クック(プリキュア)
くっく
※この記事は映画のネタバレを含みます。
CV:悠木碧
「映画キラキラ☆プリキュアアラモード_パリッと!想い出のミルフィーユ!」のゲストキャラクター。
キラ星シエルの師匠・ジャン=ピエール・ジルベルスタインと行動を共にするおばけの少女。つまり幽霊である。
といってもおどろおどろしい姿ではなく、三頭身の可愛らしい少女の姿をしている。身長は手のひらサイズ。幽霊なので足はないが自由に浮遊することができる。
おばけになってからは語尾に「クック」とつくようになっため、本作に出てくる妖精たちと似た感じがある。
彼女もまたパティシエであり(裏設定によるとフランス革命時代に生きていた妖精だったらしい)、生前に自分が書いたレシピの本に取り憑いていたが、ひょんなことからジャン=ピエールがその本を入手したことで彼につきまとうようになった。
見た目は愛らしいもののちょっとイジワルなところがあり、変わり者ジャン=ピエールの相方だけあって一癖も二癖もあるキャラクターとなっている。
ジャン=ピエールにつきまとう小生意気なマスコットキャラという位置付け。
クックは生前に自分が書いたレシピ本に取り付いていた亡霊だが、ずっとその本に記した「究極のスイーツ」を自分に代わって作ってくれるパティシエを待ち続けていた。(クック自身は長老と同じく物理的な実体がないためスイーツを作ることができない)
ジャン=ピエールがレシピ本を手に入れたのはたまたまだが、彼がそこに書かれていた「究極のスイーツ」に魅せられたため、クックは彼の前に姿を表し、それを作ってくれと頼んだ。
ジャン=ピエールはそれを快諾し、2人は奇妙なパートナー関係となる。
ジャン=ピエールの才能には心酔しており、彼のかつての弟子だったシエルには嫉妬めいた感情を持っており、何かと突っかかってくる。
クックは本作における騒動の黒幕、つまりはプリキュアたちが戦うべき敵キャラクターである。
ノワールのしもべとは一切関係ない(そもそも彼女が生きてた時代はノワールが生まれるより更に前である)が、一応『プリアラ』の敵キャラクターということでノワールのしもべが持つ黒い星マークが瞳に入っている。
因みに本映画のサウンドトラックのタイトルに「クック最後の反攻」とある様に、サントラで今回の敵である事が半ばネタバレされている。
クックの泡だて器から生みだされた黒色のモンスター。パティシエに対して呪いをかけてスイーツをまともに作れなくしてしまう力を持つ。キュアパルフェもこの攻撃の餌食になってしまう。
声は真木駿一が担当。
クックが自身の能力で生みだした無数のモンスターたち。いずれもスイーツをモチーフにされている。基本的に声は発しない。分裂して無限増殖する性質がありパリの街を恐怖に陥れた。
クックがプリキュアたちを弱体化させたため、これらのモンスターとの戦いは苦戦を強いられたが、意外な助っ人の乱入のおかげで窮地を脱した。
なお、『アニメージュ』の増刊号等では「スイーツオバケ」という名前で記載されている。
クックとジャン=ピエール・ジルベルスタインが作製した究極のスイーツにして究極のモンスター。声は吉田有里が担当。一応ケーキなのだが、見た目はほとんど巨大ロボで顔や手足がある。明らかにボディに金属材質が使われているものをスイーツと呼んでいいのだろうか……?
最初はジャン=ピエールを取り込んで起動したが、彼が心を取り戻して救出された後はクックが自ら巨大スイーツと同化した。
なお、エンディングでのクレジット表記では「巨大スイーツ」だが、『アニメージュ』の増刊号等では「究極のスイーツオバケ」であったり、劇中ではクックが「ジャン=ピエール」と呼ぶ等、名前は特に統一はされていない。
「世界パティシエコンテスト」への出場のためにキラ星シエルがプリキュアの仲間とともにパリに帰還してからというもの、おかしなことばかり起こっていた。
謎の泡だて器モンスターに襲われたかと思えば、原因不明のスランプに陥ってしまう。
だが、シエル以外にもコンテストに出場する数多くのパティシエが同じような目にあっていることを知り、スランプの原因は泡だて器モンスターによる呪い攻撃のせいだということに気づく。
何者かが怪物を使ってコンテストに出る実力者を追い落とそうとしているのだ。
そして次に襲われるのは師匠であるジャン=ピエールではないかと危機感を持ったシエルは彼の元に忠告にしにいく。
その時、ちょうど「究極のスイーツ」が今完成せんというところであった。それは数十メートルの大きさを持つ巨大なケーキであり、名状し難き混沌としたデザインをしている。その威容、いや異様な見た目にシエルをはじめとしたプリキュアたちは呆然とするが、その大きさに比べてキラキラルの輝きが少ないことに疑問を持ち、そのことをふと口に出した。するとクックが笑い声とともにつぶやく。
「キラキラルゥ〜? そんなもの…… 必要ないクック!」
そしてクックは、最後の仕上げとしてハシゴを使ってスイーツのデコレーションをしていたジャン=ピエールを突き落とした。するとジャン=ピエールはそのスイーツと同化し始める。
