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概要編集

自家用車を保有せず、複数人で一台、もしくは使用者数より少ない複数台の車を共同使用することで、維持費や保険料を分担し、節約する方法。もしくはそのシステムのこと。

カーシェアの用に供される車はシェアカーと呼ばれる。


日本では会員制レンタカーの一形態と見做され、シェアカーには「わナンバー」もしくは「れナンバー」が払い出される。


歴史編集

勃興編集

発祥の地はヘルベチア連邦ツェルマット市であると言われている。

高山地域に位置する同市においては、空気が薄くなるために大気汚染が深刻化しやすく、1960年代後半より、村で製造された電気自動車か馬車のみ走れる(しかも台数制限あり)と言う法律が制定されたため、排気ガスを出す自動車は緊急車両などの特例を除いは市街への立ち入りを禁止してきた。そのため、市民は自宅から遠く離れた郊外のテーシュ村にある共同駐車場に自家用車を止め置くことを強いられていたため、自家用車を利用するために電車に乗って駐車場まで移動しなければならず、自家用車の利用頻度が著しく低くならざるを得なかった

このため、市民の自家用車はその大半が遊休化し、利用頻度に対して税金や保険料が見合わないものとなってしまった。

この問題を解決するために、ツェルマット市民は一台の車を複数人で共有し、車の稼働率を上げることで税金や保険料を利用回数で折半する方法を思いついた。これがカーシェアの誕生である。

やがて、カーシェアへ参加する市民が増えることでダブルブッキングなどの問題や、事故時の保険等級の問題といった懸念事項が生じ、この問題を解決するために利用者らが法人を設立し、法人が複数のシェアカーを保有して、利用者らは都度法人に利用料金を支払ってシェアカーを利用する方式が定着、周辺の他の都市にも急速に広まっていった。


日本では編集

さて、日本の事例であるが独自の車検制度や、[[[商用車]]以外には軽自動車と言えど、自動車重量税や燃料税など、消費税との二重課税で悪名高い「自動車関連税」により、自家用車を保有するコストがただでさえ高い日本においては、若年層を中心に車を持たずペーパードライバーや都度レンタカーを利用する市民が一定数存在した。特に首都圏京阪神においては公共輸送期間が発達していることもあって自家用車を保有する意義は薄く、また駐車場代が自家用車を保有するメリットにあまりにも見合わない高額なものとなりがちであったことから、この傾向が特に顕著であった。

しかし、逆にこれらのコストの問題さえ解決してしまえば自家用車を保有する利便性を享受したいと考えている市民も一定数存在することが予見され、このコストの低減方法としてカーシェアに可能性を見出したのが、「オリックスレンタカー」や「パーク24」といった、大手レンタカー事業者や駐車場業者であった。


両社は2000年代後半に入り、それぞれ「プチレンタ(のちのオリックスカーシェア)」「カーシェア24(住友系列のマツダレンタカーを買収→のちのタイムズカー)」の商標を利用し、保有するレンタカーに専用の会員カードで開施錠可能な改造を施した上で、各地のコインパーキングに車を駐車し、事前にインターネットで利用登録した会員に無人で車両の貸与を行う事業を開始した。


国内での現状編集

時は流れ2022年現在、「オリックスカーシェア」「タイムズカー」「三井のカーシェアリング(旧カレコ)」の3社による独占状態となっている。このほかにトヨタホンダ日産の3社によるメーカー系のサービスも存在するが、系列のディーラーやレンタカー店舗への併設が大半であり、ステーション数も少なく、事実上試乗車の有料化といった性格のものである。また、特定地域のみに根ざした独自の事業者も存在し、これらは市町村役場の公用車を稼働しない土休日に市民に貸し出すものが多い。


中でも最大手であるタイムズカーはカーシェア24を発展させたサービスであり、元々多い駐車場スペースを利用して全国47都道府県全てを網羅し、約17400箇所のステーション・約39500台の車両を擁する、特に利便性の高いサービスとなっている。一方、その利便性ゆえに会員数が320万人とあまりにも増えたため、特に土休日や大型連休を中心に予約を取れない事態が常態化しており、都市部の会員は他のカーシェアサービスと併用している現状がある。

現在、タイムズカーレンタルは残存するレンタカー店舗を順次閉店させ、カーシェアステーションに作り替える「店舗形態変更」を行うことで、この問題の解決を図っているが、正直追いついていないと言っていい。なお源流がマツダ系列であったためほとんどデミオしかないという面白みに欠けるサービスであったが、最近はトヨタ・日産を中心に車種も他の追随を許さないレベルに増えている(が、地域によっては実質ソリオヤリスノートの二択になってしまう)。駐車場内にステーションがある場合に使うサンバイザーにあるパスカードを取ると流れるメロディICの「かっこうワルツの曲」は(電池切れ近くになると音程がヒドくなる事で)おなじみ。


比較的後発である三井のカーシェアリングは、他社よりは「セレブ」「高級」路線を追求することでサービスの差別化を図っており、独自路線での集客に力を入れている。SUV外車を中心にラインナップすることで、特にタワマン系のミセスをターゲットとするべく、世田谷区武蔵小杉といったセレブ地域にステーションを集中配備している。2024年からは「三井の〇〇」のように三井系列である事を強調する為にカレコから名称を変更。最近はアウトドアゆるキャン△ブームに乗っかって車中泊仕様の車両の配備にも積極的である。


