馬名の由来
ゴールデンハインドとは英語で「黄金の雌鹿」の意味だが、より直接的には16世紀イングランド王国の冒険家・海賊・軍人である、キャプテン・ドレークことフランシス・ドレークの乗船「ゴールデン・ハインド号」に由来する馬名である。
ドレークはゴールデン・ハインド号の船長として、1580年にマゼラン船団以来2例目の地球一周航海を達成。そして、その航海の途上で当時のイングランドのライバル国であったスペインの船や植民地の港を次々に襲撃。海賊として敵国にダメージを与えるとともに、奪った財宝をイングランド王室に献上し、当時の王室が抱えていた借金をまとめて返済するほどの富をもたらした。
こうした活躍から、現在でもドレーク船長はイギリスでは英雄として、スペインでは恐るべき海賊として名高い。彼の船である「ゴールデンハインド」と言う名の馬が過去にもアメリカやインドなど各国に複数おり、その数は驚異の15頭。
日本で馬名登録された同名の競走馬は3頭いる。なお、3頭の間に血縁関係や同一馬主などの関係はない。
- 初代ゴールデンハインドは1982年産の牝馬で、父はイエローゴッド(GB)・母はファストパレード。未出走だが繁殖牝馬として8頭の産駒を残した。
- 2代目ゴールデンハインドは2006年産の牡馬で、父はクロフネ・母はゴールドティアラ。通算成績は25戦6勝、2000m未満の距離に活躍馬が集中しているクロフネ産駒の中では珍しく長距離で健闘した馬であり、主な勝ち鞍は2011年の札幌日経オープンと2012年の万葉ステークス(当時は共にオープン特別)。
- 3代目ゴールデンハインドは2020年産の牝馬。以下で詳述する。父はゴールドシップであり、すなわち父の名からの発想で、ゴールドの名を冠する有名な帆船の名を採った馬名である。
プロフィール
生年月日 | 2020年4月25日 |
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英字表記 | Golden Hind |
性別 | 牝 |
毛色 | 芦毛 |
父 | ゴールドシップ |
母 | オレゴンレディ(IRE) |
母の父 | Shamardal(USA) |
生産 | ビッグレッドファーム(北海道新冠町) |
馬主 | サラブレッドクラブ・ラフィアン |
管理調教師 | 武市康男(美浦) |
主戦騎手 | 丹内祐次 菅原明良 |
調教助手 | - |
厩務員 | - |
競走成績 | 10戦2勝 |
獲得賞金 | 7795万4000円 |
2020年生まれの競走馬。父はGⅠで6勝を挙げた名馬ながら、癖の強い個性派ホースとしても知られるゴールドシップ。母のオレゴンレディは北米で12戦5勝、主な勝ち鞍は2011年のマイチャーマーハンディキャップ(GⅢ)。母の父のシャマルダルは欧州で7戦6勝(うちGⅠを4勝)、2004年度のカルティエ賞・最優秀2歳牡馬。
戦歴
2歳(2022年)
2022年7月デビュー。新馬戦は5着も、2戦目の7月23日未勝利戦(福島競馬場芝1800m)を逃げ切りで勝ち上がり。
しかし、芙蓉S(OP)で惜しくもクビ差2着、アイビーS(L)は4着と、2歳オープンで勝ち切ることはできず、2歳を4戦1勝で終えた。
3歳(2023年)
桜花賞を狙い出走したフラワーカップは4着と収得賞金を積むことができず、桜花賞出走を逃す。
しかし続いてオークスを狙い出走したフローラステークス(GⅡ)を菅原明良の騎乗で逃げ切り勝利し、ゴールドシップ産駒では2021年の優駿牝馬を勝利したユーバーレーベンに次いで2頭目の3歳限定重賞勝利馬となった。その為「2代目シロイアレノムスメ」と呼ばれ始めている。余談だが、フローラステークスの出走馬の中には彼女を含めマンマリアーレとイトカワサクラ(全員芦毛)の三頭のゴルシ産駒が出走していた。
そして迎えたオークス本番ではリバティアイランドの11着に敗れ、3歳シーズンの後半は休養となった。
4歳(2024年)
始動戦として挑んだ中山金杯を9着で終えた後、船橋競馬場で行われる交流重賞クイーン賞で初のダート挑戦も9着。その後は中山牝馬ステークスに向けて調整されていたが、腰角骨折が判明。その後の診察で競走能力喪失と診断されたため、同年3月14日に現役を引退することとなった。引退後は北海道新冠町のビッグレッドファームで繁殖牝馬としての供用を目指すが、怪我の影響もありこの時点では長距離輸送の許可が下りていないことから、当面は茨城県鉾田市のビッグレッドファーム鉾田トレーニングセンターへ移動して療養と経過観察を行い、北海道へ移動するタイミングを見計らうとの事。