そう、これこそが「究極のスイーツ」の本当の最後の仕上げ。このスイーツは作り出したパティシエと同化し、その命と心とキラキラルを吸収することで誕生する「生きているスイーツ」だったのだ。
そしてこの究極のスイーツは、この世界の全てをスイーツに変えてしまうことを目的に動きだす……。
実はクックは生前、自分のスイーツが誰にも認められず迫害されて失意の元に死んでしまっていた。
だが、自分が死んだ後にこの世界に対する復讐をなさんとして、このレシピ本を準備して自分は幽霊になってここに取り付いていたのだ。
本当の天才ならこの「究極のスイーツ」を作りたいという魅力に抗えないはずだと考えて。
起動した巨大スイーツは、パリの街の建造物や自然の風景を全て奇矯なデザインのスイーツへと変えていく。それはすべてクックのセンスが反映したものである。世界の全てが自分のセンスに染まってしまえば、もう誰も自分を馬鹿にできないはずだというのがクックの望みなのである。
なお、パティシエたちを襲っていたのは究極のスイーツ作りとは関係はなく、ジャン=ピエールがコンテストに興味を示していることを知ったクックが、彼のために独断でやったことである。
クックはジャン=ピエールを「究極のスイーツ」を完成させる道具としてしか見ていないと自分では思っているが、実際は結構彼のことを気に入っていたようだ。
また、ジャン=ピエールも自分がスイーツの材料になることをむしろ祝福として捉えて一切抵抗しなかったし、クックがパリをおかしな世界に塗り替えていくことを素晴らしいとさえ感じていた。この2人は良くも悪くもぶっ飛んだセンスの持ち主としては似た者同士なのである。
一方、シエルの方はジャン=ピエール本人が望んでいようが彼の存在が消えてしまうことを認めるわけにいかず、彼を取り戻すために仲間とともに、クックに立ち向かうことになる。
クックは最終的にスーパープリキュアによって浄化され消滅してしまう。消えゆく意識の中、クックは走馬灯のように自分の人生を回想する。それはクックが自分のスイーツを認められず罵倒される屈辱の思い出ばかりだったが、自分のスイーツを最後まで馬鹿にしなかったおかしな天才が一人いたことを思い出し、微笑みを浮かべたまま消えていった。
そして全てが終わった後、相変わらず偏屈に一人でスイーツ探求をしているジャン=ピエールの工房を、窓からじっと覗いている一人の少女の姿があった。
その子は、ジャン=ピエールと同じく頑固で偏屈そうで意地悪な雰囲気だった。そう、まるであの幽霊みたいに。
スタッフロールのカットでは、かつてのシエルと同様にその少女がジャン=ピエールの押しかけ弟子となっている様子が描かれている。
少女とクックとの関係は明かされていないが、普通の幽霊が浄化=成仏してから人間に生まれ変わるにはあまりに期間が短すぎるため、クックの子孫もしくは既に生まれ変わっているのがあの少女で、生前の彼女の残留思念が実体化したのが劇中のあの幽霊の姿だと思われる。
ちなみにその少女はTV本編第48話にも一瞬であるがジャン=ピエールとともに登場している。
声を担当する悠木碧はプリキュアシリーズ初出演。過去にオーディションは何回か受けたことはあるが今までは縁がなかったと言うこと。
また、自分の落ちた作品を見るのは複雑な気持ちがあるので作品としてのプリキュアシリーズの視聴は去年までは意識的に避けていたらしい。しかしネット上でキュアショコラ/剣城あきらの画像を目にして一目惚れしてしまい、『プリアラ』のオーディションには参加しなかったこともあって、第1話から視聴を始めて一視聴者としてプリキュアにハマったという。
定期的に投下される「あきら愛」溢れるツィートの熱量の高さは一部のファンには知られていたが、本人としてはプリキュアは仕事として自分と無関係だから純粋に大友視点で無責任にはしゃぎまくっていたので、こうして仕事として関わることになってちょっぴり申し訳ない気持ちもあるとか。(参考インタビュー記事その1・その2)
劇場版プロデューサーの内藤圭祐によると、「一筋縄ではいかないキャラクターだが、かわいらしさも重要」というポイントから悠木の声がぴったりという理由でオファーをかけたということ。悠木が『プリアラ』からプリキュアのファンになってくれたということは後になって知ったことでオファーに影響はしてないということだが、作品を好きでいてくれることは純粋に嬉しいとスタッフ側は肯定的に捉えている。(参考インタビュー記事)
3年後の『ヒーリングっど♥プリキュア』にて花寺のどか/キュアグレース役に抜擢される事となった。
彼女が何故認められなかったかついては明らかにされていないが消滅間際に聞こえた「まずいまずい」という言葉に対し「まずくないまずくない」と反論していたことから生前の彼女は料理に関わる者としては致命的な欠点である味音痴だった事が窺える。(しかも本人は最後までその事を認めようとはしなかった。)