概要
3Dアクションゲームで『スーパーマリオ64』の続編に当たる。
基本的な操作は前作とほぼ同じだが、今作はオヤ・マー博士が発明した「ポンプ」を仲間にし、水を駆使したポンプアクションが中心となっている。
島中のラクガキを綺麗にし、シャインを取り戻すことが目的。シャインは全部で120個存在する。南国が舞台である為、マリオやピーチが半袖やノースリーブであったりと、キャラクターの普段なかなか見られない姿を見ることが出来る。
本作はゲーム中にムービーが挿入され、ムービーではキャラクター達(マリオ以外)が英語のフルボイスで喋り、日本語版では日本語の字幕が表示される。
このムービー演出は後の『スーパーマリオギャラクシー』や『スーパーマリオオデッセイ』にもある。
長らく移植されておらず、ゲームキューブ自体がいまいち普及しなかった事もあって、「名前は知っているがプレイした事のない」ユーザーも多い作品だった(それでも世界630万本だが)。
しかし、2020年のスーパーマリオブラザーズ35周年に合わせて、Nintendo Switchの『スーパーマリオ3Dコレクション』に移植収録される事となった。
HD画質に対応している他、画面アスペクト比も16:9に変更されている。
ストーリー
南国の島「ドルピック島」へとバカンスにやって来たマリオ一行。
しかし、マリオ達が乗る飛行機が空港に着陸しようとすると、謎の泥とそこから発生したモンスターによって滑走路が陥没していた為に飛行機は着陸を失敗、あわや大事故になりかける。
この謎の泥や落書きによる危険な怪現象は島のあちこちで発生しており、さらにこの汚れが原因でドルピック島の光の象徴である「シャイン」が大量に消えてしまい、島は薄暗くなってしまっていた。
空港のモンスターはマリオが空港で発見した事で助力してくれたポンプとの共闘で退治し、それによって滑走路の陥没も元に戻ったのの、この事件の犯人は何とマリオが起こしたものとされており、しかも島のあちこちでマリオそっくりの人物が目撃されていた為にマリオはたちまち犯罪者として逮捕されてしまう。
裁判でもピーチ姫やキノじいの異議も却下されマリオは有罪となってしまい、島の汚れ全てを落とすまではキノコ王国に帰国できなくなる。
犯罪者の濡れ衣を着せられてしまったマリオは、事件の解決及び身の潔白を証明と島民たちの為、新たな相棒ポンプと共に事件の調査に乗り出す。
登場キャラクター
メインキャラクター
おなじみのスーパースター。今作のマリオは半袖なうえ、ゲームを進めるとサングラスをかけられるようになる。
ドルピック島へバカンスに来たつもりが突如犯罪者となってしまい、無実の証明と真犯人発見を果たすべく事件解決に挑む。
オヤ・マー博士開発のマシンで、本作におけるマリオの新たな相棒。
機械でありながら明確な自我を持ち、アクション面のサポートだけでなくあらゆる場所でマリオに助言をする。
シリーズおなじみのヒロイン。今作ではノースリーブのドレスにポニーテール、日傘というサマースタイル。
飛行機の中で流されていたドルピック島の宣伝用ビデオのムービーにマリオらしき不審人物の影が映りこんでいた事に気付いていたが、当のマリオ達に伝えようにもバカンスムード丸出しの彼らに伝わる事はなかった。
キノコ王国の大臣。
ピーチ姫の付き人としてやって来たが、彼も飛行機の中で完全にバカンスムード丸出しとなってしまっていたのでピーチ姫の警告に気付かなかった。
- キノピオたち
キノじいと共にピーチ姫の付き人としてやって来た5人のキノピオ。
色はそれぞれ赤、青、黄、緑、紫がいる。
ドルピック島のあらゆる場所にラクガキをし続けるマリオそっくりの人物。
その目的や素性は謎に包まれているがその正体は……?
