概要
テレまんがヒーローズにて掲載された漫画版『侍戦隊シンケンジャー』に登場するアヤカシ。
その容姿から、おそらく『海坊主』の伝承のルーツになったアヤカシだと思われる。
漫画第2話の梅盛源太の初登場から、志葉丈瑠に認められ侍を襲名するエピソードの敵として登場する。つまりTV本編におけるイサギツネとヒャクヤッパのポジションのアヤカシである。
外見は、巨大なクロマグロの頭部にモアイ像のような人面を付けた姿をしており、頭部の口から水の泡を吐き、その中に閉じ込めた者を溺れさせる「封水の術」という妖術を操れる。
この水は、強烈な水圧から中に閉じ込めた者に身動きを許さず、さらに閉じ込められた者は溺死する事はないが、息ができない苦しみで永遠にもがき続ける事になるという恐ろしい技である。
本人は自分の術で苦しむ人々や、その人々を助けられないシンケンジャーの苦しみを楽しむ、アヤカシらしく非常に悪辣で陰湿な性格であり、作中ではこの術を使って、大勢の一般人を閉じ込めてその苦しみで三途の川の増水を目論み、そして駆け付けたシンケンジャーも術で拘束して窮地に追いやる。
しかし、そこに六人目の戦士として駆け付けた源太が変身したシンケンゴールドの力で形勢逆転され、術の水はシンケンゴールドの高速抜刀による乱れ斬りで斬り裂かれて無効化された挙句、必殺技の逆手一文字で斬り倒されて術を解除されてしまう。それでもしぶとく攻撃に耐えており反撃を試みるが、シンケンレッドの烈火大斬刀・百花繚乱でトドメを刺されて一の目を潰される。
すぐさま二の目になって巨大化し、大ナナシ連中を呼び出して戦うも、ゴールドが海老折神を召喚してダイカイオーで反撃。大ナナシ連中を倒されさらにイカダイカイオーで追い詰められ、最終的には全てを合体させたダイカイシンケンオーの必殺技を受けて敗死した。
余談
このテレまんがヒーローズの漫画版シンケンジャーは、他の第一話と劇場版のコミカライズに関しては概ね本編通りなのだが(それでも細部は変更されているが)、この第二話のシンケンゴールド初登場回に関しては、TV本編の該当エピソードとは内容も物語展開も大幅に変更されている。
登場する敵が上記のグロマグロに変わっているのは言うまでもないが、本編では源太合流後に完成した海老折神が既に完成しているばかりか、ダイカイシンケンオーやスーパーシンケンジャーまで完成済みという、子供向けコミカライズという事を差し引いてもかなり突っ込みどころの多い展開である。そもそも源太無しでどうやってインロウマルを完成させたのかは不明。
さらに、TV本編では源太のシンケンゴールドとしての実力を見た上で、丈瑠は源太が六人目となる事を最初は拒否したのに対して、こちらでは源太が拒否された後にシンケンゴールドに変身して力を示して認められるという流れなので、丈瑠が源太を拒否した理由が侍としての力が無いからのほぼ一点だけになっている。これはシンケンジャー本編のファンは首をかしげざるを得ない話だと言える。
グロマグロがルーツになったと思しき『海坊主』は、巨大な黒い坊主頭をした異形の妖怪で、夜間に現れて船を破壊して人を溺死させると言われている。シンケンジャー世界ではグロマグロの容姿や水を操り人を溺れさせる能力等が人伝いに広まった事で、『海坊主』伝承が生まれたと思われるが、本人が海で泳ぐ描写などは少なくとも作中ではない。そもそも『海坊主』自体が地域や資料によって容姿や説が異なる妖怪なので、この辺はそもそもグロマグロの情報がかなり曖昧に伝聞された可能性もある。
ちなみにTV本編の源太初登場回で登場したイサギツネとは、グロマグロはキャラクターも登場した目的も全く異なるものの、どちらも妖術使いであるという点は共通している。