概要
「クラフト・ワーク」は、『ジョジョの奇妙な冒険』第五部『黄金の風』に登場するスタンド能力。パッショーネの組員サーレーが本体。
人型のビジョンをもつ近距離タイプのスタンドで、物体をその場に固定する能力を持つ。
ザクを思わせるロボット兵器風の頭部と、ナメック星人のような並行ラインが入ったスリムなボディという外見を持つ。しかし、歯をむき出しにした四角い口を歪めるなど、ロボットと言うには結構表情は豊か。頭部スリットの奥はモノアイではなく、車のヘッドランプ風の眼が二つある。
TVアニメ版でのカラーリングは量産型ザクのようなライトグリーン系。
名前の元ネタはテクノの祖であるドイツのバンド、「Kraftwerk」から。スタンド名には中黒が入るが、バンド名の方は一単語なので、中黒を入れない「クラフトワーク」表記が普通。
北米版では恐らく"Craft work"=工芸作品との解釈から、"Arts & Crafts"に改名されている。
能力
【破壊力 - A / スピード - A / 射程距離 - E / 持続力 - C / 精密動作性 - E / 成長性 - E】
典型的な近距離パワー型のスペックを持つ。
スタンドの破壊力・スピードはともにA評価で、近距離パワー型のスタンドの中でもこれほど高い評価を受けているのは、主人公やその仲間、ボス格を除くと、オアシス(セッコ)、そして遠隔タイプだが電気の吸収量によっては破格のパワーを持つレッド・ホット・チリ・ペッパー(音石明)くらいである。
劇中では接近戦が披露されなかったためその格闘能力は不明だが、数メートルの距離から正面切って放たれた銃弾を弾き飛ばすだけの精密性はあるようだ。E評価なのに…。
固定化
本体やスタンドが触れた物体をその場に固定できる。固定化はいくつでも可能で、複数の岩の破片を空中に固定して足場にしたり、敵の飛び道具を体に触れた瞬間に固定して、ダメージを最小に抑えたり出来る。
また相手が何かしらの物体に触れていれば、固定することでそこから体を離せなくできる。トラック運転手はアクセルから足が離せなくなり、ミスタはトラックの手すりから手が離せなくなった。
衝撃の蓄積
固定化能力の応用。単純な物理攻撃以外の攻撃手段として、固定された物体に衝撃を与えてエネルギーを蓄積させる事が可能。その状態で能力を解除すると蓄積された力が瞬時に解放される。作中ではこれを利用して、空中に固定した弾丸を指で何度もトントンと叩き、能力の解除で銃弾として発射した。曰く、「思い切り殴るのでは攻撃の方向がバレてしまう」。
発動までに時間がかかるので、使える状況は限られる。やろうと思えばDIOのナイフ投げの真似事もできる。もっとも時を止められるわけではないので、仮にやってもエネルギーの蓄積作業中に相手に安全圏へ逃げられるか、本体が叩かれるだろう。
心臓固定
スピンオフ小説『恥知らずのパープルヘイズ』でビットリオ・カタルディ相手に披露…しようとした新技。決まればまさに必殺の攻撃と言えるが…。
考察
固定化の特殊能力は本体がトラックから取り残されると解除されたため、射程距離のE評価に相当するかは不明だが、さほど効果範囲は広くないようである。
また物体は「その場」に固定されるが、何に対して固定されるのかという解釈には複数ある。
一つは、トラックの上で固定化したものはトラックに追随して移動していたことから、何かに対する相対位置が固定されるとするもの。この場合、運転手の足はアクセルペダルに対する位置を、空中の瓦礫は地面や地球に対する位置を固定化されたと説明される。
一方で、本体であるサーレーとの位置を固定化される、あるいは空中で固定化されても慣性の法則でそのまま動き続ける場合もある、との解釈もある。
スタンド能力の共通点として『自分ができると思うこと、できて当然と思う事』があるので、固定に関しては『サーレーがどんな風に固定をしたいか』によるという解釈もある。つまり慣性の法則などの物理法則を無視してサーレーがやりたいようにできると言う事である。
弱点・評価
本体が触れていても固定の意思がなければ能力が適用されないことが欠点で、認識が追いつかない不意打ちなどを防ぐことは不得手。そのため、初見の能力による予測不可能な事態や、一撃必殺で仕留めにくる暗殺向きのスタンドにはめっぽう弱い。暗殺特化の近距離タイプと言えるズッケェロのソフト・マシーンとはある意味いいコンビだった。
さらに自身が近距離パワー型であるため、エアロスミスのような遠距離攻撃をする相手への迎撃も難しい。銃により離れた位置から攻撃を行え、かつ弾道を自在に変化させられるセックス・ピストルズとの相性は悪いが、それでもミスタに強敵と言わしめたスタンドであった。
ジョジョファンの間では、固定化の応用範囲の広さと能力の高さから話題となるスタンドで、いわゆる最強議論にも顔を出す存在。
作中では発揮されなかったが、高スペックから予想される格闘能力と併せ、一対一のタイマンや、屋内などの閉鎖空間でこそ真価を発揮するスタンドと言えるだろう。
関連イラスト
以下のスタンド「キャッチ・ザ・レインボー」は「物を空中に固定する」という共通点がある(ただし雨限定)。