ドルピック島の住民
ドルピック島に住む種族の一つ。
大柄な見た目から分かるように力持ちで、マリオを空高く投げ飛ばす腕力を持つ。島の住民の大半はこの種族が占めている。水をかけたり踏みつけると怒り出す。
マリオカートシリーズやスーパーマリオスタジアムシリーズなど、以降の作品でも度々登場する。
ドルピック島に住む種族の一つ。モンテ族と共生している。海から生まれた種族で、モンテ族よりも小柄。
背中に巻貝を背負っており、危険を感じると貝の中に隠れる。
その他
今作ではニセマリオの描いたラクガキであり、本物は登場しない。
かつてはドルピック島にも固有種が存在したらしい。
最初は卵だが、目的のフルーツを置くと孵化して乗ることができ、ヨッシーの体色は食べるフルーツによって異なる。
舌を長く伸ばしフルーツや敵を摂取することでジュースみたいな液体を吐く他、土管を塞ぐフルーツや通路を塞ぐテレサを食べてくれるなど役に立つ。
反面、落書きなので水に弱く着水すると分解し消えてしまう上、胃袋ゲージが空腹になると分解してしまう。さらにエリアを跨いで乗ることはできない仕様となっている。
ゲームシステム
基本的な流れ
ドルピックタウンから様々なステージに進入し、本作では前作のスターに該当する重要アイテム「シャイン」を集める事となる。
シャインはステージのエピソードクリアやコイン100枚回収の他、青コインをシャインに交換するなどの方法で手に入る。
入手できる数は前作と同じ120枚。
シャインを集めていくと新たなステージへの入口が現れるなど、ストーリーが進行していく。
アクション
『スーパーマリオ64』の続編という事もあって、アクション面においては前作の動きをベースにしている。
また、ポンプを扱った新アクションも多数存在し、ギミックやトラップなどはポンプを用いたアクションで乗り越えなければならないのは必然となってくる。
評価
難しい。
全体的に難易度が鬼のように高く、トラウマと呼ばれる程の難易度を誇るコースがあちらこちらに散見される。
さらに青コインのコンプリートは自力どころか攻略情報を見ても厳しい、と言う凄まじいモノ。
ポンプアクションの独特さもあって、若干とっつきにくい作品となってしまっている。
例を挙げると
- 今作のヨッシーは絵の具で作られた偽物であるため、水の中に入ると消滅してしまう。またヨッシーに乗っての水中移動は不可能。
- 一部の敵に水をかけるとブロックにできる。これを利用して足場を作りながら、移動しなければならない。
- ゲッソーを使ったイカ乗りでは、レース中に赤コイン8枚の回収中に時間切れ、もしくは障害物にぶつかった時点で即にミスになる。
- 特に各ステージのアスレチックでは全体の足場が非常に少なく、少しでも踏み外せば即ミスになる。マリオシリーズのアスレチックステージとしては攻略が困難で、クリアするまで多くのプレイヤーがミス時の音源を何度も聞かされる羽目になる。みんなのトラウマ。
- ポンプのノズルパーツはホバー、ターボ、ロケットの3種類。ノズルチェンジによる特有のアクションをうまく活用することが、非常に重要になるステージもある。
- 青コインの入手が全体的に困難で、中にはマグマの上にあったり、フェンスの上にあったりなどで物理的に入手するのが難しいものや、一部シナリオ限定で出現するもの、目印のないものに放水することで出現するような発見自体が難しいものなどもある。
- 3Dマリオシリーズの中ではアクション時の慣性が強く、これを利用した特有のアスレチックが登場する。赤コイン8枚回収で苦労した人も少なからず。
等々etc・・
ただでさえ3Dアクションがあまり普及しきっていない時期で、「『スーパーマリオ64』ぐらいしかプレイした事がない」と言うユーザーも多い中でのこの難易度は、かつての『スーパーマリオブラザーズ2』のように多くのユーザーから批判を受ける事となってしまった。
宮本茂はこの作品への評価を反省し「マリオは万人向けの作品を目指し、マニアックな作品はゼルダなどに任せる」と言う方針を策定。以後、マリオシリーズは基本的にステージクリア型の一本道ゲームが基本となり、箱庭系マリオの復活は『スーパーマリオオデッセイ』まで15年の歳月を待つ事になる。
とはいえ、細部までしっかり作りこまれている上、理不尽ではなく求められる技量が極めて高いタイプの高難度なので、挑み甲斐、やりこみ甲斐も高い。
