イルシオン王国
いるしおんおうこく
エレオス大陸の四大国家の一つであり、大陸の北東に位置する。
寒冷な山岳地域を領有しており、知識と叡智を追求する宗教魔道国家。現在の国王は「賢王」と称されるハイアシンス。
『草原の公女の指輪』が託されており、ハイアシンスの気に入りの指輪として私室に置かれているそうだ。
(リンの祖父キアラン領領主ハウゼンは弟のラングレンがその地位を狙っていたのに対して、ハイアシンスは謀殺の類は一切行わずに兄から王の座を手に入れたという真逆の立ち位置で、リンの視点ではラングレンと同じ立場にあったハイアシンスをどこか複雑な思いで気に掛けたのかもしれない)
西隣のブロディア王国とは長年敵対しておりたびたび衝突している。過去に度々ブロディア王国から侵略を受けている面もあり、ブロディアとの関係に限ってはイルシオンが悪いとは一概に言えない。
近年、邪竜信仰に傾倒していて怪しい動きがあり、邪竜に仕える四狗と手を組み指輪を奪うべく他国へ攻め込み、リュール率いる神竜軍とたびたび対峙することとなる。
イルシオン所属の人物は主に「植物」から名前をとられている。
ストーリーの進行上、加入前に主人公の敵として現れることから相手に依存する個人スキルを持つものが多い。
またイルシオン出身のアンナやオルテンシアは前者は外伝、後者はストーリー中盤と活躍する機会が限られやすいにも拘わらず、金策や異界の試練等クリア後のやり込み要素で活躍するスキルを持つため、本作品をやり込んでいるプレイヤーの神竜戦歴カードには出撃数上位に入り込んでいるケースが多い。
冬が長く、雪が降り積もっていることが多い。
温泉があり、ゴルドマリーの実家のようなペンションもある。
工芸技術が発達している。ガラス細工なども古くから発達しており、王城の装飾にも用いられている。また、メガネはイルシオン発祥と言われている。
漁業もある程度発展しているのか、ラバナトラウトの養殖も行われている。
イルシオンでは、出身や家柄に関係なく一定の年齢になると学園に通う。アイビー、オルテンシア、ロサード、ゴルドマリーはかつて同じ学園に通っていた。リンデンは国内の学園を首席で卒業している。オルテンシアが飛び級して上級クラスに入ったこともある。
ゴルドマリーが「故郷を離れて学園に入らないといけない」と言っていることから、余程のことがない限りは全員が通うのだろう。
王族の臣下は国王が任命する制度。なお、カゲツはソルム出身の貴族ながらハイアシンスにその腕を認められてアイビーの臣下となっている。
また、いくつかの建物・地域の名称が存在する。
- 『デスタン大教会』は邪竜信仰の教会で、儀式のためハイアシンスらが入り、それを阻止するためフィレネ・ブロディア連合軍が突入し戦闘となる。
- 『ジーヴル港』はストーリー19章「死の港町」の戦場。大きな船が停泊しており、かつては活気ある港だった。
- 『森の町』はゼルコバの出身地。
- 神秘の湖の傍にある『妖精の村』の人間は、大体見た目が儚げで中性的であるらしい。人々は見た目で性別を判断せず、かわいい男の子もかっこいい女の子もいる。また、何をしても容姿が変わらず美しいままである。ロサードはこの村の出身。
- 『冬祭りの里』はイルシオンの秘境に位置し、一年中お祭りをしている。里に住む一族は皆行商人。アンナがこの里の出身で、同じ顔と名前の姉妹が大勢いる。
- 『知識の塔』という書庫がある。リンデンはこの塔近辺の村出身。
- シロピョンウサギ
- ピョンウサギ
- ヒガシニャッコ
- ニシニャッコ
- キタニャッコ
- イルシオンニャコ
イルシオンにのみ生息するニャッコ。足や顔、耳や尻尾だけ黒い毛並みが特徴。
- エレオスハットー
- エレオスカモメン
- アイリスフクロー
主にイルシオンに多く生息するフクロー。大きな羽根で体温を守り、寒い中でも力強く、なかなかに速い飛行を見せる。
- リザーズトナカイ
イルシオンにのみ生息する珍しい動物。森の奥深くで多く見られ、その角を用いた薬は万病に効くと言われている。
「神竜勢と邪竜勢の対立」はシリーズ第1作『暗黒竜』以来のテーマだが、以前に人間が神竜側と邪竜側に分かれて対立した『覚醒』までと比べると、イルシオンは神竜側を絶対的には否定していない様子が覗える。
今までの「邪竜勢」は、神竜勢とされる側から絶対的な弾圧を受けた過去などが要因となっていて、おいそれと相手側の軍門に下ることができない(降伏しても虐殺されたりなどする、と刷り込みレベルで思いこんでいる)。『暗黒竜』・『紋章の謎』のグラ王国や、『聖戦の系譜』のアルヴィス・イシュタルが象徴的。
一方、イルシオンはブロディア王国の侵略を受けているため弾圧を受けていないとは言えないが、そもそも繁栄していた国家であり、「話が通じない」相手ではない。そのため、自国に益がないとなれば、寝返りが相次ぐのは当たり前のことである。
イルシオン兵も異形兵を戦力として扱いつつも当初はハイアシンスの命令で動いていたに過ぎず、元から悪辣な集団だった訳ではない。
邪竜勢によってハイアシンスを亡き者にされて以降は、リンデンのように生きるために仕方なくソンブルに従っていた者もいたようだ。
しかし、四狗が現れてから第17章のハイアシンスが異形兵として蘇ったことを考慮すると、自分達への反逆の芽を摘む意味で徐々に元からいた兵を排除して(肩書がイルシオン兵の)精巧な異形兵と入れ替えており、この結果王族であるアイビーやオルテンシアを襲うことに一切の躊躇がないようになっているとも考えられる。第20章の時点でそれらが顕著に現れている(戦闘終了後のイルシオン城の散策ではアイビー達を歓迎する存命の王城兵の姿が存在しない)。
上記の通り、イルシオンには会話可能な民や兵士が登場しないが、ゴルドマリーの両親が健在であることやアンナがエンディングで家族と再会できているなど、イルシオン全ての民が虐殺された訳ではない。コミカライズ版では、実際に生きているイルシオンの民が登場した。
異世界のイルシオン王国は大陸の北西に位置する。ハイアシンスが既に故人であり、現在はアイビーが国王となっている。
所有する紋章士は「蒼の参謀の腕輪」のセネリオ。アイビーがハイアシンス先王や他の妾の子を贄にしていたように、目的のためならいかな手段も厭わない、ということか。
本編世界のデスタン大教会がある場所付近に「ハサード大教会」が存在しており、そこでアイビーが邪竜復活の儀式を行おうとしていた。その警備にほとんどの兵力を充てて、ブロディアとの国境が手薄になっていた。
ブロディアとの国境付近の村に住む少年ロータスが登場。彼は貧しさのために学園に通えず、病気の母と二人で暮らしている。
「ブロディアは悪者」だと教わっているため最初は敵対心むき出しだが、実際にブロディア軍と交流することで考えが変わっていく様子が描かれた。