形式)で占められており、B737での飛行経験は1,200時間にも届いていなかった。また、機長の英語能力は限られており、英語で実施されたB737のシミュレーター訓練(飛行手順・フライトコンピュータとのやり取り含む)や英語で記載された技術マニュアルの内容の理解・習熟が不十分であった。さらに、機長はB737訓練証明を終えた直後に従来のTu-134の乗務に戻っており、B737の乗務を実際に開始したのは訓練証明終了から約4ヶ月後であったため、訓練内容を失念していた可能性が指摘されている。


では副操縦士の方はというと、こちらも総飛行時間のほとんど(7,000時間以上)がAn-2レシプロの小型複葉機)占められており、B737での総飛行時間は219時間しかなかった。An-2は有視界飛行しか出来ない旧式機種で、副操縦士がB737に機種転換する場合は計器飛行を初めとする諸技能を1から学び直す必要があった。当然、B737の操縦はシミュレーター訓練時点で四苦八苦しており、特にエンジン推力が不均衡な場合における操縦が苦手であった。


つまり、両者共に総飛行時間のほとんどが双発式ジェット旅客機であるB737とは仕様が全く異なる機種によるもので、事故機パイロットは2人共にB737の操縦には不慣れであった(Tu-134とAn-2は双方共に旧ソ連産航空機であるが、これは後述する通り別の点でもまずかった)。州航空監察局のゲンナジー・クルツェンコフ局長によれば、パイロットが会社に提出した必要研修の修了証書は偽造されていた。要するに、会社側の不手際で当機は実質的な新人コンビによる運航となってしまっていたのである。


そこで復元されたCVRを聴いてみると、何故かフライトが平常運転の頃は副操縦士が悪戦苦闘しながら操縦しているのを機長が横柄な態度で手出しせず監視していたことが明らかになる。”何故機長が操縦しようとしないのか?”と調査官が訝しむうちに、副操縦士が苦手な推力不均衡での操縦に失敗したためオートパイロットが機能停止して機体が迷走し始める。その後20秒程双方共に操縦していなかったことがフライトデータから判明。空港周辺でフラフラしていたのはこのためであった。


そして、副操縦士は操縦が自分の手に負えなくなったことで「代わって!代わって下さい!」と操縦交代と状況打破を懇願するが、それを受けた機長は何を!?俺だって出来ない!と絶叫し、機長責務を放棄しようとした。


その後、何だかんだで操縦交代はされたようであるが、機長はADI(姿勢指示器)見間違いと思える空間失調症を起こして操縦桿を切る方向を間違えてしまい(副操縦士は間違いに気付いて「そっちじゃない!逆向きだ!」と叫んでいる)、機体は大きくバランスを崩し破滅を招いてしまった。B737のような西側諸国の姿勢指示器は「飛行機を示す中央のしるしが固定され、地平線を示すしるしが傾く」仕様なのだが、旧ソ連仕様の姿勢指示器はその逆で「地平線を示すしるしが固定され、中央の飛行機を示すしるしが傾く」仕様であり、機種変換が不十分な操縦士にとって混同しやすかったのである。実は10年程前にもクロスエアが雇用した東側のパイロットが、姿勢指示器習熟の不十分さが原因と思われる墜落事故を引起こしている。


調べれば調べる程ダメダメな機長編集

コックピットでのゴタゴタによるCRM(クルーリソースマネジメント)の貧弱さを発見した調査官達が乗員達の精神状態を把握するべく声を分析すると、副操縦士は未熟なりに責務を全うしようとする姿勢が感じられたが、機長は終始強度のストレスを抱えている様子が見受けられた。


そこへ、AAIB側から思わぬ情報がもたらされる。821便に乗って犠牲になった乗客がイギリスの友人に宛てて「もう直ぐ離陸するんだけど、機長が酔っ払ってるみたいで怖い……」というメッセージを送信していたというのである。


そのため、CVRの時間を少々巻き戻して機長のアナウンスを調べたところ、調査官が唖然とする様な記録が残されていた。以下は番組内で翻訳された内容である。


「こんばんわ……ああ、おはようございます。こちらは機長です。当機はあと20時間でペルミに到着する予定です……ああ、20分で。現地時刻は午後……午前4:50。気温は7度です。」


飛行時間を時間単位で間違えたり午前と午後を言い間違えたりと混乱の極みで、明らかに呂律が回っていない様子であった。確認を取るために残された機長の遺体を調べたところ、やはりアルコールが検出された。文字通りの意味で飲んでいたのである。


つまり、821便のロディオン・メドベージェフ機長は”訓練不十分”&”体調管理の失敗”&”怠慢”&”無責任”とあのルッツがまだマシに見える程のダメパイロットであった。副操縦士は書類や調査の不手際で技術は未熟な状態で雇用されていたものの、彼の方は機長がまともならまだ機能出来る可能性はあった。


これには解説員のボブ・ベンゾンも「これ程多方面に渡る不祥事を航空会社が見過ごしたか容認して来たとは……」と呆れ返っていた。


メーデー民の反応編集

最終的な要因としては姿勢指示器誤認識による空間識失調と、既に過去の放映事例の多くを踏襲するものであったことなどからか、メーデー民からは「数え役満」「メーデー欲張りセット」などと揶揄されている。また、調査官・ナレーター共に毒舌が光る回でもある。


この後編集

”余りにもロシアのパイロット管理が酷過ぎた”という結論に達した事故調査委員達はロシアに対し航空システムの抜本的な見直しが勧告された。


アエロフロート・ノルドの方はというと3年後に売却、以降はノルダヴィア>スマータヴィアと名称を変更しながら現在も航空機を運航している。


関連タグ編集

航空事故

メーデー!航空機事故の真実と真相

無能回

おそロシア

フィクションじゃないのかよ!騙された!←用語等はこちらに

トランスアジア航空235便墜落事故:事故の原因等は関連はないのだが、メーデー!総集編にあたる惨劇の全貌3」のCMではトランスアジア航空235便墜落事故の調査官が「正気じゃない」と呟いた直後にその台詞の字幕を残したまま本事故の機長の引きつった顔が映る。実際酔っ払ってたのでこの台詞が綺麗に当てはまっており、編集の妙と言って差し支えないだろう。

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