そのため、時を経るについて再評価が進み、現在では「上級者向けの良作」と言う評価も多い。
物語の舞台
ドルピック島
リゾート地として有名な南国の島でイルカの形をしている。本作の物語の舞台は全てこの島だけなため、別のステージからでも他のステージを眺めることができるという他のマリオシリーズにはない特徴がある。
エアポート
離島に設置された飛行場。
当初はオープニングで起きたトラブルでのみのステージだが、最終ステージを訪れた後に再訪可能になる。
街の通りではフルーツが販売され、綺麗な海が眺める冒険の拠点になる街。訪れた当時はシャインが各地に散った影響でやや影がかかっていたが冒険を進めると、街のシンボルである大王の像が再び姿を現し、水路の運搬船が運業再開して、落書きに封印された灯台が復活し少しずつ活気を取り戻していく。
街の各所にあるラクガキや土管から各ステージへと入ることができる。
風車が立ち並ぶ丘陵地帯で、奥地に広大な湖がある。モンテ族に別荘地としても人気である。
ドルピックタウンのすぐ近くにある港。大きな船、灯台、ドック、市場などがある。イカサーフィンという一風変わったスポーツを営む店がある。
海には珊瑚がある島最大の砂浜。海岸には海の家が2軒建つ。中央には太陽光を集める設備に囲まれた塔ではおおすなどりの卵が祀られている。
砂浜の各所にある芽に水をかけると大きく砂が隆起する。
ジェットコースターやメリーゴーランドといったアトラクションが並ぶ島で人気の遊園地。
周りのピーチにはひまわり畑が広がっている。
夕陽が眺めるビーチにホテル・デルフィーノが営業しており、プールやカジノが楽しめる豪華ホテル。
しかし、初めて訪れた時は正体不明の怪物のせいで建物がドロドロの中に飲みこまれて消えてしまっており…?
元はマーレ族たちの故郷。険しい崖に滝が流れ、貝殻を模した2本の塔が海上にそびえる。かつての王の墓が隠されている。
訪れた当初は、海が謎の汚れに覆われており、入るとダメージを受ける。
巨大なヤシの巨木の上にあるモンテ族の村。巨木や周りからはキノコが生え、村内には泉や温泉が流れる。
最終コース。当初は柵で立ち入れないが、ビアンコヒルズ〜モンテのむらでニセマリオを追い詰める(STORY7をクリア)すると入れるようになる。
中は火山となっており、ここから雲まで登るとラスボスと決戦になる。
漫画版
『スーパーマリオくん』では「スーパーマリオサンシャイン」編として展開。同漫画の中では28巻~32巻という、「スーパーマリオ3Dワールド」編の次に連載期間が長い作品となっている。
また、上記の漫画では「ホテル・デルフィーノの支配人」「ピンナパークの園長」「マーレ族の釣り好きの師匠」「モンテのむらの村長」といった、ゲーム内ではほぼモブ同然のキャラの出番が多いのが特徴である。
冒頭部分のみゲームには未登場のルイージも少しだけ出ている。
その他には双葉社と光文社からは4コマアンソロジーが刊行されている。
余談
『スーパーマリオくん』で知られる沢田ユキオだが、その前身に当たる『スーパーマリオブラザーズ2』(全3巻)にはクッパたちが造ったニセマリオ(ロボット)が登場する。その他にもマリオのファンであるキノピオ兄弟を痛めつけたため「マリオが酷いことをした」と誤解されてしまうエピソードも存在する。
本山一城版スーパーマリオの「ドンキーコング編(GB版)」では、初代ドンキーコングがホームシックに掛かって亡き母を恋しがる息子のため南国の島までポリーンを拉致し、新しい母親として迎えるという展開が描かれている。ポリーンはドンキーとの結婚は嫌がっていたが自分を慕うドンキーコングJr.には強く出られないという態度だった。
ちなみに原作のドンキーコングは、ラストバトルで見上げるほどの巨体に変身してマリオと対決するという展開であり、本山版でも描かれている。
ロゴタイトルはマリオ本編の中では珍しく日本語(カタカナ)であり、3Dマリオで唯一日本語ロゴとなった作品でもある(2Dマリオでは『スーパーマリオランド2 6つの金貨』も日本語のロゴタイトルだが、少々外伝の扱いに近い)。
関連イラスト
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マリオ ピーチ姫 ポンプ ニセマリオ クッパ クッパJr. モンテ族 マーレ族 キノじい
スーパーマリオ64:3D系マリオの前作