最先発のやや影が薄いオリックスカーシェアは、月額会員料金を無料とする代わりに利用料金を増額するサービスを複数提供しており、とりわけ都市部でタイムズカーで予約できなかった難民の受け皿として、コバンザメの若く強かに生き残っているが、大手3社の中ではステーション数が減少傾向にある。


車種編集

維持費の安い軽自動車は自家用車として保有してもそれほどコストがかからないこともあって、カーシェアに導入する意義は薄く、周辺の道路環境が特に悪いような場所を除いてほとんど見られない。基本的にはヤリスクラスのA、Bセグメントのコンパクトカーが主流となる。

特に人気なのがルーミーソリオなどの、後部スライドドアを装備した5人乗りミニバンである。このことは主に子育て中の世代の利用が多いことを示唆しており、必ずしも車を持てない貧乏人のためのサービスではないことの証左でもある。

社用車の代わりとしての利用も多く、商用車のラインナップも増えている。土休日の空車率が高いため、特に車種には拘らないという利用者には穴場でもある。


環境問題との関係編集

一般にカーシェアは自家用車に比べて環境負荷が小さいと言われる。走行に伴って排出される二酸化炭素量や窒素酸化物量は自家用車と変わらないものの、一台の車を複数人で使用することにより、製造時に排出される単位利用者あたりの温室効果ガスが削減されるため。

また、その性質上鉄道BRTの駅近くにステーションを設置することにより、パークアンドライドを促す効果がある。これは、利用者は個人の所有する自家用車で鉄道駅へ向かい、鉄道駅に車を停め置いて、列車で長距離移動し、目的地の最寄駅でシェアカーに乗り換えて目的地へ向かうという使い方ができるため、公共交通の不便な拠点同士の移動であっても、わざわざ全区間を自家用車で遠距離移動する必要がなくなるため。このことにより、幹線道路の渋滞の緩和につながり、エネルギー効率の良い高速ギアで順行できる車が増えるほか、沿道の環境改善にも役立つ。

加えて、「利用後は元のステーションの指定された位置に車を戻す」「あまり長距離を移動しない」傾向の強いシェアカーは、自家用車やレンタカーに比べ電気自動車との相性が非常によく、車の電動化にもつながる。


宿泊施設としての利用編集

近年、カーシェアリングは終電を逃した際の宿泊場所としても利用されており、これに合わせて各社「ナイトパック」(夜間帯の時間定額利用出来るサービス。ただし最初からキロあたり十数円の距離制料金が掛かる)を用意している。


これは、電車で寝過ごして終着駅周辺にネットカフェも何もない場合の救済措置の側面がある。


カーシェアリングにおける問題編集

しかし、利用客が爆発的に増大しカーシェアリングが一大産業になるにつれて問題が生じて来た。それが交通マナー等の問題である。


ことカーシェアリングにおいては、常日頃から車に乗っていないサンデードライバー率が高い事から、運転マナーや交通の流れを知らない者も多かったり、駐車に手間取ったりと不慣れな人も多いのだ。


その結果、駐車場内での事故や急な車線変更による事故が多発し、中にはアクセルとブレーキの踏み間違えなどのなんともな事故が相次いでいる。


そして近年においてはマナーの悪い層の増加も著しく、スピード大幅超過やら交通違反、ペットの同乗やお菓子の食べカスやらをシートに散らかしたりゴミを置いていくと言うのはまだマシな方。ヒドいのになるとどこかに擦ってそのまま返す、果ては事故を起こして無申告で返却と言うとんだバカまで出る始末である。

おまけにこの類のシェアカーは例外なく、事業者の宣伝を兼ねて後部ハッチに事業者のロゴステッカーをデカデカと貼っているために第三者がすぐに「あ、カーシェアやんけwwww」と気づくこともあって(最も台数の多いタイムズカーのロゴは末期色なので尚更目立つ)、こういった迷惑行為や事故はすぐにSNSに晒されてしまうのだ。

こうして晒された事故や迷惑行為は、毎年クソカーシェアオブザイヤーハッシュタグとともにまとめサイトに挙げられてしまうのが恒例となっており、なんとコミックマーケットで「カーシェアの闇」と題して写真集を出す猛者まで出て来る始末である。しかも地味にVol.2まであり、ヤバい利用者は如何にヤバいのかが窺い知れる。


無論、カーシェアリング業者各社においても近年対策を強化しており、強制退会条件なども厳しくなっている(例:タイムズカーシェアの場合)し、場合によってはノンオペレーションチャージどころではなく賠償請求交渉や車両修理費も自身でやらなければならないハメになる。

そして車両側にも対策が施され、返却証のメールにもあるようにリアルタイムで車速や急発進・急停止、最高速度も記録され、センサーによる衝撃感知など状況も把握している(逆に言えばこの対策が出来ない中小系カーシェアリング業者は早々に淘汰されたと言っても過言ではない)。ムリな運転はダメ、ゼッタイ。

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